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某公立学校ことばの教室教員。公認心理師、言語聴覚士、特別支援教育士。 『クイズで学ぶことばの教室基本の「キ」』の著者。  SINCE 2000.1.1 
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自分の弱さを受け入れる

子どもの育ちをじっくりと見守るのと同じように、
大人も同じように見ることができると思うのです。

関係者とのおつきあいに苦労することがありますが、
数年後にはあっけなく変わっていることも。

久しぶりにお会いすると、何か雰囲気がふわっとする方も。

特別支援教育を本当に理解するということは、
大人に対しても同じように見守ることができる、
そしてそれが自然にできるということなのでは。

子どもへのスモールステップが大切だと本当に理解しているならば、
大人に対しても同じようにできるということなのでは。

苦手なところだけでなく、長所を見ようとすることは、
子どもだけではなく、あまねくヒトに対してなのでは。

自分を含め、ヒトの弱さをありのままに受けとめること。
そしてその方の過去を畏敬の念を持って受けとめ、未来を信じること。

それが特別支援教育がめざす、共生社会ということなのでしょう。

理想はなかなか難しいですし、色々な思いをかみしめることもありますが、
自分も他人も、子どもも大人も、長い目で見つめることの大切さを最近よく感じます。

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指導室の改築

今日は研究協議団体の理事会でした。
その際、改築した指導室を見せてもらいました。

事務局校では、通級児童の激増で指導室が足りなくなり、
相談室だったところを指導室に改造しました。
ビフォーアフターではないけれど、
劇的な変貌に驚きました。

1 部屋は十分な広さで、マジックミラーを設置した
保護者控え室の広さも十分です。

マジックミラーも十分な大きさで、うちのよりずっと
見やすくてうらやましい限りです。

2 机などの設備は、最近廃校になった高校からの
お下がりだそうです。十分きれいで使えます。

3 トイレの隣の部屋なので、水道を引くことができたそうです。
流しがあるので、構音指導でうがいをさせたりするのにも使えます。

4 床はフローリングで、壁はかわいらしく、
かつ目立たない模様が付いていました。

5 掲示板の設置をお願いしたところ、壁一面につけてくれたようです。


それまでは、放送器具収納室? のような狭い部屋で
指導をしていたというのですから、
これまで我慢した甲斐があった?というものです。

環境が全てではないけれど、
環境によって子どもが落ち着いたりするものです。

今回の改築にあたっては、組織で調査した
文部科学省の施設整備指針を関係機関に周知させながら
取り組んだようです。

http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/19/07/07071016/002/002.htm

施設整備指針は文部科学省ですが、
それを現場で実施する管轄は、教育委員会ではなく、
各自治体のようですね。

予算をできるだけかけず、しかも機能的に作ることができたのは、
現場の先生と相談しながら進めたからではと思いました。

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地域に作られる網の目のようなネットワーク

小児の発達障害が専門の病院の先生の講演会に行ってきました。
この町では教育行政が特別支援教育に熱心だそうで、
月一回、1年シリーズの企画は、現場の先生、行政、
病院などの連携がとれて実現したようです。

2回目である今回は、ザッと見では150名ぐらいの参加者でした。
ちらちらと見回すと、知っている人が多いのです。

講演の内容は基本的で、特に珍しくはありませんでしたが、
終了後にいろいろな方が声をかけてくれました。
「最近、あの子どうですか?」
というような普段できない連携が、いとも簡単にできてしまいます。

こちらの地域には、似たような団体がたくさんあり、
網の目のようになっています。
それぞれのコアは、だいたい似たようなメンバーなのですが。

こうしたことが、フォーマルな時間にできるようになると
いいのになと思うのでした。
平日の夜中は、やはり体力を消耗しますし、犠牲も払います。

ただネットワークの存在は、支えになっていることも事実です。

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通級はあくまでも下請け

通級指導を担当している子どもの学級担任の先生から、
「指導を見学しに行ってもいいですか?」という質問を
保護者を通じて頂きました。

どうぞ、是非見に来てください!

指導を参観して頂くのは、連携のもっとも本質的な姿だと思っています。
見に来て頂けるのは、うれしいですし、ありがたいことです。
誰よりも子どもたちのためになります。


さて、様々な子ども達が、通級指導教室を利用しています。
通級担当はあくまでも下請け、メインステージは在籍学級です。
教育内容の編成は学級担任、在籍校が主役であり、通級担当はお手伝いにすぎません。

このスタンスを外れると、通級担当が、学級担任、学校に対して、
上から目線で物を言ったり、対応したりということになりかねません。

通級は週に1~数時間、その他の大部分は通常学級で子ども達は過ごします。

通常学級でのニーズは何かをとらえ、子ども達、学級担任、保護者の関係を
良好に保てるよう、黒子の役目を果たすのが通級担当なのだと思っています。


連携について、時間的、物理的、法律的に難しさを感じているのが通級担当です。
その中で、指導を見に来てくださるという、そうした動き、意思に触れただけで
元気を頂ける思いがするのでした。


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「ことばの教室」を設置する方法

片道2時間以上もかけて、「国鉄」を乗り継ぎ、
バスに乗り継ぎ、週わずか1時間の指導を受けるために、
1日学校を休んだ子どもを保護者が連れて教室へ行く・・・・。

保護者が手を取り合って、自分の自治体への教室新設に向けて、
一大運動を展開したのは、必然の流れでした。

1 親の会の結成
2 学習会の積み重ね
3 署名運動、ビラ配り
4 地方議会とのパイプ
5 自治体への陳情

などなど。

こちらの地方にもことばの教室がいくつかありますが、
教室の新設には必ず親の会が関わっていました。

そして、親、行政、職員が「三位一体」となって取り組みました。

道親の会の総会から帰ってきた先生に資料を見せていただきました。
新しい方は、ことばの教室の設置の歴史を知る機会がないわけです。
そこで親の会がいかに関わってきたかを知っていただく一つのアイデアが、
その資料には載っていました。

故きを温ねて新しきを知る

大切ですね。

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通級による指導実施状況調査

文部科学省の「通級による指導実施状況調査」の結果が出たようです。http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/21/04/attach/1260962.htm


人数は伸びる一方ですね。

・学習障害と肢体不自由は、他の障害と異なり、
他校通級よりも自校通級の方が割合が高い。
→上野一彦先生も言っているように、「自校通級でなければ発展しない」ということでしょうね。
特にLDは。
通常学級で今日はどんな様子だったかという情報がないと、
通級の指導も十分な効果が発揮できないし、
何よりも言語指導で標準的とされる週1~3時間の指導時間では、
LDの場合はとても足りないというのが実際です。
LDの内容にもよるかもしれませんが。

・巡回指導の割合が3%と、低水準のまま推移していますね
→通級が制度化されたときの旧文部省通知では、
巡回による指導について
「当該教員の身分取扱いを明確にすること」と
書かれています。
http://www.ne.jp/asahi/tokyo/ld/ld_1992/278.html

また、巡回指導の行き帰りの時間のロス、
事故補償、そして何よりも教員配置など
様々な困難な課題があることが、
巡回指導の伸びを妨げている要因でしょう。

 「子どもが動くのでなく、先生が動く」
と親の会でも主張されているわけですが、
道は険しいですね。
日本LD学会でもその可能性と限界が述べられていました。

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新学習指導要領と他校通級

地域の言語障害児教育の研究協議会に参加してきました。

組織調査部会では、新学習指導要領と他校通級が話題に上がりました。
つまり、各学年とも通常学級の授業時間が増えたため、
授業が終わってから通級する、午後の「他校通級」の時間割が
混雑し、組めない事態が起こっています。

やむなく、担当の先生を替えたりして急場をしのいだり、
今後は、一コマの中に複数の児童を入れることも検討しなければ
ならないようです。

また、授業時間を休んででも、通級したいという声も
拾い上げる必要があります。

通級児童生徒が多い教室では、以前からこのような事態に
陥っていますが、今回ますますそうした教室が増えました。

教室の宣伝、募集を取りやめたことばの教室も全国にある、
と学会の発表でも聞いています。

子どもの人数が増えた分、教員数も増えればいいのですが、
その見通しは全くありません。

どこかで通級対象を制限せざるを得なくなります。

あるいは、他校通級をやめて在籍校内での支援に切り替える例も
出てきています。

他校通級は、構音指導など、週の限られた指導時間にフィットする
事例ならよいでしょう。
しかし、学習指導や行動面の指導などに重点を置く場合は、
週の多くの時間を通級指導に当てるなどしなければ
効果が上がりにくいものです。
それは他校通級の指導時間だけではまず不可能です。

「財政難」と「教育的ニーズ」とのかけ算の解をどう出すか。
また新たな課題が増えました。

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通級担当1年目の先生が3分の1

私が所属する地方の研究協議団体の名簿によると、
今年初めて通級を担当した先生はおよそ3分の1となり、
大幅な人事異動があったことが改めてわかりました。

また3つの部会のうち、基礎講座の受講を希望した先生は
メンバーの半数に達し、基礎的な研修のニーズが
さらに高まっていることもわかりました。

経験13年目で、年数に見合った実績を積んでいない私ですが、
何らかの貢献ができればと思っています。

困っている先生、子ども、保護者が少しでも安心できるために。

基礎を学びたい先生のニーズで一番多いのは、
実際の指導をどのようにやったらいいのか、でした。

今回は実際の指導場面のビデオを多用し、
イメージをつかんでいただくことを目標にします。

ただ、理論的な基礎も若干は触れておかないと、
ビデオを真似すれば良い、ということになりかねないのですが。

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新年度

新年度が始まりました。

新卒の初任者研修の融通が利きにくいことは今後の改善点と思います。

1 1日日程で学校を出る研修では、たとえば半日ずつ別の日に組むということができない。
2 新卒でことばの教室担当になった先生用の研修プログラムが存在しない。
3 言語障害の研修講座と、一般の初任者研修が重なったときは、言語の研修会に参加できない。

現状では、初任者研修の内容を先生に合わせるのでなく、
先生を初任者研修の内容に合わせる、というのが実態です。

他県では、初任者研修制度の中に、通級担当用のメニューがあると聞きます。

文部科学省のHPを見ても、内容は例示のようです。

通級担当教員や特別支援学級担当教員が、通常学級の教員と同じ枠で採用
していること、免許制度がないというところに根本的な問題があるのではないでしょうか。

だから、通級を数年担当した先生は、通常学級にもどるべきだ、
などの専門性を無視した人事が当然のように進められています。

現在の研修制度そのものも、実はそうした哲学を前提にしてはいないでしょうか。

実際担当になった先生の問題ではなく、制度の問題です。
実際に担当になった先生のほとんどは、
一生懸命やろうとしています。

ただ、昨日まで皮膚科だった医師が、今日から産婦人科を
やってください、と言われたら、その医師にとっても、
患者にとっても、たいへんなことではないでしょうか。

担当が複数いて、ベテランがいる教室なら、
何とかフォローし合ってやっていける面もあるでしょうが、
一人教室で、近くに研修の機会もないという先生方の
不安の声が寄せられています。

先生にとっても、教育サービスを受ける側にとっても、
安心できる研修制度とは何か、
もっと声をあげる必要があるように思います。

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NHK「クローズアップ現代」の感想

特別支援教育の年間予算について、
イギリスの紹介がありました。

イギリスの特別支援教育年間予算     約7,000億円

比較して、日本の来年度予算は・・・。
日本の特別支援教育平成21年度予算       8億4,300万円

額だけを単純比較はできないでしょうが、
それにしても違いすぎですね。

漢○○定の豪邸に6億円かかったそうですから、
日本の今年度の特別支援教育の予算とほぼ同じです。
国全体で、お金の回し方が何か違っているのでは。


番組では、学校現場の限界がその通りに報道されていて、
説得力を感じました。

ただ、日本でも授業のちょっとした工夫だけでも、
発達障害以外の子にも有効という学校の紹介も。

例)
・授業の流れを予告することで、安心させる
・文字を書いたカードを頻繁に使う
→四捨五入で切り捨ての時、 
「ぽい!」というカードと「悲しいイラスト」を貼る。

授業場面に映っていた先生の話し方のテンポ、
工夫は、一部しか見ていませんが、なかなかよかったです。


まあ、授業の工夫だけでは足りない事例も多いですがね。
私の経験上。
でも工夫しないよりは、した方が良いでしょう。


予算は足りないけど、
親の会が学習支援員の養成を始めようとするなど、
民間レベルでのサポートも始まっているようですね。
期待しています。
私も何かできることがあれば、と思いました。


番組の結論は
「社会の理解がカギ」
予算をつけるには、やはりそこだということ。

特別支援教育は、予算的には冬の時代を迎えたと言われますが、
最後はやはり国民の理解でしょうね。
とても大切なことだとわかって頂くこと。

このブログも、理解、啓発の一助になれば。

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巡回相談と本務

自家用車も遠乗りすると、燃費がいいですね。
初めから付いている燃費計なので、
正確ではないでしょうが、
10.15モードのカタログ値を
超えたのは初めてです。

暖冬で国道は雪がほぼない状態というのも
燃費に影響しているのでしょう。

久しぶりに見る海がとても美しく、
このままずっと観光していたいなあという
気分になるところ、ネクタイを締めて・・・。

今年は巡回相談の依頼がないと思っていたら、
この真冬に、2ケース立て続けに入ってきました。

一つ目の学校訪問は既に終わり、
これから専門家チーム会議に出席します。

つまり、1ケースにつき、
訪問と会議で2回、
自分の学校を留守にする必要があり、
受け持ちの子の指導を休みにしなければなりません。

自分だけ受け持ちを減らせるほど、
教室に余裕があるわけでもありません。

受け持ちの子がいながらの巡回相談は、
この回数が限界と感じています。

通級指導教室が培ってきた教育相談、
アセスメントのノウハウを
生かせる場が与えられるのは
ありがたいことではあります。

学校を訪問してまたも思い出したことば。

「知識の専門家というだけでなく、
その子の専門家であるように」

初めて出会った子どもについて、
あれこれアドバイスなんて、
おこがましい話です。

関係の先生方は、その子にずっと
つきあってきているわけですから。

当然、ヒットしない話もありました。

ただ、私の持っている知識によって、
新たな観点が提供できた、という
手応えを感じた場面もありました。

障害やアセスメントについての知識はもちろんですが、
通級指導教室や特別支援学級の法律面の知識もあれば、
「そんな使い方もできるのか」
と目から鱗ということもあるわけです。

「訪問させていただいて良かった」
と思える瞬間です。

そう、受け持ちかどうかの前に、
一人の人間として、
私は世の中のお役に立てるのか、
ということですね。

ただ、受け持ちの子は、
保護者や本人と週1回の指導を「契約」して、
教育サービスをしているわけです。

この二律背反を上手に弁証論的止揚(また出た)
していく必要があるのではと思うのです。

もちろんスタッフの充実(量、質?。質は自分も含めて)も必要ですが。
理念を実現するには。

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通級は分離教育ではない

校内でのことばの教室の発表が無事終わりました。

発表後はよい質問がたくさん出て、
発表した甲斐があったというものです。

実際の指導場面のビデオが、やはり反響がありました。

で、うちの学校のことではないですが、
「通級型の取り出し指導」と言うと、
マイナス面が気になる向きがありますね。

「インクルージョン教育は、分離教育ではない」

このことから、通級型の取り出し指導は、
「分離教育」であり、インクルージョンに反するとの意見があります。

しかしながら同時に、次のことも言えるわけです。

「インクルージョン教育は、統合教育でもない」

通常学級にお客さん状態で座っていればいいわけでもない。

「インクルージョン教育」は、
「分離教育」、「統合教育」の両者を
弁証法的に止揚(アウフヘーベン)
したところにあるのですよね。

 

インクルージョンに近い通級の意義、あり方については、
実は文科省通知が一番正確で妥当ではないかと思うのです。
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/06050817.htm

別に国に忠実でなければならないと主張する意図ではありませんが。


・「通級による指導を行うに際しては、必要に応じ、校長、教頭、特別支援教育コーディネーター、担任教員、その他必要と思われる者で構成する校内委員会において、その必要性を検討する(後略)」

→通級担当だけで、通級妥当を判断するわけではないですね。


・「通級による指導の対象とするか否かの判断に当たっては、医学的な診断の有無のみにとらわれることのないよう留意し、総合的な見地から判断すること。」

→診断があるから、障害があるから、ただちに通級、とは誰も言っていません。


・」学習障害又は注意欠陥多動性障害の児童生徒については、通級による指導の対象とするまでもなく、通常の学級における教員の適切な配慮やティーム・ティーチングの活用、学習内容の習熟の程度に応じた指導の工夫等により、対応することが適切である者も多くみられることに十分留意すること。」

→通級が手段の全てではないですね。


こうした主旨は、基本的には、ことばの教室が
過去からずっとやってきたことではないかと思うのです。

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パンク寸前の就学指導委員会

今日は教育委員会レベルの就学指導委員会でした。
朝8時30分から始めて、終わったのは夜9時30分でした。

就学判定したケースは百数十例に達しました。

昨年よりも数十ケース増え、来年度はさらに増えるそうです。
子どもの総数は減っているのに、
支援の必要な子はうなぎのぼりです。

これには、医療機関の普及や、健診体制の向上、
地域の意識の向上などが背景にあると思いますが、
地域や家庭教育の余裕のなさもある、と
乳幼児健診に関わっている先生が言っていました。

発達障害は環境が原因ではありませんが、
助長因子にはなりえるし、状態が目立ちやすくなるわけです。

虐待や不登校など様々な要因、状態が複雑に絡んでいるケースも多く、
障害の重複で、従来の障害種の班分けのシステムが既に
賞味期限切れの状態です。

来年度は対象となる子どもの数がさらに増えることから、
システムの変更が必要だという方向性です。

でも、少ない予算、時間ではどんなに工夫しても、
容量オーバーは解消しないでしょう。
これはどの委員も感じたことではないかと思います。

おまけに、某相談施設が、今年から、判定委員を撤退し、
誰が発達検査を行うかでパニック状態になりました。

重要なスタッフが抜けたが、スタッフの補充をする予算もないし、
分担するのも、知的水準を測る器具はこの地方に一台しかない。
それを買うお金も予算化されていない・・・。

ないことづくしですが、委員のみんなが、1ケースずつ
とても丁寧に検討していこうという姿勢には感動しました。

しかしこれからは、
巡回相談などの他のリソースをもっと実働的にしないと、
就学指導委員会だけで全てを抱え込もうということ自体
もう無理なわけです。

巡回相談と言っても、結局普段授業をしている先生方が
取り組むことになるわけで、日常担当している子さんの
指導時間を休みにしなければならないという矛盾が生じるのですが。

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文科省 概算要求 通級に352名

文部科学省は、平成21年度の予算要求の主要事項をまとめていました。

http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/20/09/08082905.htm


この中では、

*******

「小・中学校の通級指導の充実(352人)」
「特別支援学校のセンター的機能の充実(35人)」

*******

今後財務省との間でどのように調整されるか注目されます。

ちなみに今年は、通級指導の正職員の教員増は、財務省との調整の結果、
各都道府県で割って2,3名ずつというところでした。

単純に教員を増やせば良いわけではないとの指摘は、
その通りかもしれませんが、
求められる理念に比して、
予算のケタが違うのではないかと・・・。

国にお金がないのは重々わかっていますが、
別の予算項目では、特別支援教育の何倍もお金がついているのを見ると、
寂しいなあというのが正直。

巡回相談事業の拡充や教材開発に予算をつけているのは期待しますが。

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「巡回による指導」の成果と課題

いきさつは割愛しますが、
月1回~2回程度、他校へおもむく、いわゆる
「巡回による指導」を始めさせて頂いています。

様々な条件と制約の中での、特例中の特例のケースです。

まだ始めたばかりですが、「巡回による指導」のメリットは、以下の通り。

1 他校通級で週1回の指導では成果が上がりにくかったが、
「巡回による指導」での指導場面を学級担任の先生に参観して頂き、
研究協議することができるため、その内容を毎日の指導に生かすことで、
子どもが著しく伸びている。

2 在籍校に直接伺うことで、子どもの日常の姿を直接確認でき、
子どもの実態によりフィットした指導内容を組み立てることができること。


デメリットは以下の通り。

1  保護者と直接話し合う機会が減った。
2  時間、旅費、勤務対応の問題 など


「巡回による指導」が成功するには、以下のことが必要と感じます。

1 在籍校の学級担任や保護者、そして誰より「本人」が
 「巡回による指導」を求めていること。

2 前日までには、学級担任と電話などで軽く打ち合わせし、
子どもの様子や学級担任の悩みなどの情報を入れておくこと。

3 学級担任に「教える」とか、「指導する」というスタンスではなく、
あくまでも一緒に悩み、考えるというスタンスであること。
→子どものことを一番知っているのは、学級担任であって、
部外者はあくまでもオマケですから。

4 無理をしない。忙しいときは休ませて頂いたり、
延期させて頂く。

あとは、
勤務対応、旅費の問題になってくるわけですが。
個人のサービス精神だけでは長続きしません。


教室に通いたくても、保護者の仕事や交通機関の都合で
通えない子が実はたくさんいます。
「巡回による指導」は、
子どもや親が移動するのでなく、教師が移動することで、
子どもの学習権を保障しようという取り組みなのだと思います。

様々な制約があって、実はとても難しい問題ではあります。

実際、冬は行けないだろうなと思っています。
「本務外」なので、事故補償がないのが致命的ですね。
最近は一時より価格が下がり始めたけど、ガソリン代も。

少しでも世の中の役に立ちたいという気持ちはあるのですが。

国は「巡回による指導」の教員の身分保障をしなさい、
と言っているのですけどね。

地域には先立つものがないので仕方がないですが。
「気持ち」と「現実」との間をどう埋めていくか、
どうつきあっていくか、これからも課題です。

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日本発達障害ネットワークが要望書提出

日本発達障害ネットワークは、このほど、各省庁に対して、
来年度予算要望の重点事項を提出したようです。
http://jddnet.jp/view/pdf_view01.php?a=114 

「平成21 年度文部科学省関係予算要望重点事項」では、
懸案となっている自閉症者の位置づけや、特別支援教育体制の整備、
「特別支援教室」構想の検討開始などを求めています。

あの先生、いつのまに代表になられたのですね。

最近、特別支援学級の増設があいつぎ、
少子化で空き教室が増えたはずの各普通学校は、
これ以上学級や教室を増設できないという話を複数聞きます。

ハード的にもソフト的にも間に合っていないのが現状です。


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ことばの教室の「本来」の対象? その3

以下の図は、某地方における通級児童生徒の障害別統計です。
ABCD以下、障害別。
縦軸は子どもの人数です。
あえて、障害名と人数は削除しています。




Aは、昨年度から比較して、相当数減っています。
一方、Dの人数は倍、I は3倍程度に増えています。

一年で人数がこんなに変化したのでしょうか。
いいえ、違います。

統計をとる際の分類の仕方が、少し変わっただけなのです。

従来「言語障害」と言われたものが、
「自閉症スペクトラム」の概念の登場により、
様変わりしつつあるのではないでしょうか。

医師の診断と、教師の見立ての違い、
教育的ニーズの中心をどこに置くかによっても
障害の分類が異なってきます。

子どもの加齢によっても、状態像は変わっていきます。
ある資料では、
構音が練習で改善し、ことばの教室を「終了」した子どもでも、
他の困り感が出てきたという事例が多くあるようです。

自然に改善が見込まれ、
特に困っていない状態の構音を
改善すべく指導を続けるのと、
予後の推定をしながら、その子に一番必要な指導を行うのと、
どちから子どものためになるでしょうか?

ことばの教室だから、構音練習、
ということでいいのでしょうか?

逆のケースもあります。
LD,ADHD等の教室ができても、
やはり、LD,ADHD等の教室に通う子どもの中にも、
構音指導のニーズのある子はいるようです。

「LD等のための通級指導教室は、ことばの教室とは別に作るべきだ」
という議論があります。

主旨はよくわかります。

しかし、障害別に明確に区切れないのが、
子ども達の実態ではないでしょうか。
少なくとも、通級については。

文部科学省の「言語障害が、主として他の障害に起因するものではない」
という定義に、きれいに当てはまる子は、何人いるのでしょうか?

私は従来の「言語障害教育」の実践はすばらしいと思っています。
むかしから、「障害にとらわれず、その子にどんな指導が必要かを考えて」
やってきているはずです。
それは、まさに特別支援教育の理念だったのではないでしょうか。

「発達障害の広がりによって、言語障害教育の火が消える」
という心配の声が聞かれますが、私はむしろ逆で、
「言語障害教育」の考え方が、
実は特別支援教育の発展に貢献できている、
と思うのです。


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通級担当と校務分掌、人事 7

県によっては「内地留学制度」があります。
一年間大学で言語を学んだ先生が、通級担当になる、
というのが正式なルートになっているそうです。

また、教員採用段階で、
通級担当は通常学級の先生とは別枠で採用しているところもある、
と聞いています。

実は私の地域でもかつて、
そうした制度は正式にはないものの、
事実上、東京などで一年研修を受けた先生が
ことばの教室担当になるように、
人事上の配慮がなされていました。

しかし、正式な制度は依然として、
通級担当と通常学級、特別支援学級担当は全て
同じ人事枠で採用されています。

いろいろ議論はあるでしょうが、
子どもにとってはもちろん、
先生にとっても、
担当に就く前に
知識を授けられる機会があることが
助けになるのでは。

現状では、すぐに制度化は無理でしょうから、
せめて、担当になってからの専門研修は必須です。

「ことばの先生はよく外に出る」
と言われがちですが、
校内で言語教育の相談に乗ることができる先生が
いないからなのです。
特に一人教室や、経験の浅い先生ばかりの教室では。

私は微力ですが、研修、養成制度を作るための
支援をしたいと思っています。
退職するまでには、
そうしたしくみを作ることに
貢献できればなあと。

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通級制、特別支援学級に関する法律、通達、通知(抜粋) 修正

今年度、法律が少し変わっているので、載せます。

通級制、特別支援学級に関する法律、通達、通知(抜粋)

○教育基本法(2006年12月22日)
(教育の機会均等)
第四条
2 国及び地方公共団体は、障害のある者が、その障害の状態に応じ、十分な教育を受けられるよう、教育上必要な支援を講じなければならない。

○学校教育法
第81条 幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び中等教育学校においては、次項各号のいずれかに該当する幼児、児童及び生徒その他教育上特別の支援を必要とする幼児、児童及び生徒に対し、文部科学大臣の定めるところにより、障害による学習上又は生活上の困難を克服するための教育を行うものとする。

2 小学校、中学校、高等学校及び中等教育学校には、次の各号のいずれかに該当する児童及び生徒のために、特別支援学級を置くことができる。
1.知的障害者
2.肢体不自由者
3.身体虚弱者
4.弱視者
5.難聴者
6.その他障害のある者で、特別支援学級において教育を行うことが適当なもの

○学校教育法施行規則(2008年4月1日施行)

 

第百四十条  小学校若しくは中学校又は中等教育学校の前期課程において、次の各号のいずれかに該当する児童又は生徒(特別支援学級の児童及び生徒を除く。)のうち当該障害に応じた特別の指導を行う必要があるものを教育する場合には、文部科学大臣が別に定めるところにより、第五十条第一項、第五十一条及び第五十二条の規定並びに第七十二条から第七十四条までの規定にかかわらず、特別の教育課程によることができる。
 言語障害者
 自閉症者
 情緒障害者
 弱視者
 難聴者
 学習障害者
 注意欠陥多動性障害者
 その他障害のある者で、この条の規定により特別の教育課程による教育を行うことが適当なもの
 

 第百四十一条  前条の規定により特別の教育課程による場合においては、校長は、児童又は生徒が、当該小学校、中学校又は中等教育学校の設置者の定めるところにより他の小学校、中学校、中等教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部若しくは中学部において受けた授業を、当該小学校若しくは中学校又は中等教育学校の前期課程において受けた当該特別の教育課程に係る授業とみなすことができる。
 

○「障害のある児童生徒の就学について(通知)」(平成14年)
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/14/07/020706.htm
 

○就学指導資料(補遺)(平成18年)〜宮城県教育庁HPから
http://www.pref.miyagi.jp/syougaiji/topic/data/syuugaku_10.pdf


○通級による指導の対象とすることが適当な自閉症者、情緒障害者、学習障害者又は注意欠陥多動性障害者に該当する児童生徒について(通知)(平成18年3月31日、文部科学省HP)
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/06050817.htm


○特別支援教育の推進について(通知)(平成19年4月1日、文部科学省HP)
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/07050101.htm

 
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通級担当と校務分掌、人事 6 

先に引用した「通級学級に関する調査研究協力者会議」(山口 薫座長)は、
通級担当教員の「専門性」について、以下のように答申しています。

(以下、引用)
(下線は、私が付加しました)
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3 教員の資質の向上

 通級による指導が教育効果を上げるためには、何よりも担当教員の資質が重要である。通級による指導は、IIIで述べたように、限られた時間の中での1対 1の個別指導が中心であるため、担当教員は専門的な指導そのものの成果を問われることとなる。しかも、多くの場合、児童生徒は通常の学級の授業の一部を替えて、場合によっては遠くから保護者が付き添って来て、指導を受けており、それだけの教育効果を上げなければ、通級の意義そのものが問われることとなる。このため、専門的な知識、技能を有するとともに、個々の児童生徒の障害の状態や特性等を適切に把握し、それに応じた指導を行える力量を有する教員が担当することが望ましい。

 しかしながら、通級の担当教員、特殊学級担当教員については、経験年数が少なく、専門性が十分ではない者がみられるということも指摘されている。今後、国、都道府県、市町村の各レベルで、専門性と個別指導の力量を養うための研修の充実を図ることが必要である。また、長期的には、教員養成においても適切な配慮が行われることが望ましい。

**************************(引用、終わり)

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通級担当と校務分掌、人事 5 開かれた研修体制を

あることばの教室担当が、民間の言語障害の学会に参加しようと
していました。
ところが、公的に定められた研修の出張日と重なってしまい、
その学会には参加できませんでした。
学会の参加を理由に公的研修の日程変更などをお願いしても、
認められなかったそうです。

公的な研修とは、「調理実習」だったそうです。

「ことばの教室担当である前に、小学校教員なのだから、
家庭科調理実習をしなければならない」

このことばを、親の会活動の過去を知っておられる方は、
どのように受け止められるでしょうか?

かつてこの地方でも、ことばの教室に片道2時間以上かけて、
「国鉄」と「バス」に乗り、週1回の指導を受けるために通う
親子がいました。

当時から、口蓋裂などの器質性構音障害などの改善指導を含め、
研修を深めた教員でなければ担当できない内容でした。

親の会では、担当の先生が東京などでの1年研修が受けられるように、
教育委員会などに陳情に行ったり、1年研を受けた来た先生が、
ことばの教室に配属になるようになど、様々な運動を展開していたようです。

これらの運動が奏功し、ことばの教室担当の人事は、
通常学級のそれとは別に扱うことが事実上認められました。

かつては、通級経験20年、30年の先生が多くいました。

ところが今は、平均経験年数は5年を切ります。

調理実習は、大学のカリキュラムや家庭でも経験できるでしょう。

しかし言語障害教育を教えてくれる人は周りにあまりおらず、
専門家も少ないのが現状です。
教員養成大学で学べる機会はきわめてまれです。

だから私もDVDを作ってがんばっているわけですが、
個人レベルの努力だけでは、とてもカバーしきれないのです。

数少ない研究会に、しかも私費で参加しようとする
先生の前向きな姿勢に報いるような体制を
是非考えて欲しいと切望します。

LD学会などもしかり、少なくとも学術団体に登録している団体の研修会への
参加については、公的に、柔軟に認めて頂けるようになるといいなと思います。

既にそうしている地方もありますよね?

それぞれの先生の持ち味、得意分野が生かされる体制を。

子ども一人一人の違いを大切にするためには、
まず先生方一人一人の違いを大切にするということが必要と思うのです。

みんながオールマイティーである必要はないし、
みんながオールマイティーなんて不可能です。

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通級担当と校務分掌、人事 4 

「実質的には、学校加配でなく、地域加配」

北海道言語障害児教育研究協議会は、『通級による指導を理解していただくために』という文書を出しています。

(以下、引用)**********************************

(通級が)制度化されたことにより、法律によって地域の中で通級による指導を希望する全ての児童生徒に指導を受ける機会が与えられたことになりますから、地域に対する啓発や連携も大切な役割となります。一般に「加配」は学校へ加配されるものであります。「通級指導対応の加配」も同様ですが、併せて地域への役割を担った加配であります。
 これらの趣旨が、校長先生をはじめ学校関係者に十分理解された上で、校内の他の職員や他の業務との調和を図りつつ、通級指導教室が設置されている趣旨が生かされるように担当教員の業務が行われることが大切です。

**********************************(引用、終わり)

法律上は学校加配ですが、実際には他校からも多数通級しているわけです。
他校通級のためには、在籍校との効果的な連携が必要です。
つまり、その学校の先生というだけでなく、事実上、地域の先生でもあるわけです。
「自分の学校の校務分掌優先」という「ポリシー?」のために、他校の通級指導を休みにするというのは、子どもの学習権にとってどうなのでしょうか?

ポリシーって、誰のためにあるのでしょうか?

他校通級そのものの是非はありますが、現在他校通級が存在している、通っている子がいるというのが現実です。

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通級担当と校務分掌、人事 3 親の立場から

「全国ことばを育む親の会」の機関誌『ことば No.204』(2002年8月28日発行)では、「親の会の願い」として、こう述べられています。

(以下、引用)*************************

「本務に専念できる環境づくり」
 全国各地では、先生方が『加配教員』だということで、校内の処遇は自由にできると、通常の学級の分科担任を命じられている先生や、補欠授業の要員にされている先生が数多くいます。(中には自ら希望する先生もいるということですが・・・)
 これを改善して、本来の業務に専念できるようにすることで、指導できる子どもの数は増加する筈です。
 そのためには、通級指導などの特殊性・専門性を地教委や設置校の校長先生をはじめ、設置校全職員によく理解してもらう必要がありますが、担当の先生の努力だけでは、不十分な場合が多いようです。
 最終的には、だれからも専門職として認められるような制度を作る必要があります。
 そのために、全国言語障害児をもつ親の会(注1)では、「言語障害教育教員免許」(注2)を新設することを要望しているのです。

*************************(引用、終わり)

(注1)現在「全国ことばを育む会」に改称)
(注2)現在は、言語障害教育を含めた「総合免許状」を通級担当に義務づける主張をしています。

親の立場としては、藁をもすがる気持ちで通級指導教室に相談に来られます。
親子の立場に立つ、という想像力を学校関係者は持つことが大切だと感じます。

ただ、だからといって、ことばの教室を初めて担当した先生個人を責めるのも筋違いでしょう。
対峙すべきは「個人」ではなくて「体制」です。


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通級担当と校務分掌、人事 2

日本発達障害ネットワークは、平成18年7月3日、文部科学省に対して、「平成19年度文部科学省関係予算要望事項」を提出しています。
http://jddnet.jp/view/pdf_view01.php?a=86

その中で、「NPO 法人アスペ・エルデの会」は、以下の要望をしています。

(以下、引用)************************

3.専門家の育成と職員の専門性の確保をお願いします
*職員、教員対して、適切な研修事業を実施してください。
適切な支援を行う保健師、保育士、教員などの専門家は地域で現場の仕事のなかで育成するということをご理解ください。予算上、役割を担う人がいればいい訳ではなく、本当に専門性のある職員を育成ください。それが難しいなら、地域の専門家たちとの間で、ともに行政の支援プランを考えるよりよい関係を結び、地域の中で活躍できるようにビジョンをもって考えるようにして下さい。ビジョンなく、「都合よく」使われることでは、質の高い仕事をしている専門家が関与することは今後できなくなってくるでしょう。これから、発達障害も含めた、発達支援・子育て支援の専門性を大切にする地域と、そうでない地域とで、専門性の差がさらに広がっていくと予想されています。この専門性の差は、住民サービスの実質的な低下につながります。

************************(引用、終わり)

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通級担当と校務分掌、人事

「通級担当である前に、学校の先生なのだから、通級担当は一定期間で交代すべきだ」
「通級担当である前に、学校の先生なのだから、通級担当は校内の仕事を優先すべきだ」

昔からこうした議論はあります。
いろいろ話しを聞くと、今、さらにその傾向が強くなっているようです。


「通級学級に関する調査研究協力者会議」(山口 薫座長)は、
1992.3.30、以下のような答申を出しています。

「さらに、通級は、通常の学級における授業の一部に替えて行わわれること、他校の児童生徒に対して放課後を中心として指導している場合があることなど、教育形態や担当教員の職務の形態が特殊であるため、学校内においても、これに対する理解が必ずしも十分に得られない場合があることが指摘されている。
通級による指導を効果的に行うためには、各学校において、校長が中心となって、一般教員の理解を深めるとともに、校内就学指導委員会の機能の充実や協力体制の整備を図る必要がある。また、担当教員の職務の形態の特殊性にかんがみ、担当教員について校務分掌などの面において適切な配慮がなされることが望ましい。」

先生のための校内体制である前に、
通ってくる子どものための校内体制では? 


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