ハンドルネーム ya
某公立学校通級指導教室担当教員
言語聴覚士
特別支援教育士(S.E.N.S)
性別 男
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空気砲でジャンプスキー選手に見立てた紙片が跳び、「K点越え」なるか。
空気砲は、親の会でお世話になっている先生が書いた、以下の文献を参考に作りました。
『作ってあそべる製作ずかん 3・4・5歳児の保育に』
今野道裕 著、2013、学研教育出版
http://hon.gakken.jp/book/1340587000
初めは空気砲を作るだけでしたが、ジャンプスキーや、サッカーなど、
子どもと話し合いながら、いろいろな遊びにアレンジしていきました。
多くのSSTのマニュアル本は、予め活動内容が決められていて、子ども達はそれに添って参加するという内容のように思います。
実は、何をして遊ぶかというところから、話し合い、合意するという、プロトコルの学習も必要ではないかと。
子どもの同士の日常の暮らしでは、「何して遊ぶ?」から始まることも少なくないわけです。
C「○○して遊びたかったのに、△△ちゃんが勝手に決めた」
T「みんなで話し合って、××の遊びになったんでしょ」
C「だって、○○したかったのに」
よくありがちですね。
・自分の意見を自分で把握することができる(そのためには、支援者が気持ちを受け止め、言語化してあげること)
・他人の意見を把握し、自分の意見と比較することができる
→「自分の意見=他人の意見」というように、自他を区別できていないことが実は多い。
・意見が一致する場合、一致しない場合、それぞれで、どう対応したらよいか、具体的にロールプレイで学ぶことができる
→折衷案生成能力、相手の表情認知スキルなどなど。
「私とあなたの遊びを半分ずつやろうか」
「今はこの遊びで、今度はあれにしようか」
自分の意見を述べたら、相手にもきく。
など。
話し合って、合意形成して、楽しかった、で終わる、という経験の積み重ねを意図的に作ってあげること。
意見が一致しないと、けんかになってぐちゃぐちゃになる負の経験を重ねてきたことで、過剰防衛的になっている子をみることがあります。
だから、手順を具体的に示して、成功体験を作れるようにすること。
「自然に学ぶ」ことであっても、子どもによっては、具体的に手順を示すことが必要な場合があること。
知的には遅れがなくても、そうした相互交渉に苦手さを抱えている子がいること。
そうした理解が大事だなあと。
「振り返り」
よかった、悪かった、という大人の価値観を入れすぎると、子ども達にとっては、あまり実感がわかない、という気がしています。
「こうしたら楽しかった」が振り返りのベースではないかなあと。
「楽しかった」が確認しあえればいいのでは。
「規範意識」といいますが、「自分は社会から大事にされている。だから私も社会のために」という経験の積み重ねがあって、できあがっていく意識ではないでしょうか。単に道徳的な善悪の判断ということでなく。
その意味で、幼少期の「大切にされてきた」感は大事だなあと。
就労して、職場で仲良くやっていくためには、こうしたことの積み重ねが大事だろうと。
アンケート調査では、途中で仕事を辞めざるを得なかった1番の理由が、「コミュニケーション」でしたね。決して、技能や学力がトップではない。
そして今、企業が求めているのは、平べったい「学力」ではなくて、発想力とか、コミュニケーション能力ですね。
「今の若者は、漢字が読めないから、機械が動かせなかった」
というドキュメンタリーが放送されたことがありますが。
むしろ、わからなかったら先輩に尋ねる、というコミュニケーション能力の問題でしょうと。
「差異ある時は確認せよ」と機械に書いてあったらしいですが。
たとえ漢字が読めたとしても、その意味は語用論的になぞですね。
だから尋ねないとわからないわけです。
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・自閉症スペクトラム障害(ASD)との関連が指摘される、ある遺伝子変化は、自閉症スペクトラム障害の集団の1%程度とのこと。
・でも報告された遺伝子変化を全て合わせれば、ASD集団の約10%の人に既知の遺伝子変化がある。
→とのこと。まだまだこれからのようですね。ただ、ASDは広い概念ですし、環境との相互作用によって、障害がめだたない場合もあるでしょうから、遺伝子だけで説明することは本当にできるのだろうか、という思いも。遺伝的ではあるのでしょうが。
・発達障害という視点は、ユング派の分析家たちの間にはない。むしろ人格障害的なとらえ方がなされている。
→発達障害とパーソナリティー障害との関係はよく話題に出ることですが。
認知障害を単なる性格の問題ととらえるのはどうかと思いますが、他者との関係でパーソナリティーという視点で見なければならないこともある、ということも事実であるような。どちらのとらえ方にせよ、本人や関係者を責める概念として使われないで、支援の方策を立てるための概念であるということが大事でしょう。
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著明な先生を迎えての座談会でした。
各参加者から日頃の実践上の悩みの相談や、座長からは講話もありました。
講話の内容について、今回、yaがメモした内容を転載してみます。
・就労にあたっては、「やりたい仕事」、「やれる仕事」、「やらせてもらえる仕事」の3つの重なり部分を検討することが大切。
・小学校中学年までに、衣食住の基本的な生活スキルを育てること。たとえば、ショッピングバッグを冷蔵庫の前に置いて、冷蔵室、冷凍室、野菜室にそれぞれ分けて入れるスキル、足の指の爪を切るスキルなど。意外とできていないことが多い。
・14歳までに現実検討する力(自己対象化)を育てること。自分は何が得意で何が苦手かなど。中2までに育てることで、その後の進路につながる。
・一人でも信頼できる大人がいることで、不適切な行動は軽減できる。
・ある教科書出版会社の編集に、授業のユニバーサルデザインが専門の方が入って関わっている。教科書のユニバーサルデザイン化は今後進むだろう。特別支援学級担当の先生は、もう一度、通常学級の国語算数ぐらいは、1~6年生までの教科の内容を見直す必要がある。教科指導に個別の視点だけでなく、ユニバーサルデザインの視点を入れられるようにすべきだ。
・ある地域の学校の保護者は、漁業、水産加工業だけで60%を占める学校がある。そうした学校では、子ども達が他職種の仕事に触れる機会がない。昔の子どもは、地域で働く人々を目にする機会が多かったが、今は第3次産業の仕事しか目に入る機会がない。学校で習っている内容と、現実(リアリティー)を結びつける必要がある。
・親が育つということは、自分の子どもの親としてだけでなく、地域の市民の一人となることである。
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最近の研修会、事例検討会でのメモの抜粋です。
(コミュニケーション編)
・ソーシャル・スキル・トレーニングの前に、愛着形成はどうなの?
「いやだ」と言えるようにする前に、人に甘えることができているの?
→(感想)とかくマニュアルに偏りがちですが、子どもの発達を生育歴からトータルに見ることの大切さを想います。
・構音指導には、4~5歳の発達レベルが必要。復唱でワードパーシャル(「りんご」の復唱で「ご」など、語の一部)が出るのは、構音訓練の前の段階。聞き分けが文レベルででき、口腔内の協調運動、構音動作、学習姿勢・指導の意図がわかる、の全てがそろう必要がある。
→「すぐに治してあげなければ」と焦る気持ちはよくわかりますね。復唱がだいたいできる段階で、構音指導開始ですね。
・コミュニケーションは、「共感」と「スキル(意味を伝える)」の両方が合致するもの。
→(感想)共感だけでもなく、スキルだけでもなく、というか、両者は一体のものなのでしょうね。
・「表現、理解」の考察を。「ことば」が、人と関わる手段になっているか。
→(感想)「ことば」は単なる音声言語ではないということ。
・「指差し」に要求、叙述的機能があるか
→(感想)単に指差しているだけか、人の関心を引こうとしているかなど、指差しにも、本当に深い意味があると思います。
(咀嚼・嚥下編)
・咀嚼・嚥下も「認知、運動、機能」の3つを見ることが大事
→(感想)子どもを多視点で、トータルに見るというのは、教育も医療も同じ。発達障害についての指導でも「認知」は重要ですが、咀嚼・嚥下でもやはり重要ですね。
・口蓋に食べ物がくっつく場合は、高口蓋の可能性も疑う
→(感想)口腔内視診で高口蓋の確認は、ことばの教室でも大事ですが、つい検討項目から見落としがちです。
・コップの水を飲むとき、上口唇を伸ばす動きがあるかどうかは大事だが、それに注目しすぎると、余計な力を入れることになるので、訓練から省く。
→(感想)構音指導も嚥下指導も、余計な力を入れないようにする、という点では全く同じですね。全身の状態も評価する点でも同じ。
・舌顎分離運動ができて、哺乳食中期。
→(感想)これも構音指導の際に必要な視点。
・スプーンを口に入れると噛む子に、無理矢理引っ張るのは逆効果。自分で力を緩めたタイミングでスプーンを抜く。
→(感想)緊張と弛緩についても、感覚統合、作業療法の視点も必要ですね。拮抗する力を加えると、緊張が高まるのは当然。構音指導でも、舌のなで方一つで、緊張・弛緩の反応が違ってきます。