「子どもが自立できないのは、親が甘やかしているから」
確かにそうした事例がないこともないのですが。
その前に、「自立」「甘え」「依存」について、
掘り下げて考えてみる必要があると思うのです。
人は基本的に、子どもも大人も、何かに依存して生きています。
「そんなことはない。私は誰にも頼らず一人で生きている」
と反論が返ってきそうですが、
人は一人では生きていくことはできないし、
実は何かに依存していることに気づいていないだけかもしれません。
あるいは「一人で生きていく」というポリシーに依存しているのかもしれません。
子どもは、養育者への依存の保障があるからこそ、自立できます。
お母さんから離れるのが不安な赤ちゃんでも、
「お母さんはいつもここにいるから大丈夫」とわかると、
少しずつ離れて行動するようになります。
そして時々、お母さんの姿をチラッと見ながら、
居ることを確認できると安心して、
さらに離れていられるようになります。
認知が発達すると、目の前にお母さんがいなくも、
あの場所にいる、あの時間にいる、とわかるから
安心できるわけです。
そして、依存の対象は、養育者から別のものへと拡大していく。
つまり、安心感が保障されるからこそ、人は自立できる、
これは人の発達段階からも言えることでしょう。
いい年して、と言いたくなりますが、
その子にとっては、今が愛着形成の時期。
幼い頃、様々な理由で甘えが成立しなかったからこそ
今それを取り戻すとき。
もちろん、愛情要求の行動、方法に不適切なものがあれば
修正を図りますが、依存や甘えが、その子の発達にとって
必要な通過点、と思えることが少なくありません。
自立できないのは、甘やかしているからではなくて、
甘えと依存の保障期間を通過してきていないからだ、
と思えることの事例の方が多いです。
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