忍者ブログ
某公立学校ことばの教室教員。公認心理師、言語聴覚士、特別支援教育士。 『クイズで学ぶことばの教室基本の「キ」』の著者。  SINCE 2000.1.1 
ブログ内検索
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
最新コメント
[01/11 board]
[11/21 西村徹]
[02/23 留萌小学校ことばの教室]
[05/10 プー子]
[01/11 にくきゅう]
[11/25 なっか]
[10/26 さつき]
[10/12 赤根 修]
[08/21 赤根 修]
[05/28 miki]
[05/28 miki]
[05/13 赤根 修]
[05/06 赤根 修]
[04/15 miki]
[04/15 赤根 修]
[03/12 かわ]
[03/09 赤根 修]
[03/03 KY@札幌]
[03/01 赤根 修]
[02/28 hakarino]
[02/23 kさん]
[02/23 miki]
[02/12 suge]
[01/15 suge]
[01/15 miki]
バーコード
アクセス解析
[15]  [16]  [17]  [18]  [19]  [20]  [21]  [22]  [23]  [24]  [25

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

先生も覚えているよ

「先生、私は先生のことを忘れません」
「ありがとう。先生も覚えているよ」

昨日の夜何を食べたか忘れる私が、この子のことを覚えていられるか。

覚えていられるでしょう。
なぜなら、前任校の子どもたちのことを覚えているから。
通級で一対一で接する子どもたちは、ご家族とともに記憶に残ります。


前回の記事で、私はこう書きました。

***

就学相談のレベルアップのために語り合ったではありませんか。
ソウが調査委員から撤退したいま、自前で検査と教育的判断ができるように、そして巡回相談機能と就学支援機能とを統合しようと、構想したではありませんか。
それなのに・・・。

***

これは、教育行政への怒りのように読まれた方も少なくないように思いました。

実は、この想いは、教育委員会と同じ想いなのです。
だから、教育委員会への怒りではなくて、人事制度というものへの怒りです。

「語り合ったではありませんか」
は、もっと一緒にやりたかった、という教育行政と私自身、そして全員ではないかもしれないけれど、保護者・本人、同僚の共通の想いなのです。

怒っているようで、実は無常の悲しさ、そして、感謝の気持ちです。

子どもたちや親御さんからの心のこもった手紙。
一生の宝物です。

にほんブログ村 教育ブログ 特別支援教育へ
↑ 特別支援教育ブログランキング。1クリックを




***


PR

異動が決まりました

就学相談のレベルアップのために語り合ったではありませんか。
ソウが調査委員から撤退したいま、自前で検査と教育的判断ができるように、そして巡回相談機能と就学支援機能とを統合しようと、構想したではありませんか。
それなのに・・・。

でも、今、改めて
言います。
10年間ありがとうございました。
生まれ故郷で特別の
支援を必要とする子どもたちの教育に携わることができてうれしかったです。

これからも、遠くから見守っています。

多くの思い出と
ともに。

にほんブログ村 教育ブログ 特別支援教育へ
↑ 特別支援教育ブログランキング。1クリックを




***


支援の組み合わせ

第10回 言語聴覚士国家試験 4

午後 第2問


誤っている組み合わせはどれか。
1. 広汎性発達障害  ーー  TEACCH
2. 中枢性聴覚障害  ーー  人工内耳
3. 発達性吃音  ーー  系統的感作法
4. 口蓋裂  ーー  補綴的発音補助装置
5. 視覚聴覚二重障害  ーー  指点字


***
ヒント 

TEACCHは構造化。自閉系等のお子さんに適用。
「TEACCHと言えば、絵カード」というのは単純であって、聴覚刺激が有効なら、聴覚刺激で構造化します。その子の認知特性に合わせた構造化がTEACCHの本当の意味。

中枢性、つまり脳の問題による聴覚障害なら、いくら補聴器や人工内耳を用いても無意味。
「人の言葉が聞き取れない」の原因には色々あるので、単純にとらえてはいけません。

吃音に行動分析的な系統的脱感作は、有効な場合もあるでしょう。

口蓋裂等が原因で、鼻から抜けるような発音になっていている場合、パラタルリフトなどの補助具を用いて、鼻咽腔閉鎖機能を補う場合があります。

二重障害は、ヘレンケラー。


にほんブログ村 教育ブログ 特別支援教育へ
↑ 特別支援教育ブログランキング。1クリックを




***


ICTとタブレット

大手学習教材会社のタブレットが届きました。
これまでは紙での学習でしたが、新学年からは、タブレットの学習が中心になるようです。
タブレットで対応できない部分は、従来通り、紙ベースのものが届くようです。

驚いたのは、学習結果がすぐに、保護者の携帯やパソコンのメールに届くこと。
学習状況に合わせて、おすすめの課題が出てくるようになっていること。

などなど。

OSはアンドロイドのようですが、画面サイズが大きい。

おもしろそうでもあり、怖そうでもあり・・・。
子どもの得意、苦手が即座に把握されるのは、子どものニーズに合わせるという意味では有効と思います。
一方で、子どもの実態がわかりすぎてしまうことに、ちょっと怖さも感じています。
ただ、わかると言っても、所詮はデジタルデータでしかないこと。

同じ「できる」「できない」でも、取り組み時の行動観察のデータまでは収集できないでしょう。
いや、そのうち、内蔵カメラで行動観察できるように改良されたりして???

そんなことにはならないと思うけど、主体は誰なのかを忘れてはいけない。

ちょっと怖い話。


にほんブログ村 教育ブログ 特別支援教育へ
↑ 特別支援教育ブログランキング。1クリックを




***


支援目標「卒業式に出席し、卒業証書を受け取ることができる」

 

 「長期目標」にしては具体的すぎるけど、この目標には、心理面、行動面、健康面、学習面、社会性、コミュニケーションなど、あらゆるスモールステップの想いがこめられています。
 だから、卒業式を偶発的に欠席してしまえば、この目標は達成しなかったのかというと、そうではありません。

 ついにその日が来てしまいました。

 私の教職人生の中で、これほどまでに濃密に関わった子はいませんでした。
 通級としての機能をはるかに超えて、枠を超えて、関わりました。
 ただ、最後には段々とフェードアウトしていきました。
 映画「英国王のスピーチ」に登場する言語療法士のように、初めはスピーチの仕方を指示していたけれど、最後は何もせず、じっと温かなまなざしで見つめるだけ。丸ごとのあなたを受け止め、未来を信じるまなざし。
 

 
 
 ここまでたどりつくのに、どれだけの支援の手が加わったか。
 いや、一番がんばったのは、君自身ですね。
 学校は恐怖、不安の対象だったのに、最後の年は「楽しかった」で終われたこと。

 握手の中に、6年間の全ての想いが、お互いにつまっていましたね。

 君から頂いた手紙に涙。
 そして、お母さんの涙。

 
 
 
 ガッコウの先生、たまに自分に合っているのだろうかと思うこともあるけれど、やっぱりやってよかった。人の役に立てて良かったなあと。人の人生を変えるとても重要な仕事。

 短所をつっつくのではなく、長所を伸ばすこと
 不安や恐怖を否定するのでなく、ありのままに受け止め、本人と相談しながら進めること。
 
 
 そして何よりも、
 子どもの未来を信じ続けること。

 
 
 子どもは変わり得る存在。私自身も大きな学びを頂きました。

 卒業、おめでとう。

 20歳になったら、一緒にお酒を飲もうね。
 私はあまり飲めないけれど、ぜひ大人になったら顔を見せてほしい。


にほんブログ村 教育ブログ 特別支援教育へ
↑ 特別支援教育ブログランキング。1クリックを




***


第10回 言語聴覚士国家試験 2 パラトグラムと歪み音

第10回 午前 第37問


パラトグラフィで異常がみられるのはどれか。

1. 鼻咽腔閉鎖不全
2. 口蓋扁桃肥大
3. 側音化構音
4. 声帯過内転
5. 声門破裂音


***
ヒント



上の図のことをパラトグラムと言います。
口蓋と舌との接触エリアが、●で示されています。
口蓋に電極をつけて、舌が接したら電極が流れて、●で表示されます。
たとえば、「シャ」の発音の時、正音では呼気が正中から出ます。
しかし側音化構音では、舌と口蓋とが密着し、呼気は横から漏れ出ます。

3以外の選択肢は、パラトグラフィーでは異常が検出できません。
なぜなら、鼻咽腔閉鎖不全は、口蓋帆というもっと奥の部分。
口蓋扁桃も奥の部分。
声帯、声門は喉ですので、パラトグラムのエリアの範囲を超えています。

ちなみにパラトグラムの機械は100万円単位で、ことばの教室で買えるものではありません。
ことばの教室では、発音の誤り具合、構音時の舌の動き、鼻息鏡で呼気の向きや、鼻からの息漏れがないかどうかなどで、歪み音の鑑別を行います。
日頃から、どんな音だと、どんな仕組みで歪んでいるのか、判断に慣れていくことが大切です。
研修を積み、慣れてくると、聴印象だけで、だいたい何が原因で歪んでいるのかわかるようになります。

原因がわかって、初めて指導の手立てが検討できます。

にほんブログ村 教育ブログ 特別支援教育へ
↑ 特別支援教育ブログランキング。1クリックを




***


第10回 言語聴覚士国家試験 2 児童虐待

第10回午前第22問

被虐待児症候群について誤っているのはどれか。


1. 成長障害が認められる。
2. 骨折の有無を確認する必要がある。
3. 低出生体重児ではリスクが高い。
4. 疑いがあれば児童相談所へ届け出る。
5. 乳幼児より学童に多い。


***
ヒント

虐待の発見のために、基礎知識としておさえたいところ。
必ず成長障害や骨折が見られるわけではないですが、兆候をとらえるひとつの視点ではあります。

低出生体重は、発達障害のリスク要因の一つですが、コミュニケーション障害により、子育てのしにくさから、虐待につながることもあり得ます。

ただし低出生体重や、成長障害があるから、みんな、ではありません。


児童虐待の年齢別件数は、
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/gyousei/09/kekka8.html


親は糾弾の対象ではなく、支援の対象。


にほんブログ村 教育ブログ 特別支援教育へ
↑ 特別支援教育ブログランキング。1クリックを




***


【自作教材】空気砲で、「K点」越え





空気砲でジャンプスキー選手に見立てた紙片が跳び、「K点越え」なるか。


空気砲は、親の会でお世話になっている先生が書いた、以下の文献を参考に作りました。


『作ってあそべる製作ずかん 3・4・5歳児の保育に』
今野道裕 著、2013、学研教育出版


http://hon.gakken.jp/book/1340587000


初めは空気砲を作るだけでしたが、ジャンプスキーや、サッカーなど、
子どもと話し合いながら、いろいろな遊びにアレンジしていきました。

にほんブログ村 教育ブログ 特別支援教育へ
↑ 特別支援教育ブログランキング。1クリックを




***


第10回 言語聴覚士国家試験  幼児の遊び

第67問

幼児の遊びについて誤っているのはどれか。

a. 保育や教育の場では遊べない子どものことが心配されている。
b. ごっこ遊びには生活の流れについてのスクリプト的知識が必要である。
c. いざこざは遊びの楽しさを壊すので大人はすぐに介入した方がょい。
d. 遊びを通して認知発達を促すことを認知行動療法と呼ぶ。
e. ある物を別の物に見立てるには象徴機能の発達が必要である。


1. a、b
2. a、e
3. b、c
4. c、d
5. d、e

***
ヒント

遊びを通して認知発達を促すのは遊戯療法です。
あるものを別の物に見立てるには、象徴機能の発達が必要です。
象徴機能の発達が遅れると、
積木を食べ物に見立てるのは難しい。
積木は積木。
この場面はこの場面。

だから、幼児の見立て遊びの様子が大事。
一方的に、他人に振る舞い方や台詞まで含めて指示してやらせる遊び方かどうか。
それとも相互にやりとりしながら遊べるか。

遊び一つをとっても、奥は深い。

だから、その子にあわせた遊びが大事。
勝負へのこだわりが強いから、初めのうちは勝たせてあげることも有り。
まずはルール理解、やりとりができることが目標。
勝負への耐性は、そのあとに考えればいい。

にほんブログ村 教育ブログ 特別支援教育へ
↑ 特別支援教育ブログランキング。1クリックを




***


第11回言語聴覚士国家試験 10 保護者支援

第73問


保護者支援として適切なのはどれか。
a.障害児・者の当事者団体を紹介する。
b.言語訓練についてのセカンドオピニオンを希望した場合、評価と指導経過の資料を作成する。 
c. 就学に関する相談に際し、 子どもの知能指数によって特別支援学校を勧める。 
d. 保護者の要望に基づいた指導をするように担任に要望書を送付する。 
e. 保護者に知能検査の意味を説明し同意を得てから検査を実施する。

1. a、b、c
2. a、b、e
3. a、d、e
4. b、c、d
5. c、d、e


***
ヒント 

知能指数だけで就学先を勧めるのは問題です。知能数は確かに情報の一つではありますが、検査時の行動観察などから、その数値の解釈をすることが大切です。
また、検査結果だけでなく、日常の様子などのアセスメント情報も含めて総合的に判断し、就学先について情報提供するのでなければなりません。

保護者の要望だけに基づくのではなく、科学的、客観的な立場で、担任と連携する必要があります。


にほんブログ村 教育ブログ 特別支援教育へ
↑ 特別支援教育ブログランキング。1クリックを




***


通級による指導の主な目的は、教科の補充指導ではない

・ことばの遅れのある子に、国語のプリントワークをやらせる。

決して間違った指導とは言えませんが、アセスメント情報をもとに、今その子が、国語のプリントワークをさせる発達レベルなのかということを支援者は検討しなければなりません。

学力=テストの成績
学ぶ=通常学級のカリキュラム

こうした先入観が、子どもの実態に合わせた指導を阻害しているのではないでしょうか。

「学ぶ」中身は、学校のお勉強には限りません。
学校のお勉強が、将来の自立後にどれだけ役に立つのか、立たないのか、もっと子どもの人生を長いスパンでとらえて、今必要な指導を検討する必要があるのではないでしょうか。

テストで何点とればいいとか、成績の向上自体を目的とした通級指導は、通級による指導の目的外使用にあたり、違法です。

テストのクリアテクニックを身につければ、将来の自立につながるのでしょうか?


にほんブログ村 教育ブログ 特別支援教育へ
↑ 特別支援教育ブログランキング。1クリックを




***


第11回 言語聴覚士国家試験 9 特異的言語発達遅滞 




第72問


3歳の特異的言語発達障害児の指導で適切でないのはどれか。
a. 単語の復唱練習を行う。
b. 語彙の拡大を促進する。
c. ジェスチャーによる表現を認める。
d.形や文字などの同定課題を行う。
e. 要求時には音声で表現させる。

1. a、b
2. a、e
3. b、c
4. c、d
5. d、e


***

ヒント

しゃべらせる指導ありきではなく、まず、理解ことばを育てること。
理解ことばを育てるためには、経験を統合していくこと。
机の前でお勉強ではないですね。
3歳なら特に。

にほんブログ村 教育ブログ 特別支援教育へ
↑ 特別支援教育ブログランキング。1クリックを




***


第11回 言語聴覚士国家試験 8 老人性難聴

午前 第97問


老人性難聴で正しいのはどれか。
a. 聴覚伝導路の末梢器官の変性による。
b. 聴力程度に比べて語音明瞭度が低い。
c. 騒音下の会話了解度が低下する。
d. 聞こえについての本人の訴えは初期の段階から多い。
e. 低周波域の聴力低下が最初に出現する。

1. a、b
2. a、e
3. b、c
4. c、d
5. d、e

***
ヒント

子ども臨床から離れて、老人性難聴の問題ですが、各種難聴の理解は、子どもの難聴の理解にも役立つでしょう。
老人性難聴は高い周波数がきこえにくくなります。
だから、全体的な聴力の数値の低下は少なくても、特定の語音が聞き取りにくくなります。

蝸牛(内耳のカタツムリの部分)にある聴覚神経は、入り口付近が高い音を感じ取り、蝸牛の奥に行くほど、低い音を感じるように神経が並んでいるようです。
加齢により、入り口の部分から変性していくということでしょうね。

後迷路性難聴、心因性難聴など、このほか難聴には様々な複雑な背景があります。
単純にはとらえられないのですね。

にほんブログ村 教育ブログ 特別支援教育へ
↑ 特別支援教育ブログランキング。1クリックを




***


某作曲家の「感音性難聴」

事態は複雑なようなので、ゴーストライターの有無の是非については論じません。


ただ、難聴について、一部誤解のある報道があるようなので、当事者の一人として言わなければと思いました。

・伝音性難聴=耳から入った音が、鼓膜→耳小骨→蝸牛の聴覚神経に届くまでの問題です。音の震えが物理的に伝わる段階。

・感音性難聴=聴覚神経から脳に届くまでの問題です。電気的な伝達の問題です。

この2つの鑑別のためには、気導聴力検査と骨導聴力検査を組み合わせます。
気導は聴力レベルが低くて、骨導に問題がないなら、音の震えの物理的な伝達の問題が疑われます。
骨導にも聴力低下が見られるなら、感音性難聴を疑います。

両方を合わせ有する方もいます。

必要に応じて、他の検査も組み合わせて総合的に診断します。


ちなみに、音の歪みがある場合、「ピー音」も歪んで聞こえることがあります。
しかも周波数によって、歪んだり、歪まなかったりすることもあるでしょう。
私の場合、調子がわるいと、125,250,500Hzだけが歪んで聞こえることがあります。
でも「聞こえる」=「正常範囲」と判断されてしまいます。


1 「障害者手帳の有無」と、「障害の有無」とは一致しません
→聴覚障害として認定し、手帳交付のためには一定の基準にあてはまらなければなりません。

 手帳交付の対象とならず、補聴器を装用している子はいっぱいいます。
 その場合は行政の支援の対象とならず、補聴器は全て自己負担で購入です。


2 感音性難聴で、音に歪みがある場合、補聴器が有効でない場合が多くあります。
→補聴器で音を大きくしても、歪んで聞こえることに変わりはありません。

両手で口をふさぎ、「ゾーサン」と言って、人に聞かせてみてください。
「いまのは、ゾーサンでしょうか、ローソンでしょうか?」
聴覚障害の理解のための疑似体験の一つです。
音を大きくしても聞き取りはよくなりません。


3 大声で話せば聞き取りやすくなるわけではありません。

大声で話すと、後続母音は大きくなりますが、子音が大きくなるわけでないので、余計に聞き取りにくくなります。
たとえば「カサ」は、発音記号で /kasa/ と書きます。
大声にすると、子音部分の /k/ /s/ よりも、 /a/ の部分が強調されるので「ああ」のような感じにしか聞こえません。 / k / も  /s/ も、無声子音(声帯を震わせない音)なので余計です。

4 会話の中で、手話を必要とせず、一部聞き取れる場合があります
「これが、HIROSHIMA ですね?」 → 「そうですね」
という会話が成立したから、聴覚障害ではない、という鬼の首をとったような主張がありますが。

場の状況から、「これが、HIROSHIMA ですね?」と尋ねられたのだろうということがわかれば、返事ができるわけです。
「たとえ、『これが、いろいま でえね」のように聞こえても、おそらく質問者はこう質問したのだろうと推理できるわけです。

作曲について会話したときに、目の前の譜面について尋ねられたら、ほとんど質問の内容は限られるわけです。質問者も譜面に視線を向けながら質問していますし。
そもそも、机の上にHIROSHIMAの譜面が載っているということは、載せるまでの経過があるわけです。
「譜面を見せて頂けますか?」
というやりとりを事前にしなければ、机の上に譜面が載っているわけがないのです。
そうしたやりとりの経過も、会話内容の推理に大きくかかわります。

逆に言えば、会話に脈略がなく、突然違う話題を持ち出されたら、とてもわかりにくいでしょう。
それは聴覚障害のない人にとっても同様ですが、聴覚障害があれば、そのわかりづらさはとても大きくなります。

このように聴覚障害者は、場面の状況、発話者の口元などから、いつも必死で会話内容を推論しているわけです。他の人より何倍もエネルギーを使います。だから疲れます。
でも手帳の対象にならないのです。

むしろ問題なのは、手帳交付の対象にならない障害の程度に対して、行政が手をさしのべていないところにあるのではないでしょうか。

にほんブログ村 教育ブログ 特別支援教育へ
↑ 特別支援教育ブログランキング。1クリックを




***


第11回 言語聴覚士国家試験 7 アスペルガー症候群

午前 第11問


アスペルガー症候群でみられるのはどれか。
1. 知能障害
2. 記憶障害
3. 言語障害
4. 睡眠障害
5. 社会性の障害

***
ヒント

ヒントは必要ないかと思いますが・・・。
基礎中の基礎です。

アメリカ精神医学会のDSM-Vでは、「アスペルガー障害」が削除されて、従来の自閉症も含め、「自閉症スペクトラム障害(症?)」に一本化されました。


にほんブログ村 教育ブログ 特別支援教育へ
↑ 特別支援教育ブログランキング。1クリックを




***


第11回 言語聴覚士国家試験 6 吃音

午後 第87問


吃音について正しいのはどれか。
1. 原因不明の構音障害である。
2. 学童期以降は発症しない。
3. 遅延聴覚反応(DAF)を用いると発話速度が速くなる。
4. 斉読で吃音頻度が減少する。
5. 適応効果がない。


***
ヒント
吃音は構音障害とは違います。
吃音は、出だしが詰まるなどの話し方のリズムの障害であり、構音障害は、発音がうまくいかない障害を指します。

吃音は、学童期前から発症します。3歳前後、就学前後の発症が多いです。
DAFを用いると、発話速度は遅くなります。不自然に遅くなります。
斉読で症状が緩和する場合があります。
何度もリハーサルすることで、症状が軽減すること(適応効果)があります。

ちなみに最近、幼児期のお子さんに適用される「リッカムプログラム」が脚光を浴びていますが、統計上、その効果は、「環境調整」と有意差がないという報告もあります。
新しい学説なので、色々と調べた上で、導入の可否を検討する必要があるでしょう。

にほんブログ村 教育ブログ 特別支援教育へ
↑ 特別支援教育ブログランキング。1クリックを




***


第11回言語聴覚士国家試験 5 聴覚的短期記憶

第11回午前第27問

短期記憶の容量として適切なのはどれか。


1. 3±1項目
2. 7±2項目
3. 12±2項目
4. 15±2項目
5. 20±2項目

***
ヒント

マジカルナンバー7。
でも覚え方によっては、7桁を超えて覚えられたりします。
単純な聴覚的短期記憶が苦手でも、方略の生成
(解決方法を考えて編み出すこと)の力が高いと、
それで補える可能性が。

だから、他の下位検査と比較しなければいけないでしょう。




にほんブログ村 教育ブログ 特別支援教育へ
↑ 特別支援教育ブログランキング。1クリックを




***


道徳教育

文部科学省は新たに、道徳のテキストを発表しました。

http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/doutoku/

ざらっと読みました。

感想は・・・。
「子どもはこんなに規範意識がない。悪い」
と言われ続けたような感じです。

私は哲学専攻で、しかもカントの道徳哲学でした。
だからというわけではないと思います。
「違和感」を禁じ得ません。

私自身はどちらかというと、自分のためというより、世の中のために生きていきたいという指向が強いと思っています。
でもこのテキストを読んで、ちょっと嫌な気持ちになりました。
「おしぎせ」な感じがしたからです。


今のあなた方は、「権利>義務」でしょうと。
「権利<義務」にしなければいけませんよと。

ルールを守りなさいと。

でも、「ルール」はみんなで話し合って変更できますよ、が書かれていない。

私の好きな「マザーテレサ」も、紙幅の関係もあるでしょうが、まとまりすぎて、表現が無難すぎて、結局何を書いているのかわからない。
偉人の紹介やことばは、表面的にしか感じられない。
紙幅の関係でしょうけれど。
別途、偉人伝を読めばいいのでしょうけれど。


東日本大震災の時、救助された人の8割は、消防や救急隊によってではなく、地域の人の「共助力」によって助けられたのだそうです。
あれだけの震災だったのに、諸外国の人から見れば、整然と並んでいる姿に驚いたとか。

そして、法務省のHPを見ると、少年犯罪は低下の一途をたどっています。
そして、日本は、先進国中で、犯罪率が非常に低い希有な国なのです。

ただ、児童虐待の認知件数はうなぎのぼり。

「おまえたちは人権ばかり主張して、ルールを守らない。日本人としての自覚を」
でも、もっと現在の国民の良いところを取り上げて、自尊感情を育てないと。
「ルールを守りなさい」だけでは、この国に生きていきたいという気持ちが起こらないのでは。

「自由ばかり主張していると、他人とぶつかるから、自制しましょう」
ではなく、他人の人権も尊重しましょう、お互いの人権を尊重しましょう、ではないかな。

日本は、そんなに「規範意識」の低い国ですか?


***

難病指定が56疾患から大幅に拡大し、負担割合が議論されています。
難病に救済の手を、と人権を主張するのは、イケナイことなのでしょうか?

***

子どもに義務を教える前に、大人がしなければならないことがあるのでは。

子どもが朝起きたら、もうお母さんは仕事で居なくて、テーブルにはコンビニのおにぎり1個が置いてあればまだいい方。
夜中も仕事で帰ってこない。
朝は疲れ切っていて、子どもどころではない。
親も労働者としての人権が蹂躙されているわけです。

それが実態。

なのに、家族にはこんないいことをされているから感謝しましょう、とばかり、お母さんが朝食を作ってくれている写真なんかが載っていたりして。

テキストのめざす理念と、現実との間の乖離が大きいなあと。

この国に生まれ育って良かった、が感じられて、初めて、国のために、世の中のために、が育つのでは。

特別支援教育の私の臨床では、みんなで話し合ってルールを決めて、実行して、勝負がどうあろうと楽しかったね、で終わる。
公共心とか、道徳心とかは、こうした実体験の中で育ちます。
「考えてみよう」と言われても、ピンと来ませんね。

今は人と人とのつながり自体が希薄になっている。
道徳というより、もっと力を入れてやらなければならないことがあるのでは。
学校という集団の意義は、希薄になった人間関係の中で、ますます重要度を増しています。
失敗もあるでしょう。
本来は地域でもまれ合って学校に上がってくるところを、学校に上がってから教えなければならないという面は確かにあります。
失敗もあるだろうけど、もっと子どもたちを長い目で見る必要があるのでは。
経験の中で学ぶのが、「道徳」のはず。

経験の中で、「この人のようになりたい」を学ぶこと。

本を読んでも、あこがれの人というのは生まれるでしょう。
でも、偉人伝のつまみ食いでなく、その人の生涯という全体的、継次的な扱いをしないと、意味がわからないですね。

やっぱり「伝記」は大事ですね。

私が道徳の授業をするとしたら、このテキストは使わないかな。
そして、経験の中で、互いの人権尊重と、ある偉人の話を徹底的に掘り下げるかな。


にほんブログ村 教育ブログ 特別支援教育へ
↑ 特別支援教育ブログランキング。1クリックを




***


第11回 言語聴覚士国家試験 4 小児の構音訓練




午前 第79問


小児の構音訓練について正しいのはどれか。
1. 口蓋化構音の訓練には聴覚刺激法が有効である。
2. 訓練開始前から誤り音を自覚させる。
3. 声門破裂音の訓練では二重構音に注意する。
4. 文の音読が正しくできると日常会話に般化する。
5. 言語発達障害の合併例では構音訓練から始める


***
ヒント

口蓋化構音や側音化構音、声門破裂音、鼻咽腔構音などの歪み音の場合、正しい音を聞かせてまねさせるという練習方法は、無謀という他はありません。
そんな練習法で改善するなら、わざわざことばの教室で専門的指導を受ける意味がありません。

訓練前から誤りを自覚させることが良い場合もあります。
特に通級の動機付けのために初期から自覚させるべきとの主張も過去にありました。
しかし、歪み音は特に低学年では自覚が難しく、本人に困り感がなければ納得できないでしょう。

ましてや、文字を見せて「キ」が言えないから練習するんだよ、はい、「キ」の文字を読みながら練習しましょう、というのは、既に学習した「キ」の歪み音を強化する恐れさえあります。

動機付けは違う内容から入った方がいいです。特に低学年時には。
「楽しいから通う」で、どうしてだめなのでしょうか。

単音節で正音が出せるようになってから、初めて「実はそれが「キ」なんだよ」と告知するのが定石。

文の音読までは正音でも、会話になると歪みが頻回になるお子さんがいます。
通級終了のめやすは、会話レベルでもおおむね改善していることです。

言語発達遅滞を伴っている場合、遅れへのフォローを優先する場合が多いです。
もちろん、構音指導がフィットする例もありますが、「構音障害があるから、ただちに構音の指導」ではありません。
その子にとっての「適時、適切、適量」でなくてはなりません。

声門破裂音とは、たとえばカ行が、喉を締め付けるような「アッ」というような音に歪んでいるものです。指導の順序は、喉から距離的に一番遠い音、つまり舌尖音から行うのが定石。
その際、喉でも舌先でも、二重に構音していないか、慎重に確認する必要があります。


にほんブログ村 教育ブログ 特別支援教育へ
↑ 特別支援教育ブログランキング。1クリックを




***


第11回 言語聴覚士国家試験 3 話しことばのある「自閉症児」

午前 第70問


話しことばのある自閉症児の言語特徴について誤っているのはどれか。
a.自分の興味があることはよく話す。
b. 共感的言語表現が乏しい。
c.コミュニケーション意欲は発達しない。
d. 初期に獲得される語彙は健常児と同様である。
e. 会話での間合いの取り方がずれる。

1. a、b
2. a、e
3. b、c
4. c、d
5. d、e


***
ヒント

自閉症のあるお子さんは、相手の話すことを聞かずに、あるいは最後まで聞かずに、一方的に話すことがあるので、間合いの取り方のずれが見られます。
でも、間合いがずれていなくても(むしろとても上手でも)、社会性、コミュニケーションの困難など、自閉症の状態を示す子も多いです。

コミュニケーション意欲は発達しない、は言い過ぎですね。
そのこの興味関心に合わせて、その子なりのコミュニケーションの取り方はあるでしょうし、
少しずつでも育っていくものです。

そうすると、c.eが誤りと言うことになりますが、選択肢にありません。(笑)
ということは、dが誤りがということでしょうか。
でも、自閉圏のお子さんの場合でも、3歳児健診までは通常のことばの発達を示すことも少なくありません。ということは、この問題では「自閉症児」の定義を狭く解釈し、アスペルガー症候群とは別としてとらえる必要がありそうです。
ならば、会話のずれも生じやすい。
5年前の問題ですから、「自閉症スペクトラム障害」の概念はまだ整理されいていないですね。


にほんブログ村 教育ブログ 特別支援教育へ
↑ 特別支援教育ブログランキング。1クリックを




***


第11回 言語聴覚士国家試験 2 「意味発達」

午前 第46問

意味発達の指標はどれか。
1. 喃語(babbling)の発達
2. 汎用(over-generalization)の出現
3. 共同注意(joint-attention)の成立
4. 心の理論(theory of mind)の理解
5. 音韻意識(phonological awareness)の成立


***
ヒント

「喃語」は音遊び。

「共同注意」が意味の指標のような気もしますが、同じ物を見ている時に、そこに「意味」を見いだしているのかは別問題。「意味」より前の段階ですね。

「心の理論」は、5歳半前後に獲得されていきますから、「意味」を理解するずっとあと。
「音韻意識」は、「たまご」は3つの音からできている、と語音を分解する力のこと。「意味」とは無関係。

ある物事が、他の場、物、人にも同じように適用されるのだ、あるいは違うのだ、がわかるのが「意味」の理解。

ズボンを「はく」と言うのは全国共通ですが、北海道では、手袋も「はく」と言います。
体の長い部位に装着するという意味では、手袋は「はく」ものだよなあと思います。
手袋が「はめる」なら、ズボンや靴下だって「はめる」でしょう、と。

その「ことば」の意味の指し示す範囲は、どこからどこまでか、どこで線を引くか。
構造主義。
それが「意味」ですね。
そう考えると、「意味」とは「言語」ですね。
「言語」とは「汎用」ですね。

にほんブログ村 教育ブログ 特別支援教育へ
↑ 特別支援教育ブログランキング。1クリックを




***


第11回 言語聴覚士国家試験 純粋語聾

午前 第56問


純粋語聾で障害されるのはどれか。
1. 純音聴力
2. 音源定位
3. 音楽の認知
4. 語音の認知
5. 環境音の認知


ヒント
耳から入る方が得意とか苦手とか言われますが。
聴覚にも、いろいろな聴覚があります。

・車の音や風の音などの環境音
・ことばの音声である語音

この2つの認知は別物です。
だから、ことばの理解は苦手でも、美しい演奏は楽しめます。

音源定位や音楽、純音(ピー音)、環境音は、全て、ことばを聞いて理解する力とは別ものです。

「純粋語聾」は、純粋に音声のことばを認識する力だけが低下していること。
環境音認知には、原則として問題はありません。

もちろん、「聴力」が低下していると、環境音も語音も聞き取りにくくなります。

「聴力」と「聴覚」も全く別物。

「プリンタをつないだのに、パソコンが認識しない」
物理的な「結線」と、「認識」とが別なのと同じ。

「純粋語聾」は失語症の用語ですが、LDや言語発達遅滞、などのモデルを検討する際に参考になります。


にほんブログ村 教育ブログ 特別支援教育へ
↑ 特別支援教育ブログランキング。1クリックを




***


第12回 言語聴覚士国家試験 3 生活年齢と発達年齢

第12回午前


第71問


生活年齢6歳で精神発達3歳レベルの言語発達遅滞児の評価項目で重要性が低いのはどれか。

1. 対人相互干渉
2. 言語理解
3. 言語表現
4. 非言語性知能
5. 書字

***

ヒント

「文字の読み書きができないから文字の指導」となってしまいます。これが学校教育の文化でした。(過去形?)
 私も今の仕事に就く前には、おおざっぱに言って、「生活年齢」と「発達年齢」という二つの年齢があるということを知りませんでした。

 発達的に3歳であれば、通常発達の3歳の子に、文字を教えることが、いかに子どもにとって負担が大きいか、と想像できるはずです。
ならば、文字の読み書きの前に、聞く、話すの指導の方が大事だな、遊びを通してが大事だな、となるはず。




にほんブログ村 教育ブログ 特別支援教育へ
↑ 特別支援教育ブログランキング。1クリックを




***


第12回言語聴覚士国家試験 2 吃音のリハ

午後第88問

吃音の流暢性促進訓練で誤っているのはどれか。


1. 発話の低速化
2. 軟起声
3. 力を抜いた構音動作
4. 筋緊張のフィードバック
5. モーラ指折り法


ヒント
モーラ指折り法は、モーラごとに指を折って発声する方法で、非流ちょう性失語、麻痺性の構音障害には良いかもしれませんが、吃音には・・・。
リズム法といって、メトロノームに合わせながら五七五の文を読む練習はしたことがありますが、モーラ毎だとリズムにはなりにくいし、よけいな緊張を生む可能性もあるのでは。
ほかの4つの選択肢は、吃音の指導の代表例でしょう。




にほんブログ村 教育ブログ 特別支援教育へ
↑ 特別支援教育ブログランキング。1クリックを




***


第12回言語聴覚士国家試験 特別支援学校の対象となる障害者

午前第49問

特別支援学校の対象者はどれか。
a.病弱者
b.聴覚障害者
c.言語障害者
d.情緒障害者
e.肢体不自由者


1. a、b、c
2. a、b、e
3. a、d、e
4. b、c、d
5. c、d、e

***

学校教育法を参照。
言語障害者、情緒障害者は、学校教育法上、あとから出てきた障害。
特別支援学級も同様。

通級による指導では、上記の他、LD,ADHD、自閉症も含まれます。

あとから出てきた障害について、障害のレッテル貼りが増えたという批判がありますが。
でも、情緒が不安定で学校生活がままならない子はいますし、全般的な知能水準に遅れはなくても、言語に落ち込みがあるというような発達のアンバランスを示す子の存在を認知するということは、その子の特性に合わせた支援につながるわけです。


にほんブログ村 教育ブログ 特別支援教育へ
↑ 特別支援教育ブログランキング。1クリックを




***




忍者ブログ [PR]

graphics by アンの小箱 * designed by Anne

にほんブログ村 教育ブログ 特別支援教育へ
↑ 特別支援教育ブログランキング。1クリックを




***