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某公立学校ことばの教室教員。公認心理師、言語聴覚士、特別支援教育士。 『クイズで学ぶことばの教室基本の「キ」』の著者。  SINCE 2000.1.1 
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某作曲家の「感音性難聴」

事態は複雑なようなので、ゴーストライターの有無の是非については論じません。


ただ、難聴について、一部誤解のある報道があるようなので、当事者の一人として言わなければと思いました。

・伝音性難聴=耳から入った音が、鼓膜→耳小骨→蝸牛の聴覚神経に届くまでの問題です。音の震えが物理的に伝わる段階。

・感音性難聴=聴覚神経から脳に届くまでの問題です。電気的な伝達の問題です。

この2つの鑑別のためには、気導聴力検査と骨導聴力検査を組み合わせます。
気導は聴力レベルが低くて、骨導に問題がないなら、音の震えの物理的な伝達の問題が疑われます。
骨導にも聴力低下が見られるなら、感音性難聴を疑います。

両方を合わせ有する方もいます。

必要に応じて、他の検査も組み合わせて総合的に診断します。


ちなみに、音の歪みがある場合、「ピー音」も歪んで聞こえることがあります。
しかも周波数によって、歪んだり、歪まなかったりすることもあるでしょう。
私の場合、調子がわるいと、125,250,500Hzだけが歪んで聞こえることがあります。
でも「聞こえる」=「正常範囲」と判断されてしまいます。


1 「障害者手帳の有無」と、「障害の有無」とは一致しません
→聴覚障害として認定し、手帳交付のためには一定の基準にあてはまらなければなりません。

 手帳交付の対象とならず、補聴器を装用している子はいっぱいいます。
 その場合は行政の支援の対象とならず、補聴器は全て自己負担で購入です。


2 感音性難聴で、音に歪みがある場合、補聴器が有効でない場合が多くあります。
→補聴器で音を大きくしても、歪んで聞こえることに変わりはありません。

両手で口をふさぎ、「ゾーサン」と言って、人に聞かせてみてください。
「いまのは、ゾーサンでしょうか、ローソンでしょうか?」
聴覚障害の理解のための疑似体験の一つです。
音を大きくしても聞き取りはよくなりません。


3 大声で話せば聞き取りやすくなるわけではありません。

大声で話すと、後続母音は大きくなりますが、子音が大きくなるわけでないので、余計に聞き取りにくくなります。
たとえば「カサ」は、発音記号で /kasa/ と書きます。
大声にすると、子音部分の /k/ /s/ よりも、 /a/ の部分が強調されるので「ああ」のような感じにしか聞こえません。 / k / も  /s/ も、無声子音(声帯を震わせない音)なので余計です。

4 会話の中で、手話を必要とせず、一部聞き取れる場合があります
「これが、HIROSHIMA ですね?」 → 「そうですね」
という会話が成立したから、聴覚障害ではない、という鬼の首をとったような主張がありますが。

場の状況から、「これが、HIROSHIMA ですね?」と尋ねられたのだろうということがわかれば、返事ができるわけです。
「たとえ、『これが、いろいま でえね」のように聞こえても、おそらく質問者はこう質問したのだろうと推理できるわけです。

作曲について会話したときに、目の前の譜面について尋ねられたら、ほとんど質問の内容は限られるわけです。質問者も譜面に視線を向けながら質問していますし。
そもそも、机の上にHIROSHIMAの譜面が載っているということは、載せるまでの経過があるわけです。
「譜面を見せて頂けますか?」
というやりとりを事前にしなければ、机の上に譜面が載っているわけがないのです。
そうしたやりとりの経過も、会話内容の推理に大きくかかわります。

逆に言えば、会話に脈略がなく、突然違う話題を持ち出されたら、とてもわかりにくいでしょう。
それは聴覚障害のない人にとっても同様ですが、聴覚障害があれば、そのわかりづらさはとても大きくなります。

このように聴覚障害者は、場面の状況、発話者の口元などから、いつも必死で会話内容を推論しているわけです。他の人より何倍もエネルギーを使います。だから疲れます。
でも手帳の対象にならないのです。

むしろ問題なのは、手帳交付の対象にならない障害の程度に対して、行政が手をさしのべていないところにあるのではないでしょうか。

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