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某公立学校ことばの教室教員。公認心理師、言語聴覚士、特別支援教育士。 『クイズで学ぶことばの教室基本の「キ」』の著者。  SINCE 2000.1.1 
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構音指導 超基礎講座6 発音記号マスター試験 解答




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チェックポイント

・「つみき」の「つ」に/s/をつけましたか?

・「ぶどう」の「う」は、発音では「お」です。
表記と実際の発音が違います。
だから、母音部分は/o/です。
伸ばすので/:/をつけます。

・「やきゅう」の「や」は、/ya/ ではありません。

・「しんぶん」の「し」の子音部分は/s/ではありません。

・「風船」の「ふ」の子音部分は、/f/ ではありません。

・「おしりかじりむし」の「じ」は、/dzi/ ではありません。

それぞれ、単に表記の問題ではなくて、
構音位置や構音方法をどれだけ理解しているかという
深い問題に関わっています。

なので、是非正確な表記をマスターしたいものです。

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構音指導 超基礎講座5 発音記号マスター試験



過去の記事や文献を参考に、発音記号で書いてみて下さい。

すいか、つみき、ぶどう、ジュース、やきゅう、
ラッパ、しんぶん、うさぎ、ふうせん、おしりかじりむし



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構音指導 超基礎講座4  構音障害の評価の観点



1 まず誤り音は全て明らかにすることが大切です。
 タ行がカ行に置き換わっているとすれば、
 ダ行はどうなのか、サ行はどうなのかなど、
 他の舌尖音(舌先を使う音)がどうなのかは、必ず評価すべきです。
 また、タ行は破裂音ですから、他の破裂音(パ行など)はどうかとか、
 パタカ、パタカと言ってみて、構音位置が後方に連続して変わる場合は
 どうかなども必要です。
 評価する音の漏れを無くすことが、その後の指導のあり方に
 大きく影響します。

2 発音の誤りの型は、大きく3つあります。

  ○「置き換え」;他の文字で表記できるような音に変わっていることです。
  たとえば、パンダ→パンガ では、ダがガに置き換わっています。

  ○「歪み」;文字では表記できない、独特の歪んだ音になってます。
  たとえば、「側音化(そくおんか)構音」では、
  「チ」が「キ」のように、「ジ」が「ギ」のように、 
  「シ」が「ヒ」のように聞こえることがあります。
  でも、それぞれはっきりとした「キ、ギ、ヒ」とも違う感じがします。
  本当の「キ」なのか、歪んだために「キ」に聞こえるだけのかを
  確かめるには、  「チキチキ」と言わせてみると分かります。

  歪みには他に、代表的なものでは「口蓋化構音」があります。
  ほかにも、鼻から息が漏れているような「開鼻声」など、
  いろいろあります。

  
  側音化構音や口蓋化構音などの歪み音は、
  自然に改善することはほとんどありません。
  
  指導も長期化する傾向にあるため、
  言語発達年齢が4歳半に達したら指導を開始し、
  就学後も改善していなければ、指導を継続することが必要です。
  中学校にはことばの教室がない地域がほとんどなので、
  小学生のうちに指導を受けた方が良いです。
  高学年になってから相談に訪れても、手遅れなことが少なくありません。
  卒業後も指導が必要な場合は医療機関等のご紹介をしますが、義務教育ではないので
  受診料がかかります。
  中学校に上がると部活動などで忙しくなり、通院も難しくなります。
  早期の指導開始が望まれます。
  
   
  
  
    ○「省略」;「ハッパ」→「アッパ」など、音が省略されることです。
  /happa/ →/appa/ ですから、/h/ が省略されています。


3 どんな条件でも、音がいつも誤っている状態を
  「一貫性がある」と言います。
  「パンダ」を「パンガ」と発音したときに、
  「そうだね、パンダだね」と、正しい音を聞かせたときに、
  もう一度言うと「パンダ」と正しく発音できる場合は、
  「被刺激性がある」と言います。
  正しく言えたり、言えなかったりする状態を
  「浮動性がある」と言います。

  それぞれの音について、「一貫性」、「浮動性」、
  「被刺激性」をきちんと評価することで、
  その後の指導で、音の指導順序を決定する際に
  重要な情報になります。
 
  また、その音が単語につく位置によって、
  誤り方に違いがでることがあります。
  たとえば、
  「サカナ→チャカナ」だが、
  「エサ、アサッテ」
  は正音の場合、
  単語の頭(語頭)だけ、「チャ」に置き換わって
  いるのかもしれません。
  他のいくつかの単語でも試してみて、
  単語の位置による違いが共通しているか
  調べます。
 
4 音の渡りによって、言いにくい場合もあるかもしれません。
 たとえば、「キリギリス」のようなイ段の音がたくさんあると、
 「チリジリス」になるけど、 「キモノ」、「オオキイ」では
 正音が出せるなど、前後の音との関係で
 影響はないかということ。

 だから、単に「カがタに置き換わっている」という情報だけでは、
 アセスメントとは言えません。


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構音指導 超基礎講座3




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発音記号を五十音順に並べると、上の表のようになります。

赤い字は、同じ行の音と異なる記号になっています。

たとえば、ハ行では、
ハヘホが同じ記号ですが、ヒ、フは、それぞれ違う記号です。

なぜ違うか、それは構音位置が違うからです。

フは、上下の口唇を狭めて呼気を出しますが、
ハヘホは、お口のもっと中の部分をせばめますね。
しかも、舌と口蓋とはどこも接しません。
ヒは、舌と口蓋との接触位置があります。

WS000023.JPG











かまぼこのような形は、舌を上から(下から?)見た図です。
点点がついている領域は、舌と口蓋との接触部位です。
ハヘホや、フ(ファフィフフェフォ)は、舌が口蓋に接触しません。


ツは、/ tw / ではなく、/ tsw / と書きます。
(wは、本当の記号は違いますが、ネット上では書けません。
上記の表を見て下さい)

つまり、ツは、/ t / の舌先を破裂させる音の成分と、
摩擦させる/ s / の成分の二つあります。

もし、/ s / の成分を抜いたら、ツではなくて、トゥになってしまいます。

内緒の声で「ツ」と言ってみてください。
「ス」の成分が含まれていることがわかりますね。

だから、ツが発音できないとき、他のタ行やスがどうなのかも
必ず評価しなければなりません。

タ行は正音が出せるけど、サ行が未定着なら、
ツの前にサ行から指導した方がいいのでは、
という一つの指導仮説が考えられます。
 

このように、発音の特徴と指導を検討するには、
発音記号で考えるのでなければなりません。

日本語の50音の体系で考えると、指導のあり方も誤る可能性があります。

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構音指導 超基礎講座 2



構音障害を評価するためには、
各音が、お口の中のどの位置で、どのように
操作することで出てくるのかということを
しっかり理解しておくことが重要です。

たとえば、サスセソ、タテト、ダデド、ナヌネノ、
ザズゼゾ、ダデドは、舌のどのあたりを使い、
口蓋(お口の天井部分)のどの位置に接したり、
接近したりしているでしょうか?

舌の位置は舌先を使っています。
口蓋は前方の、前歯の裏あたり(スポットと言う)ですね。

これらを「舌尖音(ぜっせんおん)」と言います。

構音障害の現れる音が、たとえば
舌尖音に集中しているとすれば、
舌先の運動に問題あるということになりますから、
舌先の運動を育てるトレーニングを取り入れることになります。

カキクケコ、ガギグゲゴの位置はどうでしょうか?
舌の奥の方を持ち上げて、口蓋の奥の方(軟口蓋)に
接して、破裂させて発音します。

もし構音障害が奥舌を使う音で一貫しているなら、
奥舌の運動機能のトレーニングをします。

実際にはこれほど単純ではないし、
構音位置が複数にまたがっていることも多いので、
あくまでも一つの考え方としてとらえて頂ければと思います。

また、子どもとの信頼関係などに応じて、
舌の動きを実際に目で見て確かめることが重要です。
100円ショップの小さいライトで口の中を照らし、
「カ」を見たいなら、「カカカカ」と言わせてみたり、
「アカアカアカ」と「ア」を付け足すと、見えやすくなります。

耳だけでなく、目でも確認することが、評価の基本です。

蛇足ですが、「カカカ」と言ってご覧、と指示したときに
「カカ」と2回しか言わないとか、「カカカカカカカ」と
永遠に言い続ける子がいます。
何度教示しても同じ結果。
そうした場合は、構音だけでなく、耳で聞いた音の数を数えられるかとか、
衝動性はどうかとか、日常の行動観察の情報等を付け合わせて
検討することが大事です。

衝動性の強さが背景にあれば、たとえば信号機のカードを作って、赤が点灯したときは止めるというやり方がうまくいくことも。
 
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構音指導 超基礎講座 1

構音指導を極めていくことは、
発達障害の指導についても,極めていくことにつながる、
と日々感じています。
逆に発達障害の指導を極めると、
構音指導が多角的にできるようになる、とも感じています。

構音指導を極めるには、まず指導方法に飛びつくのではなくて、
理論学習をしっかりする必要があります。

新しく通級を担当する先生方のために、
『構音の指導研修DVD』から一部抜粋してお伝えします。



IPA.jpg













構音方法には、「破裂音、通鼻音、摩擦音、破擦音、弾音」があります。

「破裂音」は、その字の通り、パ行、タ行、カ行、バ行、ダ行、ガ行のように、
音を破裂させて出す音です。
 

「通鼻音」は、鼻からも息を出しながら出す音です。
マ行、ナ行が該当します。
マ行、ナ行を発音するとき、鼻をつまみながら発音してみてください。
うまく発音できませんね。
つまり、鼻からも息が出ないと発音できない音です。
 

「摩擦音」は、サスソセソ、シ、ヒ、ハヘホ、ヒなど、
摩擦させる音です。
 

「サスセソ」は、いずれも、内緒の声で「スー」と出す音が
元になっています。
「サ」は、内緒の「ス」+有声音の「ア」で出る音です。
 

「破擦音」は、「破裂音」と「摩擦音」の両方の要素がある音と
言ったら良いでしょうか。
「ツ」「チ」「ジ」などです。
 

「弾音」は、舌をはじく音です。
ラ行です。
 

この様に、構音障害の特徴の検討をする際には、
「構音方法」に共通点はないかを見ることも大切です。

たとえば、摩擦音系が全て破裂音に置き換わっているなど。

このほか、構音の特徴を検討する際、「構音位置」も重要です。
(次回書きます)

また、自分で発音してみて、舌の動きがどうなっているのかを
鏡で確かめるなどしながら、音と動作のイメージをしっかり作ることが重要です。

上記の発音記号も、必ず読み書きできるように覚えて下さい。
一年以内に覚えましょう。
発音の指導は、発音記号で検査し、発音記号で検討し、
発音記号で指導の手立てを構築するからです。

指導記録をメモしたりするときに、子どもに見られても大丈夫
ということもあります。
指導記録は発音記号を必ず使って下さい。

素人にはわかりにくいから、という議論がありますが、
そもそも、通級担当が発音記号が読めないと言う人事の側が
問題なのです。

外部に指導記録を読んでもらうために、わかりやすくという議論もあります。
しかし、そもそも指導記録は第一の目的として、指導者自身が振り返る
ためにあります。
外部への伝達は、わかりやすく、別途お手紙を書くというのが理にかなっています。

発音記号に慣れてくると、カタカナで書かれた書類を見た時、
発音記号に書き直すようになります。

その方が科学的に検討できるからです。

指導記録が、日記のようにならないように、
日頃科学的な推論のセンスを磨きたいものです。

などと、学校の先生方には厳しく言ったことはありませんが、
本当はそういうことです。

実習生にはかなり厳しく言っています。口調はやさしく。
発音記号を一貫して書き誤っていると言うことは、
構音の特徴を完全に理解していないからです。

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音韻探索を視覚的に育てると聴覚的にも育つことも




論理的にはありかなと。
自由会話への般化のために。
「す」を見つけたらボタンを押してね。


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WISC-4の聴覚的ワーキングメモリと構音指導との関係

[WISC-4] ブログ村キーワード

 聴覚的ワーキングメモリが低く、非語の逆唱や、語内位置弁別、削除課題(「りんとご」から「と」を取ったら何?」、付加課題(「り」と「ご」の間に「ん」を入れたら?)などが苦手なお子さんへの構音指導についてです。


たとえば、「ス」の構音指導で、単音節の復唱は獲得したものの、「スア」「スオ」など非語(無意味音節)の練習になった途端、困難な場合があります。
非語や有意味語の逆唱、語内位置弁別(「ス」が単語のどの位置にあるかを特定する)が苦手で、WISC-4でも聴覚的ワーキングメモリが非常に低い場合、私は単音節の獲得を当面の目標にすることがあります。
そして、「ス」の次に、同じ摩擦音系の「シ」、または、同じ構音位置の「ズ」の単音節獲得を目指したりします。
聴覚的ワーキングメモリが育つまで、発語器官の運動記憶を用いて、汎化の基礎を築くわけです。

聴覚的ワーキングメモリがある程度育ってきて、非語の復唱が難なくできると判断した段階で、その段階の練習を開始します。
もっとも、子どもの状態像は刻々変化していきますから、一度決めたらずっとその通りでなく、ときおり、2モーラの復唱ができるようになったか、確認しながら行っていきます。


子どもにとって負担が少なく、もっとも効率的で早く獲得できるように、指導者はいつも工夫し、経験の長い人に相談しながら進めなければなりません。


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質疑応答に研修のニーズを見る

先日はことばの教室の先生方の役員会で、構音指導の基礎講座をお願いされました。
役員会では必ず研修の内容を盛り込むようになったので、事務局では研修内容の事前希望アンケートをとっています。
その結果、様々な領域での希望があり、通級担当が幅広い知識と技能を求めていることがわかりました。


今回は「構音指導の基礎」と、「LD概論」の予定でしたが、議事に時間をかなりとられたため、研修時間が圧縮されました。
よって、今回は構音のみとし、後半は質疑応答をフリーに受け付けることにしました。

講座では、実際の音声サンプルを聞いて評価するOJTの視点を入れた研修としました。
構音を正確に評価できることが、正確な指導につながります。
そして誤り音を取り上げて並べて終わりではなく、そこに法則性を発見して、シンプルにまとめることが大切です。

たとえば、

「ギャ→ジャ、ギョ→ジョ、ギ→ジ、ギュ→ジュ」いつも置き換わっている

ならば、

/  gj → dʒ / (一貫)

と書けばすべて表現されています。


以下、フリーに出てきた質問と回答です。
(プライバシー保護のため、質問内容を若干変えていますが、主旨はそのままです)


***

Q1「キ→チの置き換えのある子が、ある施設で、舌を出してから「キ」の発音をする練習を身につけてきました。通級してきたときに、舌を出してから発音し始めたのですが、舌出しにどのような意味があるのですか?」


A1「舌だしの時、舌は緊張していますか? 緊張しているのですね。そっと柔らかく出すことが大事なので、舌だし時の緊張をゆるめて、ホットケーキのようにすることが大事です。舌だしによって、舌背の盛り上がりを防ぎ、そっと『キ』音を出す練習をしようとしたのだと思います。練習方法としては妥当です。あとは舌が細くならないよう、平らにしながらそっと出すことです」


Q2「食べたものが舌に残っているのは、どうしてですか?」


A2「人は食べ物を食べるとき、「食塊(しょくがい)形成」を行います。人は無意識のうちに、かんで細かくした食べ物をいったん舌の中央に集めています。その集めた物を『食塊』と言います。舌に食べ物が残っているということは、食塊形成から嚥下までのいずれかの過程がうまくいっていないからです。よって、発音が全体的に不明瞭で聞き取りにくいタイプの構音障害があり、背景に舌癖や、舌運動の巧緻性の苦手さがある子の場合、食塊形成の訓練も必要なる場合があるでしょう」


Q3「食べ物を飲み込みにくい子に考えられることは? 側音化構音と関係ありますか?」


A3「アデノイドは腫れていますか? 扁桃が肥大しているのですね。それがアデノイドです。それが原因の一つかもしれません。飲み込むとき、舌先を前に突出させていますか? させていないのですね。では舌先の位置の問題ではなさそうですね。
扁桃肥大があるとして、鼻呼吸は苦しくなさそうですか? それはないですね。扁桃肥大が改善していかないと、飲み込みもスムーズでなくなるかもしれませんね。側音化構音と関係があるかというと、直接は関係ないでしょう。
構音指導は構音指導で進めていけば良いと思います。」


Q4「サ行音は、4歳児では治さなくていいと言われたことがありますが、本当ですか?」


A4「サ行→シャ行、いわゆる幼児音で、浮動性も高い場合は、ただちに指導対象にはならないでしょう。でも、サ行→マ行なのですね。単に発音の問題だけではないことを予期させます。子どもの様々な状態を総合的に評価して、必要な支援を検討することが大事だと思います。指導すべきかどうかは、どの音がどの音に誤っているのか、浮動性はどうか、本人や周囲の困り感はどうか、そして言語発達の状況や年齢、と様々な観点から総合的に判断されるものです」


Q5「昔、幼児期は、側音化構音の聞き分けは難しいので、指導しなくて良いと言われたことがあります。いいのでしょうか?」


A5「側音化構音は、正誤弁別をきちんとやってから、発音練習に入る、というのが昔の考え方でした。練習を受ける動機付けのためにも、聞き分け訓練が大事だと。しかし最近は、そもそも低学年の子に聞き分けは難しいことから、まず正音を単音節で形成して、それから聞き分けに入った方がよい、いたずらに聞き分けに時間をかけると、それだけで通級期間が長くなってしまう、という考え方が一般的です。もっとも効率的な方法で、短期間のうちに改善することを通級担当はいつも検討する必要があります。
また、正音が単音節で獲得されていない段階で、ひらがなを提示して指導するのも危険です。
本人は歪み音とひらがなの文字との対応で既に学習してしまっており、ひらがなを先に見せてしまうと、歪み音を逆に強化してしまう可能性があります。


知能がある程度高く、行動面やコミュニケーション面にも問題がなく、指導に乗れるお子さんなら、幼児期から練習はできるでしょう。幼児期では最低でも、「舌平ら」を作れるようになってから、小学校に引き継いで頂けると、それだけでもかなり良い状態ではありますが。」


***


このように質疑応答がありましたが、これも結構研修になったのではと思います。
経験1,2年の先生方ばかり集まった班を編制しても、このようなやりとりは難しいでしょう。


定期の研修会よりも、役員会での研修会の方が、参加者のニーズに応えられているのではないでしょうか。

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言難ABCの感想文

が届き、大切に読ませて頂きました。
皆様、ご静聴ありがとうございました。
おおむね好評だったようで、わかりやすかった、もっと聞きたかった、ぜひ来年もというお声をたくさんちょうだいし、ありがたく思います。
(来年は体調次第、点滴、入院していなければ・・・)

道言協は、指導技術の前に、子どもをどう理解するかを40年間大切にしてきました。
(道言協は、というより、およそ支援に当たる分野は、どの分野でも大切にされているはずですが)

「問題の仮説」という用語がそれを象徴していると思っています。
すなわち、私の理解の仕方は、
「ラ行がダ行に置換する同じ症状の子がいる。Aくんにとっては、発音のしにくさを困っているが、Bさんにとっては、本当に構音が今問題なのか。何が問題なのか、それは誰にとっての問題なのか」
ということです。

構音に誤りがあるから、構音指導、どうやって指導したらいいのですか、という技術面に走る前に、その子のおいたちや周りとのコミュニケーションなど、その子の全体をとらえることが「問題の仮説」なのだと。

別の講義で披露されたようですが、知識の専門家としてだけでなく、「○○ちゃんの専門家に」です。


講義は少し早めに終わり、あとは個人的な相談に応じることにしていました。
前回の、別の場では、個人相談がたくさんあったからです。

案の定、1時間弱の間に、列ができるほどのご相談を頂きました。
短い時間でコンビニ的な相談になってしまったことをお詫びします。
また、途中であきらめた先生方にもお詫びいたします。

しかし、どのご相談でも、子どもについて理解するために、たくさん質問させて頂いたことにお気づきの方もおられたと思います。子どもの実態がわからずして、助言などできません。
それでも、短時間でお答えするため、一番尋ねなければならない質問に絞っていました。

ご質問の内容を整理する中で、自ら指導方針をまとめた方もおられました。


今回の講義では、少し技術面に偏りました。
新しい先生への支援、ということを意識したからです。

しかし、技術の前に、子どもを理解することが大切であるということです。

質問して頂いた方の質問の内容や、感想文を読ませて頂くと、その一番大切なところをおさえている先生方がたくさんいらっしゃることを感じました。


ということで、明日も自主研修会で構音指導の基礎研修をします。
今回は、ことばの教室の先生だけでなく、特別支援学校や特別支援学級の先生方が多く参加されます。

ケースレポートも5本出るので、かなり濃い研修会になりそうです。


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舌筋機能療法MFT 歯科衛生士さんの講義

今年も、矯正歯科の歯科衛生士さんに来て頂き、講義を受けました。
舌癖(ぜつへき)が歯のかみ合わせに影響し、発音に影響する場合があること、矯正歯科での発音指導は、舌癖の改善によって、歯のかみ合わせを改善するのが目的で、ことばの教室での構音指導と同一視はできないこと。MFTがことばの教室での構音指導に直接的な効果を表すと断定するものではないこと、など説明を頂きました。

舌先が突出しやすい子には、仰向けに寝かせると、舌根が下がるので、突出しにくい、というのは、目からうろこでした。当たり前なことですが、あまりやったことがありませんでした。

早速試したところ、舌を突出させない努力性に改善が見られる事例がありました。


ただ、MFTは、舌癖のある事例では、構音の改善の側方支援にはなるでしょうが、それだけでは構音は改善しないでしょう。

新しい先生は、つい舌の筋肉のトレーニングに重点をおいてしまいますが、多くの場合は不要です。時間の無駄です。
漸次接近法や構音点位置づけ法などの直接的な構音指導を早期に開始した方がよいと思われる事例の方が実は多いです。

ただ、不要というわけでもなく、しかし週一回だけでは効果的でもない、ということに留意が必要と思います。

MFTを行う場合は、マニュアルを熟読し、それぞれの内容の目的を検討して、その子のためになるか精査が必要でしょう。

たとえば、サ行音のニーズがある子に、ミッドスティック(舌の奥の方を持ち上げる訓練)は不要です。サ行が歪み音なら、むしろ有害ですらあるでしょう。

逆に、サ行で舌が突出している場合。
前歯が開咬(オープンバイト。上下の歯のかみ合わせが開いている)の場合、舌の突出の原因が、「口ポカ(唇がいつも空いている)」であるならば、、口唇の筋力を鍛えるトレーニングは有効かもしれません。
ただし、鼻呼吸に困難のある子には、鼻の治療がまず大事ですが。

いずれにせよ今回は、MFTの最新の実践の極意を聞くことができて、とても勉強になりました。



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構音指導の順番は、全ての音を把握してから

 

上の表では、サ行が非語(無意味音節)までは正音が出せますが、単語になると、語頭でタ行に置き換わる。
シチジは、単音節レベルから歪み音になっている。
ただし、シだけは、単音節レベルでは正音が出せる、ということを示しています。

構音検査の記録様式はいろいろありますが、何でもいいのです
一番大切なのは、一部の音だけではなく、広く音の全体を評価すること。

選別検査(構音障害の有無を判断するスクリーニング検査)なら、そこまで詳しく調べなくてもよいのですが、構音指導につなげるには、より詳しい「掘り下げ検査」を行う必要があります。

たとえば、「キギ」の歪み音があります、と引き継ぎを受けたとしても、「ケゲ」はどうなのかで、指導の手立ては変わってきます。

「ケゲ」も歪んででいれば、「内緒の声のケ+イ-」→「キ」に持って行く指導はできないことになります。

「イ列音(イ段)が歪み」という情報を聞くこともありますが、本当にイ列音全部なのか、確かめる必要があります。

全ての音を評価するのは困難ですから、疑わしい音は全て、です。
どの音が疑わしいかは、構音の仕組みを十分研修する必要がありますが、たとえば、

・サ行など、舌尖音が誤っているときは、ほかの舌尖音がどうなのかもみる。
(タ行、ナ行、ラ行、ザ行、ダ行)

・または、サ行は摩擦音なので、ほかの摩擦音がどうなのかをみる。
(シシャシュショ、ヒヒャヒュヒョ)

・イ列音の一部に歪みがあったときは、イ列音、エ列音の全てを評価する。

そして、それぞれの音が、単音節レベルで誤っているのか、文レベルで初めて誤るのか、などレベルも明らかにしておくことが重要です。

そして、記録は発音記号を使うこと。
(私の先輩は、1年ぐらいで発音記号を覚えてね、それまではカタカナでいいよ、と言っていました)
構音指導をするには、日本語の50音の音韻体系ではなく、構音位置別、構音様式別に理解しなければならないからです。
たとえば、シは、サ行には含まれません。

もちろん、表の全部を埋めようとすると膨大な時間がかかります。
会話しながら、絵カードを呼称しながらなどして、気づいたときに該当箇所をチェックしていくやり方もできます。

個別の指導計画の長期目標には、全ての障害音を具体的に書いておいた方がよいでしょう。
指導の終了の見通しがとりやすいですし、指導する音の順番も検討しやすい。
いちいち、「ええと、どの音がどうだったかな」などと指導記録を読み返したりする必要がなくなるからです。

それと、構音の評価は、音を聞くだけでなく、舌などの動きを見ることも大事です。口腔に器質的な問題(歯のかみ合わせ、舌小帯、口蓋、アデノイド等)がないかもみることです。

ということで、私のオリジナルの構音検査表を添付します。
ご自由にお使いください。

構音検査表(pdf)


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(以下CMは、記事と無関係です)


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どのレベルまで構音が改善しているのかが大事

久しぶりに構音指導について。

よく「○○」の発音がうまくできないので、指導をどうしたらよいかという相談を受けます。
中には、同じ子どもの発音について、関係者によって「○○の音は出せる」「出せない」と見解の相違が見られることもあります。
「どのレベルまで正音なのか」の精査がされていないので、見解がずれてしまうのです。
つまり、単音節では正音が出せるが、会話ではまだなのかもしれない。
ある先生は「○の音が上達している」と評価しても、保護者や他の先生は、会話しか聞いていないので、変化に気づけないということがおこります。
発音の練習には段階があります。

単音→単音節→無意味音節(非語)→単語(有意味語)→短文→会話

どの音がどの段階まで正音が確実なのか、どの段階でつまずいているのかを評価しなければなりません。
その評価があって、初めて指導の手立ては出てきます。

そして障害音だけでなく、音の全体を聞いた中で、指導の順序を検討する必要があります。

段階とか順序というだけでも、これだけのアセスメントが必要です。

それ以外にも、音韻分析機能や発語器官の形態や機能、知的発達、認知発達、コミュニケーション、生育歴情報など様々な情報があって、初めて指導の手立てが検討されるのです。

一般論、当てずっぽうのアドバイスで、子どもが不利益を被ることがあってはなりません。
特に構音指導は、やり方を一つ間違えると、取り返しの付かない事態に陥ることがあります。

コンビニエンス的に、このプログラムをやれば構音が改善する、というのは危険です。
「生兵法は怪我のもと」
「触らぬ神にたたりなし」
なのです。

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構音障害(発音の誤り)が発生する機序

校内のことばの教室についての交流や、研究発表などで使った記事を見なおしています。

発音の指導というと、すぐに舌の運動を鍛えるということを想像しますが、そんなに単純ではありません。

「1日5分でできる発音の指導を教えて下さい」などと、ある学級担任の先生にお願いされたことがありますが、子どもの実態がわからない状態で、即答はできません。

子どもにフィットしなければ、たとえばやり方をお伝えしても、子どもへの負担になったり、時間を無駄に過ごさせる結果、下手をすると余計に悪化させる恐れさえあります。

ちなみに、特別支援教育士は、そのようなことをしてはいけません、と倫理規定に書いてあります。

それはさておき、構音障害の発生要因には様々なことがあり、様々な視点から検討する必要があります。

きこえの問題なのか。
きこえは悪くなくても、音の分析能力の問題なのか。
音韻分析能力に苦手さはなくても、運動企画の問題なのか。
それらに課題はなくても、舌先の運動巧緻性の問題なのか。

それ以前に、人と人との関係ができているのか。

などなど。

そして、要因は一つではなくて、様々な要素が複雑に絡み合っていることの方がはるかに多い。

それらの理解があって、初めて指導で何をやったらいいのかが明らかになります。

そして指導の内容は、絶えず見なおすことが必要です。
年度初めに一年分の計画をたてたのだから、あとは、子どもの実態が改めて見えてきても、計画通りにやっていく、というのは、「指導」ではありません。


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構音障害は、自然に改善するものと、改善しにくいものがあります

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「機能性構音障害は、自然に治るから指導しなくてよい」
という方にお会いすることがあります。
ある学校を訪問させて頂いた際には、ことばの教室の存在理由そのものを否定しながら、そのように主張される先生もいらっしゃいました。しかし・・・。

「機能性構音障害」とは、聴覚障害や、発語器官、認知発達の問題など、他の要因が見あたらず、原因がはっきりしない構音障害のことです。

子どもの構音の発達については、以下のページがあります。
「ネットで学ぶ発音教室!」より
 

成人で歪みが残っている方にはたまにお目にかかることは事実です。
単純な置きかえの方はあまりおられません。
 
成人の機能性の側音化構音に悩む方は、たくさんおられます。
ネットで検索すると、本人の書き込みがいくつも出てきます。
 
また、以下のページが、ことばの教室での感覚に近いです。
「東京発音アクセント教室」
 
また、側音化構音などの詳細に関しては、
『構音障害の臨床』阿部雅子著、金原出版
『口蓋裂の言語臨床』岡崎恵子著、医学書院
『言語聴覚療法シリーズ 機能性構音障害』 本間慎治/編著、建帛社
に、自然に改善しにくことが書かれています。

子どもの構音やそのほかのことを正確に評価することで、
予後(今後どうなっていくか)を推測し、指導の必要性、時期、指導方法、手順などを判断することが重要です。

機能性構音障害で、側音化構音や口蓋化構音などの歪みの場合、幼児期はまだしも、年齢が上がっても、お口の体操をやっているだけでは改善しません。

一方、単純な置きかえであっても、お友達に指摘される、通じにくいなどの困り感があれば、当然指導を検討しなければなりません。お友達との関係調整をしながら、はもちろんですが。


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構音器官の土台作りに 舌筋機能療法(MFT)

今日は、いつも研修や指導で連携するなどしてお世話になっている、矯正歯科の歯科衛生士さんにお越し頂いて、舌筋機能療法(MFT)の講習をしていただきました。
研修会仲間なので、謝礼を特に用意していなかったのですが、申し訳ないぐらいにいろいろなものを用意してくださり、他の先生方にも是非聞かせたかったと後悔するぐらい、すばらしいお話でした。

いつも口がポカンと開いていたり、飲み込むときに舌先が前に突出したりしていて、かつ構音障害もあるお子さんの場合、MFTが構音の土台作りのために有効なことがあるかもしれません。

口は本来、話すための器官ではなく、食べ物を食べたり飲んだりするためにある器官ですから、食べたり飲んだりすることが十分でないと、構音もうまくいかないということはあり得ます。

MFTは舌や口唇に力を入れることが練習の中心になりますが、構音指導においては、逆に「脱力」が指導の中心になります。
したがって、ベクトルが反対ではないかと、歯科衛生士さんは心配されていましたが、力を入れることと、抜くこととは表裏一体の関係なのでしょう。
つまり、力を随意的に入れられるようになることで、脱力も習得しやすくなるのでしょう。

側音化構音は、基本的には、舌の緊張により、呼気が側方から漏れ出るわけですから、舌の脱力が指導の中心になります。
ただ、舌縁部分の筋力の低下が、側音化の背景にある場合もあり、この点でも舌筋の力をつけるというのは、有効と言えるでしょう。
ただし、MFTをやっていれば、側音化構音が改善する、ということはまずありません。直接的な指導と併行することが必要でしょう。直接的な指導をまず行ってみて、舌筋の弱さが背景にあると感じた場合は併行する、というやり方を私はしています。



IMG_0072.jpg
食べたり飲んだりするために使用する食べ物例です。
水分のある「リンゴ」が初めは最適で、クッキー、ヨーグルト、と難易度を上げていきます。

通常、食べ物はまず歯でかみ砕き、それを舌の真ん中あたりに寄せ集めます(「食塊形成」ですね)。
そして、舌先を上顎前歯裏の歯茎部分(スポット)につけたまま、食塊を奥に送り込んで飲み込みます。
舌先は、前に突出するのではなく、スポットについたまま、が正しい飲み込み方です。突出するのは赤ちゃんの飲み方ですが、そのまま舌先の位置が変わらないと、舌先で上顎前歯を押し出す状態になり、「出っ歯」につながるかもしれません。一日に人は、600回から2000回飲み込むそうですから、前歯を押す回数はたいへん多いと言えます。

出っ歯や、開咬(かいこう=歯をかみ合わせても、上下の前歯の間に隙間があいてしまう)のため、舌先がすきまから突出し、たとえば、サ行やタ行などの「舌尖音」が、「歯間音化」する可能性が出てきます。

口唇の筋力が弱くても、「出っ歯」になる可能性があります。
歯は、中から外に押しだそうとする力と、口唇の筋力によっ歯を中側に押す力との均衡によってまっすぐになります。
しかし中に押しとどめようとする力が弱いと、結果として歯が突出してしまう可能性があります。

そこで、「ボタンプル」という指導例があります。
2.2cm以上の大きさのボタンにひもを通し、ボタンを歯と口唇との間にはさみます。
そしてボタンに通した糸を外側に引っ張ってもらい、口唇に力を入れて、ボタンが引っ張り出されるのを防ぐ練習です。
ただ、ボタンでは小さすぎて、滑りやすいため、歯科衛生士さんは特別なアイテムを持参してくださいました。



IMG_0074.jpgこれはお湯につけると柔らかくなり、冷めると形状が固定される特殊な材料です。
これで口の形にぴったりあった「ボタン」の代替物になります。
穴に糸を通し、外側に引っ張ります。
目標は2kgまで耐えられることだそうです。
1kgだと弱すぎだそうです。
私は、歯科衛生士さんに引っ張ってもらいました。
なんと「1kg」しか耐えられませんでした。
これだもの、出っ歯になって当然かもしれません。




MFTのコツとして、私も勉強になったことがいくつかありました。

1 ヨーグルトを飲ませた後に、舌を見て、ヨーグルトの塊が残っていれば、舌の動きがまだ改善していない。

2 スポットの位置を知覚させるため、スティック(アイスキャンディーの棒のようなもの)で、スポットを5秒間圧迫するように刺激すると、スポットの位置を子どもは知覚しやすい。数度繰り返す。

3 MFTの全ての練習内容では、基本的にスポットに舌がついていること。

4 MFTは地味な練習なので、シールやグラフなどを用いて動機付けを図る。また、無理にやらせようとするよりも、必要性を詳しく説明して、「どうしますか?」と自己決定を促すようにすると、結果的に続けてくれる患者が多い。

5 「タングドラッグ」では、硬口蓋と軟口蓋との間ぐらいまでスライドさせる。

他にもたくさんありましたが、詳しくは以下の文献を。


IMG_0077.jpg

『舌のトレーニング』大野粛英・岡田順子・橋本律子・入江牧子 著、1998、525円(税込) 、わかば出版(写真右)
http://www.shien.co.jp/act/d.do?id=2264


 
『MFT入門‐初歩から学ぶ口腔筋機能療法』、山口 秀晴 他監修 大野 粛英 他監修、2007、わかば出版、5,985円(写真左)
http://www.7netshopping.jp/books/detail/-/accd/1102580294/subno/1


真ん中のは非売品?
実は矯正歯科の先生から頂いた文献です。たぶん頒価は高いと思います。


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構音指導「ナ行」「ツ」の指導

今日も検索エンジンからの情報を基に、記事を書きます。


ナ行は、「通鼻音」と言います。
発音記号では、/n/
です。「歯茎通鼻音」です。
舌先が、上の歯茎の裏についたまま、「んーーー」と音を出したときに鼻から息が出ています。
それに母音を後続させると、ナ行音ができます。
日本語で、鼻から息が出る「通鼻音」は、ナ行とマ行です。
鼻から通らなければ、ナ行はダ行のように、マ行はバ行のようになってしまいます。
そうなる場合は、鼻の通りがどうなのかを評価する必要があります。
生育歴や、相談歴、受診歴も眺めながら、口腔内も見ながら、
蓄膿症やアデノイドがないかどうかを確かめます。
それらに異常が見あたらない場合は、音の弁別(聞き分け)や音韻意識、知的な部分を見ていきます。


「ツ」は、発音記号では、/tsu/ です。
/w/ だったのが、最近は、/u/ にしている向きもあるようなので。
それは良いとして、/ts/ が重要です。
つまり、/t/ タ行と、/s/ サ行の両方が既に産生できるかどうかを確かめる必要があります。
それぞれの音が完成していなければ、「ツ」の指導の前に、まずそちらを行うというのが定石です。
定石が全てではありませんが、構音指導のためには発音記号の読み書きができるようになることが大事です。

実習生でも時々間違えるのですが。
間違えるということは、構音の産生過程をちゃんと理解していない証拠です。
逆に言えば、ちゃんと理解していれば、指導の誤りは生じにくいものです。


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【通級指導の相談】シャがサに置き換わる子について

『構音の指導研修DVD』の頒布を受けた方には、無料で、「ことばの教室ビギナーズ交流館」というパスワード付きの掲示板にご招待しています。今回は、その掲示板でのやりとりから、一部引用します。
 
 
 
【Q】
  
相談させて下さい。
  
今度通級予定の1年男児です。就学時健診の時に「ジドウシャ」を「ジドウサ」と言っていたので後日掘り下げ検査をしてみると、かなりの頻度でシャ行→サ行、ジャ行→ザ行に置き換わっていました。
「シ」「ジ」は正音で、他者弁別はほぼ正答できました。
 
また正しい表記の方を選ぶこともできました。(例:自動車の絵を見て「じどうしゃ」と「じどうさ」、どちらが正しいか、わかっている)
 
 サ行がシャ行になるような幼児語の子どもは担当したことがあるのですが…
 
何が原因でそうなり、どんな指導をしていけばよいか、何かヒントがあれば教えてください。
 
よろしくお願いします。

 
 
【A】
  
確かに、サ→シャは多いですが、シャ→サは少ないですね。ただ、就学前後のお子さんには結構な頻度でいますよ。
 
書いていただいた情報の他に、次のようなアセスメントをすると、指導の手立てが考えられると思います。
 
 
 
1 被刺激性はどうか
 
→シャを聞かせて復唱させた時に、正音が出せるか。
 
 
 
2 浮動性はどうか
 
→「かなりの頻度」というのがポイントと思います。どういう条件なら正音が出せるのか。
 
たとえば、単語のはじめ、真ん中、終わり、という語内位置によって違うのか、音の渡りによって違うのか、サシャを交互に発音したらどうか、など。
 
 
 
3 レベルはどうか。
 
→単音節、無意味音節、単語、文のレベルのうち、どのレベルで正音が出せないのか。
 
 
 
いずれにせよ、「シ」の正音が出せて、弁別ができて、文字も読めるなら、見通しは明るいと思います。
 
意外と「シア」をだんだん速く言う→「シャ」、という指導だけで出せるようになる可能性もあるかと思います。
 
 
 
【Q2】
 
先日、第一回目の指導を行いました。
 
シアからシャを導くと上手く言えたので、単音はオッケーのようです。今後、単音を強化しながら、語頭にシャがつく単語から取り組ませていきたいと考えています。
 
行き詰ったら、また相談させてください。
 
 
 
 【A2】
 
うまく行っているようですね。
 
単語の練習もそうですが、無意味音節をしっかりやるのがコツですね。
 
「アシャオシャカシャ」とか。
 
無意味音節が素早くできて安定してから、単語に入ると、単語はすぐマスターしますし、仕上がりがいいですよ。



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コメントによる教育相談のお返事

コメントでご質問頂きますと、お返事をお相手に直接できません。
それで、この記事の場でお返事します。
この記事で個人が特定されることはないと思いますが、質問の表現を変えてさせて頂いています。
でも主旨はそのままです。


Q1
意識すれば上手に「し」が言えるが、会話や、ちょっと長い文章になると舌を前歯ではさんで発音してしまう。

A1
あともう少しというところでしょうか?
もともと、舌を出して練習していたのでしょうか?
それとも、もともと歯間音化していた事例でしょうか?
歯のかみ合わせはどうか(オープンバイトではないかとか)、
あごの大きさはどうか、
姿勢は、
いつも口がぽかんと開いているか、
などとの関連で検討する必要があります。
側音化構音の指導で、舌出しで練習した場合、
若干舌が出る状態が残ったとしても、
側音化は改善して会話明瞭度が向上しているならば、
終了としているSTもいます。
ただ、もう少し般化を図りたいなら、「ましたゲーム」などで、
注意をそらせても正音が出せるゲームをしてみてはどうでしょうか。



Q2
「が」「げ」が、単独音や単語、パバマ表のときは、ずいぶんきれいに発音できますが、文章に出てくると、歪む場合があります。

A2
「が」が歪むというのはどういう歪みでしょうか?「げ」の歪みとは同質でしょうか?
側音化なのか、口蓋化なのか、舌の動きを見て正確に評価する必要があります。
単音節できれいなように聞こえても,文章になって、他の音との渡りの関係ができると歪むという場合、本当にそうである場合と、実は単音節でも歪んでいる場合もあります。
舌の動きを直接見て評価することが大切です!
もし、評価が正しいなら、A1と同じように、般化のためのゲームがよいと思います。
また、短文レベルの練習をしていないのであれば、2語文、3語文と練習してみては。

Q3
現在、「キ・ギ」が歪む子供で顎がかなり小さく、不正咬合の子がいるのですが、単音まで進んだのに、他の音を付けるとどうしても歪んでしまいます。(特に語尾)
きれいに出るときもあるのですが、安定しません。脱力はでき、呼気も中央から出るようになった事を確認したつもりだったのですが、
どうも舌が広がりきれない感じがあります。
舌を出させると、広がると言うより、前へ出る癖がかなり強いように思われます。
「イ」の指導がきちんとできていなかったと言うことなのでしょうか?


A3
まず、不正咬合が発音に影響している可能性をどのように評価していますか?
それと、単音節ではよいが、他の音をつけると(無意味音節のレベルで?)
歪む場合、音韻分析能力はどうかということをまず疑います。
つまり2音節になると、もうワーキングメモリがいっぱいで、歪みに注意している場合ではないという具合です。
また、同じ2音節でも、特に語尾で歪み、語頭ならまだ良いということであれば、
やはり音韻分析を疑いますが、その点はいかがですか?
つまり、反対言葉(すい→いす、など)やしりとりなどはできますか?
音と文字との対応は大丈夫ですか?

また、呼気が中央から出ていても、舌の緊張がとれていなければ、同じような状況になるかもしれませんね。
そうならば、急がば回れ、初めからやり直しということになります。ちょっとシビアですが。

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咀嚼・嚥下と構音障害

・水を飲むとき、わずかの水でも何度もごっくんする。
・水を飲むとき、下口唇を緊張させて、口の中に入れ込むようにして飲む。
・水を飲むとき、舌先を歯より前に突出させないと飲めない。
・口唇を開けても、水を口内に維持できない。
(下を向かせると、水がだらーとこぼれる)


などの症状を呈し、構音障害がある場合、
舌の運動について評価することが必要です。

特に、舌縁(舌のヘリの部分)が、口蓋にしっかりついていることが重要です。

WS000003.jpg












たとえば、このように、タ行、チチャチュチョ、ツなどの発音の時にも、
舌のヘリの部分が一度口蓋にくっついている状態を
作らなければなりません。

水を何度もゴックンしなおす子の中には、
この形をまず作れていない場合があります。

ならば、まず、口の中(正確には、舌と口蓋との間)に
水を保持する練習が必要になります。

側音化構音の指導では、舌お皿(舌平ら)から始めますが、
これは舌縁を口蓋にくっつけ、舌の真ん中だけ開けるという形を
作るためです。

ならば、水の保持の練習は有効と思われました。

実際、この練習法で、舌平らへの誘導、
または、どうもすっきりしないイ列音の安定に
貢献した事例があります。

構音指導のためには、練習法の前に、口腔内や
舌の動き、位置などをしっかりイメージし、
また観察できなければなりません。

逆にイメージができていれば、
教科書にはないような補助具を使った指導への
応用もできるようになります。

そのためには、発音記号の使用が必須です。
指導のメモである指導記録には、
発音記号で記載し、発音記号で検討することが基本です。

週わずかの指導時間で効果を上げるためには、
様々な学術的知識を動員し、
指導のあり方を練って練って、練り直すことが必要です。

もちろん、構音指導は、構音が誤っているからするのではなく、
その子のコミュニケーションを豊かにすることをお手伝いするために
行うものであることを見失ってはなりません。

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側音化構音の指導

久しぶりに、構音指導の記事です。

今日、側音化構音の指導について話題になったので、
改めて、本の読み比べです。

以前の記事にも書きましたが、以下の2つの文献を読み比べると勉強になります。

たとえば、


涌井 豊著  1996
『側音化構音の指導研究』学苑社
指導効果をあげるためには、やはり誤り(音)を自覚させることが大切だと思う。(p53)


阿部 雅子著 2003
『構音障害の臨床』金原出版
音の正誤の判定に長い時間をかけるよりも、その時間を正しい音節をつくるために使い、正しい音節ができた時点で、改めて良い音と悪い音を理解させたほうが(よい)(p34)

涌井先生によれば、構音の誤りを自覚させなければ、
練習の動機付けにならないので、
自覚が重要だ、との文脈です。

ただ、自覚をさせる時期が大事なのでしょう。
阿部先生は、上記の通りに書いています。

側音化構音は一般に、低学年の子には聞き分けが難しい場合が多いです。
だから、初めから自覚させるというのは難しい、
むしろ単音節で正音が出せるようになってから、弁別(聞き分け)を
行った方が良い、と私も考えています。

通級の動機付けは、むしろ、子どもの状態像に応じて工夫することなのでしょう。
今は困らなくても、大人になってから困ることが多いのも、この構音障害の特徴
ではありますから。

***

涌井 豊著  1996
『側音化構音の指導研究』学苑社
・舌先の偏位(側方へ曲がったり、ねじれたりする)が認められる場合は多く、ほとんどは口唇の偏位も伴っている。この場合には、口唇の偏位を改善した後で舌の脱力・安定を図る段階へ進む。(p61)

/i/の口形は、口角を左右に最も引いた形である(p63)


阿部 雅子著 2003
『構音障害の臨床』金原出版
舌先がどの方向を向いているかよりは、硬口蓋に接して口腔を閉鎖していること自体が問題である(p70)

両口角を横に強く引いている場合もよくみられるが、口角を引くと舌の力が抜けないだけでなく、喉にも力が入るので、この力も抜かなければならない。(p62)

・口唇や下顎の横への動きを抑制したり、引かれている口角や頬部を押さえたりしても根本的な改善にはならない。

・まず舌の不自然な力を抜くこと、つまり舌の脱力が重要である。(p70)


指導を引き継いだ中で、両口角を引いてイ列の発音をしている児童がいました。
まず、その口角の緊張を取る練習から始めざるを得ませんでした。

「口唇の偏位」は、結果であって、原因ではありません。

舌の緊張の副産物が「口唇の偏位」ですから、
片方の口角を引くからと言って、もう片方も引く、
と言う練習方法は、かえって舌の緊張を誘発します。
舌の緊張を取ることが第一選択です。

ちなみに、日本語のイは、それほど口角を引かないですね。
ウも、それほど唇をとがらせないのが、日本語です。

スの指導で、唇をとがらせる指導レポートを見たことがありますが、
口唇を緊張させるのは、舌の緊張を誘発する危険な指導だと思います。

口形、口唇よりも、舌が問題なわけです。

発音の練習というと、口形模倣をイメージしますが、
実は舌が最も重要です。

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舌の緊張を取る。「舌平ら」「舌お皿」


(図はクリックで拡大)

構音指導をすすめる上で、練習の基礎となるのが
「舌平ら」「舌お皿」の形成です。

あまり必要ない場合もありますが、
特に側音化構音、口蓋化構音の指導では
まず必要になります。


「舌平ら」「舌お皿」の実際の舌は、
どんな形なのだろうとお悩みの方が
いらっしゃるようなので、写真でお示しします。

さて、正しい「舌平ら」はどれでしょう?

Aは舌が盛り上がり、舌縁が口角についていないのでだめです。
Bは、一見平らのようですが、舌縁が緊張して波打っています。
Cはブイ字にしすぎていますし、舌の奥が緊張しています。
開口時に口蓋垂(のどちんこ)が見えるぐらいに、
奥も平らでなければなりません。
Dは歯で噛んで、むりやり平らにしようとしていますね。
このままでは構音指導に入れません。
最悪の場合、呼気が正中(真ん中)から出るのを
歯がブロックし、
呼気が側方から漏れる、側音化構音を悪化させる場合も。

ということで、Eが正解。
ホットケーキのようにふわっとしていて、
舌縁が口角に付いています。
口角に付いていれば、呼気が側方から漏れることはありません。
側方から漏れた場合は、口角と舌縁が離れるので、目で確認できます。
練習時に鼻息鏡は必要ないわけです。

だから、側音化構音の指導は特に
舌を出した方が指導がしやすいのです。


「舌を出すと、歯間音化になる」
ということを恐れすぎて、
口の中に舌をおさめたまま練習し、
いつまでも改善しないという例を見てきました。

8割9割は、舌を出して練習しても、
練習日を重ねるうちに、自然に引っ込んでくるものです。
私の経験上。
引っ込まなければ、単語~短文レベルまで呼気が正中から
しっかり出るようになった後、
スモールステップで引っ込めるようにすればよいだけのことです。

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側音化構音 その3

側音化構音かどうかを確認するには、音を聞くだけでなく、
鼻息鏡(びそくきょう)を使います。
下口唇の上に鼻息鏡を載せて、内緒の声で「キー」と言ってもらいます。

鼻息鏡がまっすぐに曇れば(写真の青のような曇り方)、
呼気は正中(まんなか)から出ていますが、
赤い曇り方なら、側音化構音です。

ただ、鼻息鏡の角度や当て方で曇り方が変わることもあるので、
何度かトライした方がいいと思います。



内緒の「きー」がすぐ言えないときは、「きのこ」と言わせてみて、
「きのこ」を今度は内緒の声で言います。
次に「き・の・こ」と内緒の声で区切り、
最後に、「き」だけを取り出します。
それを伸ばせば、内緒の声の「きー」になります。

行動分析の「スモールステップ」ですね。

単純に有声音の「き」と言わせるよりも、
曇り方がはっきり見えて良いと思います。

また、ペンライトでお口の中を照らし、
「き」と言った時の舌先の動きが必見です。
舌先が口蓋にびっちり付いているようであれば
側音化構音です。
舌先が下を向いていても、舌の少し奥が口蓋にくっついているかどうかも大事です。
本来は舌の真ん中は全て空いていて、呼気の通り道でなければなりません。

舌先が左右によじれているかどうかという視点も大事ですが、
口蓋に密着しているかどうかが一番大事だと思うのです。


構音指導に長けている人は、行動分析や認知心理のセンスがある人が
多いという印象があります。
構音指導を極めることは、他の障害への応用につながる、と思うのです。


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側音化構音 その2

側音化構音は、呼気が横から漏れ出るのが特徴です。
グチュグチュという音が伴うことがあります。
(気流雑音)

下の図は、舌が口蓋に接している部分を示しています。
つまり人の頭の上から透明な口蓋を通して舌を見ているところです。

点点がついているところが、接しているところです。
シャ行の発音の際、舌のわき(舌縁)が接していて、
真ん中が空いています。そこに呼気圧を高めて、
舌先から呼気を出しているのが、本来の「シ」です。

ところが下図のように、舌背が口蓋に密着すると、
呼気の通り道が遮られるため、呼気は横から漏れ出ます。
これが側音化構音です。

舌の真ん中が緊張して盛り上がり、口蓋に密着するのが原因です。





だから、側音化構音の指導の最初は、舌の緊張をとることです。
舌の真ん中を平らにして(あるいは少しくぼませて)
呼気が正中から出せる環境を作ることです。

舌の緊張を取ると言っても難しいです。
舌をとがらせたり、力を抜いたり、を交互に行う、
スプーンで舌をなでて力を抜くようにする、などの
練習方法があるでしょう。
肩を思い切り上げながら息を吸い、吐くと同時に肩をおろし、
舌を少し出すという方法もあります。

このほか、「け」「く」「い」が正音の場合は、
そこから引っ張るという方法もあります。
つまり、ないしょの声で「け」と言ったあと、
「いーーー」の有声音を続けます。

これを繰り返し、素早くすると、「き」に近い音が作れる場合があります。
でも、「素早く」の段階で、舌の緊張が誘発されると難しいです。

「く」からひっぱるのも同様です。

条件は「く」「け」「い」が正音であること。
もしかするとこれらの音も歪みの場合は別の方法が必要です。

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側音化構音

側音化構音(そくおんかこうおん)とは、
独特の歪み(ひずみ)音です。

キがチのように、ギがジのように、シがヒのように、
チがキのように、リがギにように、など、
イ列音(イ段の音)が、文字では表記できないような音になります。

置き換えとは違い、この側音化構音は、自然改善の可能性が低いです。
だから、専門的な指導を受ける必要があります。

実は成人でもこのような発音の方は結構いらっしゃいます。
会話は通じてしまうので、それほど気にならない場合もありますが、
イ段の入ったことば、とりわけ固有名詞など、
聞き手になじみが薄い話題では、
通じにくい場合もあります。

成人になってから治したいと思っても、
指導の場がない、仕事が忙しくてSTのもとへ通えない、などで
悩んでいる方は実は多いです。

たとえば、

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1212939042?fr=rcmd_chie_detail

だから、子どものうちに指導を受けることが必要です。
そのための条件整備がさらに必要と思います。


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