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某公立学校ことばの教室教員。公認心理師、言語聴覚士、特別支援教育士。 『クイズで学ぶことばの教室基本の「キ」』の著者。  SINCE 2000.1.1 
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構音器官の土台作りに 舌筋機能療法(MFT)

今日は、いつも研修や指導で連携するなどしてお世話になっている、矯正歯科の歯科衛生士さんにお越し頂いて、舌筋機能療法(MFT)の講習をしていただきました。
研修会仲間なので、謝礼を特に用意していなかったのですが、申し訳ないぐらいにいろいろなものを用意してくださり、他の先生方にも是非聞かせたかったと後悔するぐらい、すばらしいお話でした。

いつも口がポカンと開いていたり、飲み込むときに舌先が前に突出したりしていて、かつ構音障害もあるお子さんの場合、MFTが構音の土台作りのために有効なことがあるかもしれません。

口は本来、話すための器官ではなく、食べ物を食べたり飲んだりするためにある器官ですから、食べたり飲んだりすることが十分でないと、構音もうまくいかないということはあり得ます。

MFTは舌や口唇に力を入れることが練習の中心になりますが、構音指導においては、逆に「脱力」が指導の中心になります。
したがって、ベクトルが反対ではないかと、歯科衛生士さんは心配されていましたが、力を入れることと、抜くこととは表裏一体の関係なのでしょう。
つまり、力を随意的に入れられるようになることで、脱力も習得しやすくなるのでしょう。

側音化構音は、基本的には、舌の緊張により、呼気が側方から漏れ出るわけですから、舌の脱力が指導の中心になります。
ただ、舌縁部分の筋力の低下が、側音化の背景にある場合もあり、この点でも舌筋の力をつけるというのは、有効と言えるでしょう。
ただし、MFTをやっていれば、側音化構音が改善する、ということはまずありません。直接的な指導と併行することが必要でしょう。直接的な指導をまず行ってみて、舌筋の弱さが背景にあると感じた場合は併行する、というやり方を私はしています。



IMG_0072.jpg
食べたり飲んだりするために使用する食べ物例です。
水分のある「リンゴ」が初めは最適で、クッキー、ヨーグルト、と難易度を上げていきます。

通常、食べ物はまず歯でかみ砕き、それを舌の真ん中あたりに寄せ集めます(「食塊形成」ですね)。
そして、舌先を上顎前歯裏の歯茎部分(スポット)につけたまま、食塊を奥に送り込んで飲み込みます。
舌先は、前に突出するのではなく、スポットについたまま、が正しい飲み込み方です。突出するのは赤ちゃんの飲み方ですが、そのまま舌先の位置が変わらないと、舌先で上顎前歯を押し出す状態になり、「出っ歯」につながるかもしれません。一日に人は、600回から2000回飲み込むそうですから、前歯を押す回数はたいへん多いと言えます。

出っ歯や、開咬(かいこう=歯をかみ合わせても、上下の前歯の間に隙間があいてしまう)のため、舌先がすきまから突出し、たとえば、サ行やタ行などの「舌尖音」が、「歯間音化」する可能性が出てきます。

口唇の筋力が弱くても、「出っ歯」になる可能性があります。
歯は、中から外に押しだそうとする力と、口唇の筋力によっ歯を中側に押す力との均衡によってまっすぐになります。
しかし中に押しとどめようとする力が弱いと、結果として歯が突出してしまう可能性があります。

そこで、「ボタンプル」という指導例があります。
2.2cm以上の大きさのボタンにひもを通し、ボタンを歯と口唇との間にはさみます。
そしてボタンに通した糸を外側に引っ張ってもらい、口唇に力を入れて、ボタンが引っ張り出されるのを防ぐ練習です。
ただ、ボタンでは小さすぎて、滑りやすいため、歯科衛生士さんは特別なアイテムを持参してくださいました。



IMG_0074.jpgこれはお湯につけると柔らかくなり、冷めると形状が固定される特殊な材料です。
これで口の形にぴったりあった「ボタン」の代替物になります。
穴に糸を通し、外側に引っ張ります。
目標は2kgまで耐えられることだそうです。
1kgだと弱すぎだそうです。
私は、歯科衛生士さんに引っ張ってもらいました。
なんと「1kg」しか耐えられませんでした。
これだもの、出っ歯になって当然かもしれません。




MFTのコツとして、私も勉強になったことがいくつかありました。

1 ヨーグルトを飲ませた後に、舌を見て、ヨーグルトの塊が残っていれば、舌の動きがまだ改善していない。

2 スポットの位置を知覚させるため、スティック(アイスキャンディーの棒のようなもの)で、スポットを5秒間圧迫するように刺激すると、スポットの位置を子どもは知覚しやすい。数度繰り返す。

3 MFTの全ての練習内容では、基本的にスポットに舌がついていること。

4 MFTは地味な練習なので、シールやグラフなどを用いて動機付けを図る。また、無理にやらせようとするよりも、必要性を詳しく説明して、「どうしますか?」と自己決定を促すようにすると、結果的に続けてくれる患者が多い。

5 「タングドラッグ」では、硬口蓋と軟口蓋との間ぐらいまでスライドさせる。

他にもたくさんありましたが、詳しくは以下の文献を。


IMG_0077.jpg

『舌のトレーニング』大野粛英・岡田順子・橋本律子・入江牧子 著、1998、525円(税込) 、わかば出版(写真右)
http://www.shien.co.jp/act/d.do?id=2264


 
『MFT入門‐初歩から学ぶ口腔筋機能療法』、山口 秀晴 他監修 大野 粛英 他監修、2007、わかば出版、5,985円(写真左)
http://www.7netshopping.jp/books/detail/-/accd/1102580294/subno/1


真ん中のは非売品?
実は矯正歯科の先生から頂いた文献です。たぶん頒価は高いと思います。


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