『LD研究 第21巻 第2号』 日本LD学会、2012
読み書き検査の「STRAW」を作成された宇野先生の論文がありました。
音韻抽出の苦手な子に、単語のキーワード法を用いた文字の指導に疑問を呈しています。
つまり、「さかなの『さ」」といように、単語から特定の音を抽出すること自体が苦手な子に、「さかなの 『さ』と同じように『さ」がつくことば→「さいころの『さ』」を読む、書くといった指導は、子どもの苦手な力を使った指導です。
それは避けるべきではないかということ。
文字指導ではなく、音韻抽出の練習だけならいいのでは、と思いますが、でも、音韻処理と、文字学習とを同時にねらう等のやり方は負担でしょう。むしろ得意な力を使って指導した方が、子どもにとっては楽ですね。
同様に、これを演繹すると、
・形の見分けが難しい子に、絵とひらがなを形態的にマッチングさせる指導
・その単語の意味を知らない子に、その単語を使った指導
・手先が苦手な子に、なぞらせたり、運動知覚を用いて読ませようとする指導
・短期記憶の苦手な子に、短期記憶に負荷をかけながら読ませる指導
・物語のような時系列に沿った理解が難しい子に、ストーリー性のある文字指導
etc
というところでしょうか。
子どもには結構負担なわけです。私の指導も見直したいと思いました。
でも、子どもの実態と、指導との組み合わせをちょっと替えるだけで、すばらしい指導に変わる可能性があります(笑)。
また、STRAWは、高校3年まで対応でき、RAN(Rapid Automatized Naming)によるスクリーニング検査なども含めたものにバージョンアップするとの情報もありました。大学入試との関連のことも書かれていたので、そのことも意識してのことかと。
RANは読み書きの力を予測する検査としては、有意差がかなり指摘されていますね。ただし、6~7歳では、その能力が大きく変動しやすいとの報告もあるようですが。
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