平成18年から通級対象が拡大し、言語障害、情緒障害のほか、LD,ADHD、自閉症なども通級しても良い対象に加わりました。これには現在、メリットとデメリットが出てきています。
通級妥当の判断、個別の指導計画作成の段階では、メリットとデメリット、できることと、できないことを明確に区分する必要があるように感じています。
通級はかつて、「週1時間から3時間」と決められていました。
言語障害の指導が、その時間程度での実践で成果を上げていたことに基づき、国が決めたものです。
しかし、通級対象が拡大し、LDなども対象となると、週1~3時間では足りません。
そこで上限を週8時間まで拡大したわけです。
これは、「週9時間以上」という特別支援学級の時間数と連続性を持たせるという意味もあったでしょう。
逆に、LD,ADHDは月1回でも良い、という規定も設けられました。
これは、月1回の指導で効果を上げるという意味ではなく、通常学級や家庭での取り組みを経過観察する意味合いが強いということでしょう。
週1から3時間で成果が上がると思われる指導内容
1 機能性構音障害の指導
2 言語コミュニケーションの指導
3 吃音の指導
週1~3時間では成果が上がりにくいと思われる指導内容
1 教科の補充指導、漢字、読み書きなどの直接的な学習指導
2 ADHDの行動改善を目的とした指導(効果がないとは言えませんが、主たる指導は通常学級での個別的配慮でしょう。むしろ通級では、心理面やコミュニケーション面を主にアプローチした方が良い場合が多い)
3 ビジョントレーニング
4 そのほか
「漢字が○○字書けるようになる」という壮大な目標を週1回の指導目標として掲げている例を見ますが、それが効果的なのかということと、そもそも通級の目的としてどうなのか、ということと、2つの点で疑問があります。
テストの点数を上げるために、通級指導があるわけではありません。
成績の上がり下がりに一喜一憂するよりも、その子をトータルに理解し、教育的ニーズ、指導の可能性と限界とをどのように認識しているのかが大事、ということです。
また、指導時間数自体も、指導の手立ての一つであるという認識が必要では、と思います。
逆に言えば、それだけの目標を掲げるのであれば、相当時間数を指導にあてる覚悟が、指導者自身にあるのか、ということです。またそれだけの時間を「取り出して」まで個別指導を受けさせることが、本当に子どもにとって良いのかという判断も必要です。
通級対象の拡大は結構ですが、まずはその教室の主たる対象(ことばの教室なら言語障害)の指導が専門的にできるかどうかが大事です。そのほかの対象を受け入れるには、一定の制限が設けられている(担当教員の専門性)ことも必要という「お達し」もあります。
私自身ももう一度、指導計画を見なおしてみたいと思います。
特別支援教育 ブログランキングへ
↑ 特別支援教育ブログランキング。1クリックを
***
PR