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某公立学校ことばの教室教員。公認心理師、言語聴覚士、特別支援教育士。 『クイズで学ぶことばの教室基本の「キ」』の著者。  SINCE 2000.1.1 
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機能性構音障害は言語障害とは言わない?

子ども本人ががんばっても言えなかった、
言えなくて困っていた、ある音が言えるようになりました。
それは、自然改善する可能性が低い音のタイプで、
専門的な練習でなければ改善しにくい音でした。

お母さんに報告したとき、うれしそうにお母さんに抱きつく子どもの姿を見たとき、
「この仕事をやっていてよかった」と思います。

練習によって改善する機能性構音障害は、
だから障害ではないという考え方もあります。

でもネットの書き込みを見ると、成人してからもその音が出せなくて、
悩んでいる社会人の方が多数いらっしゃいます。
ことばの教室に諸事情で通えなくて、成人してから
そのことに悩む方々です。

構音障害と言語障害。

難しいところです。

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構音指導基礎講座の内容

今日は協議会で、主に新しく通級を担当した先生を対象にした基礎講座の
講師をさせていただきました。

内容はほとんどビデオで、

1 本校の校内研修で昨年使用した「ことばの教室紹介ビデオ」
 を改編して上映(約30分)

2 「構音の指導研修DVD改訂第2版」を30分に圧縮した
 ダイジェスト版の上映(30分)

3 実際の構音指導場面のビデオ上映(約30分)

とし、合間には、ミルクせんべいを使った口腔機能訓練の実技、
タイマーを使った爆弾ゲーム(「サ」のつく単語を言う)の実技を
挟みました。

わずか90分だけで、構音指導の研修が全てできるわけではなく、
ほんのさわりだけになりましたが、電話やFAX、メールで
気軽に相談して欲しい、仲間の輪が大切というお話を
最後にさせていただきました。

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構音指導基礎講座 2 構音の発達の順序


構音の発達の順序は、個人差がとても大きいです。
下の図は、ことばの発達、構音の発達を示しています。
(かなり昔のNHKのテキストからの引用です。問題があれば削除します)

構音の発達の順序を見ると、サ、ラ、ツ、ズなどの舌先を使う音は、
年齢が上に上がってから習得することがわかります。

タ行、ダ行、ナ行も舌先を使う音ですが、
サ行のように微細に呼気のせばめを作るよりは簡単です。

パ行、バ行、マ行の口唇を使う音は早くに習得します。

人の体の運動は、中心軸から抹消に向かって発達するのと同じく、
舌先の微妙な動きも年齢が上がるとともに発達します。



(クリックで拡大)


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構音指導基礎講座 サ行とシは違う。

来年度、ことばの教室基礎研修会の講師の依頼を2本受けています。
また、個人的にも基礎的なご質問を頂いていますので、
その回答を兼ねて、少し原稿を書いてみます。
また、構音の指導研修DVDの頒布を中止していますが、
入手したいとのお声もちょうだいしていますので、
DVDの内容を一部引用、掲載する形で、ご要望に少しでもお応えしようと思いました。
よろしくお願いいたします。

では、まず サ行とシの違いについて・・・。

**********************************

「サスセソ」と「シ」は音の種類が違います。
「サスセソ」=「サ行」は、内緒の声(摩擦音)で、
「ス-」という音が元になっています。
内緒の声の「ス」に、有声音の「ア」を続けて言えば、
「ス+ア」=「サ」(子音の/s/+有声母音の/a/ =/sa/ )
となります。
同じように、
「ス+オ」=「ソ」 (子音の/s/+有声母音の/o/ =/so/ )
「ス+エ」=「セ」 (子音の/s/+有声母音の/e/ =/se/ )
「ス+ウ」=「ス」 (子音の/s/+有声母音の/w/ )=/sw/ )
(※w は正確な表記ではありませんが、ネット上の表記の制約のため)
となります。

ところが、「シ」はどうでしょうか。
「ス+イ」=「シ」
でしょうか?

いいえ、
「ス+イ」=「スィ」
です。
「シ」とは微妙に違います。


「シ」は、
「みんな静かにして!」と、内緒の声で、
口の前に一差し指を一本立てて、
「シー」という時の音に、
有声音の「イ」が続くので、
「シ」になります。

「シャシュショ」も同様です。
「シ+ア」=「シャ」
「シ+オ」=「ショ」
「シ+ウ」=「シュ」

つまり、「シ」は「シャシュショ」の仲間です。

「サスセソ」と「シシャシュショ」は、別の仲間です。
最初の声の部分、つまり子音部分が違います。
このことを以下の図で整理します。


(図はクリックで拡大。以下同様)

下のローマ字のUを反対にしたようなのは、
口蓋(お口の中の天井部分)を示しています。
上側が歯のある前方、下側がお口の奥の方向です。
緑色の矢印が、呼気の出る方向です。

点点の部分は、口蓋が舌と接している面を示しています。
空白は、舌と口蓋が接していない部分です。

/s/ つまり、サスセソの子音部分は、
呼気の抜け道が狭くなっています。
一方、シシャシュショ(右の図)では、
呼気の抜け道は、/s/ に比べて広くなっています。
広い抜け道の摩擦音を発音記号で書くと、
/s/を縦に伸ばしたような記号になります。
「ロングエス」と読みます。

この抜け道の狭さの違いが、音に違いを出す主役となります。


呼気の通り道を狭めることを「せばめ」と言います。

ザ行も同様です。
「ザズゼゾ」と、「ジ」は違う仲間です。
「ジ」は、「ジャジュジョ」の仲間だからです。

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疑わしきは、聴力検査

「聴覚的な理解が弱い」というと、
脳の特性をまず考えてしまいますが、
もっと初歩的な、きこえの問題がある場合があります。

除外判断をするために、疑わしきは聴力検査です。

学校の一斉検査の前に、通級指導時に発見することもあり、
就学時健康診断の時点で、耳鼻科をお勧めすることもあります。

聴力検査で、まず見ること。
それは耳あかがたまっていないかどうか。



うちの子も、何となく調子が悪い、
呼びかけに反応がない、
ぼうっとしていることがある。
かといって、小さな声でも反応することもある。

でもささやき声には反応がないことが多く、
耳の後ろで手指を摩擦させても反応がない。

でも、耳を押さえたり、首を振ったり、
痛がったり、熱もあるわけではない。

心理的な問題か、睡眠のリズムの問題か、
注意の配分の問題か。

いろいろな出来事があったので、原因を推測し、
見合った対応をしてきましたが、
どうも対応に不足がありそうだ。

もしかして耳の問題も併せ持つのでは?

鼻水も黄色でどろっとしてきたため、
受診したところ、
片側の耳と片側の副鼻腔のみ
炎症を起こしていました。
3か月の治療が必要と診断。


学校にも、気づかれていない子が、
「わがまま」
「育て方」
「だらしない」
と言われている場合があるのでは、
見逃しているのでは、と思います。


目の問題も。
眼科で異常なしと診断されても、
眼球運動のぎこちなさまで見てくれる
眼科はまだまだ少ないです。


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早口についてのご相談

「会話レベルでの発音のあいまいさ」についてご相談を頂きました。
以下の記事のコメント欄です。
http://kotobaroom.blog.shinobi.jp/Entry/201/

読まれた方は、是非見解をお寄せください。
私の力ではとても及びませんので・・・。

*************************

ちなみに、私自身も早口だなあと思うことがあります。
指導場面を保護者の許可を得て録画することがあるのですが。
あとで見直すと、こんな早口で子どもに話していたんだなあとびっくり。

意外と自分のことはわからないですね。
聴覚過敏があるのに気づいたのも、
この年になって初めてのことですし。

事例のお子さんについては、もう少し詳しいデータがないと
何とも言えませんが、プライバシーの問題もあるので、
頂いたデータを元に考えてみます。

相手にわかるように話すというのは、
相手の反応を読みとりながら話せるということでしょうね。
VIQ>PIQ の詳細がわからないので、断定はできませんが、
非言語的な、相手の反応の読みとりはいかがなのでしょうか。

また、会話レベルで発音があいまいになる背景に、
注意の配分の狭さがあるのでしょうか。

注意の範囲に対する私の実践例については、
このブログの「教材」でも紹介させて頂いています。

ラ行とダ行は聞き分けできるが、
6年生でも混同があるということで、
その理由を探る中にも、
早口のヒントがあるかもしれませんね。

呼気圧はどうかとか、姿勢とか、
心理的な問題はとか、
実は不明瞭な時は呼気の流れが不正だとか、
(鼻から微妙に呼気を出して代償させている)など、
いろいろ考えてしまいます。

いずれにせよ、まもなく卒業のお子さん。
できることは限られてきますね。
申し訳ない気持ち、よくわかります。
私も感じることがあります。

ただ、s先生は、
やれることはやってこられたのでは、
とも思います。

さて、他の読者の皆さんはいかがでしょうか。

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構音(発音)のための基礎となる力の一つ「吹く」

blowing1.jpg












お口は本来、飲んだり食べたりするための器官です
そこに発音という高度な機能を持たせたのが人類です。
したがって、発音以前に、
食べたり飲んだりという機能が十分でないと、
発音もうまくできない、という場合があります。

「BCSS」が大切です。
 BCSSとは、
 B;ブローイング(吹く)
 C;チューイング(噛む)
 S;サッキイング(吸う)
 S;スワロイング(飲み込む)
 
発音が不明瞭な背景に、BCSSの弱さがある場合は、
その練習を取り入れます。
今回は「ブローイング」(吹く)練習の紹介です。
この手の地味な練習では、子どもは疲れやすく、
飽きやすいです。
小休止をときどき入れながら、楽しみながら、
いかに飽きさせないかがポイントです。
 
右側のピンポン球が載っているのは、
コースがパズルになっていて、
組み合わせを替えることができます。

ブローイングには、
ソフトブローイング(弱く吹く)と
ハードブローイング(強く吹く)があります。
練習目的によって使い分けるので、
どの教材、どんな使い方が適切かを考えて使います。

たとえば、ストローを使ったシャボン玉は
ソフトブローイング、少し重めの風車は
ハードブローイングになるでしょう。

風船ガムは、噛んだり丸めたり、
できれば風船を作ったり、
舌の運動のコントロールを育てるのに
最も多く使われる教材の一つです。

ただし、BCSSだけをやっていれば
全ての構音が改善というわけでもない場合が
少なくありません。
筋トレをやっていれば、
バスケットのシュート率が上がるわけではないのと同様です。

逆に、様々な理由で直接的な構音練習は避けた方が良いと
判断される場合や、
未熟構音などBCSSが大きな要因と考えられる場合は、
BCSSをやりながら様子をみるということはあるでしょう。

言語発達やきこえ、音韻分析能力、心理面など、
総合的な評価の上で、どんな指導内容が適切かを判断します。

構音指導は、「訓練」ではなく「遊び」、「楽しみ」になるように。
「この人に伝えたい」という気持ちになって、
ことばは初めて使うものなのでしょう。

言語聴覚士の臨床実習が終わり、ほっとしているところです。
いつの年も、実習生は「訓練」という用語をよく日誌に書いてきます。
私は、まずそのとらえ方を変えて頂くために、
「訓練」ということばを使わないように指導しています。
もちろん、学校教育上も「養護・訓練」から「自立活動」に
変わっているということもありますが、意図はもっと深いものです。

医療サイドではSTは「訓練」、「リハビリテーション」の領域に
位置づけられるでしょうから、当然の用語ではあります。

だから「訓練」は間違いとか正しいとかではなく、
ことばを考えることで、
STの前提をとらえ返すきっかけとなることを願っています。

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『改訂 機能性構音障害』

本間 慎治著、2000初版、2008改訂版第2刷、建帛社

機能性構音障害について、入門的な知識を学ぶのに最適な一冊と思います。
改訂版が出ていたのですね。

初版本と比較し、音韻発達に関する基礎知識、
知的障害、自閉症、ADHDを併せ有する方の
構音指導事例を加えたようです。
少しですが。

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構音指導で気をつけること16 側音化構音

久しぶりに、このシリーズです。

側音化の指導の際、「口角」が話題になります。
つまり、左右のうち片方の口角を引く場合がある、
これをどうするか、ということです。


『側音化構音の指導研究』(涌井 豊著、1996年、学苑社)には
こう書いてあります。
「口唇の偏位を改善した後で舌の脱力・安定を図る」(p61)

一方、『構音障害の臨床』(阿部 雅子著、2003年、金原出版)には
こう書いてあります。
「口唇や下顎の横への動きを抑制したり、引かれている口角や頬部を押さえたりしても根本的な改善にはならない。」
「まず舌の不自然な力を抜くこと、つまり舌の脱力が重要である。」(p70)

この2つの文献を読み比べると、研修が深まるように思います。


「左側の口角を引くので、右側も引けば、舌の偏位も改善する」
という話も聞きます。
しかし、口角を緊張させれば舌も緊張しやすいです。

側音化構音は、
舌の左右の偏位の問題より、盛り上がりが問題の焦点です。
左右の口角を引いても、盛り上がりは改善しません。

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構音指導で気をつけること15

日本語東京語の「ウ」は唇をとがらせません。(丸くしません)
よく、「ウ」の練習をする際、「唇をとがらせなければならない」という指導を見受けますが、
干支で「ネ、ウシ、トラ、ウ」と言った場合、唇がほとんどとがらないことがわかります。

唇を円唇化させる「ウ」は、/u/と書きます。
発音記号では、日本語の「ウ」は・・・。
(ネットの文字では正確に表記できないので、正確には、こちらを参照)
「国際音声字母」の「母音」を参照
http://coelang.tufs.ac.jp/ipa/


唇は自然にしておいて、むしろ、舌の奥の方と、口蓋との距離が問題です。
同じ奥舌系である「オ」から誘導するのがよいでしょう。
たとえば「歯をカチンコンしながら、オーと言ってごらん」など。

そしてそのとき、舌が口蓋に密着し、呼気が側方から漏れていないかを確認することは大切です。
「側音化」は、い列音だけでなく、まれに「ウ」にも見られることがあるからです。
「ウ」が側音化したまま、ほかのウ段の音を練習してしまうと、大変なことになります。

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構音指導で気をつけること14

単音では正音が出せるのに、単語や会話になるとどうしても・・・という場合があります。
背景としてある音韻意識の発達を正確に評価することが大切です。
一般に、音韻意識の発達は以下の通りです。

4歳後半:音韻分解、語頭音、語尾音の抽出
5歳前後:語中音の抽出  「あたま」 ○△□なら、△は何?
5歳後半:しりとり、2モーラ語の逆唱  例)うし → しう
6歳前半:逆唱 3モーラの語を語尾から逆に言う  例)あたま → またあ
       モーラ削除 2〜3モーラの語からある音を抜いて言う 例)あたま→あま

また、聴覚的短期記憶の評価も必要です。
たとえば、
・WISC-?の数唱(順唱、逆唱)
・K-ABCの数唱、語の配列
・無意味音節(非語)の復唱

ただし、「○歳だから、これができなければならない」ということでなく、この子にとって、今どんな教育的ニーズがあるのか、構音との関係はどうなのかを知るため観点としてとらえる必要があります。

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構音指導で気をつけること13

構音検査の際、子どもとのラポートなど条件が整えば、舌の動きをライトで照らして見ることが大切です。
ペンライトは百均のものでもよいのですが、「LED」と言われる発行ダイオードを使ったライトは便利です。光の拡散の仕方が狭いので、ねらったところを確実に、しかも明るく照らし出せます。(大手量販店で600円で買いました)
いわゆる「舌お皿」(舌平ら)ができている時は、奥舌も平らでなければなりません。
つまり奥の口蓋垂(のどちんこ)が見えなければなりません。

舌背の位置には、たとえば以下のような名前がついています。
舌の前の方1cm程度で動きが自由なのが、「舌端」、その後ろが「中舌」、その奥は「奥舌」です。
サ行、ザ行、タ行、ダ行、ナ行、ラ行は、舌端の動きが重要ですが、舌端が口蓋に密着したまま、中舌の舌縁(舌のへりの部分)から呼気が漏れて出れば、側音化構音となります。
カ行、ガ行は、奥舌を軟口蓋に密着させ、呼気をいったん閉鎖して、破裂させることで音が作られます。
このように舌の動きを映像で理解し、自分の舌も動かしてみて体感し、理解してから検査に臨むことが大切です。

Image1.jpg


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構音指導で気をつけること12

構音指導には、たとえば以下の方法があります。

1 聴覚刺激法
→正しい音を聞かせて、正しい音を模倣させる方法。

2 キーワード法
→ある単語では正しい音が出せる場合に、その単語を使って正音を導く方法。
たとえば、普段「し」は正音が出せないが、「もやし」という単語の時だけは正しい「し」が出せる場合、「もや」をささやき声で、「し」を通常の声で言い、次に「もや」は言ったつもりで「し」だけを言う、最終的には「し」だけを取り出すという方法。

3 漸次接近法
→誤った音を少しずつ正しい音に近づける方法。
たとえば、「シ」が一貫して「チ」に置き換わっている場合、「チー」と囁き声で言い、徐々に「t」 を弱く、摩擦音を強くすることで、最終的に「シ」に近づけ安定させる方法。

4 他の音を変える方法
→たとえば、「キ」が側音化し、鼻濁音の「ギ」が正音の場合、鼻をつまんで「ギ」と言わせることで「キ」を獲得する方法。

5 構音点位置づけ法
→たとえば「カ」は、奥舌を挙げてお口の天井部分につけ、破裂させる、などと模型などを使って説明して獲得させる方法。


これらの方法を実際には子どもの実態に応じて選択したり併用したりします。
ただ一般には、5は子どもにとって難しく、かえって変な癖をつけてしまったり、1,2,3では、聴覚的な弁別力が背景にないと難しいかもしれません。

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構音指導で気をつけること11

大きな声ではっきりと「あいうえお表」を読みましょう、というような指導は、構音指導ではありません。
指導の効率性を考え、子どもの構音の実態に合わせ、指導のねらい、方法を十分検討した上での指導が大切です。
正しい音を聞かせても正音がすぐには出せない子に、真似をして言わせる練習を繰り返すだけというのも、構音指導ではありません。
被刺激性(正音を聞かせると、正しい音が出る)がないのに、真似させるというのは、子どもの負担を増やすだけです。また、誤った音を繰り返させるのは、誤音をかえって固定化させることにもなります。
まずは聞き分け練習、語音弁別力の育成が必要でしょう。


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構音指導で気をつけること10

構音指導を開始する前には、アセスメント、特に情報収集をしっかり行うことが大切です。
必要な情報の収集については、たとえば以下の内容が考えられます。

・主訴(いつから。気づいた人。どの音。支障の程度。相手や条件によって変わるか等)
・家族構成、家族状況(本児の生年月日、学校・学年など)
・生育歴(母子手帳、1歳半健診、3歳児健診、就学時健診等の健診、検査、医学的情報等)
・教育歴
・行動、社会性、言語、コミュニケーション
・運動面(粗大運動、巧緻運動、口腔機能(食事、よだれなど))
・学力
・基本的生活習慣
・得意なこと、興味
・在籍校(園)の校内体制

上記は、構音指導のためだけでなく、他の様々な主訴に対しても必要です。
大切なのは、「必要な情報を聞き漏らさない」ことです。

構音障害は、聴覚障害や知的障害、発達障害、脳性麻痺、事故、場合によっては言語環境等によっても起こるため、情報収集の仕方次第で、指導のあり方が変わる可能性があります。

指導を進めるうちに新しい情報が入ることも少なくありませんが、初めに知っておけばよかった、と思うこともあります。


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構音指導で気をつけること9

狭い指導室で一対一なのですから、子どもには誉めることを中心に接したいものです。
子どもを怒鳴りつけながら発音の「トレーニング」をしているとすれば、子どもの心を著しく傷つけるだけでなく、通ってくる動機も失うことになるでしょう。
そして誉めるのにも、ねらいと技術が必要です。
単に子どものご機嫌をとるために誉めるのではありません。


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構音指導で気をつけること8

ある音が出せない場合に、「構音類似運動検査」(日本聴能言語士協会・日本音声言語医学会)という検査を行う場合があります。
たとえば「フ」が発音できない場合に、両唇で摩擦させる動作、つまり検査者の手に向かって息を吹きかけるとか、カ行、ガ行が発音できない場合に、奥舌を挙上させる動作、たとえば口を大きく開けながら「んんん」と言ってみるなどです。

よく、舌を口角の左右につけられるかとか、舌打ちができるか、という検査をして、「だからサ行が発音しにくい」などと結論する話を聞くことがあります。それはそれで、舌運動の巧緻性を把握するには意義のある情報でしょう。ただ、出せない音に類似した動作がどうなのかが、指導の手だてを考える上でもっとも有効な情報ではないでしょうか。
舌打ちが何秒以内に何回できたか、など細かに表にする例も見ますが、類似動作の結果がまずは大切な情報であるように思います。

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構音指導で気をつけること7

正音が単音で出せるようになっても、単語や文、会話にはなかなか般化しないことがあります。
その背景として、音の分析能力が定着していない場合があります。
たとえば、「た」について練習する際、「たまご」の「た」は語頭(単語の初め)、「かたき」の「た」は語中(真ん中)、「サンタ」の「タ」は、語尾(単語の最後)というように、単語のどの位置につくかを特定する練習(語内位置弁別)が有効かもしれません。

音の分析の練習は他に、
・音削除(「たまご」から「た」をとったら何?)
・音付加(「まご」の最初に「た」をつけたら何?)
・抽出(「た」が聞こえたらボタンを押してね。)
・正誤弁別(「たまご」→「かまご」合っているかな?)

などが考えられます。

一番楽しめるのは、しりとり遊びかもしれません。

上記の練習を行っても、どうしても改善しにくい場合で、視覚的に優位なお子さんの場合に、次のような指導が有効なことがありました。
紙テープにひらがなをランダムに書き並べておき、そのテープを狭いスリットを通してスライドさせると、スリットにはひらがなが次々と現れては消えます。「た」が見えたらすぐボタンを押す、という練習をしたところ、結果として、音の分析にも好影響を与え、正音がうそのように般化しました。
認知特性を生かした指導がヒットした例です。
言語障害の指導と言っても、LDの指導と内容が類似、関連している例は少なくありません。にほんブログ村 教育ブログ 特別支援教育へ
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構音指導で気をつけること6

その子に、今構音指導を行うことが妥当かどうかの判断は重要です。

・話すことや人と関わることに不安や恐怖心を感じている。
・指導担当者と信頼関係ができていない。
・ラ行がダ行に置き換わっているが、正音の場合もある。会話の明瞭度に問題はなく、本人も周囲も困っておらず、加齢とともに、自然に構音の獲得が見込まれる場合。

たとえばこれらの状況では、構音指導を今すぐ始めるのは妥当ではない可能性があります。

その子の生活全体をトータルにとらえた中で、指導内容を決めることが大切です。

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構音指導で気をつけること5

側音化構音や口蓋化構音の練習の際、「この音は正しいか間違っているか」を判断する「正誤弁別」にはあまり時間をかけすぎないことが重要です。
かつて、「自分の音の違いがわからないと通級をやめたがるから、弁別に力を入れるべきだ」という考え方がありました。
しかし、歪み音は特に低学年には聞き分けが難しく、弁別に時間をかけすぎるあまり、気づいたら子どもが卒業、ということにもなりかねません。
正誤弁別は、単音で正音が出せるようになってからが望ましく、また時間をかけすぎないことです。舌を出して、側音化なら呼気を正中から出す練習を積み上げた方が良いです。
通級の動機付けは、別のことでやった方が良いでしょう。

もちろん、語内位置弁別(単語のどの位置にその音があるかを特定する)などは、歪みであろうが、置き換えであろうが、音韻意識の弱い子にはやっておいた方がよいでしょう。


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構音指導で気をつけること4

たとえば、「キ」の音が歪んでいるがどう指導したらよいかを考える時、「ギ」などの他のイ列(イ段)音、「ケ」「ク」などは正しい音なのかを知っておく必要があります。それらを利用できないかを検討するためです。
「サ行」が「タ行」に置き換わる時、他の舌先を使う音がどうなのか。カ行の指導の際、ガ行はどうかなどの情報もたとえば必要です。
このように、ある音の指導方針を立てるためには、他の全ての音がどうなのかも調べて、整理しておくことが大切です。
それぞれの音が単音レベル、無意味音節レベル、単語レベル、文レベル、自由会話レベルでどうなのか、一覧表にしておくと良いでしょう。
まとめた結果、初めに指導すべき音の判断は、全く別になる可能性もあります。にほんブログ村 教育ブログ 特別支援教育へ
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構音訓練のためのドリルブック 改訂第2版

「構音訓練のためのドリルブック 改訂第2版」が
発売になっていたことを実習生から教えて頂きました。

http://www.7andy.jp/books/detail?accd=31745682

載っている単語や文章に、より改良が加えられていました。
著者も第一線の方々ばかりです。

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