ハンドルネーム ya
某公立学校通級指導教室担当教員
言語聴覚士
特別支援教育士(S.E.N.S)
性別 男
■メールはこちら
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
子どもの歯の治療、フッ素の塗布に付き添いました。
歯医者さんでは泣くことが多かったのに、
今回は泣きませんでした。
子どもの歯科治療について、地域の評判が良い、
某歯医者さんの接し方がすばらしかったからでしょう。
従来、泣く子を無理矢理診察台に載せ、
泣いても「大丈夫だよ」という励ましで、
何とかがんばらせていましたが、今回は違いました。
1
診察台に座るところから、スモールステップの行動目標としている。
→「ここにすわってみようか」と促す。
しぶる子どもには、あくまでもやさしい促しだけで、
物理的に引っ張ったりはしない。
しぶるので、私も一緒に座って良いか尋ねると、
「一緒に座っていいですよ」と柔軟な対応。
その後も、子どものスモールステップの行動目標を設定していることが、
雰囲気からよくわかりました。
2
診察台にDVDが置いてあり、好きなDVDを選んで、
見ながら治療が受けられる。
→緊張緩和に一定の効果。
3
使う器具一つ一つを見せて説明し、子どもが納得してから治療する。
→次に何をするのかを視覚的に提示することで、
不安感を解消しようとする試みですね。
子どもが拒否しているときは、絶対に無理をしない、強制しない姿勢でした。
4
治療を嫌がった時は、その理由を検索し、柔軟な対応をしている。
→治療の途中でも、
「疲れた? じゃあ少し休もうか」と言って背もたれをあげる。
ことばの教室でも、練習中に子どもが多動になったり、嫌になってきたときは、
「疲れた?」と必ず聞き、小休憩を入れるようにしていますが、
同じ対応が歯科で見ることができるとは驚きでした。
保険点数に直接影響するでしょうに、
時間に余裕がないと、なかなかできないことでしょう。
5
保護者の対応に柔軟に合わせる歯科衛生士
→ 最後の仕上げでどうしても拒否した子ども。
万策尽きて、親にしか出せない強化刺激のカードを切って欲しいという雰囲気を感じた私は、
「最後までがんばったら、○○のお祭りに連れて行ってあげる」
と言ってみました、
これは効果がありましたが、歯科衛生士は
その強化刺激の提示に歩調を合わせてくれました。
ただ、「お口を開けて」の指示にわずかに口を開けた反応に対して
すかさずほめることで、強化されたはずなのに、というシーンがありました。
また、「治療拒否」なのか「意思表示への抵抗」なのかの鑑別が、
歯科衛生士さんは見抜けない場面もありました。
しかし、それはその子にずっとつきあっている私だからわかることで、
初対面の方にはわかるはずもありません。
それどころか、初めの問診の段階で、
これまでの別の歯医者さんでの子どもの反応を細かく尋ね、
経過をアセスメントする姿勢はすばらしいものでした。
全体としては、
小児歯科治療の専門家である歯科医師、衛生士と、
その子の専門家である私の良いコラボレーションができました。
スペシャリストと、ジェネラリストの協調ですね。
字義通りの意味
「おなかいたい」
言外の意味
「私のそばにいて。離れないで」
「本当は今は痛くないけど、ときどき痛くなるのをわかってほしい」
「本当は幼稚園(学校)に行きたいのに」
「本当は遊びたかったのに」
「本当はご飯が食べたかったのに」
「いつ治るのか、痛いのが終わるのか不安」
「おなかいたい」を大声で泣かれて言われ続け、
療育者側も精神的な負担に。
自分を責める気持ち、人を責める気持ちを抑えて、
子どもために何が必要か、常に粛々と前向きに考える。
「いたいねえ」「必ず治るからね」と声をかけながら、
お腹をやさしくなで続けてあげると、
不思議と訴えなくなり、
いつのまに眠りに落ちているのでした。
私は最近、各発表場面で、発表内容をビデオにしてしまって、
当日上映するという手法をよく用います。
理由は
1)予め言いたいことをまとめて録音しておくことで、
言い落としや、話題の脱線、早口を防ぐことができる。
2)録音した内容を自分で聞いてみることで、
内容の正確さ、妥当性などを検証し、録音し直せること。
3)万が一、発表の都合が悪くなっても、
主催者に録画したDVDだけ渡しておけば何となる。
また、似たような発表依頼を他から受けた場合でも対応しやすい。
作り方は、
1)まずパワーポイントを作成する。
2)パワーポイントの説明音声を画面ごとに録音する。
3)パワーポイントの画面をハードコピー(画面まるごとを画像ファイルとして保存)
4)ムービーメーカーを用いて画像と音声を編集する。
5)DVDに焼く!
ちょっと面倒ですが、慣れると簡単です。
「構音の指導研修DVD」もこの方法で作成しています。
さて、ことばの教室での実践を校内で発表する機会を得て3年目。
今年は私が担当することになりました。
ことばの教室では何をやっているのかイメージがつかみにくい、
というのが通常学級などの先生方の実態だと思います。
また、今年は実際の指導内容を示して欲しいという要望が出ていました。
したがって、今回は指導場面のビデオをできるだけ取り入れることにしました。
ことばで説明するよりはるかにイメージしやすいはずです。
通常学級の先生方との連携は、実際の指導を見て頂くのが
実は一番有効なのではないかと思っています。
ビデオの内容は、最近ブログに掲載した教材を用いた場面が中心です。
全部で35分。
第1部として実際の指導場面を、
第2部として通級児童の各種統計を提示しながら、
今後の課題を述べています。
このビデオは、「言語発達の指導研修DVD」に発展させることも意図しています。
教室の先生方の決済て、承認を得て本番に臨む予定です。
「子どもと言えば、青い空が似合う」と考えがちです。
しかし、子どもにとっての空は、
いつもこの瞬間も変わっていて、
高さはいつも新しい。
子どもは、世界との折れ合いの付け方を
日々調整して生きているのですね。
「この絵本はこんな本だから、この読み方がふさわしい」
と外側から決められることではなく、
あなたと私の中でこの瞬間にどんなものが誕生するか、
どんな世界が見えるのかを感じながら作り合っていきたい。
それが「読み聞かせ」ではなく、「読み合い」
という主旨のご講演でした。
私は感動とともに、「これだ」と思いました。
国語の教科書に出てくる物語文を読解する力は、確かに大切です。
しかし、それだけでは何か違う、と私はずっと思っていました。
今回の講演で、その違和感の正体をついにつかんだ、という感じです。
先生が絵本を読まれると、同じ本でもまったく違う本のように
おもしろく感じるのが、魔法にさえ感じました。
先生は会話でも、相手の反応をよく見ておられるのを感じました。
その場、その瞬間に感じ取れるものを大切にされているのだなと。
***********
私を励ましてくださったのは、同じ職種の方々もそうですが、
実は親御さんもでした。
がんばってよかったと思いました。
親の会をもう何十年も支えてくださった方々が、
引退を公式に表明され、これからの親の会の方向性も話題になりました。
今後は、ことばの親の会だけで続けるのは、
時代の流れからみて難しい。
他の親の会等の団体と連携を深めることが必要だと指摘がありました。
きっとそうだろうなと、私も思いました。
******************************
専門家だからとか、親だからとか、先生だから、とか、
確かに立場もあるし、考え方の違いもあるけれど、
その地下茎で確かにつながっているものがある。
何か引き合うものがある。
何か懐かしいものがある。
それらが立場の違いを超えて存在していることが感じられたとき、
私の心の傷は癒えていたのでした。
先生である前に、親である前に、専門家である前に、
この世で出会うことができた「人間同士」なんだなと。
今日は休日。
久しぶりに身体のメンテナンスを受けてきました。
数年ぶりに訪れたその場所では、先生が私の顔も見るなり、
「初めての人じゃないですよね」と。
私を覚えていてくれたのでした。
しかし、寝ている私の頭の方に座った先生は、ぼそっと一言。
「白髪増えましたね!」
がーん。
くやしいけどその通り。
年を取ったなあ。
「先生も、○○○ですね」、などとは言わなかったですが。(^.^;
久しぶりに会ったといえば、もうかなり前に通っていたお子さんの
お母さんに、最近何人も、立て続けに、偶然街で会いました。
偶然がよく重なるので、
私は何か振り返ることを運命は求めているのかな、
とさえ感じました。
「お久しぶりですね」
「お元気ですか」
「お子さんどうですか」
内容は書けませんが、それぞれの展開を見せているようです。
でも思ったことは、
当時のお子さんの姿は、当時の周辺の状況との関係性を
前提としているのだなあと。
時間がたち、子ども本人の成長による変化も当然ありますが、
生活の枠組み、前提自体が変わり、
関係の中で子どもも変わる部分がある。
周囲の本人への評価の観点も変わっていくでしょう。
当時できなかったことは、今となってはそれほどの
問題ではない、ということも多い。
逆もありますが、前者の方が多いかも。
そこで改めて思ったことをいくつか。
1 指導者は、その時だけを見ていてはいけない。
10年後、20年後の姿を思いながら。
2 できないことをつっつくよりも、できることを伸ばした方が
予後は、できないことをできることでカバーできるんだな。
3 そんなに焦らないで、もっとゆっくり考えてもいい。
最近、特別支援教育について、
集団への帰属に重きをおく文脈が
強まってきている感じがするのは、私だけでしょうか。
「もっとがんばれ、もっとがんばれ」
「さもないと、世の中についていけないよ」、と。
一面それは事実だし、世の中の流れを無視して教育はなり立たない。
ただ私は思うのです。
特別支援教育にしろ何にしろ、
すばらしい技術や理念、言い回しがあったとしても、
それを
「本人がどう感じるのか」
の視点が一番大事なのではないか、と。
訓練のための訓練。
それもいいのかもしれないけど、
その子のQOL(生活の質)を高めるために教育はある、
平たく言うと、
「本人がそれによって楽しいと感じるのかどうか」
なのではないかと。
「楽しい」、だけでなく
「感動した」とか、
「うれしい」とか、
「役に立った」とか。
確かに、本人がいやがっても、やらせなければならないことはあります。
ただ、将来身につけさせるべきかどうかという視点は、
単にお勉強の成績とか行動だけではなくて、
「楽しい日々の積み重ねによる、心の将来への投資」
という視点も大事なのでしょう。
将来の幸せが人生の一部なら、
「今」の幸せも人生の一部なのですから。
LDの心理的疑似体験プログラム。
確かに広く普及しましたが、
自戒を込めて言うなら、
「のど元すぎれば」なんとやら。
定期的に体験し直すのもいいかもしれないですね。
本人がどれだけ苦しんでいるのかを、「内側から」理解する。
この原点にもう一度立ち返る必要があるのでは。
最近、そんなことを感じるのです。
NHK学校放送の『みてハッスル、きいてハッスル』の中の
ソーシャルスキルのコーナーが、本とDVDになって出ました。
『DVDブック どうする?ゆうきくん』NHK編、2008年2月
学校予算で買ってもらいました。
DVDは映像でわかりやすいのはもちろんですが、
的確な発問が含まれたワークシートや、ぺープサートも
添付されていて、すぐに使えます。
各課題についての解説も的確だと感じました。
ソーシャルスキルは、単に映像を見せれば身に付くものでなく、
実際にやってみる(ロールプレイング)ことや、応用行動分析等を
組み合わせて行うことが大切だと思います。
そうした観点も解説には入っているので、納得です。
***
さて、話が逸れますが、
高機能自閉症(アスペルガー症候群)のある子どもの中には、
人付き合いの上で、たとえば以下の失敗が多いことがあります。
*************************
・相手のことばや行動の意図が読めない
(したがって、自分は被害者だと誤解しやすい)
・相手が嫌がる、傷つくことばを平気で言う
・前後の文脈に関係なくただ自分の言いたいことだけ話す
・一方的に話し、他人の話が聞けない
・他人の会話や、何かやっている最中に割り込む
・言葉の前提条件がぬけるので、何を話しているのか人にわかりづらい
などなど
*************************
単なる「わがまま」、「自己中」と思われがちですが、
実は上記のことが原因で、人付き合いがうまくいかないわけです。
本人にとっては、わけがわからないのに人に責められて、
つらいのではないでしょうか。周りの人もつらいです。
たとえば、ゲームなどに負けそうになると、すぐ「やめた」と言って
周りから責められる。
責められた本人は、その意味がわからず、逆切れして相手を責める・・・。
原因を探り、場面の状況を解説してあげたり、練習をして、
日常生活で失敗体験を積み重ねないようにするには、
他人の支援が必要と思います。
自分はどういうことが苦手で、どうしたらいいか、という自己理解も。
「自分は普通でないと感じていたが、その原因がわかって安心した」
梅永、2004、「診断を下されてよかった理由」より。
実は私自身も、診断名をくだされたことはないけれど、
この道に入って、このことを知って、安心した部分があります。
ただ、大人になってからでは、就職してもその後、
結婚してもその後が問題になってきます。
学校教育のうちに・・・と思うのです。