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某公立学校ことばの教室教員。公認心理師、言語聴覚士、特別支援教育士。 『クイズで学ぶことばの教室基本の「キ」』の著者。  SINCE 2000.1.1 
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本人に聞く

担任や管理職、専門職の方々に意見を聞いて頂いているようなのですが、
肝心の本人に意見を聞いていないとすれば・・・。

そのような支援、配慮を本人が必要としているのか、
逆に一段と強い支援を本当は必要としているのか。

本人に意見表明の能力があって、自分で自分のことを有る程度
とらえられないと難しいかもしれませんが、
明らかに本人に聞いた方がよいと思われるケースがあります。
ことばの教室では本音を話してくれたりします。
それを在籍校にフィードバックはしてみるのですが・・・。

よかれと思っていることでも、
だれのための特別支援教育なのかを。

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人生経験だけでは、通級指導の担当はできない

・場面緘黙のある子に、「家では話せるのに、どうして学校では話せないのだと思う?」と問う。
・難聴のある子に、一音ずつ区切って、大声で話しかける。
・イ列音が一貫して歪みのある子に、正音をひたすら聞かせて、正しく発音させようとする・・・。

これらは全て誤った対応です。
基礎知識があれば、回避できる誤りです。

通級を初めて担当する先生に、「知識を学ぶより、人生経験を積め」とアドバイスする「ベテラン」がおられるようですが・・・。

確かに教師に人生経験は大切です。
豊かな人生を経験した方が、もしかすると、若いときに悪さをいっぱいした先生の方が、深み、幅があっていい、と感じることが多々あります。

しかし、人生経験だけでは、上記のような誤った対応は防げません。

知識と技術も、人生経験と同じように大切なのです。

だから、新人への基礎研修は、ベテランの先生が保障しなければなりません。


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ことばの教室担当資格認定協会

教育相談の進め方で、適切なのはどれか。

1.構音障害が主訴の場合は、乳幼児期などの生育歴情報は必ずしも必要ない。

2.保護者の心配が過剰な場合は、「心配ありません」と否定して終わる。

3.調査票で「こだわりが強い」に○がついているときは、「それはたとえばどのよう
なことですか?」と掘り下げて質問してみる。

4.時間的、物理的に通級が不可能であっても、まずは通級を勧める。

5.検査が終わっていなくても、保護者にはとりあえず具体的な教材名を伝える。

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「表現力」の前に「自分の気持ちを知る」

ことばの教室だから、言語表現力をのばす、という方向へ行きがちですが。

困ったときに人に伝えられないから、伝えられる練習をの前に、
自分はどう感じたのか、その気持ちのやりとりが大事。

お母さんをぎゅっと抱きしめるなら、その表現力をこそとりあげるべき。

子どもが「言うべきセリフ」の意図的な代弁は、プレッシャーを与えることにも。

表現できないということは、プラスに言えば、リスク管理ができているということ。
じっと観察する力があるということ。

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校務の効率化

この一年で、校務に対して思い切った合理化を進めました。

1 パソコンのデータをUSB外付けハードディスクから、ネットワーク上のハードディスクへ一元化(新規購入し、ことばの教室の先生しかアクセスできない設定に)

2 各種公文書を種類ごとに綴じ込むのでなく、子どもの指導記録などと一緒に綴じ込む。
子どもごとに、各情報が集約されるようにした。
(あとから、この子どんな子だったか、となったときに、各種文書ファイルに散らばっているのでは、情報として使えないわけです)

3 補欠授業の積極的なお断り
 ことばの教室担当者の本務は、通級指導です。
 スキー授業の補助や、欠勤した先生の補欠授業の声かけが、まず教室に来る体制に大変驚きました。通級担当は補欠要員ではありません。
 ことばの教室を休みにするときは、通常学級の先生が補欠に入ってくれるのでしょうか?
 逆はできないのに、本務をないがしろにしてまで、補欠を受けること自体、通級する子の学習権を侵していることに他なりません。
 通級指導の「空き時間」は今やほとんどありません。
 あったとしても、担当ケースの子どもについて資料を読み返したり、専門書に当たる時間、先輩教師の指導を見る時間とする、保護者と面談する時間にあてるなど、通級の本務に関する業務を行う時間とすべきです。


今後の効率化

1 指導時間数の自動計算
 今日ほど、通級指導時間の確保が教育行政から厳しくチェックされる時代はありませんでした。
 その記録をとり、データを管理するだけでも、膨大な作業になります。
 少しでも事務の負担を軽減するため、効率化をめざします。
 (休日なのに、その作成に当たっています。ほかの先生を楽にするために、私は休日をつぶすというのはどういう矛盾? でも一度作れば、何年でも使えます)

2 係分担の効率化
 この業務はいいことだ、とばかりに、付け足し付け足しで肥大化したのが、これまでの係分担でした。一年たって、結局全体としてどれだけの係があったのか把握しきれないまま終わりました。もっとシンプルに、内容的に関連している係は統合するなどしてすっきりさせました。

3 教室運営計画を子ども目線で
 校長以下、指示命令系統のフローチャートではなく、子どもを中心としたフローチャートへ。
 「運営方針」だのお題目は不要であり、それよりも、「教育相談へのつながり方、進め方」「通級妥当、終了の判断基準」など、「使える教室経営要項」を目指します。


  

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タブレット技術もさることながら、教育学的にもよくできている

某民間のタブレット教材をあるご家庭から見せて頂きました。

ひらがなの書字では、フリーのアプリと比べて、確かに、運筆の動きを正確に評価しています。
課題もよく分析されていて、スモールステップを丁寧に組んでいます。
認知心理学的、運動力学的な視点でよく作り込んでいます。

LD、ADHD等の子どもにも確かに楽しんで勉強できるに違いありません。

ただ感心したのは技術だけではありません。

1 決して「×」をつけない。
→課題の達成度は4段階評価になっていて、最高が花丸、最低は「×」ではなく、キャラクターの澄まし顔。決して否定的な評価をしていません。また、達成できなかった課題は、繰り返しチャレンジできるようになっています。

2 電源を入れただけでほめられる
→ADHDの子に、「ちゃんと座りなさい」としつこく指示する前に、ちょっと座れただけでもほめる、という教科書的な関わりがありますが、まさにそれです。
まだ課題を始めていないのに、取り組み姿勢を見せただけでほめられるのです。
その後も、次々とほめられます。応用行動分析の連続的即時強化です。

3 取り組み状況がメールで送られる。
→今日の取り組み時間、課題達成の状況などがデータで送られてきます。
夜忙しい保護者も、メールで子どもの様子がわかり、メールでやりとりすることもできます。
時代をうまくとらえています。

4 ネーミングが子どもの感性をよく研究している
「学校」のことを「学校さん」と名付けて、擬人化して登場させています。
入学を控えた子どもの不安が一気にゆるむかのようです。


かなり学問的に練られて作り上げられていると感じます。
公的機関は危機ですね。
タブレットの学校普及率はまだまだ。
独自に購入しようとしたら、決まりがあって買うこともできない。
だから、教師が個人で買って学校で使っている例も多いのです。
私もその一人です。

外国では、今や知能検査もタブレットでする時代なのですが。

そして、一人で教材研究して作ることに、むなしささえ感じました。
でもアナログはアナログで大事です。
リアルに大人にほめてもらえる体験が得られにくくなっている代償として、タブレットなり、メールなりが台頭してきているという面も。






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「ごっこ遊び」は、人生経験だけでできるものではない。遊びには技術も必要

「ただ遊んでいるだけ」
と、ことばの教室の指導を揶揄する論調が見られることがありますが。

指導場面のビデオを見て、
子どもの反応と教室の関わりの視点についての説明を受け、
もう一度、同じビデオを見ると、

2回目には全く違うビデオを見ているかのように感じた
という感想が見られることがあります。


ごっご遊びの中で、さりげなく支援者は、
子どもの気持ちや行動を言語化して返してあげたり、
子どもの遊びの世界に入り込んで、双方向のコミュニケーションを育てようとしたり、
プラレールに少しずつ大人の視点を入れていって、社会性の参照と模倣につなげたり。
(たとえば、列車を走らせて終わりだった遊びから、切符を買い、改札を通ってなどの「やりとり」に発展させていく。お金を登場させれば、数概念の指導にも)

子どもの行動の裏の意図を細かくとらえて返す力量が支援者には必要です。

漫才のように、子どもの行動につっこみを入れて、支援者がひとりで喜んでいる指導を見ることがありますが、これは遊びでも何でもない。
支援者の自己満足にすぎません。

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今年度一年を振り返って

今年度一年を振り返って


赴任一年目ではありましたが、従来の考え方、やり方について改革を提案、実施してきました。


1 教育相談のあり方の改変
(1)アセスメント情報の収集のあり方について
→発音が主訴だから発音だけ検査するのでなく、生まれてから今までの生育歴、学校生活の様子、幼稚園、保育園の引き継ぎ情報など、多面的、総合的に見立てる。
「行動観察、生育歴、標準化された検査」の3つ


(2)教育的判断の根拠の明確化
→アセスメント情報を総合的に判断し、おおよその支援の方向性を教育的に判断。
障害種は国が定める通級対象と照らし合わせ、科学的根拠に基づく判断へ。
教室独自の判断基準の廃止。
もちろん、国が定める基準通りにやるということだけではなく、障害の教育的判断にどんな根拠があるのかを明確にすること


(3)ことばの相談と就学相談との連携の強化


(4)教育相談報告様式の改変
→箇条書き的見立てから、論述的見立てへ


(5)マニュアル的自由会話から、その時、その場、面接者と子どもとの呼吸に合わせた自由会話へ


2 指導の改変
(1)マニュアル主義から、子ども一人一人の違いに合わせた指導へ
→コミュニケーションが苦手だから、SST、という本に書いてあることではなく、関わり合い、子どもの反応から読みとることへ。


(2)無根拠な指導から、科学的根拠に基づく指導へ


(3)言語発達遅滞のとらえ方。表出言語ではなく、内言語へこそ注目へ。


3 就学相談のあり方についての改変提案


4 保護者との連携強化
→子どもが何年も通っていて、今年初めて親が教室に入りました、という親御さんが何人も。
 特に参観日など、保護者が来校しやすい日時に来て頂く等の工夫。
→個別の指導計画を保護者と話し合い、指導の方向性について共通理解に立とうとしてきました。

***


これらの取り組みの結果かどうかは別として、今年度、


教育相談件数は昨年の2倍強。(もうすぐ3倍に)


就学時健診、就学相談と、ことばの相談との連携、情報交流により、より適切な就学相談へ


定期に通う通級児童の増加


につながりました。


今後の課題


1 乳幼児部門と学校教育とのスムーズな接続、早期の相談体制
 →アンケートで、約3割の保護者が、もっと早く支援につながりたかったと回答。
  教室啓発の強化。

2 就学相談体制の抜本的な改善、特に研修の強化、保護者、本人の立場に立ったシステムへ
3 担当教員の専門性の向上
4 人事面
5 物理的環境面
6 仕事内容の選択と集中(なくてもよい仕事は思い切って廃止。必要な仕事(指導時間の確保、指導内容の充実、保護者との連携強化)に労力と時間を重点配分へ。仕事分野の整理統合
7 教室運営計画を「使える計画」へ。


3、4は、私一人の力ではどうにもならないわけですが。


 

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「読むこと」に関する3つの誤解

1 読めれば理解できる
→音読できても、意味理解につながらないことがあります。
 読むことに集中が必要なあまり、理解に集中が向かないことがあります。

2 読解力を身につけるのは、たくさんの本を読めばよい
→量より質が大切です。
子どもの理解力に合った内容であること。
3年生だから3年生の読み物ではなく、言語発達年齢が5歳なら、5歳に合わせる。

3 きちんと理解するには、一人静かに集中しなければならない
→読解の苦手な子同士で、お互いに先生役をさせると読解力が向上したということは証明済み。



一般世間では、「自閉症」とか「学習障害」ということばは浸透しましたが、まだまだこうした理解が進んでいないなと。
個々の子ども、自分の子どもに当てはめて考えることが難しい。

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初めてことばの教室を担当する先生へ

初めてことばの教室を担当した先生は、何をどうやっていいのか、とまどっておられるのではないでしょうか。
 
「通級説明会で何を話したらいいかわからない」
「文書をどう処理すればよいかわからない」 

そして 

「指導の仕方がわからない・・・」 

 まずは慌てずに、しばらくの期間は子どもと楽しく遊び、信頼関係を作ることを重視してはどうでしょう。
「治そう」と思うと、子どもに加重な負担をかけたりするものです。 

「この先生となら話したい」
「こいつとなら遊んでもいいや」 

と子どもに思われるぐらいがちょうど良いのです。
肩の力を抜き、一人の人間として出会ってみては。 

遊びながらも、一方では、子どもがどんな条件でどんな反応を示すか。その子の好きな遊びは。発音の専門的な検査の前に、一人の人間として聞いてみてどうかなど、まず指導方法よりも、子ども理解を。
指導が終わった後は、何でも気づいたことを「指導記録」に。どんなに拙い記録でも、数ヶ月後、数年後に役立つことも。 

最良の「指導書」とは、どこか遠くにあるだけではなく、その子自身が「指導書」であること。
子どもをよく観察し、学級担任、保護者からも情報を頂き、何が問題なのかを考えてみてください。
「問題」とは「原因」ではなく、何に困っているかの事です。「困った子」ではなく「困っている子」。 

そして「空き時間」には、文献にあたってみてください。
初めにハウツーものだけでなく、障害やその子についての深い理解が、その子に合った指導につながります。
わからないことがあったら、他のことばの教室の先生に遠慮なくきいてください。
どの先生にも「1年目」があり、悩み、迷いながら担当してきた経験があるのです。

そして理論も大事ですが、経験の長い先生の指導を見てください。
地域に研究団体があれば、経験の長い先生を紹介してもらってください。

近い方は、私の指導をごらんいただいても良いですよ。

見学を申し込んで、嫌だという先輩はいないはずです。
もしいたら、その先生の指導は見に行かない方がいいでしょう。

経験の浅い先生への支援は、ベテランの先生方にとっても最重要課題です。
それを認識している先生ならば、よろこんで見せてくれるでしょう。


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常識を破る乳幼児心理学

反射の発達 0~2ヶ月
皮質の発達 2~3ヶ月
両眼視の発達 4~5ヶ月
絵画的奥行き手がかり 5~6ヶ月
複数の手がかりの統合 6~7ヶ月
立ち上がる ハイハイで移動 7~8ヶ月

心の理論 1歳6ヶ月!


生後数ヶ月は、視力が未発達なので、お母さんの顔がぼやっとしか見えない。
しかし、ぼやっとしている分、表情認知は育つ。
くっきり見えたら、逆に顔の表情の部分しか着目できない。

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一人親家庭の子への支援

親の離婚後に子どもが示す反応
・喪失感
・悲しみ
・不安
・怒り
・罪の意識(自分のせいで両親が別れた)


就学前での離婚の影響
・親の離婚を十分に理解できない
・幼稚園、保育園に行くのをいやがる
・指しゃぶり、夜尿が生じる
・自分が悪い子だから親が離婚したと思う
・自分がいい子になれば親が戻ってくると思う


一人親家庭が困っていること
・母子家庭 1位:家計、2位:仕事、3位:住居
・父子家庭 1位:家計、2位:家事、3位:仕事
(H18 全国母子世帯等実態調査)
(家計は、母子家庭でより深刻)


離婚するときに子どもに伝えたいこと
・離婚後の生活
・両親は愛し合っていないが、子どもは愛している
・子どもが原因で離婚するのではない
・離婚の理由
・離れて暮らす親とも会える
・今より幸せになるために離婚する


学校での対応
・児童調査票等の「父」「母」の語句削除
・2年生活科での「生命」「おいたち」の学習の慎重な配慮
・4年生の「2分の1成人式」の慎重な配慮
・クリスマスで「プレゼントもらった?」と問わない。
・ゴールデンウィークで「どこに旅行に行った?」と問わない。
 せいぜい、「最近何かいいことあった?」(日頃からの質問)

一人親家庭でなくても、父親は過労死レベルの勤務時間。
とても多いです。
お父さんも子育てに参加、など気軽に言える状態でもない。

学校教育はもっともっと、配慮が必要。


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「通級の是非については、諸々の条件も考慮して全体的に判断する」24年前の教室資料




部屋の整理をしていたら、今から24年前の教室運営資料が出てきました。
この資料は、前の前の職場で使われていたものですが、今はその教室には保管されていないようです。 
しかし、24年ぶりに開いてみると、そこには目を疑うような内容が書かれていました。

教育相談~受付から会議、事後措置まで~
修了認定会議資料
修了認定の基準
etc

相談面接の進め方、事後の検討ケース会議の進め方まで、端的に大事なことが濃密なエキスとなってまとめられていました。
単に質問するのでなく、出会い場面からのアセスメント、雰囲気作り、保護者の気持ちを考えた質問の仕方などなど。

これほどの珠玉のまとめ方は、ほかにはあまりないでしょう。


「通級の是非については、諸々の条件も考慮して全体的に判断する」

→この文言、国が平成5年4月1日に通級制度を正式にスタートさせるより、2年も前に書かれたものです。
 
 障害があるから、苦手なことがあるから、なんでもすぐに通級、という昨今の傾向。 
 しかし、諸先輩はそのことへの注意を早くから促していたのです。


「ことばの記録票を親に渡し相談日の3~7日前に届けてもらう」
→面接日前に送り返して頂く方式は、私が個人的に考えついたものではなく、古くから必要性が指摘されていたものだとわかりました。
 事前に返される資料、事前に収集した情報を元に、面接の方向性や検査の選択を検討するわけです。


「主訴、相談・治療歴、主訴以外に心配していること、生活の様子(起床、着衣、洗面、歯磨、登校、食事、遊び、就寝、そのほか)、生育歴、病歴、性格、そのほか、各種検査)・・・。」

→ この時代はこのほかに、担任の先生に書いて頂く質問紙もありました。
 学校での様子はそれによって情報収集していました。

 これらの情報の必要性は、特別支援教育士や看護師など、支援に携わる専門職のアセスメントの常識として、古くから伝承されてきたものです。今と寸分違わないのです。
 子どもをトータルに理解する視点です。

古い資料だからと言って捨ててしまうのは簡単ですが、それに代わるものがあるのか。

新しい本や考え方がめまぐるしく移り変わっていますが、ベースとなるものは、何も変わっていないわけです。

新しいどんな文献、冊子よりも、先輩方の作ったものの方がはるかに専門性が高く、各種学術的視点を取り入れている、正確な文献であるように感じました。

前例踏襲がよいと言っているのではありません。
新しいものを作るなら、古くからの伝承を凌駕するだけの内容なのかを問うべきだ、ということです。


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WISC-4 解釈以前に、マニュアルに沿って実施しているか

標準化された検査は、標準化された手続き通りに検査を実施しなければなりません。
つまりマニュアル通りにやらなければなりません。
そうでなければ、不正確な結果になる可能性があるからです。

検査実施の資格要件を満たすかどうか以前に、検査のセンス、基本的なルールを守る遵法精神があるかどうかの方が重要に思います。

WISCに限りませんが・・・。

1 教示のことばは、原則としてマニュアル通りに。

2 練習問題は別として、本番では、正答だったら「よし」と言ったり、誤答だったら首をかしげるというようなフィードバックを行ってはいけない。

3 「単語」では、ただ音声だけの教示ですませてはいけない。所定の手続きをしなければならない。

4 誤答だったときに、その理由をお説教のように説明してはいけない。

5 数唱、語音整列は、1秒にひとずつ。語尾の言い方も定められている。イントネーションでまとまりがあるかのような読み方をしてもいけない。手で視覚的に順序を示すようなやり方もしてはいけない。

6 許されていないヒントを出して正答した場合に得点を与えてはいけない。

7 メモやマニュアル等を被験者に見られないようにしなければいけない。

8 マニュアルばかり注視して、子どもの表情、反応を見ないのはいけない。

9 おかしな回答を笑い飛ばしたり、馬鹿にしてはいけない。

10 数唱で「そんな数字出てこなかったぞ」などというつっこみをしてはいけない。

***

ここで、このような基本的なことを書かなければならない理由は、読者の想像にお任せいたします。
資格要件はもっと厳しくていい。
資格所持=専門性が高いとはいえない。

これが結論です。




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このブログに何をお求めですか?

ホームページ時代を含めると、開設したのが2000年1月1日。
以来、14年と2ヶ月にわたる掲載でした。

当時、ことばの教室関連のホームページといえば、ここと、もう一つぐらいなものでした。


最近は、書き込む時間が見つけにくいのと、ほかのSNSへの気軽な書き込みが増え、こちらが減ってきました。

そして同職種の方の開設も増え、情報があふれる時代となり、このブログも一定の役目を果たしてきたのかなと思えてきました。

情報は増えてきたけれど、本質的な問題は、まだまだ解決していないとは思いますが。

今後、どうしたらいいのかなあと思っています。

よかったら、コメントに今後へのご期待をお気軽に。


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謙虚に学ぶ

最近更新が滞っています。
年度末は忙しいのと、昨今の報道で色々考えることがあり、発言を控えていました。
でも毎日見てくださっている方もおられるようで。

新人だった言語聴覚士の聴力検査がとても上手になっていました。一年ですごい進歩です。OJTによる研修の成果かと。
新人には知識も大事ですが、まずはベテランの指導を参観したり、実技をしてその場で教えてもらうというのがもっとも効果的と思います。道言協でも議論になったように、初めて担当した先生には、知識の講義よりも、指導記録を読み返したり、実技で学ぶことです。
実技のスーパーバイズを受けたある先生は、その子の指導を改善するのでなく、色々理由をつけて指導を終了にしてしまったのです。
子どもの利益より、自身のプライドを優先してしまったわけです。
公衆の面前では講師レベルのことをしていても、足元がどうなのと。

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若いうちはいっぱい失敗しろ

私が新卒の時は、親分肌の校長から
「若いうちはいっぱい失敗しろ。子ども達にぶつかっていけ。3つだけ気をつけろ。酒と女と金。それけだ」
本当に細かい事は何も言われませんでした。

今は失敗すると、全国ニュースで頭を下げなければならないのですね。

ガッコウの先生は、ますますやりづらくなるね。
希望者数が減って、優秀な人材が他に流れる。

バッシングして、最終的には誰が利益を得るのだろう。

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「心の理論」、「K-ABC」ともに時代遅れを指摘

昨日は校内の研修会で講師をお願いされました。
通常発達で5歳前後で獲得されるとされた「心の理論」。
しかし、説明言語を媒介としなければ、生後1歳半で認識できるという乳幼児心理学の最新の研究。
これには驚きの声が上がりました。

そして、今日はK-ABCの研修にお呼ばれ。
既に背景理論も、検査器具の内容自体も時代遅れであることを説明したあと、
それでも使用する場合は、弱点を押さえた上で、という前提で実技しました。

KABC-2は買うお金がないからということで。

検査法の解釈ができるように研修して欲しいとの声もありますが、
解釈の仕方自体、学会でも議論中だったりします。
1回の研修で解釈できるようになるわけでなく、常に最新の情報、知識にアクセスする覚悟があって、初めて検査は使う物、なのでしょうと。



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グリコぬりえシート 妖怪ウォッチ

前回のドラえもんの時に比べ、画像の読み取りに苦労しましたが、
1)電気スタンドなどで明るくする
2)カメラの向きを上下反対にするなど、向きを工夫する
などの対処で読めるようになりました。

別途「妖怪デザイニャー」を買うと、立体の別の動き方が楽しめ、読めるシートも増えるようです。


筆圧が弱い、運筆を止めることが苦手、視知覚、目と手の協調の苦手なお子さんに。

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検査否定も、検査依存も、考察に欠けている

最近、検査法の研修をして欲しいという依頼が多いのですが。
検査の背景理論、認知心理学、神経心理学、発達心理学などの
大学院卒レベルの知識が必要であるという前提が抜けているわけです。

見回すと、多種多様な検査を一人の子どもに行っていても、
どう解釈したか、生育歴や行動観察との関連での検討結果が
何も残っていなかったりします。

これでは、子どもに負担をかけているだけ、指導者の自己満足に過ぎません。

あまり理想的なことを言っていたら、いつまでも検査できない、という主張もわかります。
公的なところに出すためでなく、自分の指導の参考にするためだから、という主張も聞きます。

しかし、自分の指導の参考にするため「だけ」であっても、やはり解釈には専門性が必要なのです。
「だけ」ならば、わざわざ検査しなくても、日常の行動観察「だけ」で、様々なことがわかるはずです。

それがわからないから、検査に依存しようとする。
でも、行動観察から考察する力をつけないと、検査をやっても、結局は何もわからない、ということになるだけでしょう。

一方で、検査そのものをかたくなに否定する主張もあります。
しかしよく尋ねると、検査がどのようなものであるのか、勉強した上での主張ではなかったりします。





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今日コメント頂いた方へ

1年目で側音化構音に悩まれているという方。メールください。にほんブログ村 教育ブログ 特別支援教育へ
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構音障害はなぜ生じるのか

それがわからないから、機能性構音障害なのです、というお話を明日してきます。

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アセスメント情報が欠けるのは致命的

ラ行音がダ行音に置換しているとの初回アセスメント情報。担当が替わって替わって数年後、もっと必要な支援があると初めてわかる。初めの情報収集をきちんとしていれば、もっと早くにわかったはずというような事例を多く見てきています。
集めた情報は整理すべきは当然ですが、それ以前に、子どものトータルな理解の視点が抜けていないか、検討が必要です。

子どもの一部だけを見て、わかったつもりになって、結果、もっとも不利益を被るのは子どもなのですから。



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不必要な情報を収集してしまう恐れよりも、必要な情報を収集できないことを恐れるべきだ

当教室では、教育相談の面接での検査だけで、子ども理解を終わらせようとはしません。
相談システムを大幅に改変し、面接前までに、関係機関から様々な情報を収集し、生育歴についても予め保護者に書いて頂き、資料が全てそろった中で、相談当日を迎えるようにしました。
そうでなければ、必要な検査の選択ができないし、子どもの全体的な理解につながらないからです。(もちろん、情報収集は、原則として保護者の同意のもとで行います)
 
 不必要な情報も収集してしまうのではないかということを危惧するよりも、必要な情報を収集し落とすことの方が、はるかに問題です。 
 そして必要な情報かどうかの判断は、あとになって変わる可能性もあります。

 基本的な情報収集をしてから、面接当日に臨むことです。

 
 正確な支援につなげるためには、正確な子ども理解が必要です。


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すごい検査だと言われても、数年経つと古くなる

常に最新の検査を選ぶことが、検査の倫理として重要ですが。
それにまして重要なのは、検査を絶対視しないこと。
すごいと言われているCHCモデルも、数十年先のビッグデータによる解析により、どうなるかわからない、かな。


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