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某公立学校ことばの教室教員。公認心理師、言語聴覚士、特別支援教育士。 『クイズで学ぶことばの教室基本の「キ」』の著者。  SINCE 2000.1.1 
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DN-CAS

主訴と当該児童の認知特性などから、K-ABCではなく、
DN-CASが妥当と判断される相談事例に出会っています。

DN-CASの経験は浅いので、ちょっとどきどきしていますが、
改めてマニュアルを読んでみると、

IQは100が標準で、標準偏差は15
下位検査の評価点は、10が標準で、1標準偏差が3

ということは、WISCやK-ABCと同じですね。
つまり、下位検査間同士で比較できるということです。

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K-ABCの解釈 4


「不安」「注意の範囲/被転動性」「集中力(の弱さ)」が影響因として成り立つのは、
下位検査中に子どもが不安や注意の問題を示したという観察が伴う場合に限られる。



プロフィール分析表にある「不安」「注意の範囲/被転動性」などは
その表だけを見て判断してはいけないということですね。
WISCのプロフィール分析表にも同様の項目があります。
が、私はプロフィール分析表はあまり使いません。
あまり使わないという人がけっこういます。
基本は、各下位検査の特徴と周辺情報とを合わせて
自分の頭で考えた方が妥当性が高い、と経験的に感じています。

だから、もともと「不安」などの項目は参考程度にしか考えていませんでした。
それでよかったのですね。

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K-ABCの解釈 3



粗点0があるときの場合の解釈は厳格に。

1)継次、同時、習得度において、粗点0点の下位検査が2つ以上あるときは、
その尺度の標準得点を算出しない。

2)認知処理過程尺度で、0点が三つ以上あるときは、認知処理過程尺度の
標準得点を算出しない。

3)粗点0点が評価点5点以上もしくは、標準得点71点以上に換算される
下位検査は、その成績を解釈しない。

→WISCもそうですが、粗点が0点の下位検査は、
「現時点では子どものレベルは特定不能である」と
解釈するのがもっとも適切でしょう。

せっかく検査したのだから、と思いたくなりますが、
測れなかった事は、測れなかったと、誠実に受けとめる態度が
必要ですね。これは検査に限らず何についても。

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K-ABCの解釈 2



継次処理の下位検査であっても、
子どもが自分の得意とする同時処理的な方略を用いて
成功することにより、継次処理の下位検査の成績が高くなり、
継次-同時の得点差が小さくなることもある。
よく観察すること。

→継次処理の検査でも、同時処理のやり方で課題を解いていると
思われる子どもが確かにいます。逆もしかり。

数値だけでなく、検査時の行動観察がいかに重要であるか、
ということだと思います。


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K-ABCの解釈 1

WISCの結果の解釈の誤りに気をつける記事を既に書きましたので、
今回から、K-ABCの解釈について、留意点を書いてみます。

なおこの記事は、K-ABCの中級講習会、特別支援教育士養成セミナーの
各資料、そしてこれまでの経験をもとにまとめています。


「継次処理尺度」と「同時処理尺度」の標準得点との間に有意差がある時は、
「認知処理過程尺度」は重要視しない。

→「認知処理過程尺度」の標準得点は、
子どもの知能(認知処理能力)の水準を表します。
しかし、同時処理と継次処理との間に有意差があるときは、
「認知処理過程尺度」としての意味は弱いということです。

これは、WISCで「言語性IQと動作性IQとの間に有意差があるときは、
全IQの解釈は慎重に行う」ということと同じ主旨でしょうね。

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間違いだらけのWISC解釈 4

WISCの「算数」は、必ずしも学校の「算数」の勉強と同一視はできません。
WISCの「算数」は、問題をことばで教示することが多く、
単純に数的な能力と一緒にはできないからです。
K-ABCの「算数」は、WISCに比べると視覚的な教示が多いので、
両者を比較することで、明らかになることもあるかもしれません。

「算数」の問題も、子どもの反応がとても大事だと思います。
具体的には書くことは避けますが。

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間違いだらけのWISC解釈 3

今年の就学指導委員会では、例年にない数のWISCの検査依頼が
舞い込んできています。
発達検査についての認知度が上がってきたことは前進とは思います。
検査は標準化されたものでなければ、本当に測ったことにはならないし、
検査の実施もきちんとマニュアルを読んで熟練していなければならない
ということの認識があがってきているのだと思います。

ただ、数値が一人歩きしたり、明らかに誤った解釈をしたり、されたりという
懸念もなきにしもあらず、です。

今回検査を続けてみて、実感していることは、
「言語性-動作性の有意差を額面通りに受けとめて良い事例は本当に少ない」
ということです。

数値的には5%水準で有意差があっても、解釈上、制限に引っかかる例が
本当に多いのです。
全IQに至っては、そのまま受けとめて良い例はほとんどありません。

「動作性優位だから、目から見せた方がわかりやすい」
「言語性優位だから、ことばで聞かせた方がわかりやすい」

などと言いますが、実際の指導では、そうでもないぞということが多いです。
少し考えればわかるように、人間の認知特性が2つのうちのどちらかである、
などとらえること自体が、どうなのということ。
もちろん、典型例はありますが、人間の認知処理は、もっと複雑だし、
もっとデリケートだし、もっと深い、ということだと思います。

群指数も、下位検査間に一定のばらつきがあれば、額面どおりではありません。

そして一番大事なのは、検査時の子どもの反応であり、周辺情報との関連ですね。

ただ、だからWISCは信用できないからやらない、というのではなく、
一定の条件がクリアされ、必要ならやった方が良いということです。
モノ自体の問題ではなく、使い方の問題。
上手に、正確に使えば、役に立つことが少なくありません。

WISCの講習会が近隣でも開かれるようになりましたが、
ニーズに比較して、まだまだ機会も時間も不足しているのが現状。
何か研修をやってみようかなあ。

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WISC3 初心者向け講習会資料 6 結果の解釈(4)

○解釈レベル4

レベル4では、各下位検査の固有の能力や、検査時の行動の特徴を見ていきます。
数値だけでなく、行動の特徴もとても大事だと日常感じています。
それは、検査だけではなくて、日常の指導でも同じだと思います。

だから検査時の反応は、ありのまま、そのままを記録することが必要です。

つまり、解釈は数値を出してから行うのではなくて、
検査時に既に始まっている。
検査をする時点で、子どもの発達についての知識を持っていた方が、
より多角的に状態像を把握できるということになるでしょう。

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WISC3 初心者向け講習会資料 5 結果の解釈(3)

○解釈レベル3(下位検査項目間の比較)


①入力
 1.言語性下位検査(聴覚) 
 ・「知識」「理解」→長文理解の能力を必要とする
 ・「単語」「類似」→個々の単語を解釈する能力を必要とする


2.動作性下位検査(視覚)
 ・「絵画完成」「絵画配列」    →有意味刺激を解釈する能力を必要とする
 ・「積木模様」「符号」「記号探し」→抽象刺激を解釈する能力を必要とする


②統合
 ・「類似」「理解」「算数」「絵画配列」「組合せ」→推論と問題解決に関係する
 ・「積木模様」「符号」             →モデルの再構成に関係する
 

③記憶装置
 ・「数唱」「符号」「記号探し」→短期記憶に関係する
 ・「知識」「単語」      →長期記憶から事実と概念を取り出す能力に関係する
 ・「算数」          →長期、短期の両記憶に関係する
 

④出力 省略

 

・苦手分野の問題は疲れたり、あきらめる、身体症状に出る。    
→ その子にとっての弱い部分が見える。
・下位検査の評価点で「1」がいくつも出たら、他の検査にした方がよい。   
 → 全くできなくても、少しできても「1」がつく。

・下位検査で2つ以上、平均を有意に下回るのがあれば、共通する弱い能力があるか調べられる。共通する能力がなく、単独の下位検査のみ落ち込んでいるなら、その課題独自の能力を考えてみる。


・K-ABCを実施していない場合、「同時型」「継次型」を推測する
   継次系下位検査 「算数」「数唱」 「符号」 の評価点の平均と
   同時系下位検査 「絵画完成」「積木模様」「組合せ」の評価点の平均との差が、3以上の場合は有意な差が推定される。
 

・ワーキングメモリ 3点セット 「数唱」「符号」「記号探し」

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WISC3 初心者向け講習会資料 4 結果の解釈(2)

○ 解釈レベル2(群指数間の差の特徴)

言語理解
(VC)
言語的な情報や、自分自身が持つ言語的な知識を状況に合わせて応用できる能力
知覚統合
(PO)
視覚的な情報を取り込み、それらを相互に関連づけ全体として意味あるものへとまとめ上げていく能力 
注意記憶
(FD)
注意を集中させて聴覚的な情報を正確に取り込む能力、注意力、聴覚的短期記憶の指標
処理速度
(PS)
制限時間内に、視覚的な情報を、指定された形で多く、正確に処理していく能力 視覚的短期記憶の指標。「手先の不器用さ」も反映しやすい


・群指数についての解釈
 
 言語性IQ 
   言語理解→こちらのみ落ち込んでいれば「言語理解」に問題と仮定
   注意記憶→こちらのみ落ち込んでいれば聴覚的短期記憶に問題と仮定
     (両方)→聴覚認知能力に問題と仮定
      

 動作性IQ   
   知覚統合→こちらのみ落ち込んでいれば「知覚統合」に問題と仮定
   処理速度→こちらのみ落ち込んでいれば視覚的短期記憶に問題と仮定 
     (両方)→視覚認知能力に問題と仮定
         

 注意記憶→こちらのみ落ち込んでいれば聴覚的短期記憶に問題と仮定
 処理速度→こちらのみ落ち込んでいれば視覚的短期記憶に問題と仮定
                 (手先の不器用さの可能性も有)
    (両方)→短期記憶能力に問題と仮定

 
どのレベルの解釈でも、グラフのでこぼこの印象だけで「差異がある」と判断してはいけない。統計的に5%,15%の有意差があるかが重要。また、でこぼこしている印象だけで「LD」「自閉症」などと判断してはいけない。
 

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WISC3 初心者向け講習会資料 3 結果の解釈(1)

 WISCは、平均は100、標準偏差は15
・「15%水準で有意差」というのは、真の差を表している可能性が100のうち85ということ。「5%水準で有意差」というのは、100のうち95ということ。だから、15%よりも、5%の方が有意差がある。


○解釈レベル1(全体的な知的能力・言語性IQと動作性IQの差) 

 1 知能水準の分類

全IQ
分類
理論上
の割合(%)
 
130以上
 
120~129
 
110~119
 
90~109
 
80~89
 
70~79
 
69以下
 
非常に優れている
 
優れている
 
平均の上
 
平均
 
平均の下
 
境界線
 
精神遅滞
 
2.2
 
6.7
 
16.1
 
50.0
 
16.1
 
6.7
 
2.2
 

 
 
       
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

※ ただし、以下の場合は、全IQは慎重な解釈が必要。(あまり意味がない)
(1)言語性IQと動作性IQのとの差が非常に大きい場合
(2)下位検査の評価点(SS)に著しいばらつきがある場合
 
2 言語性と動作性
・言語性IQ
→言語性能力、聴覚-音声処理過程の能力
  過去の学習経験を高度に適応して得られた判断力や習慣(結晶性知能)

・動作性IQ
→動作性能力、視覚-運動処理過程の能力
 新しい状況に適応する能力(流動性知能)
 
※言語性と動作性の差が約13以上(5%水準)あれば、統計的に意味のある差
 ただし、以下の場合は、慎重な解釈が必要。(あまり意味がない)
(1)言語理解(VC)と、注意記憶(FD)との間の差が13以上の場合
(2)知覚統合(PO)と、処理速度(PS) との間の差が13以上の場合
(3)言語性IQ、動作性IQのそれぞれの下位検査間の差が7以上の場合

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WISC3 初心者向け講習会資料 2 WISC4との比較

ネット上で検査内容を公開してはいけないようですので、
研修資料を一部割愛し、差し障りのないところを載せます。

************************

WISC4 での変更点

・「言語性IQ」、「動作性IQ」の 廃止 
→統計的にも臨床的にも根拠に乏しいため。

・「知識」が補助検査になる
→必要に応じて時間を短縮するため

・「類似」→「語の類似」に名称変更

・「算数」が、補助検査になる
→「注意記憶」だけでなく、計算力や言語理解力など多様な能力が要求されるため

・「注意記憶」が「作動記憶」に変更、下位検査も一部変更

・「絵画完成」
→補助検査に

・「絵画配列」の廃止
→文化的要因や言語能力が大きく関与するため

・「組合せ」が廃止
→伝統的に信頼性が低かったから

・「知覚統合」が「知覚推理」に変更し、下位検査も変更

・「迷路」の廃止
→聞いたところでは、テレビゲームの影響で
処理速度を代表する検査ではなくなったから、とか。


その他変更がありますが、差し障りのありそうなところは割愛。


※WISC3と比べると、かなり変わるのがわかります。
WISC3を当面使うにあたっては、WISC4での変更点を頭に
入れておくと、解釈に役立つのでは、と思います。

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WISC3  初心者向け講習会資料 1

先日行ったWISC3のオリジナル資料をアップします。

********************************

○○支援学校 平成21年度 第○回学習会 
             △△小学校ことばの教室 ya

1 検査についての基本的な考え方
(1)アセスメント(評価)は、日常の行動観察から始まる。検査だけを絶対視しない。
    
行動観察は、子どもがつまづいていること、困っていること、場面や状況との関連
→学習面、生活面(生活リズム、食事等)、言語コミュニケーション面、運動面(粗大運動、巧緻運動)、社会性、行動面
→たとえば、授業中や休み時間、遊びの様子、テストやノート、作品
      
(2)検査結果の解釈は、他の情報と付け合わせて行う。
→生育歴(1歳半健診、3歳児健診、就学時健診、言語・身体発達等)、既往歴(聴力、視力、健康状態等)、教育歴・療育歴・相談受診歴、現在の様子(行動観察)など
 

(3)検査の基本
ア)行動観察などから、目的に合う検査を選ぶ。

イ)検査は信頼性、妥当性のある、標準化されたものを用いる。

ウ)子どもへの負担に配慮しつつ、複数の検査を組み合わせる。「バッテリーを組む」

エ)検査は精通し、熟練した検査者が行う。

オ)子どもが普段の力を発揮できるように、時間帯、体調、信頼関係などを考慮する。検査結果は、それらの要因により誤差が生じるかもしれない。一つの結果を絶対視しない。

カ)検査結果を人に伝えるには、数値だけではわからないので、子どもの様子も含め、その子のイメージがわくような表現で説明する。また個人情報として取り扱い注意。
 

2 WISCの基礎知識
(1)Wechsler Intelligence Scale for Children の略。

(2)適用年齢は、5歳~16歳11ヶ月

(3)知能を「言語性能力」と「動作性能力」とに分けて、その差が測れる。両者を合わせて全IQも出せる。また4つの「群指数」つまり、「言語理解」、「知覚統合」、「注意記憶」、「処理速度」が測れる。13の下位検査からなる。

(4)IQの平均は100,標準偏差は15に設定されている。(K-ABCと同じ)

(5)田中ビネーより、全IQは辛めに出る。

(6)田中ビネー知能検査は、「個人間差」(他児と比べてどのくらいの知能か)が明らかになるだけ。WISCは「個人内差」(その子の中の能力差)が明らかになる。 

(7)ウェクスラー型知能検査の年齢別
 

WPPSI(ウィプシー) WISC-Ⅲ  WAIS-Ⅲ(ウェイス)
3歳10ヶ月~7歳1ヶ月    5歳~16歳11ヶ月   16歳 ~ 89歳

                       

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WISCの「言語性IQ」と「動作性IQ」は賞味期限

来年度にも刊行されると言われるWISC-4では、
「言語性IQ」と「動作性IQ」が廃止されます。

統計的な意味があまりないため、とされていますが、
これまでWISCの代表的な観点だっただけに、
なぜ、という思いがないわけではありません。

でも知能モデルというのは時代によって変わるし、
よりよいものにバージョンアップしていくというのは
科学的な態度としては当然ですね。


言語性IQ、動作性IQの差異が、いかに統計的に根拠の薄いものか、
下記のデータを発見。

V(言語性IQ)-P(動作性IQ)の差は、

 差    母集団
13~17  23%
18~19  15%
21     10%
25      5%
27~30   2%

出典を忘れました。済みません。

つまり、13~19の差がある人が4割近くいるのですね。
そして全部足すと、55%、つまり「有意差」のある人は過半数!
どっちが多数派なのでしょう、という話し。

このことと、WISCの標準化作業で用いられた、5%、15%水準の有意差との関連は、どうなのだろうかという疑問も。


また、言語性と動作性の差が約13以上(5%水準)あれば、統計的に意味のある差とか、15以上あれば、などと言われていますが、下記の場合は慎重な解釈が必要とされます。

(1)言語理解(VC)と、注意記憶(FD)との間の差が13以上の場合
(2)知覚統合(PO)と、処理速度(PS) との間の差が13以上の場合
(3)言語性IQ、動作性IQのそれぞれの下位検査間の差が7以上の場合

常にこれらの条件を頭に入れながら、
言語性-動作性の有意差を判断してきたでしょうか?

ということで、今度WISCの講座を頼まれたので、
ここまでマニアックには話しませんが、
数字だけを頼りにすると、落ちし穴に落ちますよ
という話しはしなければ、と思っている次第です。
(かといって、検査自体が無意味だと言っているのではありません。
限界を踏まえつつ、やらなければならないという場合も、少なからずあります)

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WISC-3 分析表


WISC―Ⅲ分析表
 (氏名                  ) 生活年齢(  :  )
レベル
分   析
レベル1
(全体的な知的能力)
(言語性IQと動作性IQの差)
1.FIQ
2.VIQ
3.PIQ
4.VIQ  PIQ
レベル2
(群指数間の差の特徴)
VC(言語理解)       PO(知覚統合)
FD(注意記憶)       PS(処理速度) 
 
VC  PO:(  )      VC FD:(  )
VC  PS:(  )      PO FD:(  )  
PO  PS:(  ):(  )  FD PS:(  )
レベル3
(下位検査項目の比較)
・言語性平均(  )
  知(  )・類(  )・算(  )・単(  )・理(  )・数(  )
 [  ] [  ]  [  ]  [  ]  [  ] [  ] 
 
・動作性平均(  )
  完(  )・符(  )・配(  )・積(  )・組(  )・記(  )
 [  ] [  ]  [  ]  [  ]  [  ] [  ] 
 
 
 
レベル4
(答え方の特徴)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
総合的解釈
 
 
 
 
 
 
 
 

 他機関からWISCのプロフィール分析表を見せて頂くことがありますが、
「答え方の特徴」についてまで情報として頂けない場合があります。

実は「答え方の特徴」はとても重要です。

たとえば、「記号探し」は、
評価点は10で「平均」だったとしても、
「間違いも多い」(見落としの間違い、似た形の記号の見誤りが多いなど)
「記号の特徴をことばで説明しながら解いていた」
などの情報により、解釈の質が全く違うことになる可能性があります。

ひらがなの書字の際、「す」の上の部分が突き出ないなど
細かい部分に誤りが多く、自分では気づきにくい子。

でも、たとえばWISCの記号探しは10をとっている。
記号的な線の形を見比べたり、探す力は悪くないのでは。

どうしてだろうと考えた場合に、
「記号の特徴をことばで説明しながら解いていた」
という情報が決め手になる場合も。

そういえば学級でも先生が、
「見せるだけではわからず、ことばの説明を添えてやるとわかった」
とおっしゃっていた。

ひらがなの書字の際、「すの上は突き抜ける」
と言いながら書字の練習をした結果、
著しく改善したということも。

アセスメントシートを見直すと、
黙読はできないが、一端声に出して読むと理解しやすいことも再確認。

記号探しも同様で、「声に出して記号の特徴を言う」(ことでわかりやすくなる)
という反応になって出てきているでのはないか、と推測。
逆に言うと、説明抜きで、だまって取り組むと、ここまでできただろうかとも
考える。他の解釈レベルとの関連や、行動観察からも、そのことを疑う。

数値だけでは、むしろわからないことが多い、
と普段感じています。

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読み書き障害と音韻情報の操作に関わる実行機能

ことばの教室ではかつて「聴覚的記銘力」という用語をよく見かけましたが、
最近はほとんど見かけません。
昔の本にはよく見かけました。
しかし、
そもそも「聴覚的記銘力」とは何か、という定義があいまいだと指摘されています。
また、その意味が「音を覚えること」という単純な意味ならば、
それだけでは観点として十分ではないとも思うのです。

WISCの「数唱」の「順唱」は短期記憶、
「逆唱」はワーキングメモリと言われます。

音削除や音付加、順の入れ替えなどもワーキングメモリの
領域と言えるでしょう。

音についてだけ取り上げたとして、
文字の読み書きや構音障害は、
短期記憶の弱さだけでは説明できず、
むしろより広い?概念である「音韻分析能力」
「音韻意識」が重要なのではないか。

日本LD学会第17回大会発表論文集、p573には、
文字の読み書き両方に困難を有する子どもは、
単に短期記憶の弱さというよりは、実行機能の弱さを有している、
という主旨のレポートが載っていました。

一方、読みは問題ないが、書きだけに困難がある場合は、
音以外の別の弱さを基盤としているのではないかということ。

納得ですし、当然という感じです。

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WISCやK-ABCは手相のようなもの?

WISCやK-ABCをとって、認知特性を把握しても、
実際にはその結果と矛盾する指導の方がうまくいく場合があります。

多くの子に通用する方法であっても、ある子には通用しない。

たくさんの引き出しを用意しておいて、色々試行錯誤してみて、
その子にぴったりな方法をマッチングさせる、というのが現場の実際の姿でしょう。
WISCやK-ABCは、その試行錯誤のヒット率を上げるための道具の一つにすぎない。
(だからと言って、必要ないというわけでなく、主旨をよく理解した上で、むしろ上手に活用しましょうということ)

そうした現場感覚にぴったり合った講義を先日受講しました。


「文字が書けない子への効果的な指導法を教えてください」
という質問を頂きますが、子どもの情報がないと答えようがないです。

目の前の子どもをよく観察する中に、
そして関係者へのインタビューの中に、
答えはちゃんとあるんですよね。


有名な手相占いの先生に見てもらったことがあります。

「なんで私のことよくわかるのだろう」
と感じて帰ってきましたが、
あとで考えると、先生の問いかけ、ワンストロークに対する
私の微妙な反応をよく見ていたのですね。
つまり手相だけを見ているようで、実は私の顔の表情をよく見ている。
そういえば、自分の顔の前に手をかざして見せるよう指示していました。

手相の線だけ見ているわけでない。

WISCやK-ABCも、グラフの線だけ見ていては、
子どものことはわからないのだと思います。

以上、WISC講習のネタの下書きでした。

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***


間違いだらけのWISC解釈 2

*****************************

間違い その2 「全IQ」

WISCで、

全IQ    93
言語性IQ  65
動作性IQ 125


と出ました。
曰く
「全IQが93ありますから、心配は何もありません」

*****************************

考察

この事例は2つの点で問題があると思います。

1 IQだけで「心配はない」と判断していること。
  実際の子どもの様子、関係機関の情報収集と合わせて
  判断することが重要です。

2 言語性IQと動作性IQとの間に差が大きい場合は、
 全IQはほとんど意味がない。


他に下位検査間の解釈などいろいろありますが、この辺で。

一つ言えることは、検査結果を解釈するには、
その器具を実際に使って何度も検査を経験し、
検査の内容を熟知しておいた方が、
より正確な解釈ができる、
ということだと思います。


さて、こうした解釈の間違いの以前の問題として、
採点の仕方、計算の仕方に誤りがないでしょうか。

以下のページにはパソコンで計算できるソフトがあります。
手作業で計算するのが本来ですが、
パソコンを使えば間違いは減るでしょうね。
http://snekagawa.hp.infoseek.co.jp/kensyu.html

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間違いだらけのWISC解釈 1

別にWISCの不勉強を非難するわけではありません。
私も間違うことはありますし、
知らないことは恥ずかしいことではないです。

表題は、徳大寺有恒/著『間違いだらけの車選び』を
もじっただけの話です。(^-^)


ただ、検査を実施したり、解釈する以上は、
保護者や関係者に正確にお伝えする責任はあるので、
ある程度勉強しておきたい、と思っています。


以下のエピソードはほぼフィクションですが、
実際にあった話を少しブレンドしています。

*****************************

間違い その1 「有意差」

1)ある方の検査結果、

言語性IQ 76
動作性IQ 78

と出ました。

曰く、
「言語性より動作性の方がわずかに得意なようですね。
耳で聞くよりも、目で見た方が得意なはずです」


2)ある脳血管疾患の中学生の患者さんのWISCの術前実施結果、
全IQ 60と出ました。

術後、2ヶ月後に再び同じWISCを行ったところ、
全IQ 63と出ました。

曰く
「手術後は成績がよくなりました。手術の成果でしょう」


3)ある小学生のWISCの結果、

群指数では、

VC(言語理解) 85
PO(知覚統合) 85
FD(注意記憶) 82
PS(処理速度) 85

となりました。

曰く、
「注意記憶だけが低いですね。
これは
『軽度発達障害の心理アセスメント』(2005 
上野一彦 他編、日本文化科学社)のp44に載っている
「群指数パターンの5」です。
だから、聴覚的な記憶は苦手なので、視覚的な手がかりを
用いてください」

****************************

考察

1)は、言語性IQと動作性IQとの間に数値的な差は「2」あります。
しかしこの「2」は、統計的に意味のあることなのでしょうか?
NOです。統計学的には意味がありません。
仮にタイムマシンで検査実施前に戻り、
同じ検査をもう一回やったとしたら、
同じようなパターンで差がでる可能性は低いでしょう。

2)も有意差はありませんし、あったとしても、
術後わずか2ヶ月で同じ検査を用いると、
患者は前回の時の問題を覚えていて、結果に影響している可能性があります。

3)4つの群指数間に有意差はありません。
したがって「群指数パターン」には当てはまりません。

この『軽度発達障害の心理アセスメント』という本は、
14種類の群指数パターンを提示しています。

しかしどこにも、「群指数パターンは、各群指数間に有意差が必要」とは
書いていないので、グラフがちょっと似ているだけで、
「このパターンだ」と誤解しやすいのではと思います。

でもこの本全体をよく読めば、「各群指数間で5%水準で有意差がある」
ことが前提になっていることがよくわかります。


「5%水準で有意差がある」とは、
偶然にこの差が出る可能性が5%としかないということ。
それだけ信頼性が高いということ。

つづく。

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DN-CAS と LCスケール

今年うちの教室に入荷したものの一部です。

DN-CASは、ルリア・ダスモデル、
PASS理論がもとになっています。
つまり、

プランニング
注意
同時処理
継次処理
ですね。

ここにありましたね。
http://www.nichibun.co.jp/kobetsu/kensa/dn_cas.html

K-ABCでは測れなかった「プランニング」が測れるというのは
大変興味深いです。

何年か前に、芦別でダス教授の生講義を受けることができました。
PREPという、文字の読みに入るための継次処理能力を高める
指導の紹介がありました、
かなり質の高い豪華な研修会でした。

同時処理、継次処理ですが、
同時処理が優れているから、目から見せた方がわかりやすい、
なんて単純なものではないのでは、
と思うことがよくあります。
同時処理課題でも、継次処理も多少負荷するし、逆も同じ。

視覚=同時処理

と考えがちですが、

視覚的な継次処理

というものも存在するのですよね。

人の認知特性を単純に2種類に分けるだけでは足りない、
ということだと思うのです。


宇野先生は、この認知様式について、興味深いことを
おっしゃっています。

第4回 LD・ディスレクシア研究会(2001年)
講演内容
http://www.todoplan.co.jp/dyslexia/giziroku_4/kityou_kouen.html

質疑応答
http://www.todoplan.co.jp/dyslexia/giziroku_4/situgi_oh_to.html




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玉子焼き、だんだん上手になってきました。
全部食べてくれるとうれしいですね。

「お父さんの作った弁当すてきですね」
と幼稚園の先生に褒められた。

そうか保護者を褒めるのは大事だなあ。

幼稚園の先生から学ぶことは多いのです。
特別支援教育を学ぶ時に、幼稚園の見学は
とても参考になりますよ。

端的な指示、説明
視覚支援
発達段階に合わせたアプローチ

まさにずばりです。

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PVT-R 絵画語い発達検査

PVTのニューバージョンが発売されました。

日本文化科学社のHP
http://www.nichibun.co.jp/

対象年齢が拡大して、小学6年生の子も一部含まれたのですね。
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K−ABCのツボ

より詳しく、正確な学習をするためには、以下の研修会の受講をお勧めします。

日本K-ABCアセスメント研究会

日本LD学会 特別支援教育士(LD,ADHD等)養成セミナー




 *以下は、私が各種研修会や、現場の経験をオリジナルにまとめたものですので、
間違いや不正確な表現があるかもしれません。その前提で読んで下さい。


1 検査全体に言えること
(1)測ろうとする能力は、能力全体の一部にすぎない。
(2)検査結果は、その時の子どもの体調や集中度、検査者が変わることによっても影響を受ける可能性がある。
(3)検査自体も古くなると時代に合わなくなる。
(4)だからと言って検査の全てを否定すべきでなく、検査の限界をわきまえた上で活用すべき。

 
2 K−ABC 10の基礎知識
(1)K-ABCとは、" Kaufman Assessment Battery for Children " の略。
(2)適用年齢は、2歳6ヶ月〜12歳11ヶ月まで。適用年齢を超えていても、その子の発達水準が範囲内にあると考えられるときは実施できる。また、各下位検査は子どもにとっつきやすい内容とした。
(3)ほかの検査に比べて、検査結果を指導に生かしやすい。
(4)WISCやビネー等では測れなかった「認知処理」( mental process )を明らかにする。
→ ビネーでは、「個人間差異」しかわからない。WISCでは「個人内差異」までが明らかになる。K-ABCでは、入力と出力との間での認知処理過程が明らかになる。
(5)ぱっと見て全体を理解する力を「同時処理」と言い、順序立てて理解する力を「継次処理」と言う。K-ABCでは、同時処理と継次処理のバランスも測ることができる。
(6)「継次処理が弱いので鍛えよう」ではなく、「優れた同時処理の力を生かす」アプローチが大切。
(7)下位検査から「時間制限」をできるだけなくしている。(少数民族や障害者等へ配慮)
(8)「流動性知能」とは、新しい課題を解決する能力。「結晶性知能」とは、意図的な学習で習得したもの。
(9)「認知処理>習得度」とは、その子に合った方法で学習できていない→その子に合った方法で学習すれば、もっと習得できるということ。
(10)出た結果は、臨床像に照らして、「採用」、「棄却」を決定する。

* 参考になる文献
 『長所活用型指導で子どもが変わる』    図書文化
 『長所活用型指導で子どもが変わる part 2 』図書文化




3 検査実施上の10のコツ(マニュアルにはない裏技)
(1)検査者は「この人はおもしろい」と子どもに思わせて、リラックスさせよ。自分をさらけ出せ。
(2)ストップウォッチは、音の鳴らないものを用いよ。
(3)初めにイーゼルの表紙を3冊とも見せて、「今日はこれだけやるよ」と見通しを持たせると、子どもにがんばりが出る。
(4)検査者自身が、継次処理と同時処理のどちらが得意か把握しておくと、子どもを理解しやすい。
(5)子どもの表情の変化を見よ。マニュアルや検査用紙を注視するな。そのためには、子どもの回答を検査者が短期記憶するための工夫をせよ。
(6)「算数」の問題は、ストーリーになっている。途中の番号から始める場合でも、検査者は予めストーリーをよく読んでおくと、ぎこちなさがなくなる。
(7)「標準得点」は、「標準得点法」で計算されている。WISCの「標準得点」も同じなので、下位検査同士で比較できる。
(8)正解に結びつくような態度を一切見せてはいけない。フィードバックしてしまうと、正確な検査でなくなる。
(9)「位置さがし」では、子どもが次々と指さすので、わからなくなる。オリジナルのチェック用紙を用意しておくと良い。
(10)検査者と子どもは、テーブルの角を挟むように座る。




4 K-ABCで得られたデータを解釈するために
(1) 「福島県養護教育センターソフトウェアライブラリ」には、「K-ABCデータ解析」のソフトがある。
(2)心理・教育アセスメントバッテリー K・ABC(丸善(株)出版事業部) 
(3)「知覚的体制化」などの用語を理解するために、心理学を勉強する必要あり。
 → たとえば ココ にほんブログ村 教育ブログ 特別支援教育へ
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WISC?のツボ

より詳しく、正確な学習をするためには、以下の文献が参考になります。

『軽度発達障害の心理アセスメント WISC−3の上手な利用と事例』
上野一彦/編 海津亜希子/編 服部美佳子/編
出版社名 日本文化科学社
発行年月 2005年02月


『WISC−3アセスメント事例集 理論と実際』
藤田和弘/編著 上野一彦/編著 前川久男/編著 石隈利紀/編著 大六一志/編著
出版社名 日本文化科学社
発行年月 2005年04月


また、日本文化科学社 や、日本LD学会 特別支援教育士(LD,ADHD等)養成セミナーでは講習会を開催しています。


*以下は、私が各種研修会や、現場での経験をオリジナルにまとめたものなので、間違いや不正確な表現があるかもしれません。その前提で読んで下さい。

○検査全体に言えること
(1)測ろうとする能力は、能力全体の一部にすぎない。
(2)検査結果は、その時の子どもの体調や集中度、検査者が変わることによっても影響を受ける可能性がある。
(3)検査自体も古くなると時代に合わなくなる。
(4)だからと言って検査の全てを否定すべきでなく、検査の限界をわきまえた上で活用すべき。

○WISC3の特徴(詳しい内容は他のホームページに当たって下さい)
(1)言語性IQ(VIQ)と、動作性IQ(PIQ)との差異(ディスクレパンシー)などが測定できる。因子分析から4つの群指数(言語理解、知覚統合、注意記憶、処理速度)が出される。
(2)ビネーは、すべての被検査者を母集団としているが、WISCは年齢段階ごとに母集団を作っている。ビネーに比べて数量化しやすいのが特徴。
(3)適用年齢は、5歳から16歳までだが、田中ビネーで適用年齢を想定するのも一法。

○分析の仕方
(1)VIQとPIQとの間に13以上の差があるからと言って、「学習障害」、「異常」などと診断してはいけない。あくまでも、個人内差異を明らかにするために検査を行う。
(2)IQは幅があるもの。「この子の全IQは100」というとらえ方は誤り。たとえば「この子の全IQは93〜107の間にある確率が95%」というのが正確。
(3)「言語性―動作性」は、観点のひとつにすぎない。他の研究者が様々な観点を提供している。
(4)下位検査で2つ以上平均を下回るのがあれば、共通する弱い能力があるか調べられる。共通する能力がなく、単独の下位検査のみ落ち込んでいるなら、その課題独自の能力を考えてみる。
(5)他の検査や臨床像と合わせて評価すべき。単独の検査だけで判断してはいけない。たとえばWISCとK-ABCは「標準得点法」で計算されているので、下位検査同士で比較できる。
(6)「数唱」で短期記憶の能力が測れたとしても、長期記憶の能力とは相関がない。(短期記憶が優れているからと言って、長期記憶が優れているとは限らない)
(7)検査から正答数という数値しか取り出さないのは、子どもを理解するのに不十分。どのような誤答をしたかなど、子どもを丁寧に観察して得た情報が重要。
(8)動作性下位検査の得点が、初めのものから徐々に減少している場合、運動協応の問題を考える必要がある。ただし、他の下位検査でそれを覆す結果があれば、ただちに棄却。
(9)「符号」は、点数だけでなく、失点の多さも見る必要あり。→「失点」が多いと、細部への注意力や、被転導性が見えてくる。
(10)「積み木」は失敗した問題の分析が必要。→どのように失敗したかを分析することで見えるものがある。
(11)苦手分野の問題は疲れたり、あきらめる、身体症状に出る子では、その子にとっての弱い部分が見える。
(12)「下位検査評価点」で「1」が出たら、他の検査にした方がよい。→全くできなくても、少しできても「1」がつく。V−Pの差異も無意味。
(13)「絵画配列」は、どの絵同士が近いかや、因果関係などの認知、類推が必要。

○活用の留意点
(1)判定会議に出す資料は、数値だけではなく、その子のイメージがわくような表現で出す。わかりやすく具体的に解釈するのが、コーディネーターの役目。
(2)「この部分が弱いから鍛えよう」というのは、一番効果がない(学校の先生に多いやり方)。得意分野を生かした指導法が大切。にほんブログ村 教育ブログ 特別支援教育へ
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