今年の就学指導委員会では、例年にない数のWISCの検査依頼が
舞い込んできています。
発達検査についての認知度が上がってきたことは前進とは思います。
検査は標準化されたものでなければ、本当に測ったことにはならないし、
検査の実施もきちんとマニュアルを読んで熟練していなければならない
ということの認識があがってきているのだと思います。
ただ、数値が一人歩きしたり、明らかに誤った解釈をしたり、されたりという
懸念もなきにしもあらず、です。
今回検査を続けてみて、実感していることは、
「言語性-動作性の有意差を額面通りに受けとめて良い事例は本当に少ない」
ということです。
数値的には5%水準で有意差があっても、解釈上、制限に引っかかる例が
本当に多いのです。
全IQに至っては、そのまま受けとめて良い例はほとんどありません。
「動作性優位だから、目から見せた方がわかりやすい」
「言語性優位だから、ことばで聞かせた方がわかりやすい」
などと言いますが、実際の指導では、そうでもないぞということが多いです。
少し考えればわかるように、人間の認知特性が2つのうちのどちらかである、
などとらえること自体が、どうなのということ。
もちろん、典型例はありますが、人間の認知処理は、もっと複雑だし、
もっとデリケートだし、もっと深い、ということだと思います。
群指数も、下位検査間に一定のばらつきがあれば、額面どおりではありません。
そして一番大事なのは、検査時の子どもの反応であり、周辺情報との関連ですね。
ただ、だからWISCは信用できないからやらない、というのではなく、
一定の条件がクリアされ、必要ならやった方が良いということです。
モノ自体の問題ではなく、使い方の問題。
上手に、正確に使えば、役に立つことが少なくありません。
WISCの講習会が近隣でも開かれるようになりましたが、
ニーズに比較して、まだまだ機会も時間も不足しているのが現状。
何か研修をやってみようかなあ。
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