ハンドルネーム ya
某公立学校通級指導教室担当教員
言語聴覚士
特別支援教育士(S.E.N.S)
性別 男
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くもんの絵カードにも「反対ことばカード」がありますが、
もう少し高度な「対(つい)概念」を扱うために作りました。
ただ反対ことばを回答するというだけでは飽きるので、
カードは交替で引き、回答できたらオセロの石を一つ置ける、
あとはオセロのルールと同じ、というようにゲームにしました。
指導者の手番でも、子どもに答えて欲しいカードの時は
わざとわからないふりをして、回答させてポイントにしました。
赤いカードは、実習生の出番によるものです。
とても楽しそうに取り組んでくれました。
もちろん対概念は、狭い指導室でことばを組み合わせて覚える
というだけでは不足であり、日常生活での使用、
経験に合わせた般化が大事です。
指導室の中でも、少しでも経験的なエピソードと結びつけるために、
回答が難しいときは、エピソードと絡めたヒントやジェスチャーを
提示するようにしました。
たとえば、「あさい」のカードを引いて、その反対「ふかい」を
回答させる時には、プールを思い出し、足が底に届く、
届かないなどをジェスチャーなどでヒント提示にしました。
ヒントで回答できるか否か、概念はわかっているが
ことばが出ないのか、概念自体がわかっていないのかも評価します。
たとえば、「ふかい」の時、「ふ」の語頭ヒントを提示することで、
「ふかい」が表出できる場合もあるでしょう。
「ふかい」が正解だよ、と教えても、ポカンとしているときは、
概念自体がまだなのかなと思います。
「あげる→もらう」 、「かう→うる」、「かす→かりる」などの
視点の切り替えが必要な対概念がわからない場合は、
役割交代を含むゲームなど、自分と他者との関係性の理解が
どうなのかも注目点です。
「受け身」の文の理解、表現ができるのかも関係してきますね。
視点の切り替えが必要な反対ことばだけが難しいときは、
次回はそこに焦点を当てた教材を考える、というように進めています。
作成した文字カードをブログにアップしようと思いましたが、
保存するのを見事に忘れていました。
カードはそのうち、アップしますね。
とりあえず、下に反対語をたくさん並べてみます。
どれも、日常生活や読解には必要な語いですね。
○方向、空間、位置、時間
まえ うしろ
みぎ ひだり
うえ した
たて よこ
いりぐち でぐち
うちがわ そとがわ
ひろい せまい
たかい ひくい
とおい ちかい
さき あと
はじめ おわり
しゅっぱつ とうちゃく
うく しずむ
さいしょ さいご
よる ひる
○属性
おとこ おんな
おとな こども
おす めす
みかた てき
てんごく じごく
○性質
かたい やわらかい
あかるい くらい
あたらしい ふるい
きつい ゆるい
こい うすい
ふとい ほそい
しずか にぎやか
かるい おもい
ながい みじかい
あつい うすい
あつい つめたい
あつい さむい
やさしい むずかしい
つよい よわい
はやい おそい
じょうず へた
ふとる やせる
あさい ふかい
ある ない
きれい きたない
○数量
おおい すくない
おおきい ちいさい
ふやす へらす
たくさん すこし
たかい やすい
ひきざん たしざん
○価値判断、ルール
よい わるい
ほんとう うそ
あたり はずれ
すき きらい
かつ まける
せいこう しっぱい
セーフ アウト
○動作
はいる でる
いれる だす
のぼる くだる
ひらく とじる
たつ すわる
おす ひく
おきる ねる
あげる おろす
きる ぬぐ
はく すう
○関係性
かす かりる
うる かう
あげる もらう
○レベル高い
あんぜん きけん
せいけつ ふけつ
とうこう げこう
しゅっせき けっせき
べんり ふべん
さんせい はんたい
「Yahoo!きっず ポストカード」
http://contents.kids.yahoo.co.jp/postcard/
様々なデザインのレターセットが印刷できます。
本来はパソコン上でデザインを選択しますが、
時間がもったいないので、
予め印刷しておいたものを
子どもに選んでもらいます。
手紙を書く動機を高めるため、
好きな芸能人にファンレターを書くことに。
子どもの力をいろいろな角度から評価、指導できます。
1 レターセットを作る
→はさみを入れたり、のりで貼ったりなど、手先の巧緻性、運動企画、構成力を
2 文字を書く
→文章構成力、文字の読み書き、空間関係
3 切手を貼って投函
→切手をなめることで、舌の巧緻運動。投函で郵便の仕組みの説明、理解
こうしたマルチの活動を行うことで、
子どもの日常により近い状態にアプローチできます。
その活動の評価をもとに、次週の指導内容の方向性も決められますね。
・どきどきフィッシング
http://www.mocco.jp/W-270
→色と数を表す2つのさいころを同時に振って、
「ピンクが2つ」と出れば、
ピンクの魚を2匹つれるという遊び方ができます。
魚釣りをしながら、色と数という2つの条件を同時に考え、
記憶、判断しながら遊ぶことをねらいます。
とても釣りやすいように作ってあるので、
目と手の協調運動が苦手なお子さんもOKです。
むしろ協調運動の発達をねらいにする場合は、
単純な魚釣りゲームとして使うのもありでしょう。
・「色・形」
「MES自作教材CD-ROM」
「障害者とコンピュータ利用教育研究会」
http://www.ceser.hyogo-u.ac.jp/naritas/mes/mes.html
というところが発行している(いた?)
パソコン教材の一部をハードコピーして印刷、
ラミネートしました。
色と形という2つの条件を考えながら、
当てはまる場所に置きます。
定番中の定番ですが、
色・形・大きさカルタ
→色、形、大きさの3つの条件に合うカードをすばやくとります。
たとえば
「大きい、赤い、まる」とか。
PDFにしていますので、ご自由に印刷してください。
ダウンロード(pdf)
子どもの反応をよく観察して、バリエーションをくみます。
たとえば、以下の反応が見られます。
1)3つの条件を最後まで聞かないでカードをとる
2)問題は最後まで聞くが、まちがえてとりやすい
こうした場合、以下のことを考えてみます。
衝動性のコントロールは? 聴覚的短期記憶は?
ルール理解は? 勝負へのこだわりは?
色、形の弁別は?
たとえば、四角と三角の区別、
同じ形だが向きが違うとわからないとか。
衝動性のコントロールが苦手なお子さん、
最後までことばを聞くのが苦手なお子さんには、
カードが最後に1枚だけ「赤・大きい・三角」だけが残ったとき、
出題者は
「黄色!」
「緑!」
「小さい!」
「まる」
などと、わざと違うことばを言ってあげて、
間違えて取ったらお互いに笑う、
という遊びにもっていくことをよくやります。
そもそも、色、形、大きさのカテゴリーの弁別ができていないなら、
何枚かのカードをピックアップして比較させて、
何が同じか、何が違うかを考えさせる、
という事前学習が必要になるでしょう。
「色、大きさ、形」ということばが出なくても、
その概念がわかればまずはOK。
同時に3つの条件を覚えられない、
聴覚的短期記憶が苦手なお子さんなら、
条件を2つに減らしたり、
単純に単語1つだけの、ベーシックな絵カードカルタ
から入るのも一法でしょう。
学研などの「3ヒントゲーム」も3つの条件を満たすカードを取る。
トランプの7並べも、同じねらいで使えますね。
今度は逆に「違うところ」「同じところ」を指摘する教材です。
こちらも定番ですが、
「弁別組合せ学習カードセット」
http://www.saccess55.co.jp/kobetu/dlm/dlm2.shtml
どれが仲間はずれかを指摘はできるが、
その理由が言えないお子さんは多いですね。
「わかっているが言えない」お子さんには、
正解を選択肢で示すのも一法では。
以前も紹介しましたが、
少しレベルアップすると、
岡山県言語聴覚士会の
「失語症者のための自習教材集」
http://www.kawasaki-m.ac.jp/mw/commhw/okayamast/self-study_shitugo/index.php
「仲間はずれ」だけでなく、
「似た意味の単語」
「反対の単語」
なども入っているのがいいですね。
児童には難しい問題は割愛します。
また、漢字もひらがなに置き換えたり、
絵に置き換えた方が良い問題もあるでしょう。
カテゴリー弁別の育成がねらいですから、
文字の読みや短期記憶など他の能力にまで負荷をかけない、
ねらいを広げすぎない、
負荷がかかるようであれば、子どもに合わせて改変する、
というのは教材使用の原則ですね。