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某公立学校ことばの教室教員。公認心理師、言語聴覚士、特別支援教育士。 『クイズで学ぶことばの教室基本の「キ」』の著者。  SINCE 2000.1.1 
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知的な遅れはなく、注意力も問題ないが、書く作業がとても遅い

知的な遅れはなく、注意力も問題ないが、書く作業がとても遅い小2。速く書くよう促すとミスが頻回となる。支援の方向として不適切なのはどれか。
①時間を延長する
②課題量を減らす
③読めることを優先する
④一定の速度になるまで訓練する
⑤完成目標を細分化する

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「漢字の書きは上手だが、読めない」 エピソード理解の長所を生かした指導

Q 小3男児。漢字の書きは上手だが、書き順は一貫して誤る。読みは1年生レベルでもおぼつかない。ひらがなの読みはたどたどしいが、一度読めると単語を特定できる。国語の成績は学級で最下位。自由会話では、経験したことの言語表現は巧みだが、固有名詞を覚えるのが苦手な様子。生育歴にめだった問題はない。WISC-Ⅳではワーキングメモリが著しく低下し、他の合成得点は平均域で、信頼できる値。CARD(包括的領域別読み能力検査)では、音韻経路や、下位プロセスの弱さが目立つ。優先順位の低い指導はどれか。

1)漢字の書き順の指導
2)音韻分析課題
3)既有知識と結びついた漢字を精選して読み指導
4)漢字の成り立ちをイラストで指導
5)漢字を使って短文作成


***

上記の子の場合、たとえば、「消火」(ショウカ)と音読みで読むのは苦手で、「消す」「火(ひ)」と訓読みで覚えることは得意ではないか、と仮説が立てられます。

将来、
「けす、 ひ だから、ショウカだな」
と推理して読むこともできるようになるはずです。
エピソード理解、表現は得意なので。

せっかく検査を行っても、それが個別の指導計画なり、教材選択に生かされないなら、検査した意味がないだろう、と思っています。




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ディスレキシア(発達性読み書き障害)の当事者の話を聞きました。

40代になって初めて自分にディスレキシアがあることがわかったというご本人の話。
涙がこみ上げてきました。

ブログなどにも内容をアップしてはいけないというお達しがあるので、詳しくは書けませんが。

「まずは検査」という風潮に対して、「検査をかけなくてもわかることがある。まずは観察、見取りをしっかりと」という役員の方のお話に強くうなづきました。

「アセスメントなきipadの導入」
「総合解釈なき検査の実施」

私も気になっています。


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「読むこと」に関する3つの誤解

1 読めれば理解できる
→音読できても、意味理解につながらないことがあります。
 読むことに集中が必要なあまり、理解に集中が向かないことがあります。

2 読解力を身につけるのは、たくさんの本を読めばよい
→量より質が大切です。
子どもの理解力に合った内容であること。
3年生だから3年生の読み物ではなく、言語発達年齢が5歳なら、5歳に合わせる。

3 きちんと理解するには、一人静かに集中しなければならない
→読解の苦手な子同士で、お互いに先生役をさせると読解力が向上したということは証明済み。



一般世間では、「自閉症」とか「学習障害」ということばは浸透しましたが、まだまだこうした理解が進んでいないなと。
個々の子ども、自分の子どもに当てはめて考えることが難しい。

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この英語の教科書は笑えます

この英語の教科書は笑えます。

A: I lost your CD.  I'm sorry. It's all my fault.

B:Don't worry. I lost your CD player.

こんな楽しい教科書が増えたら、英語嫌いは減るかも?

今時、アメリカでは、How are you? I''m fine,thank you. And you? 等と言わないとか。



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LD概論4 エセ科学の排除も課題



「ワーキングメモリを鍛えると、ワーキングメモリが育つ」

「発達チャートを見て、できない部分を練習すれば、発達の偏りが埋まる」

といった疑似科学が跋扈しています。

支援者は、何が疑似科学で、何が科学的で、何が信頼性の高い考え方、検査なのかをよく見極めることが大事ですね。

週の限られた通級時間で、最大の効果を上げるには、エセ科学をしっかりとらえることでしょう。
このこともテーマになるかなと。

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LD概論3 KABC-2の概要

「概論」なので、少し難しくても、概要だけでもやはり説明した方がよいかなと。
『日本LD学会 会報第86号(2013.9.1)』に、KABC-2の概要説明が載っています。

標準化された個別の学力検査、しかも標準得点法による知能検査との比較ができる、我が国で初めての検査が加わったという点は、画期的です。
NRTやCRTの長所と限界が示されています。

今後、大学入試まで使える読み書き検査の標準化されたものも出ると聞いているので、見比べてみたいと思います。

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LD概論2 何でも通級で大丈夫か


週1回の指導で、言語発達の遅れも、文字の読み書きもやってくれと、学級担任に頼まれて、できます、と安易に応えることは、実は責任問題だったりします。
何でも通級、の指向性をどう修正するか、難しいですね。

ことばの教室担当者は、学校の中では少数派なので、どうしても多数派の言い分が通ってしまいます。
でもことばの教室担当として、その子を見たときに、優先すべき指導の順位は何か見えているだけに、そのジレンマに悩まされることが多いです。

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LD概論


 今度の任意研究団体の研修会で、LD概論についてお話しします。
 ただ、今回は、なかなか「筆」が進みません。
 なぜか。
 どこに焦点を絞ればよいか、迷っているからです。
 人気のテーマとして選ばれたわけですが、LDの概念をわずか1時間程度の時間に全部説明するのは不可能。
 ましてや、はやりのCHCモデルとか、WISC-4の説明とかになると、新しい先生のための説明としては難しすぎる。
 
 「そもそも知能とは」からやりたいところですが、1週間は必要ですね・・・。

 LDはこう指導しましょう、ではなく、そもそもことばの教室でのLDの指導とはどこまでの可能性と限界があるのか、の説明の方がいいかなと。
 可能性と限界とを見極めないで、期待だけ持たせて実際には・・・、ということがあってはならないでしょう。
 LDの通級妥当の判断、指導過程でのLDの教育的判断は、そんなに簡単ではない、簡単に「ディスレキシア」と言わないで、ということが感じ取れれば良いかと。

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ことばの教室に学習障害のある児童生徒が通級するということ




・LDのある児童についての相談ということで、お話を深くうかがっていくと、まず基本的な人と人との関係性が芽生え始めた段階のお子さん。「学習」云々の前に、もっと大事な指導があるのでは。でないと、バランスを欠いた育ちを示してしまうよと。

・LDは学校の先生だけでは判断できない。専門家の意見を聞くことになっている。
しかし、その専門家が圧倒的に少ない。指導できる先生も少ない。少なくとも私の周囲には、科学的エビデンスのもとに指導できる人はいない。

・知能検査の結果やアセスメント情報をたくさん見ていくと、そもそもLDとは何かという問題に突き当たる。「全般的な知能水準に遅れはないが」の「全般的な知能水準」とは何か?
田中ビネー?
でも田中ビネーのIQは、小さいお子さんの場合、そもそも正規分布ではない。
精神年齢/生活年齢×100

ではWISC?
でも、指標得点間に有意差があるときは、FSIQは慎重な解釈を・・・。
下位検査がばらついても慎重な解釈を・・・。

知的障害との境界は?

数値的はわかっているけど、機械的には決められない。
結局は一人一人について、教育的判断をしていくしかない。
でも判断した先に、支援体制がその学校に整えられるのか・・・。

・そもそも、LDに本気で対応するための週5~8時間確保できる教員配置がなされていない。おまけに行政からは、通級担当教員配置のための時数、教員確保にあたって、「教科の指導補充の時間は原則含めないこと」というお達しまである。つまり「自立活動」以外の指導は保障しない、と言っている。


理想は高いけど、バックボーンが整っていない。

ひとつだけ確認したいこと。
学習障害の通級指導は、成績を上げるために行うのではない!


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言語発達遅滞と失語症

言語発達遅滞と言っても、様々な状態像があります。
自閉症スペクトラム障害や知的障害があっても、ことばは遅れますが、ここでは、文部科学省定義に合わせて、特異的言語発達遅滞を指すことにします。


失語症と言語発達遅滞とは同一視できません。


失語症は、一度獲得した言語能力が失われることであり、子どもの言語発達遅滞はそもそも獲得されていないからです。
だからアプローチの仕方も違ってきます。


子どもの言語発達の方が、どちらかというと経験とことばを結びつけていくことの重要性は指摘できます。
比較して、失語症の場合、経験的なエピソード記憶などが保たれていて、語想起困難(それが何かはわかっていて、特徴などの説明はできるが、ずばりその単語名が思い浮かばないだけ)など、特定の部分だけが障害されている場合、その部分へのピンポイントの指導ができるわけです。


たとえば、


「空を飛び、黒いカーカーと鳴く鳥はなんですか?」→「カラス」


というように、語想起をターゲットにした指導に絞れるわけです。


ただ、そのことは、子どもの言語発達遅滞において、特に語想起困難への支援に狙いたい場合にも使える可能性があります。


知覚推理が高く、視覚的な表象が形成されていて、カラスの属性も理解できていて、語想起だけが苦手という子には使えます。
逆に、カラスを見たことがない、イメージが形成できなくて「カラス」が出てこない場合は、この教材はフィットしないでしょう。


逆に、語想起は良好だが、その属性を説明することが苦手な場合、


「カラスとは何ですか?」


と説明課題を与えたりします。もちろん、選択肢にするなど、難易度の調整も必要でしょう。


失語症の教材を見ていくと、子どもにも使える、と思うことがあります。


「たばこの火を借りるときの会話」などはもちろん使えませんが、ある場面での会話の一部を穴埋め課題にするという課題は、ソーシャルスキルトレーニングにもなり得ます。


人は、日常会話の中で、相手のことばの反応の考えられる範囲を予測しながら聞いているはずです。
それであれば、定型句的な文を検討する教材に取り組むことで、予測能力を高められることにもつながるはずです。
それは文字の読みとも関連しているでしょう。


たとえば、「お茶が熱いので、フーフーと吹いて(     )。」(答:「さました」など)


という教材の場合、(     )は、前後のことばの文脈から、正解を絞り込めるわけです。
絞り込めないとすれば、そもそもことばの意味を理解していないか、熱いお茶を飲むシーンが想像できないか、熱い場合はフーフーとさます、という経験をしていないか、経験していても、知識として結晶化していないか、などでしょう。


一方、自閉症スペクトラム障害のある子ども向けの教材を見ると、発問の内容が広すぎたり、拡散的すぎる場合が見られたりします。
むしろ失語症の教材のようにターゲットを絞って、経験的、体系的、スモールステップ的に指導した方が合うのではないかと思えてきます。

失語症と言語発達遅滞とのそれぞれの教材を見比べることで、言語発達の見立てがより深まるのを感じています。

そして、通級指導においては、勉強そのものを教えるのではなく、学び方を教える場であること。たとえば、漢字の読み書きの指導の前に、こうした言語発達の基盤ができているのか、その基盤へのアプローチが、まず通級指導には求められると感じています。

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学習障害 IQと学力間のディスクレパンシーモデル

アセスメントのレベルというのは3階層があって、「階層1」では、早期介入のためのスクリーニングが行われ、「階層2」では、その効果についての検証と、必要に応じたカリキュラムの修正、そして「階層3」では、長期的な診断と指導が行われるわけです。

「通級による指導」とか、「特別支援学級」の「特別な場」は、個別指導なわけですから、「階層1」のように、教えてみて、子どもの反応を見るというような段階ではなくて、検査や情報収集などの詳しいアセスメントが必要なレベルなわけですね。

ところが、検査はいいのだけれども、「全般的な知能水準に遅れはないが」というLDの定義に当てはまらなくても、学力に困難を来している子は大勢いるわけです。

LDについて、より良い判断基準なりが模索されています。

やっぱり、LDは

Learning Disorders
Learning Disabilities

というだけではなく、

Learning Difficulties (学習困難)

Learing  Differences (学び方が違う)

など、様々なタイプ、考え方を包含していくということが求められるわけですね。

予算などの条件整備ということと、かけ算で検討しなければならないので、どこで区切る(カットオフ)するかということも考えなければなりませんが。

ただ一つはっきりしているのは、遅れているからただちに特別な場、ということではないということ。

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算数障害 2

算数障害の「算数」とは、教科の算数とイコールではありません。
だからたとえば、単位換算を間違えるから、算数障害とは言えません。
 
いずれにせよ、両方とも様々な能力が関与しているわけで、支援につなげるなら、それを丁寧に見なくてはなりません。

たとえば、2は1と5のどちらに近いかということを判断する力、スピードはどうなのかという視点。

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算数障害

算数障害は様々な能力が関与しているため、算数障害のある集団というくくりをしても、能力的な特徴を見出すことは困難です。

…ということは知っていましたが、改めて統計的なエビデンスに触れることができました。
欧米では算数障害についてのスクリーニング検査や、実行機能や注意、エピソード記憶など測れる検査が充実しているのですね。
また、教材も充実している。一方我が国は?

昨日のNHKの人工光合成の話ではないですが、欧米では異職種の専門家が同じ屋根の下で一つのプロジェクトを作り、明確な目標に向けて取り組むのが得意ですね。だからイノベーションの能力は高い。そういう背景があって、特別支援教育、教材開発、検査の開発というのも進むのでしょうね。専門家の養成システムも、我が国に比べて進んでいる。

我が国では、学力の平均がどうしたとか言っていますが、イノベーションとか、専門性とかの方が、これからの国際関係の中では大事ではないかなと。予算のかけ方が違いまずね。

そういう意味においても、算数障害に対しても、成績を伸ばすためとか、凸凹を平らにするとかでなく、本人の学びやすさ、学習の楽しさを考えるということが大事ではないかなと。

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眼振検査と、読み障害

眼振検査とは?
http://medical-checkup.info/article/66606075.html

病院で、頭のふらつきを訴えると、上記のリンクのように検査を行ってくれます。

「注視眼振検査」と「非注視眼振検査」の2つを行うことで、体のどの部分に問題があるのかをある程度、見立てられるのですね。
私の病院での「非注視眼振検査」では、赤外線CCDカメラ(だと思われる)を使って、部屋を真っ暗にして、検査してくれます。

文字の読み障害、とりわけ、文字を順にたどって読めない状態の子の中には、動く対象物を注視しているとき、体の正中線を交叉する際に、眼振が見られることがあります。
ちょうど、司っている脳の部位の左右がチェンジする瞬間です。

ところが、読み障害はないのにも関わらず、眼振が見られる子もいます。

だから、

眼振がある→読み障害

とは、必ずしも言えないでしょう。
逆に、

読み障害がある→眼振がある

とも必ずしも言えません。

文字の読みは、実に複雑なプロセスを経由しているので、色々な観点から総合的に評価する必要がある、と思っています。

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日本のLD(学習障害)の定義

 

文部省、1999年の学習障害の定義について、

「書く、読む、聞く、推論する、計算する、話す」

のうち、どれが最初に書かれているでしょうか?
実は、LDの定義は、発達の順番通りに書いてあります。

というクイズを某研修で出しました。

正解は「聞く」。

医学的なLDでは「読み書き計算」でしょうが、日本の定義は広いのです。

そして、「聞く」には、意味論、音韻論、統語論、語用論の観点から見ていく必要があります。

まず「読み」から入るという指導で良いのかどうか、定義を考えてみるだけでも違ってきます。


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『WISC-4の臨床的利用と解釈』4 「ディスグラフィア(書字障害)」

「書きの困難」には、

・ 書写
・ 綴り

の2つがあり、両方に困難を示す場合もあります。

日本語の場合は、たくさんの文字の形、種類を覚えなければならないので、英語圏にくらべて、「書写」の比重が高いと思いますが。

そして、書くことは、

・計画力
・自分のしたことを振り返る力
・問題解決と、解決のための計画を立てる

ということにも、大きく依存しているとのこと。

読み書きの前に、それらの力が十分育っているのかということをきちんと評価しないと、子どもに加重な負担を与えることになります。

これらのことは、通常学級の授業参観をちょっとやって、1シーンだけを切り取って見てもわかりにくいことですね。

やはり、科学的な評価(神経心理学的アセスメント)が必要なのです。


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ことばの意味を理解するということ

小さい子どもの発話は、時としてその「ずれ感」がおもしろかったりします。
恐竜の絵カードを読んで欲しいというので、一つ一つ読んであげました。

「トリケラトプス」、「ブラキオサウルス」、「メガロサウルス」・・・
 するとおもむろに、
 「あのさ、アデノウィルスもあるしょ」
 
それは怖い恐竜ですねえ。はやっているからね。

「・・・ルス」の音が同じですね。
カテゴライズは違っていたけど、音の「照合」はできるのでしょう。

人は、人とのコミュニケーションの中でことばを獲得していきます。
中川 信子先生の「ことばのビル」をあげるまでもなく、「ことば」は様々な経験の最上階に位置します。
だから、ことばの意味を「お勉強」するだけで、それを獲得するわけではない。

ただ、こどもによっては、同じ経験をしているのに、ことばの意味理解が苦手な場合もあります。
一つ一つの経験を抽象化したり、逆に抽象的で難しいことばを使えても、その意味理解は表面的だったりします。

環境を構造化してあげることで、ことばの意味理解を獲得する子もいます。

ことばの教室での「自立活動」は重要だなと。

通常なら、日常生活の中で獲得する「意味理解」であっても、「短い」と「小さい」との違いを様々な例を挙げてわかりやすく教えてあげることが必要な子もいます。
ちなみに「短い、長い」と「大きい」「小さい」の概念は、通常の発達では未就学の段階で獲得します。
「短い」という漢字は小学校3年生で出てきますが、その段階で「短い」の意味がわかっていないと、漢字を教えても覚えにくいでしょう。

大学教授で、自閉症の当事者のテンプル・グランディンは、「犬」ということばを聞くと、「イヌ」という抽象化された概念で考えるのではなく、それまでに出会った犬のイメージを次々思い出して考える、という主旨をおっしゃっています。

具体→抽象、抽象→具体

が苦手な子には、視覚支援などを通じて、ことばの意味の多義性を教える必要があるでしょう。

「読む」「書く」よりも「聞く」「話す」がまずできているのか。
大事な視点です。


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ちゃんと読めるんです

じばんゅん は めくちちちゃゃ でも
ちんゃとよめる という けゅきんう
に もづいとて わざと もじの じん
ばゅん を いかれえて あまりす。
どでうす? ちんゃと よゃちめう で
しょ?


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むしろ苦手なことの使用を避けた方が文字学習が困難な子には良い

『LD研究 第21巻 第2号』 日本LD学会、2012

読み書き検査の「STRAW」を作成された宇野先生の論文がありました。

音韻抽出の苦手な子に、単語のキーワード法を用いた文字の指導に疑問を呈しています。

つまり、「さかなの『さ」」といように、単語から特定の音を抽出すること自体が苦手な子に、「さかなの 『さ』と同じように『さ」がつくことば→「さいころの『さ』」を読む、書くといった指導は、子どもの苦手な力を使った指導です。

それは避けるべきではないかということ。

文字指導ではなく、音韻抽出の練習だけならいいのでは、と思いますが、でも、音韻処理と、文字学習とを同時にねらう等のやり方は負担でしょう。むしろ得意な力を使って指導した方が、子どもにとっては楽ですね。

同様に、これを演繹すると、

・形の見分けが難しい子に、絵とひらがなを形態的にマッチングさせる指導
・その単語の意味を知らない子に、その単語を使った指導
・手先が苦手な子に、なぞらせたり、運動知覚を用いて読ませようとする指導
・短期記憶の苦手な子に、短期記憶に負荷をかけながら読ませる指導
・物語のような時系列に沿った理解が難しい子に、ストーリー性のある文字指導
etc
というところでしょうか。
子どもには結構負担なわけです。私の指導も見直したいと思いました。

でも、子どもの実態と、指導との組み合わせをちょっと替えるだけで、すばらしい指導に変わる可能性があります(笑)。

また、STRAWは、高校3年まで対応でき、RAN(Rapid Automatized Naming)によるスクリーニング検査なども含めたものにバージョンアップするとの情報もありました。大学入試との関連のことも書かれていたので、そのことも意識してのことかと。

RANは読み書きの力を予測する検査としては、有意差がかなり指摘されていますね。ただし、6~7歳では、その能力が大きく変動しやすいとの報告もあるようですが。



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読み書き検査と科学的態度

「ヒッグス粒子」がついに発見された?というニュースは、科学の好きな私にとって身震いする思いです。
子どもにこの話をしたら、紙をハサミで限りなく小さく切り刻んで「できた」と言っていました。
かわいいですね。

IPS細胞で病気が治るという話しも、夢が広がります。


さて、今日は「読み書き障害」で検索していらした方が多いので、「科学的態度」と合わせてこの話題を。


私が、読み書き検査でよく使うのは、


『小学生の読み書きスクリーニング検査─発達性読み書き障害(発達性dyslexia)検出のために─ 』(STRAW)

と、
『森田-愛媛式読み書き検査(改訂版)』です。


前者は、レーブン色彩マトリクス検査(RCPM)と組み合わせて、
知的障害を伴わない発達性ディスレキシアをスクリーニング検査で検出するのが目的です。

私の場合は、知的な遅れがあるかどうかということとの関連で検討するために、
RCPMを使うことはほとんどなく、WISCなどとの組み合わせで検討しています。
そういう統計表にはなっていないのですが、私の使用目的は別のところにあります。


この検査自体は、統計学的な処理がされているので、「マイナスいくつSD」などと値は出ますが、
私はどのように間違えるのか、どのようにできないのかという点を重視して使います。
つまりスクリーニングというよりは、通級を担当している子どもの読み書きの状況を
評価するために使っています。使用目的が本来的ではないかもしれませんが。

しかしこの検査は単語までしかできませんので、文レベルでは評価できません。

そこで、後者の『森田-愛媛式読み書き検査(改訂版)』を使うことがあります。

ただ、検査も大事ですが、日常の国語のノートや作文を見たり、授業の様子の情報収集だけでもかなりのことがわかります。
しかし科学的なエビデンスに基づいた指導を行うには、やはり標準化された検査を組み合わせ、正確な解釈を行うのが科学的態度とも言えます。


統制されていない条件なのに、一回のお試しだけで傾向を判断するというのは、科学的ではないし、エセ科学そのものと言えます。

同じ条件で何度繰り返しても同じ結果が出ることが検証可能でなければ、科学ではないのです。



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漢字単語は、心像性の高さによって読みの習得の様相が異なることが指摘されています。

やっぱり我流でなく、きちんと論文にあたった方が良い、とこの頃思っています。
日本LD学会の発表論文集に紹介されていました。

NTTデータベースシリーズ「日本語の語彙特性」
http://www.kecl.ntt.co.jp/icl/lirg/resources/goitokusei/
 
漢字単語は、心像性の高さによって読みの習得の様相が異なることが指摘されています。 
心像性とは、つまり単語のイメージをどれだけ持てるかということですね。
つまりその単語の意味がイメージできなければ、読みにも影響するとは当たり前の話ですが、それが学術的にも最近、単語属性として注目されているようです。LDだけでなく、失語症でも。
 
このNTTデータベースはよく出てくる単語をデータ化しているわけで、漢字の学習の優先順位の決定にも使えるのではないかと思います。とても高いので買えませんが。
 
ちなみに上記ページでは、あなたの語彙力が測れるそうですから、遊びがてらやってみては。



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発達性読み書き障害

言語聴覚士関連の研修会の案内を頂いたので、聴いてきました。
 
発達性読み書き障害を中心とした症例と指導法のお話でした。
 
音韻意識をはじめとした、音韻性の読み書き障害と、視知覚などの視覚性の読み書き障害の典型例でした。
 
読み書きに困難があると、みんな「ディスレキシア」と呼んでしまう現場の混乱がありますが、知的な遅れがないことがディスレキシアの前提です。また、状態像等の横の情報と、生育歴などのタテの情報、そして諸検査などから、初めてディスレキシアと呼べるわけです。
 
今回の発表は、WISCやRCPM(レーブン色彩マトリクス検査)などから、知的な遅れがない子をピックアップしていて、PDDのある子などは研究から除外しているそうです。だから典型例ばかりだったわけですが、教育現場の人間としては、むしろ典型例の方が少ないと感じていました。
 
つまり、聴覚情報処理とか視覚情報処理や短期記憶の問題だけで,LDを説明しようとすること自体が、現場からは乖離しているわけです。神経心理学だけで、しかもその一部の概念だけで、LDの説明はできないのであります。
 
今回の発表では、典型例だけを扱っているということもあり、知的障害やPDDがないことが前提なので、「読解」「言語概念」「語彙学習」、そして「意欲」の問題はどちらかというと軽視されている印象でした。
 
療育関係のSTも、実際には様々な要因が重なっている、という実感を持っているようです。
 
子どものLDと、成人後の脳損傷後の失語症とは違う、という最大の点は、子どもは発達していくという部分なので、よりトータルに子どもの力を理解する必要があると普段感じています。それもあって、ますます典型例というのは少ないです。
 
「LDは、失語症のひとつである失読失書と同じでしょうか?」という質問が参加者から出ていましたが、LDにも様々なサブタイプがあり、子どもの発達と、脳損傷とはイコールではない、と思ってしまいましたが、講師も同様の見解のようでした。この点、異論のある方はいないと思います。
 
ワーキングメモリがLDの原因ではとの質問もありましたが、ワーキングメモリはあらゆる機序を含めてしまう便利な用語であって、LDだけでなく発達障害全体に言えるので、それ自体は説明や支援につながらない、という指摘もある程度その通りと思いました。そればかりか、結晶性知能、心内辞書など、ワーキングメモリ以外のことも検討する必要があるのでは、と思いました。
 
○○くんは、○○障害→○○障害の原因は、△△→△△を克服するには、××の指導法
 
とやってしまいがちになりますが、そうではなくて、

○○君→○○くんの特性の理解→○○くんへの指導法
 
でなければならないのだと思います。


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【研修レポート】日本LD学会 第20回大会 その3 教育講演「発達性ディスレキシアの評価と指導」

●教育講演「発達性ディスレキシアの評価と指導」筑波大学大学院 宇野 彰氏

 
 「ディスレキシア」とは読み書き障害のことです。
 「本当は読み障害」なのですが、子どもの発達の場合、脳損傷後の高次脳機能障害とは違って、読めなければ書けないので、「読み書き障害」でよいのだそうです。

 「発達性」とは、事故による脳損傷後の障害とは違う、子どもの生まれつきの発達の障害を意味します。
 
 
 

 ディスレキシアは、遺伝が関係していることは間違いないようですが、どの遺伝子がどのように関与しているかはわかっていないとのことです。
 
 

 LDのある子に、単に書かせる指導を繰り返すのは効果的ではなく、やり方を変える必要があります。
 その理由としては、 「書く」という作業が
1)文字を見る、
2)文字の形を短期記憶する、
3)音に変換する
など、最低5つの処理を一度に行わなければなりません。

一つでもできない処理があれば書けません。
それでは、できることもできなくなってしまいます。

 また、「読み書き障害」というと、音の分析や形をとらえる力ばかり注目されますが、語い力の問題が見過ごされがちです。宇野先生もそのことを指摘していました。

 たとえの例がわかりやすくかったです。
 
 『未曾有』を『みぞうゆう』と読んだとしても、『みぞう』ということばを知っていれば自分で修正できるということ。

 また「筆順は誤っても良いから、その子にとって一定した書き順であることが大切」と述べ、筆順にこだわるべきでないと指摘。

 さらに、漢字が書けなくても、電子辞書やパソコンで検索すれば良い時代。
 
 書けなくても読めれば調べられます。
 就職試験で電子辞書の持ち込みを可とする企業が増えています。
 だから、書きより、読みが重要です。
 検索するために、漢字の前にひらがなの指導が重要です。

 
 
 
 
 この話も納得でした。

 漢字の学習は、学習指導要領通りでなく、社会に出たときの使用頻度で内容を決めている、という実践も、考えてみれば全くそれでよいのだと思いました。
 通常学級では難しくても、通級で、自立活動と絡めた指導なら可能といえるでしょう。

 ところで、宇野先生の『小学生の読み書きスクリーニング検査 発達性読み書き障害(発達性dyslexia)検出のために』は、スクリーニング検査としては使えると思います。
 さらに詳しく見るには、別の『森田-愛媛式読み書き検査』とか、日常のテストなどの資料収集が有効でしょうね。




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 講座「言語障害教育」バーチャル再現 3 読み書きの評価と指導

 
 
この講座では、
・読み書き困難を発達全体の理論との関連で概観し、
・アセスメントの具体的な方法を演習し、
・教材紹介を含めた、実際の指導方法の例示

を行いました。
特に理論はきちんとやりたいと思いました。

実践のない理論は机上の空論ですが、
理論のない実践は、独善にすぎないからです。
子ども理解を軽視して、方法論に傾倒することを最もおそれます。

初めて担当した先生への支援は、まず理論をしっかりお伝えすること、
そして2回目の講座では、応用的実践、演習に力を入れる組み立てに
なっている、ということもあります。


さて、講座中では、
遠城寺式の概観をしたあと、以下のような質問をしました。



08dfd6e7.JPG 
 



 







・・「聞く」・・「話す」・・「計算する」・・「推論する」
「読む」「書く」
 
これは、子どもの発達の一般的な順序を示しています。
「読む」「書く」はどの位置に入るでしょう?
 
 
この問題には皆さん解答が見えているようでした。
つまり、「読む」「書く」の前に「聞く」「話す」の土台が必要であること。
もちろん、個人差はありますが、「聞く」「話す」は音声言語には限らないですね。
双方向のコミュニケーションの土台があって、文字に行けるのでは。
文部科学省のLDの定義も「聞く、話す、読む、書く、計算する、推論する」
の順番ですし、成人失語症検査のSLTAも、「推論する」以外はその順番ですね。
 
 
次に、「見る」について問題を出しました。


「見る」を検討することは、文字の読みにとって重要です。
「見る」には、大きく分けて3つの要素があります。何でしょう?
これは難しかったようです。

d09e5325.JPG









 
「視力」「視機能」「視知覚」でした。
よく、「視機能」と「視知覚」を混同した議論や実践が見られます。
 
ことばの定義の問題ではありません。
眼球運動の問題ではなく、視知覚の問題なのに、
眼球運動トレーニングをしたりというように。

もちろん、「視機能」が弱いと「視知覚」の発達は遅れる可能性があるなど、
全く切り離しては考えられません。
しかし、時間のムダにならないよう、
より正確で詳細なアセスメントが必要でしょう。特に通級制においては。

つづく

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