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某公立学校ことばの教室教員。公認心理師、言語聴覚士、特別支援教育士。 『クイズで学ぶことばの教室基本の「キ」』の著者。  SINCE 2000.1.1 
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言語発達遅滞と失語症

言語発達遅滞と言っても、様々な状態像があります。
自閉症スペクトラム障害や知的障害があっても、ことばは遅れますが、ここでは、文部科学省定義に合わせて、特異的言語発達遅滞を指すことにします。


失語症と言語発達遅滞とは同一視できません。


失語症は、一度獲得した言語能力が失われることであり、子どもの言語発達遅滞はそもそも獲得されていないからです。
だからアプローチの仕方も違ってきます。


子どもの言語発達の方が、どちらかというと経験とことばを結びつけていくことの重要性は指摘できます。
比較して、失語症の場合、経験的なエピソード記憶などが保たれていて、語想起困難(それが何かはわかっていて、特徴などの説明はできるが、ずばりその単語名が思い浮かばないだけ)など、特定の部分だけが障害されている場合、その部分へのピンポイントの指導ができるわけです。


たとえば、


「空を飛び、黒いカーカーと鳴く鳥はなんですか?」→「カラス」


というように、語想起をターゲットにした指導に絞れるわけです。


ただ、そのことは、子どもの言語発達遅滞において、特に語想起困難への支援に狙いたい場合にも使える可能性があります。


知覚推理が高く、視覚的な表象が形成されていて、カラスの属性も理解できていて、語想起だけが苦手という子には使えます。
逆に、カラスを見たことがない、イメージが形成できなくて「カラス」が出てこない場合は、この教材はフィットしないでしょう。


逆に、語想起は良好だが、その属性を説明することが苦手な場合、


「カラスとは何ですか?」


と説明課題を与えたりします。もちろん、選択肢にするなど、難易度の調整も必要でしょう。


失語症の教材を見ていくと、子どもにも使える、と思うことがあります。


「たばこの火を借りるときの会話」などはもちろん使えませんが、ある場面での会話の一部を穴埋め課題にするという課題は、ソーシャルスキルトレーニングにもなり得ます。


人は、日常会話の中で、相手のことばの反応の考えられる範囲を予測しながら聞いているはずです。
それであれば、定型句的な文を検討する教材に取り組むことで、予測能力を高められることにもつながるはずです。
それは文字の読みとも関連しているでしょう。


たとえば、「お茶が熱いので、フーフーと吹いて(     )。」(答:「さました」など)


という教材の場合、(     )は、前後のことばの文脈から、正解を絞り込めるわけです。
絞り込めないとすれば、そもそもことばの意味を理解していないか、熱いお茶を飲むシーンが想像できないか、熱い場合はフーフーとさます、という経験をしていないか、経験していても、知識として結晶化していないか、などでしょう。


一方、自閉症スペクトラム障害のある子ども向けの教材を見ると、発問の内容が広すぎたり、拡散的すぎる場合が見られたりします。
むしろ失語症の教材のようにターゲットを絞って、経験的、体系的、スモールステップ的に指導した方が合うのではないかと思えてきます。

失語症と言語発達遅滞とのそれぞれの教材を見比べることで、言語発達の見立てがより深まるのを感じています。

そして、通級指導においては、勉強そのものを教えるのではなく、学び方を教える場であること。たとえば、漢字の読み書きの指導の前に、こうした言語発達の基盤ができているのか、その基盤へのアプローチが、まず通級指導には求められると感じています。

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