●教育講演「発達性ディスレキシアの評価と指導」筑波大学大学院 宇野 彰氏
「ディスレキシア」とは読み書き障害のことです。
「本当は読み障害」なのですが、子どもの発達の場合、脳損傷後の高次脳機能障害とは違って、読めなければ書けないので、「読み書き障害」でよいのだそうです。
「発達性」とは、事故による脳損傷後の障害とは違う、子どもの生まれつきの発達の障害を意味します。
ディスレキシアは、遺伝が関係していることは間違いないようですが、どの遺伝子がどのように関与しているかはわかっていないとのことです。
LDのある子に、単に書かせる指導を繰り返すのは効果的ではなく、やり方を変える必要があります。
その理由としては、 「書く」という作業が
1)文字を見る、
2)文字の形を短期記憶する、
3)音に変換する
など、最低5つの処理を一度に行わなければなりません。
一つでもできない処理があれば書けません。
それでは、できることもできなくなってしまいます。
また、「読み書き障害」というと、音の分析や形をとらえる力ばかり注目されますが、語い力の問題が見過ごされがちです。宇野先生もそのことを指摘していました。
たとえの例がわかりやすくかったです。
『未曾有』を『みぞうゆう』と読んだとしても、『みぞう』ということばを知っていれば自分で修正できるということ。
また「筆順は誤っても良いから、その子にとって一定した書き順であることが大切」と述べ、筆順にこだわるべきでないと指摘。
さらに、漢字が書けなくても、電子辞書やパソコンで検索すれば良い時代。
書けなくても読めれば調べられます。
就職試験で電子辞書の持ち込みを可とする企業が増えています。
だから、書きより、読みが重要です。
検索するために、漢字の前にひらがなの指導が重要です。
この話も納得でした。
漢字の学習は、学習指導要領通りでなく、社会に出たときの使用頻度で内容を決めている、という実践も、考えてみれば全くそれでよいのだと思いました。
通常学級では難しくても、通級で、自立活動と絡めた指導なら可能といえるでしょう。
ところで、宇野先生の『小学生の読み書きスクリーニング検査 発達性読み書き障害(発達性dyslexia)検出のために』は、スクリーニング検査としては使えると思います。
さらに詳しく見るには、別の『森田-愛媛式読み書き検査』とか、日常のテストなどの資料収集が有効でしょうね。
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