2 「○分間座って集中することができる」
おちつきのなさを主訴とする事例の場合、
こうした指導目標を見かけることは少なくありません。
集中して課題に取り組むことで通常学級でも同じように
「我慢させる」ことを目標としているわけです。
気持ちはとてもよくわかります。
ただ、この目標には「どんな内容、分量の時に」が
抜け落ちています。
そして、落ち着きのなさで多いケースは、
・学級では座っていられないが、ゲームなら何時間でも集中できる。
・教科によって集中に違いがあること。
つまり、集中できないのではなくて、集中のコントロールが難しいということ。
また、
・行動面の落ち着きのなさは、適切な環境であれば、
徐々に軽減されることが多いこと。
(頭の中の多動はなかなか改善しないかもしれませんが)
つまり、着席時間を長くすることそのものを目標とするのは、
あまり意味がないのでは、と私は考えています。
むしろ、座っていられない背景を看取ることの方が、はるかに大事かと。
・教科によって差があるなどは、授業の内容、方法がその子にフィットしていない可能性。
・できないことや失敗することへの不安、恐怖
・体幹の支持性など、着座姿勢を保てない体力、または感覚統合の問題
・睡眠、食事など、生活リズムの問題
(睡眠時の環境や、ねる前の食事、呼吸の問題、背骨と寝る姿勢などなど)
(寝るときの情報からもいろいろなことがわかります)
・家庭内不和、児童虐待などストレスが背景にある場合
・視機能、視知覚、聞こえの問題
・妨害刺激への抑制がもともと難しい。脳機能の問題
・
いろいろな背景を見ていく必要があるのでは。
座っていられる時間を長くする目標よりも、座っていられないときに
うまく回避する、離席を合法化する手続き、スキルの方が大事なのでは。
つまり、たとえば、「離席カード」があれば、3回まで離席していいよとか、
教室を脱走するならば、脱走先の場所だけは約束するとか。
また、短時間でもできる課題がこなせたらほめて、休憩時間を保障するというように、
成功体験を積むことも大事ですし。
落ち着かないから、座っていられるようにしよう、というのは、
現象面だけを見て、背景を見ていないのでは。
通級においては背景へのアプローチが役目だと思うのです。
何分間すわっていられるかよりも、
座って何をしたか、その子にとってそれがどんな意味を持つのか、
が大事なのだということです。
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