通級の指導目標は、終了判定基準があって、設定できるものです。
もちろん、個々のケースによって違いはあり、杓子定規になってはいけません。
しかし、何を、どこまでを目標とするのか、ぼやっとしていながらも、ある程度の目指す姿が明文化されていなければ、判断記基準が担当教員によって変わってしまう、ということも起こりえます。
特に、機能性構音障害の場合は、練習によって改善が見通せるわけですから、明らかな指導目標、終了目標を取り決めておく必要があります。
過去、明文化された基準がありながら、人事異動によって消失している教室もいくつかあるようです。
以下は、サンプルです。
(構音障害の指導の終了判定基準例例)
・障害音が、単音節・単語・短文・会話の中で正音と判断された時。
・会話中において出現頻度が著しく低下し、自ら言い直しができるなど、自己弁別力もついていると判断された時。
・障害音ばかりでなく構音全体を見直し、単音節・単語・短文・会話の中で正音であると判断された時。
・会話中において出現頻度が著しく低下し、自ら言い直しができるなど、自己弁別力もついていると判断された時。
・口唇や下顎に不必要な動きがないこと。
・歯間音化構音の場合、舌が歯から出ていないこと。
・幼稚園、保育園や学校、家庭での様子も確認しておく。(意見聴取)
・その時の児童の状態で、考慮すべき事項(前歯の状態、風邪、副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎等)がある時は、そのこともふまえて判断する。
・構音が改善されれば、舌癖が残っていても修了とする。
※修了判定会議で用意する物
・単音、単語、短文、文章の音読のプリントと録音。自由会話の録音。(1~2分)
・歯間音化構音の場合は、ビデオを用意する。
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舌癖は構音障害に該当するかという質問がありましたが。
構音障害がないのであれば、舌癖が残っていても指導終了とするのが妥当です。
『教育支援資料』(文部科学省、h25.10)を精読する必要があります。
舌癖は、あくまでもそれによって構音障害を呈して居る場合に指導対象となります。
近隣に舌癖をしてくれる機関がないからとか、医療機関につながらないから、という理由でことばの教室での指導を漫然と続けている例があるようですが。
それならば、視知覚にほぼ問題はなく、文字の読みに困り感がなくても、「追視」に苦手さがあるというだけで、通級対象にしなければなりません。
背骨が曲がっているから、座位姿勢が保てない、よって読み書きに影響している、読み書き能力そのものは平均。
という子も通級対象にしなければならなくなります。
通級対象にするにしても、終了するにしても、教育的、法的な根拠が必要です。
そして、複数教室にあっては、必ず録音を用意するなどして、複数の耳で判断しなければなりません。
「保護者が継続を希望していない、担当としては構音が改善したと思う」という理由だけで、判定会議にかけずに終了にしてしまう例を見てきました。
保護者が継続を希望しない場合でも、教室として、就学指導委員としての見解はまとめて、保護者に情報提供することは必要なはずです。
実際、数年後に同じ主訴で戻ってこられる方も少なくないのです。
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