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某公立学校ことばの教室教員。公認心理師、言語聴覚士、特別支援教育士。 『クイズで学ぶことばの教室基本の「キ」』の著者。  SINCE 2000.1.1 
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クローズアップ現代「“薬漬け”になりたくない~向精神薬をのむ子ども~」

クローズアップ現代「“薬漬け”になりたくない~向精神薬をのむ子ども~」
 
http://www.nhk.or.jp/gendai/
 
 薬だけに頼るのは良くないですし、教育的配慮でまず対応すべきとの主旨には賛同します。何かあるとすぐに「発達障害」とのレッテルを貼って、子どもの行動の背景にある気持ちを理解することが後回しになりがちであるという現状認識にも賛成します。
 しかし、この番組に対しては若干の疑問を感じました。
 
1 児童精神科医が「障害でなく個性としてとらえる」とおっしゃっていましたが、「障害とは理解と支援を必要とする個性」です。障害を個性としてとらえたり、対応できたりするだけの人員、人材が現在の学校に存在しているのか、という点の言及がない。国も、特別支援教育を実現するには、教員の配置がまだ足りないという認識を持っている、と公的に認めています。
 その点では「個性ととらえるゆとりが学校の先生にない」と医師はおっしゃってはいますが、学校の先生にとらえ方のゆとりがないのは、学校の先生自身の問題というよりは、世論が「学力向上」「食育」「読書」「早寝早起き朝ご飯」「情報教育(パソコン)」、「職業教育」、「道徳」、「外国語」、「時間割増」など、学校に求めるものの量と質の肥大化がある、そこから外れる子への個別的な対応がそもそも難しくなっている、という点での指摘が必要でした。
 少子化によって、自分の子どもへの期待の高まりという時代的流れもある。つまり学校の先生の立ち位置は、結局それらの世論によって左に右に動かされている、という背景認識が必要です。
 
2 医師を囲んでの教師の勉強会のシーンがありました。他児へのたたき方がマックスで、「痛い」との他児の訴えが絶えないという報告に対して、医師が「感覚の認知が弱いのでは」と指摘、「ブランコなどの感覚を育てる遊びが良い」とアドバイスしていました。このシーンは、薬だけに頼らずに対応する取り組み、との主旨で放送されたわけですが、ブランコなどの遊びは確かに感覚統合を養う上で有効「かも」しれません。(細かいことを言うと、たたき方の強さの感覚認識を高めるためとして、前庭覚を主に刺激するブランコは妥当なのか、ということはありますが)しかし、それには長期的な取り組みが必要であり、今どうするか、他児にけがをさせるかもしれないという状況に対する答えには、何らなっていないこと。(番組の時間の都合で、そこはカットしただけかもしれませんが、番組を見た人は、感覚統合に過度に期待してしまう「リスク」を感じました)
もっと言えば、薬の副作用を主張して、薬に頼らずに、という主旨に対する内容なのに、感覚統合療法という科学的根拠の実はない?内容をぶつけてくること自体、どっちもどっちではないのか、と思ったこと。(感覚統合の遊びのアドバイスが誤りだと言っているのではありません。薬に頼らずに、という主旨としては弱いのではないかということ)
 
3 番組冒頭で、薬を否定しない、と言ってはいますが、この番組を見て、本当は薬が必要なのに、取りやめる事例が多発しないかを懸念致します。成功事例も紹介すべきでした。
 
 私も、子どもが小さいうちから薬に頼るのはどうかと思いますが、明らかに誤った処方という事例に出会ったことは今のところありません。薬の副作用の報告を受けることはありますが、地域の医師も、薬の種類や量を加減しながら、副作用を減らして効果を高める取り組みをしていることがわかります。
 飲み始めは体に合わないこともあるわけですが、その部分だけをとって薬のリスクばかりを主張するのはいかがなものでしょうか。
 さらには、病院も、学校に対してお手紙を書いてくださり、対応方法を助言して頂くことも少なくありません。薬だけで、教育的対応が変わらなければ、薬の効果も薄くなる、ということもあります。だから、医師は単に薬を乱発しているだけというイメージでいくのは、ちょっと違うのではないかと思いました。
 今回の番組は、ちょっと副作用を誇張していないかと思いました。リスクと利益とを天秤にかけて、ケースバイケースで検討するべきなのであって、片方のリスクばかり主張し、子ども達が楽しく生活したり、自信を高めたりする機会を逆に奪う結果を招くとすれば、それはまた人権問題であると思います。

もちろん、薬の重篤な副作用を引き起こすことも人権問題であることを認めた上でのことです。

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