教育相談の進め方について、相談がありました。
当教室での相談の流れです。
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電話で教育相談の申し込み受理
(主訴を確認)
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質問紙(主訴や生育歴等の質問紙)と、相談案内状発送
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学級担任等からの情報収集(保護者同意の上で)
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事前のアセスメント情報を整理し、検査の選択をする
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職員事前打ち合わせ(この日までには、質問紙が返送されてくる)
質問紙の回答内容によっては、検査の選択を変える場合もある。
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相談実施(子どもと保護者に来室頂き、保護者対応と、子ども検査担当に分かれる)
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相談事後打ち合わせ 措置判断
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保護者に電話し、支援のプランを含めた措置判断の結果を伝え同意を得る
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教委と在籍学校に報告し、通級開始または経過観察
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・検査の種類としては、
『ことばのテスト絵本』、掘り下げ検査、構音類似運動検査、発語器官機能検査、視診
構音障害の背景に、語音認知の課題、誤学習が疑われる場合は、聴覚的弁別検査も行います。
場合によっては、心理検査(WISC、K-ABC、まれに田中ビネーなど)
吃音の場合は、小林宏明先生の質問紙を用いることもあります。
社会性については、『S-M社会生活能力検査』
語いが低いことが疑われる場合は、PVT-R(絵画語い発達検査)
特別支援学級在籍児童など、発達に遅れがある場合は、遠城寺式乳幼児分析的発達検査法を用いることもあります。
読み書きの相談の場合は、心理検査のほか、読み書き検査や、フロスティッグ視知覚発達検査など。
眼球運動や手指の巧緻性など、感覚統合についての簡易な検査をすることもあります。
LDが疑われる場合、他の可能性を除外するため、生活リズムや体調、情緒面、家族環境、コミュニケーション面などもみていきます。
情緒的な課題があるお子さんの場合は、心理投影法や自由遊びでの関わりの様子をみます。
ただし、バウムテストなどの心理投影法は、研修を受けた教員がいないので、あまり用いませんが、絵の内容そのものよりも、描くことを通してコミュニケーションを取る中で、反応を評価していきます。
いずれにせよ、来室時はまずラポート(信頼関係)を形成するため、自由遊びを行います。点数を用いるゲームなら、計算能力、手先を使った遊びなら、手指の巧緻性や運動面全体もみます。
・相談の流れについて、気をつけていることを挙げます。
1 子どもの第一印象だけで判断しない
→「この子は会話ができるから、ことばに遅れはありません」
という相談のやり方を見聞きすることがありますが、とんでもない話です。
会話にも色々な会話があります。意味論、音韻論、統語論、語用論の観点で見る必要があります。また、「その時の状態」は、非日常であり、それだけで日常も同様だと判断するのは早計です。日常の情報や育ちの過程などを含めた総合的な判断が必要です。見た目の印象だけで判断できるのは、占い師だけでしょう。
2 子どもの問題の解決方法についてや、今後の措置について、保護者から質問があっても、その場では即答しない。
→ あとで、子どもの検査結果と保護者の意見、学級担任等からの情報を元に総合的に判断します。その判断と今後の支援について、後日電話などで保護者と相談します。通級に至った場合は、通級開始後に、ハウツーも含め、今後の支援策を話し合えばよいわけです。一回目の面接場面で回答してしまうと、検査結果や周辺情報との矛盾が明らかになるなど、かえって保護者を混乱させることになります。それは保護者にとってメリットどころか、デメリットでしかありません。その場での回答が必要なときは、一般論では、と前置きし、詳しくは後日、と話します。
3 通級妥当の判断は、子どもの状態だけでなく、保護者や学級担任等の意見、通級の物理的時間的条件、在籍校や地域での支援で代替できる資源はないかなどを総合的に判断する。
→障害があるから、困っているから、ただちに通級、ではありません。
支援には、通級以外にも方法があります。それらとの関係性の中で判断すべきです。
これは通級の終了に関しても同じです。
何か画一的な通級基準を設けて、それに照らし合わせて判断するというのは、一見公平のように見えて、実は一番差別的な判断であると言わなければなりません。様々な変数を掛け合わせた判断が必要なのです。
文部科学省は通級基準について「通常の学級での学習におおむね参加でき、一部特別な指導を必要とする程度の者」としており、おおまかな基準はあります。しかし、あまり具体的にしすぎてしまうと、個々の事情を反映した判断ができなくなってしまうのです。
かといって、何でも通級というのも、結果的には同じことです。
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