・「発音は自然に治る」
→自然に改善する場合もあれば、そうでない場合もあります。
発音の誤り方や性質、他の要因などを検討し、自然に改善するかどうかを推定し、指導の必要性を検討することが大切です。専門性が必要です。
・「吃音は、場数を踏めば治る」
→吃音は、緊張するからどもるのではなく、どもるから緊張する、というベクトルを無視しています。脳機能の問題から症状が発生しているのであれば、緊張の有無に関係なく症状は出てきます。色々なところへ連れて行って場数を踏めばいい、というのは単純にすぎます。
・「場面緘黙は、自然に治る。場数を踏めば治る」
→思春期を過ぎて自然に改善する事例も確かにあり、かつてはそれが全てと考えられていました。しかし予後調査で、心理的な病、引きこもりなどに至る例も多くあることがわかってきました。まずは安心して学べる場所、人、活動内容を保障し、徐々に他の要素を取り入れて慣れていく系統的脱感作などのアプローチが重要とされるうになってきました。
・「LD、ADHDは脳の微細なキズが原因」
→特別支援教育を動かす立場の方の発言で、ちょっと信じられませんでした。
「MBD」という脳の微細なキズが原因であるという説は、一時はやりましたが、今では完全に否定されています。もちろん脳損傷などにより、脳機能に障害が生じることもありますが、発達性の場合は、CTを撮っても映らないことの方がはるかに多いです。
・「発達障害は、分娩時に薬で時期を調整するのが原因」
→これも立場のある方の発言で、残念です。もしそれが本当なら、とっくの昔に統計的な有意差として報告されているはずですが。自閉症は水銀が原因という説も、世界的な研究で4回も否定されているのですが。
・「検査を行えば全てわかる。面接すればすべてわかる。授業参観すれば全てわかる」
→どれか単独での判断は非常に危険です。それぞれを組み合わせて検討することです。
それぞれは、子どもの一側面を示すに過ぎません。
今回の就学相談でも、面接時の様子しか書かれてない報告書については、全面書き直しをお願いしました。あるいは検査結果だけとか。就学先を決定する立場の人は、責任が重いですから、妥協せず、憎まれ役を買って出て、アセスメントの基本を徹底してきました。
これらの都市伝説は、研修によって回避できるはずなのです。
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