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某公立学校ことばの教室教員。公認心理師、言語聴覚士、特別支援教育士。 『クイズで学ぶことばの教室基本の「キ」』の著者。  SINCE 2000.1.1 
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戸部けいこさん

『光とともに』

自閉症への誤解と偏見に苦しむ関係者の方々に、
どれだけ励みとなったことでしょう。

この本によって、福祉の道をめざすことを決めた方もいます。
各小学校の図書室にも多く置かれ、たくさんの子ども達が
今でも読んでいます。
教育的な影響はきわめて大きいです。

あまりにも早い死です。


この本には、同じ痛みを分かち合う「切なる願い」が
込められているように感じます。

***

最近こちらの地方で療育の世界に身を捧げてきた方々が
次々と退職、転勤、という話しが入ってきています。
たいへん惜しい方が現場を去っていきます。

次代を担う私たちは、先輩方が残してくれた
「切なる願い」を自らの願いとして引き受けたいと思うのです。

心の痛みがあるからこそ、願いがわいてくるのでしょう。
人の痛みがわかるからこそ、自分の痛みを引き受けることができる。

本当の「願い」は、他人の痛みを自分の痛みとして感じることの中にある。

以前にも書きましたが、
私が初めてことばの教室を担当した時は、「むりやり人事」でした。

赴任先の校長、教頭が、転入予定の私に頭を下げて、
「誰も希望者がいないのです。何とかお願いします」
と直談判されたのでした。

当時は「ことばの教室」という名前すら知りませんでした。

その後1年ぐらいは、教室の同僚に文句ばかり言っていました。
「むりやり担当にさせて」
「普通学級を担当したかったのに」

この道20年の大先輩の同僚の先生は、1年後の定年退職間際に
おっしゃいました。

「ya先生。3年でも、5年でもいい。1年でも長く担当して欲しい。
普通学級のように1年で替わっていいような場所ではないんです。
むりやり担当になったのは大変申し訳ないと思っていますが、
通ってくる子ども達のために、何とか残って欲しいのです」

当時私は理解できませんでした。
「だれもいないからと言って、よそから来た私をむりやり担当させておいて、
また残れなんてひどいです。普通学級に戻ります」

しかし、そういいながら、私は心の中では迷っていました。

20年のベテランの先生の退職後、教室には1年目、2年目の先生しか
残らなくなります。

親御さん方に「仏様」と呼ばれていたあの先生の「切なる願い」を
ここで断ち切ってしまっていいものかと。

そして思い出していました。

初めて出会った、「高機能自閉症」の青年との
楽しい指導の日々、退勤時の車の中で、
彼の天真爛漫な姿に涙したことを。


3月中旬、私は前言を撤回し、担当を継続する旨を表明しました。

最後の離任式、出発式には、そのベテランの先生の元に集まった
たくさんの親子が涙ながらに感謝のことばを述べていたのを
今でも忘れません。

そして13年、私は自分の運命が間違っていなかったと確信します。

彼らの「切なる願い」をこれからも胸に刻みながら、
通ってくる子ども達のために、
支援を必要とする子ども達のために、
これからもがんばりたいと思っています。

***

戸部けいこさん、ありがとうございました。
私はあなたの切なる願い、理想の社会、教育が実現するよう、
生きていきます。

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Comment
無題
昨日同じ教室の先生から戸部けいこさんの訃報を知らされ、ショックでした。
子どもを含め多くの人たちに、広く正確な自閉症についての理解を広げられた業績はとても大きく、また自閉症の療育や教育の現場をしっかりと取材され、最新ともいえる内容を伝えてくれて、療育や教育に携わるものにとっても学びの書でした。
ご冥福を心からお祈りします。

私も「ことばの教室」を担当して経験を重ねれば重ねた分、子どもの姿から気づけることが増え、一年ごとに担当者がかわっていい教育ではないと感じ、気がついたら十数年のかかわりとなっています。
通級担当は子どもや保護者を支える舞台裏であり、子どもと一緒に表舞台に立てる通常学級担任に戻りたいと思った頃もありました。今は、ya先生と同じで、この仕事を続けてこれてよかったと確信しています。
同じ空の下、同じ思いでがんばってる先生がいることを心に、私もがんばりたいと思います。

「光とともに…」14巻で転校する光くんが、どの学校に行こうと安心して学べる社会となることが、戸部けいこさんへの供養ではないかと感じています。

ありがとうございました。




Re:無題
ぺんぺんさん、私も励まされました。
戸部さんの作品は、事実をあるがままに、リアリズムで表現していることで、強い共感と、説得力を持つのだろうと、改めて気づきました。

担当が一年で替わったり、単に授業の補欠要員になっている実態を見聞すると、私たちの専門性はどうなってしまうのだろうと思っています。
もう一度、教室設置の原点に帰るべきではないか、そうでなければ、安易に数だけ増やすのはとても危険、と感じています。
何とかしていかなかければ、と色々考えています。
【 管理人ya 2010/02/03 21:08】
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