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某公立学校ことばの教室教員。公認心理師、言語聴覚士、特別支援教育士。 『クイズで学ぶことばの教室基本の「キ」』の著者。  SINCE 2000.1.1 
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検査の倫理 古い検査は使わない。マニュアルだけでなく、科学的根拠を検討して用いる。

 ・WISC-3→WISC-4
 ・K-ABC→KABC-2
 ・津守・稲毛式→KIDS
 ・S-M社会生活能力検査→ASA
 


 何十年も前も検査を用いるということは、その時代の知能モデル、その時代の子ども達、その時代の社会性等を元に測っていることになります。
 WISC-3を「言語性」「動作性」だけで解釈する向きはだいぶ減り、4つの群指数が重要であることは認識されてきましたが、


 1)算数が「短期記憶」の指標になるというのは時代錯誤であること。(短期記憶だけなく、様々な能力が関与するから)
 2)そもそも「短期記憶」だけでなく、聴覚的な「ワーキングメモリ」が重要であり、WISC-3では、ワーキングメモリを測れていない。「逆唱」がワーキングメモリを測っている、という説明がかつてありましたが、4の方がより「ワーキングメモリ」の概念に近づいたと言えます。


 3)「絵画配列」は、社会性を測る検査として根拠がないこと。
 4)「注意記憶」は、ADHDの指標にはならないこと。そもそも「注意転導性からの解放」という概念自体がどうなのか、と問われていること。
 5)下位検査間に統計的な差が有るときは、IQや群指数の解釈は慎重でなければならないこと。
 6)「知覚統合」→「知覚推理」に変わった哲学的意味を確認すること。
   WISC-3は、「知覚推理」を測っていない。「視知覚」は測っているかもしれませんが。
  「目でみた方がわかりやすい」の根拠として、「知覚統合」を用いるのはいかがなものか。
 7)「迷路」が「先を見通す力」というのは、科学的根拠として用いられず、ゲーム世代には「慣れ」もあり、4では廃止。
 8)WISC-3時代に見られた「プロフィール分析表」は、科学的根拠がないこと。
 
 そして、何よりも、数値だけではなく、検査時の行動観察、子どもの実態、ストーリーと付け合わせて解釈されなければならないこと。
 小さい子ほど、その時の気分やコンディションによって、結果が大きく変わる可能性があること。


  WISCは、3から4に変わった際、RTIモデル、「検査無用論」に対応するため、科学的根拠をしっかり検討し、CHCモデルとの相関性が高いことを統計的に説明し、理論的基盤を固めています。


 よって、3を用いる場合は、これら3の弱点をしっかりととらえた上で解釈しなければなりません。
 本来であれば、4にすぐにでも移行すべきです。


 そして、検査時の行動観察は重要ですが、その行動が、日常でも同じなのかを確認する必要があります。
 検査時にたまたま、かもしれないからです。
 検査時の行動の特徴をもって、いつもそうだと解釈するのは危険です。
 ただ、数値だけでなく、行動観察と付け合わせて解釈することが重要なことには変わりありません。


 
 S-M社会生活能力検査は、今の時代に合っているかと言えば、時代遅れの感が否めません。
 年齢によって、ASAが適用できない場合には、従来通りS-Mを活用することはありますが。


 津守・稲毛式も、同様です。


 田中ビネーのIQと、WISCのIQとは、全く別のものですから、単純比較はできません。
 田中ビネーのIQは、13歳までは正規分布ではなく、精神年齢/生活年齢×100で導かれます。
 田中ビネーの場合は、IQよりも、精神年齢、基底年齢が重要です。
 ただ、マニュアルを読んでわかるように、標準化作業の過程で、下位検査ごとに、課題を解けている子のパーセンテージが違っています。
 中には5割を切るものもあります。その問題ができないからと言って、「年齢相当に達していない」と解釈するのはいかがなものでしょうか。


 そして、一般に、田中ビネーの方が、WISCに比べて10ポイント高めに出ると言われますが、それはIQ水準別により異なっている、というレポートも出ています。


 一方、WISC-4、KABC-2、DN-CAS、PVT-Rは、同じ標準得点法を用いて計算されます。
だから、比較が可能です。PVT-Rでは、IQは出ませんが、評価点は出ます。3きざみで1SDであることは同じです。


 検査を行う上では、これらの基礎知識をしっかり踏まえなければなりません。
 

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Comment
某ブログ主です!
はじめまして。

今回の記事、大変勉強になり、ブックマークさせていただきました。ありがとうございます。

支援センター業務から離れて久しく、また私のいる地方ではWISC4等の新しい検査がほとんど普及していないこともあるのですが、私の古い知識に恥じ入るばかりです。

とはいえ、またおかしなことを書くかもしれませんが…。

ブログはいつも読ませていただいています。これからも楽しみにしています。
こんばんは
某ブログ主です!はじめまして。
今回の記事、大変勉強になりブックマークさせていただきました。ありがとうございました。
支援センター事業から離れて久しく、また私の地方では4をはじめとする新しい検査が全く普及していないという事情もあったのですが、私の古い知識に恥じ入るばかりです。
ブログはいつも読ませていただいております。これからも楽しみにしていますのでよろしくお願いします。

一度同じコメントさせていただいたのですが、うまく反映されなかったのでもう一度送信しました。ダブってたら申し訳ないです。
Re:こんばんは
Kしさん、いつもごらん頂いてありがとうございます。
確かに検査器具は高価なものですし、すぐには新しい物に移行できないところが多いのはその通りと思います。
だから、早く移行しなさい、と特別支援教育士の中では言われているのですが、この財政状況のもとでは難しいですね。
古い検査を使う場合でも、必ずその弱点を踏まえた上でないと、使ってはならない、というのが検査倫理でしょう。
お役に立てて光栄です。
これからも流してみますね。少々辛口になるかもしれませんが。(^_^)

それと、コメント欄は、私が許可したものだけがアップされる仕組みですので、投稿してから私が許可するまで時間が空くことをお許し下さい。いたずら防止のためです。
【 管理人ya 2014/06/09 06:36】
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