「自閉症になったのは、予防接種が原因」
「自閉症になったのは、ビデオの見せすぎが原因」
これらの単純な見立ては論外ですが、
「この子の発音がうまくできないのは、舌がうまく動かせられないから」
「その根拠として、舌先をまねして動かすことができない」
「この子が字をうまく書けないのは、指先をうまく動かせないから」
一見もっともらしいですし、本当にそういう場合もあります。
しかし、こんな事例もあるのです。
「舌を真似して動かせなくても、発音に問題のない子はたくさんいる」
「指先をうまく動かせなくても、字がよく書ける子はたくさんいる」
あらゆる可能性を排除することが、見立ての妥当性、信頼性を高めます。
これらは能力的なことだけではなく、
エピソードに関しても言えます。
あるエピソードを切り取って、「だから○○」と即断するのではなく、
その経緯、背景をよく調べること。
ある心理の先生はこう言っていました。
「私が高校教員の時、トイレである高校生が
もう一人を殴る、けるの暴行をしていました。
殴った高校生を別室に呼び叱ったところ、
『今までさんざん暴力をふるわれていたが、
やっと有利になったところだった』と言うのです。
私は事情も聞かずに一方を叱ったことを後悔しました。
両者の言い分をよく聞かなかったのです」
因果関係の単純な結びつけを避け、
認知バイアスを克服するために、
クリティカル・シンキングはとても大切だと感じています。
様々な情報が必要なのは、
クリティカル・シンキングをするためだとも言えます。
生育歴など、不確かな情報がまざっていても、
情報を総合することで、より真の実態に近づくことができます。
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