ハンドルネーム ya
某公立学校通級指導教室担当教員
言語聴覚士
特別支援教育士(S.E.N.S)
性別 男
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構音指導では、一度に複数の種類の音を指導してはならない、という基本的な原則があります。
(波及効果をねらう場合など、例外あり)
また、ある音が一定レベル定着しなければ、他の音に入ってはならないという原則もあります。
たとえば、「イキギケゲシチジリニヒ」にそれぞれ側音化構音のあるお子さんがいます。
摩擦音系の「シ」を舌出しから始めて、そこから母音の「イ」を抽出し、他の音の指導につなげていくのが第一選択になります。
この際たとえば、「シ」の指導と同時並行的に、「キ」の指導をすると、こどもが混乱してしまいます。
「シ」が、単音節→無意味音節→単語→短文まで定着してから、他の音の指導に入るのが原則です。
しかし、子どもによっては、単語レベルまでは正音が出せても、2語文レベルになると、
途端に歪みが現れて、いくら練習をしても定着しがたい、という場合があります。
原因のひとつとして、舌の緊張が取り切れていない場合が考えられます。
しかし、WISC-4や、他の検査結果から、2語文になると、聴覚的な把持、短期記憶、ワーキングメモリが容量オーバーになることが示唆される場合もあります。
単語を2つ記憶にとどめながら、しかも発音に気をつけて、ということのハードルが高すぎるのです。
この場合は、「短文レベルまで」という目標を見直して、それぞれの音が「単語レベルまで、とりあえず」定着を図るよう、短期指導目標を修正することが考えられます。
側音化構音の指導は長期にわたることが多いです。
それぞれの音が、たとえば「単語レベルまで」定着する頃には、その子のワーキングメモリの容量も増えて、2語文以上に耐えられるようになっていることをねらうわけです。
単語レベルでも、様々な難易度のバリエーションが組めます。
音の「わたり」だけでも、難易度が変わります。
また、あまり使わない単語に比べて、いつも言い慣れている単語は、癖が定着していますから、難易度が高くなります。