教育相談時に保護者に書いていただく「ことばのおいたち」というものがあります。
その内容の解説についてご質問頂きましたが、ちょっと何か読めばわかるというほど、浅いものではありません。
『特別支援教育の理論と実践』(金剛出版、上野一彦他編著)にも概要は載っていますが、なぜ各項目の質問が必要かというとについては、文献全体に目を通す必要があります。
たとえば
主訴
いつからか
誰が気づいたか
周りの子の反応
本人の自覚
「主訴」は、「今日はどうされましたか」の部分で、相談の玄関部分です。
そして、下の3つは、たとえばウェンデル、ジョンソンのx軸、y軸、z軸ともつながりますね。
生育歴
相談歴
よく、「今が大事で、過去は関係ない」という人がいますが、背景や経緯を見ずに、どうして子どもの行動の理由がわかるのでしょうか。同じ行動であっても、経緯によってその意味は全く異なったものになります。
たとえば多動はいつから始まったのかで、その意味も対応方法も変わってきます。
特別支援教育が始まる前は、就学前の情報なんて必要ない、学校にあがってきたら変わるのだから、という論調が幅をきかせていました。
しかし、発達というものを時間軸でとらえることで、子どもの見方が大きく変わることがわかったはずです。ケース会議という概念が学校教育に入り始めたのです。
それが、特別支援教育を学校に導入する、ということではなかったでしょうか。
学習面
生活面
社会的コミュニケーション
運動面
それぞれに共通する苦手さは何かを探ります。
例えば、文字が書けない、手先の運動が苦手となったときに、手先の運動の苦手さが、書字の苦手さの背景のひとつに繋がっていないか、と、第一段階の仮説が設定できるわけです。もちろん、この仮説が支持されるかは、検査やより詳しい情報収集によって判断され、仮説を見直すことになります。
生活リズムや、食事、睡眠など、注意集中に影響するリスクファクターがないかどうかも検討します。つまり、要因となる可能性を除外していって、より実態に近づこうとするわけです。
よだれを垂らす
かまないで飲む
鼻が詰まっている 等
構音の評価をする際、発語器官の評価も大事です。
日常の吹く、噛む、吸う、飲み込むなどの機能についての情報が大切です。
お子さんについての捉え方の違い
何をもって問題と捉えるのか、捉え方の違い、家族内力動などです。何を問題ととらえるか、「問題の仮説」につながります。
道言協研究テーマの「わかりあい」にもつながるはずです。
「わかりあい」は「問題の仮説」と密接な関係があるはずです。
この他にも色々ありますが、この質問紙ひとつだけでも、様々な背景理論、学術的要素が詰まっていることがわかります。
だからこの話をするだけでも、何時間も必要です。
必要な方に、その深さを学びたい方にだけお話します。
コンビニ的に、ちょっと聞きかじったらわかるなんて浅いものではないのです。
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