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某公立学校ことばの教室教員。公認心理師、言語聴覚士、特別支援教育士。 『クイズで学ぶことばの教室基本の「キ」』の著者。  SINCE 2000.1.1 
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「通級妥当」の判断

その子が「通級」を利用することが妥当かどうかは、判断が難しいです。

「通級」についての質問、疑問が聞かれるので、ここにまとめます。

Q1 通級の利用にあたっては、医学的な診断が必要ですか?
A1 必ずしも必要ありません。文科省通知では「通級による指導の対象とするか否かの判断に当たっては、医学的な診断の有無のみにとらわれることのないよう留意し、総合的な見地から判断すること」としています。もともと「障害」はスペクトラムであり、どちらとも判断がつかないケースも多いものです。また「障害」かどうかは、周囲との関係性によっても変わるわけです。したがって、「診断があるから通級」というよりは、その子の生活全体の中で、限られた時間の通級の利用が効果的かどうかで判断することが妥当と言えるでしょう。
(ただし教育委員会に上げる名簿には「障害名」を記載しなければならず、医学的な診断がない場合は、教育的にできる「判断」を書きます)

その際、週1回からの通級指導だけで劇的な効果があるということでなく、子どもの学校生活全体の中の一部、補助的な機能であるということ。通常学級でうまくいかないから通級に丸投げ、ということでなく、通常学級での特別支援教育との両輪で進める、ということが大切です。


Q2 特別支援学級への在籍が妥当か、通常学級に在籍して通級を利用することが妥当かの判断で悩む場合の基準は?

A2 文科省通知では、通級の対象とする子どもについて、「通常の学級での学習におおむね参加でき、一部特別な指導を必要とする程度のもの」としています。知的障害がある場合は、特別支援学級が妥当であり、通級は妥当でない、と国は考えています。
ただ、何をもって知的障害があるかどうか、どこからが知的障害かを一律に判断することは困難です。知能検査だけで判断するのはいかがなものでしょうか。国が言っている「おおむね参加でき」の「おおむね」も数値としてあげられているわけではありません。やはり、ケースバイケースではないでしょうか。
安易に通級対象にすることも、通級対象を杓子定規的に判断することも、両方とも望ましい姿とは言い難いと思います。
本人や保護者、専門家、学級担任等関係者の意見を総合して判断するということでしょう。


Q3 通級指導は、インクルージョンの考え方に反しますか?

A3 反しません。ただし、教室の運用の仕方次第では反する可能性のある事例はあると思います。本人が通常学級を抜けたくないのに、むりやり通級指導教室に引っ張り込むとか、通常学級でみんなの参加が必要な時間に抜けるとか。
しかし地域にもよるかもしれませんが、子どもが通級を嫌がることはまれですし、通常学級の授業、行事を優先し、通級は休みにしたり、時間を振り替える配慮をしているはずです。少なくとも、私の地域ではみなそうしているはずです。


Q4 発音の誤りがある子どもが学級にいますが、ことばの教室を勧めて良いかどうかの基準がわかりません。

A4 発音の「基準」はどこか遠くにあるのでなく、身近な人が日常生活の中で、発音をどれだけ聞き取りにくいと感じているか、本人がどれだけ言いにくさを感じているかが重要です。ただし、一般の人には気にならなくても、一定の年齢になってから本人が気づき、改善できずに困っているという事例もあります。
まずはことばの教室にご相談ください。教室でも発音の検査をしますが、身近な人がどれだけ聞き取りにくいと感じているかなどの情報もいただけると参考になります。相談を受けたからといって、ただちに通級しなければならないということはありません。
検査や情報収集などの結果、指導を受けた方が良いか、自然改善を待つのが良いか、定期的に様子を見させて頂くのがよいかについて、保護者と相談します。
「通った方が良い」というのでなく、「まず相談してみては」と言ってみてはどうでしょうか。

そして、教育相談を担う側は、サ行→シャ行が浮動的に誤っているだけの場合など、ただちに通級対象とせず、経過観察だけで十分な場合が多いことに留意しなければなりません。
また、通級妥当の判断は、TTや放課後指導など、通級以外の支援策についても検討し、どうしても通級が必要な場合に限られるべきです。

Q5 通級では、勉強も見てくれるのですか?
A5 「はい」とも「いいえ」とも言えます。
たとえば、ことばを分析する力が弱いために発音が誤りやすい子の場合、文字の読み書きにも困難さが見られることがあります。
音を分析する力を育てることで、間接的に読み書きの力につなげるという可能性はあります。ただ、週1回の指導だけで、学力全体を伸ばすことは困難です。通級では、学習指導そのものは主ではなく、あくまでも通常学級の指導の「補充」という位置づけです。週の相当時間、通級で学習指導を受けるケースもあり得ますが、教員の配置の関係で、時間数、人数はきわめて限られます。もともと、今の通級担当教員は、学習指導ができるように人数が配置されていません。

通級の役目は情緒面か、行動面か、学力面か、という議論があります。私個人の考え方は、その子によるだろうということです。
ただし、週の限られた時間にできること、できないことを明確にしておく必要はあると思います。


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