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某公立学校ことばの教室教員。公認心理師、言語聴覚士、特別支援教育士。 『クイズで学ぶことばの教室基本の「キ」』の著者。  SINCE 2000.1.1 
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マカトン法について


 音声言語が使えない時、代わりの方法でコミュニケーションをとることを「AAC」(拡大・代替コミュニケーション)と言う。マカトン法は、AACの一つである。
 日本版のマカトン法は、日本手話から半分以上を借用し、子どもにもやりやすいようアレンジしている。
 イギリスの養護学校では、ほぼ100%近く導入され、日本でも活用例が増えている。
ところが、つい最近まで、音声言語以外の方法を使うことに対して、次のような批判があった。

 「音声言語以外の方法を使っていると、子どもは言葉が話せなくなる」

 AACを使っていると、子どもがそれに頼ってしまい、音声言語で話せなくなるという「仮説」は、何となくわかるような気もする。私もそう思っていた。
 しかし、この考え方は全く根拠がないことが、研究でわかってきた。
 むしろ、言語コミュニケーション能力全体を向上させる効果が実証されている。 
 マカトン法は、理解言語の強さに比べて、表出言語(しゃべる言葉)が弱い子どもに最も適用となる。身振りの模倣(まね)ができる子なら、なおよい。しかし、それだけではなく、耳より目で見せた方がわかりやすい自閉的な傾向の子や、重度知的障害の子にも有効であることがわかってきた。  
  開発者のひとり、マーガレット・ウォーカーは、マカトン法の効果として、「アイコンタクトがとれるようになった」、「注意力が向上した」、「社会性が向上した」、「発声・発語が促された」などを挙げている。

 「発声」や「発語」が、身振り手振りを使うことで、なぜ促されたか疑問に思う向きもあろう。
 しかし、何も不思議ではない。
 まず、マカトン法は、必ず音声言語と一緒に提示する。
 単にジェスチャーだけではない。
 また、AACによって「人に通じる体験」を重ねることにより、人に対するコミュニケーション意欲が向上し、人に対して「発声」「発語」が促される、というのは、十分ありえる現象ではないだろうか。
 昔、「手話は言語か、言語でないか」ということが論争になった時代があったと聞く。しかし、手話を使っている人の脳血流を調べると、言語野と呼ばれる脳の一部の血流が活性化していることがわかった。手話も立派な言語なのである。
 ただ、マカトン法は手話とは全く同じではない。
 マカトン法は、提示する側の音声言語も大切にする。微細な運動を減らし、複合サイン(一度に2つのサインを出す)も減らし、自然なジェスチャーに近いようにアレンジしている。 

 「マカトン法を使うと、マカトンを知らない人とコミュニケーションできないのではないか。わかる人が限定され、人間関係が広がらないのでは?」 

 マカトン法を批判する、上のような代表的な意見がある。
 しかし、このことについて、マーガレット・ウォーカーは、「コミュニケーションの手段を提供することにより、能力が引き出され、身近な介護者や仲間や先生とやりとりができるなら、その方が良い」という主旨を述べている。
 ただし、どのような手段でもそうだが、ひとつの方法にこだわってはならないだろう。
 マカトン法は全ての子に適用されるわけではなく、その子の発達時期によっても、方法や進め方が変わっていかなければならない。マカトン法は、あくまでもひとつの方法にすぎず、また他の方法と併用する場合もあるものである。

 
 
以下は、日本マカトン協会主催の研修会に参加して分かったことをもとにしたQandAです。

Q 「マカトン法についての書籍は販売していないか?」
A 私もそう思っていました。ネットで検索しても、マカトンの本というのは見つからないですね。
 それは、日本マカトン協会主催の研修会に参加しないと、テキストが買えないようになっているようです。それはサインや考え方などを正確に普及させるためだということを言われました。
 
Q「普及が遅れているのでは?」
A 北海道は特に、普及が遅れていますね。
 エキスパートが増え、普及していくことがとても大切だと一個人として思います。

Q「マカトン法は、子どもにとって難しいのでは?」
A 子どもによりけりではないでしょうか。ある程度、身体運動の模倣力があって、理解力があれば一番適応になるのでしょうね。むしろ、音声言語の表出が著しく困難な子が、あくまでも音声言語にとらわれた指導を受けるならば、そのことの方がその子にとって「難しい」のではないでしょうか。 

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