ハンドルネーム ya
某公立学校通級指導教室担当教員
言語聴覚士
特別支援教育士(S.E.N.S)
性別 男
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3
粗点0があるときの場合の解釈は厳格に。
1)継次、同時、習得度において、粗点0点の下位検査が2つ以上あるときは、
その尺度の標準得点を算出しない。
2)認知処理過程尺度で、0点が三つ以上あるときは、認知処理過程尺度の
標準得点を算出しない。
3)粗点0点が評価点5点以上もしくは、標準得点71点以上に換算される
下位検査は、その成績を解釈しない。
→WISCもそうですが、粗点が0点の下位検査は、
「現時点では子どものレベルは特定不能である」と
解釈するのがもっとも適切でしょう。
せっかく検査したのだから、と思いたくなりますが、
測れなかった事は、測れなかったと、誠実に受けとめる態度が
必要ですね。これは検査に限らず何についても。
○解釈レベル3(下位検査項目間の比較)
①入力
1.言語性下位検査(聴覚)
・「知識」「理解」→長文理解の能力を必要とする
・「単語」「類似」→個々の単語を解釈する能力を必要とする
2.動作性下位検査(視覚)
・「絵画完成」「絵画配列」 →有意味刺激を解釈する能力を必要とする
・「積木模様」「符号」「記号探し」→抽象刺激を解釈する能力を必要とする
②統合
・「類似」「理解」「算数」「絵画配列」「組合せ」→推論と問題解決に関係する
・「積木模様」「符号」 →モデルの再構成に関係する
③記憶装置
・「数唱」「符号」「記号探し」→短期記憶に関係する
・「知識」「単語」 →長期記憶から事実と概念を取り出す能力に関係する
・「算数」 →長期、短期の両記憶に関係する
④出力 省略
・苦手分野の問題は疲れたり、あきらめる、身体症状に出る。
→ その子にとっての弱い部分が見える。
・下位検査の評価点で「1」がいくつも出たら、他の検査にした方がよい。
→ 全くできなくても、少しできても「1」がつく。
・下位検査で2つ以上、平均を有意に下回るのがあれば、共通する弱い能力があるか調べられる。共通する能力がなく、単独の下位検査のみ落ち込んでいるなら、その課題独自の能力を考えてみる。
・K-ABCを実施していない場合、「同時型」「継次型」を推測する
継次系下位検査 「算数」「数唱」 「符号」 の評価点の平均と
同時系下位検査 「絵画完成」「積木模様」「組合せ」の評価点の平均との差が、3以上の場合は有意な差が推定される。
・ワーキングメモリ 3点セット 「数唱」「符号」「記号探し」
言語理解
(VC)
|
言語的な情報や、自分自身が持つ言語的な知識を状況に合わせて応用できる能力
|
知覚統合
(PO)
|
視覚的な情報を取り込み、それらを相互に関連づけ全体として意味あるものへとまとめ上げていく能力
|
注意記憶
(FD)
|
注意を集中させて聴覚的な情報を正確に取り込む能力、注意力、聴覚的短期記憶の指標
|
処理速度
(PS)
|
制限時間内に、視覚的な情報を、指定された形で多く、正確に処理していく能力 視覚的短期記憶の指標。「手先の不器用さ」も反映しやすい
|
・群指数についての解釈
言語性IQ
言語理解→こちらのみ落ち込んでいれば「言語理解」に問題と仮定
注意記憶→こちらのみ落ち込んでいれば聴覚的短期記憶に問題と仮定
(両方)→聴覚認知能力に問題と仮定
動作性IQ
知覚統合→こちらのみ落ち込んでいれば「知覚統合」に問題と仮定
処理速度→こちらのみ落ち込んでいれば視覚的短期記憶に問題と仮定
(両方)→視覚認知能力に問題と仮定
注意記憶→こちらのみ落ち込んでいれば聴覚的短期記憶に問題と仮定
処理速度→こちらのみ落ち込んでいれば視覚的短期記憶に問題と仮定
(手先の不器用さの可能性も有)
(両方)→短期記憶能力に問題と仮定
どのレベルの解釈でも、グラフのでこぼこの印象だけで「差異がある」と判断してはいけない。統計的に5%,15%の有意差があるかが重要。また、でこぼこしている印象だけで「LD」「自閉症」などと判断してはいけない。
WISCは、平均は100、標準偏差は15
・「15%水準で有意差」というのは、真の差を表している可能性が100のうち85ということ。「5%水準で有意差」というのは、100のうち95ということ。だから、15%よりも、5%の方が有意差がある。
○解釈レベル1(全体的な知的能力・言語性IQと動作性IQの差)
全IQ
|
分類
|
理論上
の割合(%)
|
130以上
120~129
110~119
90~109
80~89
70~79
69以下
|
非常に優れている
優れている
平均の上
平均
平均の下
境界線
精神遅滞
|
2.2
6.7
16.1
50.0
16.1
6.7
2.2
|
先日行ったWISC3のオリジナル資料をアップします。
********************************
○○支援学校 平成21年度 第○回学習会
△△小学校ことばの教室 ya
1 検査についての基本的な考え方
(1)アセスメント(評価)は、日常の行動観察から始まる。検査だけを絶対視しない。
行動観察は、子どもがつまづいていること、困っていること、場面や状況との関連
→学習面、生活面(生活リズム、食事等)、言語コミュニケーション面、運動面(粗大運動、巧緻運動)、社会性、行動面
→たとえば、授業中や休み時間、遊びの様子、テストやノート、作品
(2)検査結果の解釈は、他の情報と付け合わせて行う。
→生育歴(1歳半健診、3歳児健診、就学時健診、言語・身体発達等)、既往歴(聴力、視力、健康状態等)、教育歴・療育歴・相談受診歴、現在の様子(行動観察)など
(3)検査の基本
ア)行動観察などから、目的に合う検査を選ぶ。
イ)検査は信頼性、妥当性のある、標準化されたものを用いる。
ウ)子どもへの負担に配慮しつつ、複数の検査を組み合わせる。「バッテリーを組む」
エ)検査は精通し、熟練した検査者が行う。
オ)子どもが普段の力を発揮できるように、時間帯、体調、信頼関係などを考慮する。検査結果は、それらの要因により誤差が生じるかもしれない。一つの結果を絶対視しない。
カ)検査結果を人に伝えるには、数値だけではわからないので、子どもの様子も含め、その子のイメージがわくような表現で説明する。また個人情報として取り扱い注意。
2 WISCの基礎知識
(1)Wechsler Intelligence Scale for Children の略。
(2)適用年齢は、5歳~16歳11ヶ月
(3)知能を「言語性能力」と「動作性能力」とに分けて、その差が測れる。両者を合わせて全IQも出せる。また4つの「群指数」つまり、「言語理解」、「知覚統合」、「注意記憶」、「処理速度」が測れる。13の下位検査からなる。
(4)IQの平均は100,標準偏差は15に設定されている。(K-ABCと同じ)
(5)田中ビネーより、全IQは辛めに出る。
(6)田中ビネー知能検査は、「個人間差」(他児と比べてどのくらいの知能か)が明らかになるだけ。WISCは「個人内差」(その子の中の能力差)が明らかになる。
(7)ウェクスラー型知能検査の年齢別
WPPSI(ウィプシー) | WISC-Ⅲ | WAIS-Ⅲ(ウェイス) |
3歳10ヶ月~7歳1ヶ月 | 5歳~16歳11ヶ月 | 16歳 ~ 89歳 |
来年度にも刊行されると言われるWISC-4では、
「言語性IQ」と「動作性IQ」が廃止されます。
統計的な意味があまりないため、とされていますが、
これまでWISCの代表的な観点だっただけに、
なぜ、という思いがないわけではありません。
でも知能モデルというのは時代によって変わるし、
よりよいものにバージョンアップしていくというのは
科学的な態度としては当然ですね。
言語性IQ、動作性IQの差異が、いかに統計的に根拠の薄いものか、
下記のデータを発見。
V(言語性IQ)-P(動作性IQ)の差は、
差 母集団
13~17 23%
18~19 15%
21 10%
25 5%
27~30 2%
出典を忘れました。済みません。
つまり、13~19の差がある人が4割近くいるのですね。
そして全部足すと、55%、つまり「有意差」のある人は過半数!
どっちが多数派なのでしょう、という話し。
このことと、WISCの標準化作業で用いられた、5%、15%水準の有意差との関連は、どうなのだろうかという疑問も。
また、言語性と動作性の差が約13以上(5%水準)あれば、統計的に意味のある差とか、15以上あれば、などと言われていますが、下記の場合は慎重な解釈が必要とされます。
(1)言語理解(VC)と、注意記憶(FD)との間の差が13以上の場合
(2)知覚統合(PO)と、処理速度(PS) との間の差が13以上の場合
(3)言語性IQ、動作性IQのそれぞれの下位検査間の差が7以上の場合
常にこれらの条件を頭に入れながら、
言語性-動作性の有意差を判断してきたでしょうか?
ということで、今度WISCの講座を頼まれたので、
ここまでマニアックには話しませんが、
数字だけを頼りにすると、落ちし穴に落ちますよ
という話しはしなければ、と思っている次第です。
(かといって、検査自体が無意味だと言っているのではありません。
限界を踏まえつつ、やらなければならないという場合も、少なからずあります)
レベル
|
分 析
|
レベル1
(全体的な知的能力)
(言語性IQと動作性IQの差)
|
1.FIQ
2.VIQ
3.PIQ
4.VIQ PIQ
|
レベル2
(群指数間の差の特徴)
|
VC(言語理解) PO(知覚統合)
FD(注意記憶) PS(処理速度)
VC PO:( ) VC FD:( )
VC PS:( ) PO FD:( )
PO PS:( ):( ) FD PS:( )
|
レベル3
(下位検査項目の比較)
|
・言語性平均( )
知( )・類( )・算( )・単( )・理( )・数( )
[ ] [ ] [ ] [ ] [ ] [ ]
・動作性平均( )
完( )・符( )・配( )・積( )・組( )・記( )
[ ] [ ] [ ] [ ] [ ] [ ]
|
レベル4
(答え方の特徴)
|
|
総合的解釈
|
|
*****************************
間違い その2 「全IQ」
WISCで、
全IQ 93
言語性IQ 65
動作性IQ 125
と出ました。
曰く
「全IQが93ありますから、心配は何もありません」
*****************************
考察
この事例は2つの点で問題があると思います。
1 IQだけで「心配はない」と判断していること。
実際の子どもの様子、関係機関の情報収集と合わせて
判断することが重要です。
2 言語性IQと動作性IQとの間に差が大きい場合は、
全IQはほとんど意味がない。
他に下位検査間の解釈などいろいろありますが、この辺で。
一つ言えることは、検査結果を解釈するには、
その器具を実際に使って何度も検査を経験し、
検査の内容を熟知しておいた方が、
より正確な解釈ができる、
ということだと思います。
さて、こうした解釈の間違いの以前の問題として、
採点の仕方、計算の仕方に誤りがないでしょうか。
以下のページにはパソコンで計算できるソフトがあります。
手作業で計算するのが本来ですが、
パソコンを使えば間違いは減るでしょうね。
http://snekagawa.hp.infoseek.co.jp/kensyu.html
別にWISCの不勉強を非難するわけではありません。
私も間違うことはありますし、
知らないことは恥ずかしいことではないです。
表題は、徳大寺有恒/著『間違いだらけの車選び』を
もじっただけの話です。(^-^)
ただ、検査を実施したり、解釈する以上は、
保護者や関係者に正確にお伝えする責任はあるので、
ある程度勉強しておきたい、と思っています。
以下のエピソードはほぼフィクションですが、
実際にあった話を少しブレンドしています。
*****************************
間違い その1 「有意差」
1)ある方の検査結果、
言語性IQ 76
動作性IQ 78
と出ました。
曰く、
「言語性より動作性の方がわずかに得意なようですね。
耳で聞くよりも、目で見た方が得意なはずです」
2)ある脳血管疾患の中学生の患者さんのWISCの術前実施結果、
全IQ 60と出ました。
術後、2ヶ月後に再び同じWISCを行ったところ、
全IQ 63と出ました。
曰く
「手術後は成績がよくなりました。手術の成果でしょう」
3)ある小学生のWISCの結果、
群指数では、
VC(言語理解) 85
PO(知覚統合) 85
FD(注意記憶) 82
PS(処理速度) 85
となりました。
曰く、
「注意記憶だけが低いですね。
これは
『軽度発達障害の心理アセスメント』(2005
上野一彦 他編、日本文化科学社)のp44に載っている
「群指数パターンの5」です。
だから、聴覚的な記憶は苦手なので、視覚的な手がかりを
用いてください」
****************************
考察
1)は、言語性IQと動作性IQとの間に数値的な差は「2」あります。
しかしこの「2」は、統計的に意味のあることなのでしょうか?
NOです。統計学的には意味がありません。
仮にタイムマシンで検査実施前に戻り、
同じ検査をもう一回やったとしたら、
同じようなパターンで差がでる可能性は低いでしょう。
2)も有意差はありませんし、あったとしても、
術後わずか2ヶ月で同じ検査を用いると、
患者は前回の時の問題を覚えていて、結果に影響している可能性があります。
3)4つの群指数間に有意差はありません。
したがって「群指数パターン」には当てはまりません。
この『軽度発達障害の心理アセスメント』という本は、
14種類の群指数パターンを提示しています。
しかしどこにも、「群指数パターンは、各群指数間に有意差が必要」とは
書いていないので、グラフがちょっと似ているだけで、
「このパターンだ」と誤解しやすいのではと思います。
でもこの本全体をよく読めば、「各群指数間で5%水準で有意差がある」
ことが前提になっていることがよくわかります。
「5%水準で有意差がある」とは、
偶然にこの差が出る可能性が5%としかないということ。
それだけ信頼性が高いということ。
今年うちの教室に入荷したものの一部です。
DN-CASは、ルリア・ダスモデル、
PASS理論がもとになっています。
つまり、
プランニング
注意
同時処理
継次処理
ですね。
ここにありましたね。
http://www.nichibun.co.jp/kobetsu/kensa/dn_cas.html
K-ABCでは測れなかった「プランニング」が測れるというのは
大変興味深いです。
何年か前に、芦別でダス教授の生講義を受けることができました。
PREPという、文字の読みに入るための継次処理能力を高める
指導の紹介がありました、
かなり質の高い豪華な研修会でした。
同時処理、継次処理ですが、
同時処理が優れているから、目から見せた方がわかりやすい、
なんて単純なものではないのでは、
と思うことがよくあります。
同時処理課題でも、継次処理も多少負荷するし、逆も同じ。
視覚=同時処理
と考えがちですが、
視覚的な継次処理
というものも存在するのですよね。
人の認知特性を単純に2種類に分けるだけでは足りない、
ということだと思うのです。
宇野先生は、この認知様式について、興味深いことを
おっしゃっています。
第4回 LD・ディスレクシア研究会(2001年)
講演内容
http://www.todoplan.co.jp/dyslexia/giziroku_4/kityou_kouen.html
質疑応答
http://www.todoplan.co.jp/dyslexia/giziroku_4/situgi_oh_to.html
*********
玉子焼き、だんだん上手になってきました。
全部食べてくれるとうれしいですね。
「お父さんの作った弁当すてきですね」
と幼稚園の先生に褒められた。
そうか保護者を褒めるのは大事だなあ。
幼稚園の先生から学ぶことは多いのです。
特別支援教育を学ぶ時に、幼稚園の見学は
とても参考になりますよ。
端的な指示、説明
視覚支援
発達段階に合わせたアプローチ
まさにずばりです。