ハンドルネーム ya
某公立学校通級指導教室担当教員
言語聴覚士
特別支援教育士(S.E.N.S)
性別 男
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http://www.nichibun.co.jp/kobetsu/technicalreport/
によると、GAIとCPIや臨床クラスターも含めた、WISC-Ⅳの解説本が今後出てくるようです。
個人的には目にするものですが、日本語版でのWISC-Ⅳでのデータが今後手に入ることになりそうです。
子どもの特性をより深く理解するために、こうしたことは使われていくことを願います。
・WISC-3→WISC-4
・K-ABC→KABC-2
・津守・稲毛式→KIDS
・S-M社会生活能力検査→ASA
何十年も前も検査を用いるということは、その時代の知能モデル、その時代の子ども達、その時代の社会性等を元に測っていることになります。
WISC-3を「言語性」「動作性」だけで解釈する向きはだいぶ減り、4つの群指数が重要であることは認識されてきましたが、
1)算数が「短期記憶」の指標になるというのは時代錯誤であること。(短期記憶だけなく、様々な能力が関与するから)
2)そもそも「短期記憶」だけでなく、聴覚的な「ワーキングメモリ」が重要であり、WISC-3では、ワーキングメモリを測れていない。「逆唱」がワーキングメモリを測っている、という説明がかつてありましたが、4の方がより「ワーキングメモリ」の概念に近づいたと言えます。
3)「絵画配列」は、社会性を測る検査として根拠がないこと。
4)「注意記憶」は、ADHDの指標にはならないこと。そもそも「注意転導性からの解放」という概念自体がどうなのか、と問われていること。
5)下位検査間に統計的な差が有るときは、IQや群指数の解釈は慎重でなければならないこと。
6)「知覚統合」→「知覚推理」に変わった哲学的意味を確認すること。
WISC-3は、「知覚推理」を測っていない。「視知覚」は測っているかもしれませんが。
「目でみた方がわかりやすい」の根拠として、「知覚統合」を用いるのはいかがなものか。
7)「迷路」が「先を見通す力」というのは、科学的根拠として用いられず、ゲーム世代には「慣れ」もあり、4では廃止。
8)WISC-3時代に見られた「プロフィール分析表」は、科学的根拠がないこと。
そして、何よりも、数値だけではなく、検査時の行動観察、子どもの実態、ストーリーと付け合わせて解釈されなければならないこと。
小さい子ほど、その時の気分やコンディションによって、結果が大きく変わる可能性があること。
WISCは、3から4に変わった際、RTIモデル、「検査無用論」に対応するため、科学的根拠をしっかり検討し、CHCモデルとの相関性が高いことを統計的に説明し、理論的基盤を固めています。
よって、3を用いる場合は、これら3の弱点をしっかりととらえた上で解釈しなければなりません。
本来であれば、4にすぐにでも移行すべきです。
そして、検査時の行動観察は重要ですが、その行動が、日常でも同じなのかを確認する必要があります。
検査時にたまたま、かもしれないからです。
検査時の行動の特徴をもって、いつもそうだと解釈するのは危険です。
ただ、数値だけでなく、行動観察と付け合わせて解釈することが重要なことには変わりありません。
S-M社会生活能力検査は、今の時代に合っているかと言えば、時代遅れの感が否めません。
年齢によって、ASAが適用できない場合には、従来通りS-Mを活用することはありますが。
津守・稲毛式も、同様です。
田中ビネーのIQと、WISCのIQとは、全く別のものですから、単純比較はできません。
田中ビネーのIQは、13歳までは正規分布ではなく、精神年齢/生活年齢×100で導かれます。
田中ビネーの場合は、IQよりも、精神年齢、基底年齢が重要です。
ただ、マニュアルを読んでわかるように、標準化作業の過程で、下位検査ごとに、課題を解けている子のパーセンテージが違っています。
中には5割を切るものもあります。その問題ができないからと言って、「年齢相当に達していない」と解釈するのはいかがなものでしょうか。
そして、一般に、田中ビネーの方が、WISCに比べて10ポイント高めに出ると言われますが、それはIQ水準別により異なっている、というレポートも出ています。
一方、WISC-4、KABC-2、DN-CAS、PVT-Rは、同じ標準得点法を用いて計算されます。
だから、比較が可能です。PVT-Rでは、IQは出ませんが、評価点は出ます。3きざみで1SDであることは同じです。
検査を行う上では、これらの基礎知識をしっかり踏まえなければなりません。
子どもにとっても、テスターにとっても負担が小さくない、というブログ記事も見ます。
19もあれば、そうでしょうね。
でも、認知科学と学力とを関連づけて、LDの判断をするとなると、それだけ詳細なデータが必要ということですね。
むしろ、習得尺度の下位検査について、読み書きを本当に評価するには、これだけでは足りないという意見もあるぐらいです。
解説書では、認知尺度と習得尺度のどちちか一方の実施でも良いとのことですが。
ということは、たとえば、WISC-4を過去にとったことがある場合、KABC-2の習得尺度のみ実施して、組み合わせるということも、ありなのでしょうか。
ありならば、負担軽減にはつながりますね。
評価点も標準偏差も同じなので、比較はできるのでしょう。
ただ、カウフマンモデルと学力との組み合わせた検討はできなくなるでしょうが。
でも、どちらもCHCモデルと相関が高いし、KABC-2の方は、初めからCHCモデルでもデータが算出できるようになっている利点もあるので・・・。
・数値だけを言えば、軽度知的障害は、IQ50-55から70くらいまでの範囲、または-2SD。
・軽度知的障害では就学まで気づかれないことも多い。より軽い場合は、就学中に気づかれることが多いが、卒業後は一般社会に溶け込むことが多い。深刻な事態に陥って初めて援助を必要とする。
・WISC-4で測定できるのは、IQ40。それ以下は的確に測定できない。
・DSM-4では、適応行動を構成する10種類の特定のスキル領域を明らかにしている。コミュニケーション、自己管理、家庭生活、社会的・対人的技能、地域社会資源の利用、自律性、発揮される学習能力、仕事、健康と安全、余暇。
通常学級でやってみて、だめなら特別支援学級、という話がありますが、逆の方がいい場合も多いかと。
つまり、初めにしっかり個別で力をつけてから、大海原へ。
いちがいに言えませんが。
出ているようです。検査名は、ここには書かないでおきます。
「メールの使用」が入っているなど、時代を反映していますね。
メールは現代の子であればほとんど使えてしまうと思いますが。
やはり年齢の高い通常発達のお子さんにかければ、「天井効果」が出てしまうようです。
でも、支援の必要なお子さんには参考となる検査なのでしょう。
入手方法を検討中です。
検査が全てではないですが、支援者が子どもを見る視点を持つということ自体にも意味があると考えます。
逆に、特定の検査を絶対視してしまうと、子どものトータルな姿を見落とす可能性も。
どんな検査でも、測れるのは、子どもの一側面に過ぎません。
また検査は、あくまでも支援につなげるために行うものです。
今度開催予定の公的研修講座のタイトルは
「『ことばの専門家』というだけでなく、『その子の専門家』に」
「ではなく」ではなく、「というだけでなく」です。
スペシャリストの視点と、ジェネラリストの視点、両方大事です。
どっちかの方が大切だという議論がありますが、両方大事なのでは。
ブログ上にはあまり詳しく書けませんが、WISC-3の時から、「GAI」(一般能力指標)で検査プロフィールを分析する研究があって、4になり、ますます重要度が増したように感じました。
4つの「群指数」が、「指標得点」となり、「注意記憶」が「ワーキングメモリ」になって、「知覚統合」が「知覚推理」に変わったことも大きいでしょう。
つまり、「言語理解」「知覚推理」対「ワーキングメモリ」「処理速度」。
「GAI」とは・・・、と書きたいところですが、やめておきます。
お知りになりたい方は文献にあたってください。
「パズルのようなものをして、どうして『目からの方が入りやすい』と言えるのだろう」と、3の「知覚統合」の時は思っていましたが、「知覚推理」に変わり、下位検査も推理面を純粋に測ろうとするものに変わったので、納得しています。
***
構音の指導研修DVD、もうすぐ締め切りです。
「補助検査」というと、「基本検査」に失敗したときに行うというイメージが強いですが、この文献を読んでいると、もう少し積極的に活用した方が良い場合もあるということを感じています。
前回も書きましたが、WISC-Ⅳの「ワーキングメモリ」は、聴覚・音韻ループしか測れていませんが、アメリカの別バージョンでは、視覚・空間も測れるわけです。
その他、いろいろな検査がそろっているので、比較しやすい。
しかし日本にあるものは、それらのほんの一部です。
だからというわけではないけれど、WISC-Ⅳにせっかく付いている補助検査の意味をもう少し考えた方がいいと思い直しています。
補助検査が必要なのは、たとえば、「処理速度」の下位検査である「符号」と「記号探し」の結果を検討するときに・・・。
「言語理解」にばらつきがあるときに・・・。
などなど。
これ以上はあまり詳しく書けませんが、補助検査の活用について、少し考えが変わりました。
それと、よく「WISC-Ⅳ」を実施した後に、指導にどう生かせばよいかという質問を受けるのですが・・・。
この質問の前提には、「数値がこれこれだったら、こんな指導がある」ということがあるように思います。
でも、指導の手立ては、数値からは見えてこないでしょう。
よく言われることですが、FSIQが全く同じ数字であっても、その子によって、状態像は全然違うわけです。
むしろ、「どうしてそういう数値になったのか」を考える、否、調べることの中に答えはあるだろうと。
そのためには、各下位検査が、何を測っているのかを理論的に理解している必要があるということ。
それは大学院レベルと言われます。
そして、検査時の行動観察の中に、かなりヒントがあります。
行動観察というのは、子どもの発達、心理などをよく知っていて、初めてできることですね。
指導の手立てが別冊であるわけでもないし。(あるとしても、その子にフィットしない。「わかりやすい本」ほど、あやしい。わかったような気になっているだけ)
結論は、検査の意味をきちんと理解すること。
そして,行動観察、日常の情報。
指導の手立てを考えるには、これに尽きるのではないかと。
逆に、よく専門機関から、数値だけしか書いていないお手紙を頂くことがありますが。
ぶっちゃけ、使えません。
WISC-Ⅳでは、関係者、保護者への伝え方について、厳しいルールを設けています。
そこまで理解して、初めて検査を実施する資格が得られるのでは、と思います。
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