ハンドルネーム ya
某公立学校通級指導教室担当教員
言語聴覚士
特別支援教育士(S.E.N.S)
性別 男
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児童精神科医の杉山登志郎先生は、
『そだちの科学』NO.13 「おとなの発達障害」の
「成人の発達障害」の中で、「臨床的に重要と思われること」として、
以下の4点を挙げています。
主に医療的な対応ですが、発達障害の療育、教育にも内容的に重なる部分が多いです。
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1
発達障害の可能性を見逃さないためには、生育歴をしっかりとる。
本人だけでなく、親や子どもの様子も確認する。
2
トラウマ歴の有無の確認
トラウマが絡む症例の場合、トラウマの治療を優先する。
3
症状の把握。
幻覚は持続的な現象、フラッシュバックは一瞬の出来事
4
発達障害の基盤がある場合は、薬物療法は少量の組合せ処方を心がけるのが原則。
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1について、療育、教育では、その重要性や学術的な根拠から、
既に行われています。
2について、教育的に「治療」はできませんが、「安心感」「楽しさ」を
優先した指導という優先順位の判断のために、重要な視点です。
3について、医療との連携のために、療育、教育にも必要な視点。
4について、たんなる気分の落ち込みなのか、他にどんな背景、
経緯があるのかで、教育的にも対応が違ってきます。
***
単なるADHDなのか、虐待系の多動症候群なのかということは、
私の出会ってきたケースでもよく検討することが重要と感じていました。
それによって、対応や優先順位が変わるからです。
実際には両方という場合もありますが、
それでも多角的に検証することは重要です。
またたとえば、ADHDと診断を受けていても、
物事の関係の理解などにも課題があるなど、
認知的な困難を伴っていることが多いということも感じています。
つまり、純粋に行動面だけ、という方は、子どもでも大人でも、
あまりいない、という実感です。
だから行動面の強化や修正だけの対応というのは、
必ずしも適切ではないことになります。
今の状態を映画の一コマのように切り取って
判断するというのは、対応を誤る可能性が高くなります。
今に至るプロセス、ドラマの理解が重要です。
就学指導委員会や、巡回相談の季節になりました。
今年は延べ140ケースの相談と判定に関わります。
また、発達検査もお手伝いすることになり、ますます勉強していかなければと襟をただしているところです。
さて、色々な方と関わる上で大切にしたいことです。
田中康雄先生は、『軽度発達障害のある子のライフサイクルに会わせた理解と対応 --仮に「理解」して 「実際に」支援するために---』学研
の中で、「他職連携のコツ」として、こう述べています。
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②ここで自分が、この仕事についた場合を想像してみる。
③話をするときには、それぞれの職場での専門用語を使用しないように注意し、できるだけ日常のことばでのやりとりをする。
④出会った時には「ご苦労様。お互い、大変ですね」と声をかけ、相手をねぎらうことを忘れない。くれぐれも、苦言・提言から話を始めない。
⑤関係者の助け合い・支え合いは、保護者と子どもを支える基になると考えておく
⑥それぞれの専門性を尊重し、尊敬する。
⑦最も大切にしたいのは、子どもの「今の心」であり、「未来へ向かう育ち」である。
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○解釈レベル3(下位検査項目間の比較)
①入力
1.言語性下位検査(聴覚)
・「知識」「理解」→長文理解の能力を必要とする
・「単語」「類似」→個々の単語を解釈する能力を必要とする
2.動作性下位検査(視覚)
・「絵画完成」「絵画配列」 →有意味刺激を解釈する能力を必要とする
・「積木模様」「符号」「記号探し」→抽象刺激を解釈する能力を必要とする
②統合
・「類似」「理解」「算数」「絵画配列」「組合せ」→推論と問題解決に関係する
・「積木模様」「符号」 →モデルの再構成に関係する
③記憶装置
・「数唱」「符号」「記号探し」→短期記憶に関係する
・「知識」「単語」 →長期記憶から事実と概念を取り出す能力に関係する
・「算数」 →長期、短期の両記憶に関係する
④出力 省略
・苦手分野の問題は疲れたり、あきらめる、身体症状に出る。
→ その子にとっての弱い部分が見える。
・下位検査の評価点で「1」がいくつも出たら、他の検査にした方がよい。
→ 全くできなくても、少しできても「1」がつく。
・下位検査で2つ以上、平均を有意に下回るのがあれば、共通する弱い能力があるか調べられる。共通する能力がなく、単独の下位検査のみ落ち込んでいるなら、その課題独自の能力を考えてみる。
・K-ABCを実施していない場合、「同時型」「継次型」を推測する
継次系下位検査 「算数」「数唱」 「符号」 の評価点の平均と
同時系下位検査 「絵画完成」「積木模様」「組合せ」の評価点の平均との差が、3以上の場合は有意な差が推定される。
・ワーキングメモリ 3点セット 「数唱」「符号」「記号探し」
言語理解
(VC)
|
言語的な情報や、自分自身が持つ言語的な知識を状況に合わせて応用できる能力
|
知覚統合
(PO)
|
視覚的な情報を取り込み、それらを相互に関連づけ全体として意味あるものへとまとめ上げていく能力
|
注意記憶
(FD)
|
注意を集中させて聴覚的な情報を正確に取り込む能力、注意力、聴覚的短期記憶の指標
|
処理速度
(PS)
|
制限時間内に、視覚的な情報を、指定された形で多く、正確に処理していく能力 視覚的短期記憶の指標。「手先の不器用さ」も反映しやすい
|
・群指数についての解釈
言語性IQ
言語理解→こちらのみ落ち込んでいれば「言語理解」に問題と仮定
注意記憶→こちらのみ落ち込んでいれば聴覚的短期記憶に問題と仮定
(両方)→聴覚認知能力に問題と仮定
動作性IQ
知覚統合→こちらのみ落ち込んでいれば「知覚統合」に問題と仮定
処理速度→こちらのみ落ち込んでいれば視覚的短期記憶に問題と仮定
(両方)→視覚認知能力に問題と仮定
注意記憶→こちらのみ落ち込んでいれば聴覚的短期記憶に問題と仮定
処理速度→こちらのみ落ち込んでいれば視覚的短期記憶に問題と仮定
(手先の不器用さの可能性も有)
(両方)→短期記憶能力に問題と仮定
どのレベルの解釈でも、グラフのでこぼこの印象だけで「差異がある」と判断してはいけない。統計的に5%,15%の有意差があるかが重要。また、でこぼこしている印象だけで「LD」「自閉症」などと判断してはいけない。
WISCは、平均は100、標準偏差は15
・「15%水準で有意差」というのは、真の差を表している可能性が100のうち85ということ。「5%水準で有意差」というのは、100のうち95ということ。だから、15%よりも、5%の方が有意差がある。
○解釈レベル1(全体的な知的能力・言語性IQと動作性IQの差)
全IQ
|
分類
|
理論上
の割合(%)
|
130以上
120~129
110~119
90~109
80~89
70~79
69以下
|
非常に優れている
優れている
平均の上
平均
平均の下
境界線
精神遅滞
|
2.2
6.7
16.1
50.0
16.1
6.7
2.2
|
先日行ったWISC3のオリジナル資料をアップします。
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○○支援学校 平成21年度 第○回学習会
△△小学校ことばの教室 ya
1 検査についての基本的な考え方
(1)アセスメント(評価)は、日常の行動観察から始まる。検査だけを絶対視しない。
行動観察は、子どもがつまづいていること、困っていること、場面や状況との関連
→学習面、生活面(生活リズム、食事等)、言語コミュニケーション面、運動面(粗大運動、巧緻運動)、社会性、行動面
→たとえば、授業中や休み時間、遊びの様子、テストやノート、作品
(2)検査結果の解釈は、他の情報と付け合わせて行う。
→生育歴(1歳半健診、3歳児健診、就学時健診、言語・身体発達等)、既往歴(聴力、視力、健康状態等)、教育歴・療育歴・相談受診歴、現在の様子(行動観察)など
(3)検査の基本
ア)行動観察などから、目的に合う検査を選ぶ。
イ)検査は信頼性、妥当性のある、標準化されたものを用いる。
ウ)子どもへの負担に配慮しつつ、複数の検査を組み合わせる。「バッテリーを組む」
エ)検査は精通し、熟練した検査者が行う。
オ)子どもが普段の力を発揮できるように、時間帯、体調、信頼関係などを考慮する。検査結果は、それらの要因により誤差が生じるかもしれない。一つの結果を絶対視しない。
カ)検査結果を人に伝えるには、数値だけではわからないので、子どもの様子も含め、その子のイメージがわくような表現で説明する。また個人情報として取り扱い注意。
2 WISCの基礎知識
(1)Wechsler Intelligence Scale for Children の略。
(2)適用年齢は、5歳~16歳11ヶ月
(3)知能を「言語性能力」と「動作性能力」とに分けて、その差が測れる。両者を合わせて全IQも出せる。また4つの「群指数」つまり、「言語理解」、「知覚統合」、「注意記憶」、「処理速度」が測れる。13の下位検査からなる。
(4)IQの平均は100,標準偏差は15に設定されている。(K-ABCと同じ)
(5)田中ビネーより、全IQは辛めに出る。
(6)田中ビネー知能検査は、「個人間差」(他児と比べてどのくらいの知能か)が明らかになるだけ。WISCは「個人内差」(その子の中の能力差)が明らかになる。
(7)ウェクスラー型知能検査の年齢別
WPPSI(ウィプシー) | WISC-Ⅲ | WAIS-Ⅲ(ウェイス) |
3歳10ヶ月~7歳1ヶ月 | 5歳~16歳11ヶ月 | 16歳 ~ 89歳 |
くもんの絵カードにも「反対ことばカード」がありますが、
もう少し高度な「対(つい)概念」を扱うために作りました。
ただ反対ことばを回答するというだけでは飽きるので、
カードは交替で引き、回答できたらオセロの石を一つ置ける、
あとはオセロのルールと同じ、というようにゲームにしました。
指導者の手番でも、子どもに答えて欲しいカードの時は
わざとわからないふりをして、回答させてポイントにしました。
赤いカードは、実習生の出番によるものです。
とても楽しそうに取り組んでくれました。
もちろん対概念は、狭い指導室でことばを組み合わせて覚える
というだけでは不足であり、日常生活での使用、
経験に合わせた般化が大事です。
指導室の中でも、少しでも経験的なエピソードと結びつけるために、
回答が難しいときは、エピソードと絡めたヒントやジェスチャーを
提示するようにしました。
たとえば、「あさい」のカードを引いて、その反対「ふかい」を
回答させる時には、プールを思い出し、足が底に届く、
届かないなどをジェスチャーなどでヒント提示にしました。
ヒントで回答できるか否か、概念はわかっているが
ことばが出ないのか、概念自体がわかっていないのかも評価します。
たとえば、「ふかい」の時、「ふ」の語頭ヒントを提示することで、
「ふかい」が表出できる場合もあるでしょう。
「ふかい」が正解だよ、と教えても、ポカンとしているときは、
概念自体がまだなのかなと思います。
「あげる→もらう」 、「かう→うる」、「かす→かりる」などの
視点の切り替えが必要な対概念がわからない場合は、
役割交代を含むゲームなど、自分と他者との関係性の理解が
どうなのかも注目点です。
「受け身」の文の理解、表現ができるのかも関係してきますね。
視点の切り替えが必要な反対ことばだけが難しいときは、
次回はそこに焦点を当てた教材を考える、というように進めています。
作成した文字カードをブログにアップしようと思いましたが、
保存するのを見事に忘れていました。
カードはそのうち、アップしますね。
とりあえず、下に反対語をたくさん並べてみます。
どれも、日常生活や読解には必要な語いですね。
○方向、空間、位置、時間
まえ うしろ
みぎ ひだり
うえ した
たて よこ
いりぐち でぐち
うちがわ そとがわ
ひろい せまい
たかい ひくい
とおい ちかい
さき あと
はじめ おわり
しゅっぱつ とうちゃく
うく しずむ
さいしょ さいご
よる ひる
○属性
おとこ おんな
おとな こども
おす めす
みかた てき
てんごく じごく
○性質
かたい やわらかい
あかるい くらい
あたらしい ふるい
きつい ゆるい
こい うすい
ふとい ほそい
しずか にぎやか
かるい おもい
ながい みじかい
あつい うすい
あつい つめたい
あつい さむい
やさしい むずかしい
つよい よわい
はやい おそい
じょうず へた
ふとる やせる
あさい ふかい
ある ない
きれい きたない
○数量
おおい すくない
おおきい ちいさい
ふやす へらす
たくさん すこし
たかい やすい
ひきざん たしざん
○価値判断、ルール
よい わるい
ほんとう うそ
あたり はずれ
すき きらい
かつ まける
せいこう しっぱい
セーフ アウト
○動作
はいる でる
いれる だす
のぼる くだる
ひらく とじる
たつ すわる
おす ひく
おきる ねる
あげる おろす
きる ぬぐ
はく すう
○関係性
かす かりる
うる かう
あげる もらう
○レベル高い
あんぜん きけん
せいけつ ふけつ
とうこう げこう
しゅっせき けっせき
べんり ふべん
さんせい はんたい