今回も近隣のことばの教室の先生方が集まって、
事例検討をしました。
飲み物、食べ物は各自持ち込み、ガソリン代も自分もちです。
会場は、お金のかからない学校で。
(昼食は手弁当ではなく、今回はレストランで食事して、
歓談して親睦を深めました)
参加者は事例レポートを持ってきて頂いています。
(「自主」研修会なので、レポートは強制ではないし、
気軽さをモットーにしています)
今回は、参加者集約や手続きを私ではなく、
これまで参加してくれていたメンバーが「自主的に」全部してくれたのでした。
とてもありがたいことです。
今回キーワードになったのは、6年生の中学校への進学に向けて
どんな引継ぎをしていけばいいのか、ということが一つのトピックでした。
中学校への進学に当たっては、
高校受験に全てが結びつくという中学校の雰囲気や、
個別の違いへの対応よりも、集団への帰属が重視されるという
現状にどう対峙していくかが話題になりました。
中学校にはことばの教室がありませんし、
申請しても開設できるかは、ハードルがかなり高いわけです。
対応策としては、引継ぎの方法を工夫するとともに、
進学後、子どもとの連絡の取り合いで予後を追跡すること、
校内リソース(養護教諭や、特別支援学級の先生など)
の配置をどう把握し、つなげられるかがポイントだ、と話し合われました。
中学校に特別支援教育の理念をどう伝えていくかがカギなのでした。
今回私が関わらせて頂いた就学相談でも、来年度中学校への進学の
ケースに多数出会わせて頂きました。
就学指導委員会としての、中学校への通知文書の中では、
子どもの状態像だけではなく、
それらの障害が一般にどういうものなのかという基礎知識や
具体的な対応策の例も盛り込みました。
小学校の先生はやさしい(あるいは甘い)から、そんな支援ができるのだ、
という意見を聞くことがあります。
私も中学校に勤めたことがあるので、
精神的に一番不安定な時期の中学生に対しては、
甘い対応では学校全体が成り立たない、集団規律の徹底を、
という「感覚」はある程度わかります。
そういう「感覚」から小学校の先生は、一般に「甘く」見えるのかもしれません。
ただ、中学校には私の時から既に「学校教育相談」「カウンセリングマインド」
という実践が広がっていました。
個別に懇談して、生徒の気持ちに受容的に接して、解決策を考える、
という設定には、中学生だからできるという部分があります。
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私の新卒時代。
定期テストでカンニングを疑われたが、否認する中学校生徒に対して、
「先生は疑っているわけではないよ。
だから違っていたら違っていると言って欲しい」と促し、
涙ながらに本当のことを言ってくれたので、
「ありがとう。よく本当のことを言ってくれた。
先生はうれしいよ」と話しました。
そして、カンニングの背景に、「○○点以上とらなかったら、部活を辞めさせる」
と保護者に言われたプレッシャーがあることが明らかになりました。
二度とカンニングはしないと約束したから今回は許して欲しい、と
先生から保護者にお願いすることも約束し、その後の見通しも確認しました。
悪いことを分からせるという対応だけでは、こんな解決はしなかったと思います。
子どもの心情に寄り添うこと、
生徒の行動の背景、経緯を理解すること、
先の見通しを伝えて安心させることや、
出来事の意味を解説してあげる、
具体的な対応方法を確認するなどで、
より効果的な生徒指導になっていくのでは。
それが、意識しなくても、すなわち特別支援教育なのではと思うのです。
場面緘黙の子。
その子だけ特別な配慮というよりも、たとえば、
発言できなくても、起立しただけで「立ってくれてありがとう」
という学級運営方針をどの子にも貫くという対応は、
中学校でもできないだろうかと。
それは、スモールステップで子どもの行動を望ましい方向に、
ということもあるし、
子どものありのままの姿を受けとめるというメッセージにもなると思うのです。
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ケース検討後、ある方が感想を述べました。
「これでいいのかといつも悩みながらやってきた。
それでいいんだよ、と言われて励まされた思いだ。
子どもに対して、「いいんだよ」といって安心を促すのは、
自分自身にも言える大切なことだと思った」
この感想を伺って、集まって良かったと思えたのでした。
次回は私の学校で1月14日(金)に開きます。
近隣の方で関心のある方はご連絡ください。
1,2名程度なら、まだ参加申し込みOKです。
(私が誰なのか、かなりバレているようですので)
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