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某公立学校ことばの教室教員。公認心理師、言語聴覚士、特別支援教育士。 『クイズで学ぶことばの教室基本の「キ」』の著者。  SINCE 2000.1.1 
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【メニエール病】心配させてごめんね。でもお願いしてくれたから・・・

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耳鳴りや、リクルートメント現象は残っているし、
500Hzはもうだめだろうけど、ほかは4ヶ月で確実に上昇。


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どう読んでも、インクルージョンでなく、インテグレーション

某団体の研究協議を読みました。

「通級で文字の読み書きができるようになっても、通常学級から離れることで失うものが多い」
(要旨)

→まあ、確かにそうしたデメリットも含めて検討しなければならない、という点は賛成です。
できなくたっていいじゃないか、それよりもみんなと一緒にすごすことの方が、という論旨も。
ただ、できないまま過ごすことで失敗体験を重ね、自信喪失につながるケースも多いのです。

「自尊心と自己肯定感を取り違えている、自己肯定感は、できなくても自分を肯定できること」
(要旨)
→確かにその通りですね。ただ、通級は単に「できなかったことをできるようにする」だけではないのです。


「わかりやすさばかり求めるのはおかしい。わかりにくいからこそ、こどもはわくわくする」(要旨)
→確かにその通りですが、「わくわく」ではなく「そわそわ」、「びくびく」、「さびしい」と感じている子がいることも事実です。


みんなと一緒に、という主旨は賛成ですし、できるだけそうしなければならないし、そのためのスタッフや教材の充実も必要でしょう。
しかし、子どもによっては、より少人数から始めた方が良い場合、内容、時期もあります。

小学校一年生で、刺激への反応が強すぎたり、他害が多くて失敗体験を繰り返す子どもに、まず一対一でコミュニケーションの楽しさ、安心感などを育てることが必要な場合もあります。子どもによってその時期は様々です。それぞれの時期に合わせた対応をすることが一番大事なのでは。

個別指導と全体指導のメリットがそれぞれ生かされる組み合わせ、そしてそれは子どもを中心に考える、ということなのでしょう。

「特別支援教育とは、どこまでが特別でなくて、どこからが特別だというのでしょうか」(要旨)
→これは、「特別支援教育」の誤解の典型例と読ませていただきました。
「特別支援教育」とは、一人一人の違いに合わせた教育という理念であって、障害児と健常児を区別するという意味ではありません。「しょうがい児教育」というネーミングの方が、よっぽど差別的ではないでしょうか。

通級や、特別支援学級、特別支援学校に在籍の子どもが急増していると騒がれますが、先進国で比較した場合、日本は特別支援教育を受けている割合はまだまだ低いです。まあ、日本が教育予算で先進国かどうかという議論はあるとしても。

障害の有無でなく、一人一人の違いに合わせるということが、インクルージョンの真意のはずです。

ずっとみんなと一緒にいることが、過剰なストレスになる子だっています。
私、その子の気持ちがすごくよくわかります。

特別支援教育は、分離教育でも、統合教育でもない、弁証法的止揚だと、私は教わりましたし、そう思いますし、それを目指さなければならないと思っています。

だから、「障害があるから通級」ではないし、明確な線を引いて区別するものでもないし、個々の実情、環境、本人の気持ちとのかけ算で判断しなければならないわけです。

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【自作教材】中学年以上用 なぞなぞ4択カード

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言語発達年齢で小学校中学年以上から。
抽象的な概念の操作が入ってきます。
具体から抽象へ。抽象から具体へ。






禁忌
1 文字の読みが非流ちょう性であるお子さん。聴覚的把持が苦手なために、問題の意味がおおむね理解しにくいと思われるお子さん。


おおむね半分以上できそうなお子さんや、文字の読みはそれほど困らないが、抽象概念の操作を育てたいお子さん等に適用してください。

できなかった問題はアセスメント情報として、次回の通級の際に、それらをもっと具体的にした教材を用意するなども考えられます。たとえば「記号」が難しい場合は、次回、様々な「記号」の絵を見せて、記号にカテゴライズされることを学習したり、逆に「記号でないもの」=具体的すぎる物などを提示して、「非記号」を理解に導く、などが考えられます。

ちなみにA4サイズで印刷すれば、一枚ずつトランプと同じぐらいのサイズになります。シャッフルして使うなど工夫を。


教材ダウンロード(pdf)
 


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週1回で効果が見込める指導、見込みにくい指導

平成18年から通級対象が拡大し、言語障害、情緒障害のほか、LD,ADHD、自閉症なども通級しても良い対象に加わりました。これには現在、メリットとデメリットが出てきています。
通級妥当の判断、個別の指導計画作成の段階では、メリットとデメリット、できることと、できないことを明確に区分する必要があるように感じています。

通級はかつて、「週1時間から3時間」と決められていました。
言語障害の指導が、その時間程度での実践で成果を上げていたことに基づき、国が決めたものです。
しかし、通級対象が拡大し、LDなども対象となると、週1~3時間では足りません。
そこで上限を週8時間まで拡大したわけです。
これは、「週9時間以上」という特別支援学級の時間数と連続性を持たせるという意味もあったでしょう。

逆に、LD,ADHDは月1回でも良い、という規定も設けられました。
これは、月1回の指導で効果を上げるという意味ではなく、通常学級や家庭での取り組みを経過観察する意味合いが強いということでしょう。

週1から3時間で成果が上がると思われる指導内容

1 機能性構音障害の指導
2 言語コミュニケーションの指導
3 吃音の指導


週1~3時間では成果が上がりにくいと思われる指導内容

1 教科の補充指導、漢字、読み書きなどの直接的な学習指導
2 ADHDの行動改善を目的とした指導(効果がないとは言えませんが、主たる指導は通常学級での個別的配慮でしょう。むしろ通級では、心理面やコミュニケーション面を主にアプローチした方が良い場合が多い)
3 ビジョントレーニング
4 そのほか

「漢字が○○字書けるようになる」という壮大な目標を週1回の指導目標として掲げている例を見ますが、それが効果的なのかということと、そもそも通級の目的としてどうなのか、ということと、2つの点で疑問があります。
テストの点数を上げるために、通級指導があるわけではありません。

成績の上がり下がりに一喜一憂するよりも、その子をトータルに理解し、教育的ニーズ、指導の可能性と限界とをどのように認識しているのかが大事、ということです。

また、指導時間数自体も、指導の手立ての一つであるという認識が必要では、と思います。

逆に言えば、それだけの目標を掲げるのであれば、相当時間数を指導にあてる覚悟が、指導者自身にあるのか、ということです。またそれだけの時間を「取り出して」まで個別指導を受けさせることが、本当に子どもにとって良いのかという判断も必要です。

通級対象の拡大は結構ですが、まずはその教室の主たる対象(ことばの教室なら言語障害)の指導が専門的にできるかどうかが大事です。そのほかの対象を受け入れるには、一定の制限が設けられている(担当教員の専門性)ことも必要という「お達し」もあります。

私自身ももう一度、指導計画を見なおしてみたいと思います。


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通級のセカンドオピニオン

聴力はほぼ固定してしまい、耳鳴りと音の響きは日によって悪くなったり良くなったりです。
今の病院に不満を感じているわけではありませんが、まだ受けていない治療方法があります。
その病院にはその設備は整っていないようです。
なので、大きな大学病院でその治療についての意見を伺えないかと思っています。
調べたら、セカンドオピニオン外来は、主治医への不満は受け付けないようですね。
あくまでも、別の医師の意見を聞いて参考にする、という目的であることが事細かに書かれています。

学校はどうでしょうか。
通級指導に関しては、セカンドオピニオンが権利であることを公的に制度化しているところはありません。
でも、子どもは先生を選べません。

学級担任であれば、色々な個性の先生と出会うことが、子どもの育ちにとって大事と思います。
しかし通級では、その指導の質を問われます。

限られた通級時間の指導では、子ども理解のためのアセスメントや、科学的根拠に基づいた指導が必要です。

学校の通級指導では構音が何年も改善しなかったのに、幼児ことばの教室や民間に通ったところ、すぐに改善したという報告を散見します。
それはセカンドオピニオンではなく、「転院」に相当するのではありますが。

通級の先生を選べない以上、少なくとも、親子にセカンドオピニオンを受ける権利を認めるべきです。
そして、セカンドオピニオンを受けることについて、担当の先生は快く了とすべきです。
学校は先生方のためにあるのでなく、子ども達のためにあります。
担当の先生によっては、自らセカンドオピニオンを保護者に勧めている方もいます。
とてもすばらしいことだと思います。
親子にとっても、先生にとっても有益なのではないでしょうか。


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自主研修会PART7

夏季休業中に、自主的な集まりであるケース会議「自主研修会PART7」を開くことになりました。
私の体調を気遣って、今回はその事務を全て、ある先生が手伝ってくれました。
感謝感激、ひなあられでございます。

既に、申し込み数は、既存の組織の3分の一の人数(管理職を除く)に達しています。
夏季休業中だから、集まりやすいのもありますが、既存の組織がいかにニーズにフィットしたことをしていないかの証明でもあります。
「従来踏襲」の制度疲労は、あちこちに・・・。

確かに「団体」になると、変えていくことは難しい。
だから草の根から始まるのです。

でも既存の組織でも、改革に向けたムードが盛り上がりつつあります。
組織調査部では、新しい先生への支援対応のために、単に研修内容の変更にとどまらず、予算や組織のあり方を含めたトータルで具体的な改革案を議論できました。
研修内容だけなら、研修部の管轄ですが、組織を横断的、根源的にリニューアルするためには、組織論そのものに踏み込まなければなりません。
予算の「選択と集中」
必要な課題に集中的に予算配分する思い切った決断も必要です。

何が大切かがわかっていれば、そこからぶれずに思い切った改革のアイデアが浮かぶものです。

ただ、「変える」には、それなりの根拠が示されなければなりません。
それまでの良さをというものもあるわけですから、従来と異なるものを主張するには、それを上回るだけの根拠、事実認識が必要です。
今年の組織調査部長はその点、調査と理論構築にすばらしい力を発揮してくれています。

ことばの端々に、子ども第一なのか、自己保身なのかが明瞭に現れてくるものです。
個人のレベルでも、組織のレベルでも。


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通級担当児童の在籍校訪問 「連携」とは

放課後が指導時間の中心である通級担当は、在籍校に放課後お邪魔することはまず不可能です。

でも今回なんとか調整をつけて、お邪魔することができました。
特別支援学校のパートナーティーチャー派遣制度と抱き合わせが実現しました。

結論から言うと、授業を見せていただき、直接関係者とお話しできたことは、とても有益でした。
「連絡帳」で情報交換しても、連携には必ずしも結びつかない、とアンケートを元にした論文も出ています。
「連携」はフェイス トゥ フェイスでなければなりません。本当は。
その意味では、訪問させていただいて良かったです。


ただ、協議の時間は、私を含めた客が部屋の前席に「講師」として案内され、学校の先生方は、子どもの机のような並びで「聞く側」になっていました。
主人公は子ども達と、日常関わる先生方であって、私は単なる通級担当に過ぎません。
恐縮しました。
せめて、机は四角に並べて、皆が輪になって話し合えたらいいなあと。

特別支援教育は、まだ「専門家に教えてもらう」というイメージなのでしょうか。

私は資格は持っているけれど、自分自身のことを「専門家」と思ったことは一度もありません。
勉強、実践している方はたくさんおられ、私の不勉強ぶりは、恥ずかしい限りです。

今回の訪問では、学校の先生方が子どもを中心に、試行錯誤されているのがとてもよくわかり、感謝感激の思いでした。
自分の非力がむしろあぶり出されたような気持ちでした。

これから、たくさんのピースを一つずつ並べて、共同で絵を作っていかなければならない、どうやって作ろうか、というところです。


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むしろ苦手なことの使用を避けた方が文字学習が困難な子には良い

『LD研究 第21巻 第2号』 日本LD学会、2012

読み書き検査の「STRAW」を作成された宇野先生の論文がありました。

音韻抽出の苦手な子に、単語のキーワード法を用いた文字の指導に疑問を呈しています。

つまり、「さかなの『さ」」といように、単語から特定の音を抽出すること自体が苦手な子に、「さかなの 『さ』と同じように『さ」がつくことば→「さいころの『さ』」を読む、書くといった指導は、子どもの苦手な力を使った指導です。

それは避けるべきではないかということ。

文字指導ではなく、音韻抽出の練習だけならいいのでは、と思いますが、でも、音韻処理と、文字学習とを同時にねらう等のやり方は負担でしょう。むしろ得意な力を使って指導した方が、子どもにとっては楽ですね。

同様に、これを演繹すると、

・形の見分けが難しい子に、絵とひらがなを形態的にマッチングさせる指導
・その単語の意味を知らない子に、その単語を使った指導
・手先が苦手な子に、なぞらせたり、運動知覚を用いて読ませようとする指導
・短期記憶の苦手な子に、短期記憶に負荷をかけながら読ませる指導
・物語のような時系列に沿った理解が難しい子に、ストーリー性のある文字指導
etc
というところでしょうか。
子どもには結構負担なわけです。私の指導も見直したいと思いました。

でも、子どもの実態と、指導との組み合わせをちょっと替えるだけで、すばらしい指導に変わる可能性があります(笑)。

また、STRAWは、高校3年まで対応でき、RAN(Rapid Automatized Naming)によるスクリーニング検査なども含めたものにバージョンアップするとの情報もありました。大学入試との関連のことも書かれていたので、そのことも意識してのことかと。

RANは読み書きの力を予測する検査としては、有意差がかなり指摘されていますね。ただし、6~7歳では、その能力が大きく変動しやすいとの報告もあるようですが。



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【自作教材】語内位置弁別~練習音が単語のどの位置にあるかを特定する 音韻分析能力


「『た』のつくことばを言うからね。『た』が最初についたら左の□を。最後についたら右を。それ以外は全部、真ん中の長四角を指さしてね。早く指させたら2ポイントだよ」
「たとえば、『たいこ』なら左、『まないた』なら右、『あたま』なら、真ん中を指さします」

ターゲットの音が単語のどの位置にあるかを特定するのは、単語レベル以上で正音が出せるようになるための土台となる力です。文字の読み書きの土台となる力ともなるでしょう。(ただし、これだけやっていれば文字の読み書きが向上するというわけでもありません)

上記の図が難しい場合には、下記の図を使っています。

42ed6526.jpeg

一音で、一マスです。
この際、促音や拗音を含む単語は、文字表記の規則や、モーラ数、音節数など、数え方で答えが違っていて、混乱をきたすので、用いないのが原則だと思います。

また、子どもが知らない単語を使用するのも避けるべきです。

ターゲット音が複数入っている単語を用いると、レベルアップになります。(たとえば、「す」の練習で「クリスマス」は2カ所あります)



語内位置弁別教材ダウンロード(pdf)



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誤診

『こころの科学』2012年7月 日本評論社

「誤診」についての特別企画です。

発達障害の診断基準は、料理のレシピのように「いくつ当てはまる」という使い方ではなくて、多軸的であることと等により「活用」するものだという点に頷きました。

発達障害を統合失調症と誤診する例が多い、という新聞記事が先日載っていました。
杉山先生も、薬の処方の仕方が変わる、とおっしゃっています。

この文献では、どちらかをはっきり区別することが難しい場合も少なくなく、薬によって精神症状が安定しても、今度は自閉的な特徴が出てくることもあり、合わせ有することがある、と指摘しています。

また発達障害は、環境との相互作用のあり方の違いにより、その特徴が際立ったり、目立たなかったりすることも多い、というのは成人も同じこと、と。


私たち教育の場でも、子どもとつきあううちに、新たな発見をすることも少なくありません。
一回会っただけで全てを理解するというのは困難であり、就学措置の判断、通級妥当の判断は、可能な限りの情報集をした中で、その時点で最善と思われる判断をしなければなりあません。

ただし、構音障害の評価は、きちんとやれば誤診を防ぐことができます。

1 引き継いだ音だけではなく、他に音がないかどうか、音の全体を見ていくこと
→ さもないと、指導の順序を間違え、卒業まで改善しないまま、という事態が起こってしまいます。

2 置き換えなのか、歪みなのかの鑑別
→構音の評価は、「聞いて、見て、触って」
聞くだけでなく、舌の動きをペンライトをあてて見る、可能であれば、指を入れて呼気を感じ取る。
鼻漏出がないかを確かめる。口腔内視診などにより、器質性がないかを判断する。

評価を間違えると、指導も大きく間違えるのが、構音指導です。
センスが問われます。



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【自作教材】ことばの組み合わせカード ダウンロード付

ダウンロード(pdf)




絵の組み合わせカードは市販のものも含めてたくさんありますが、ちょっと難易度を上げて、ことばの組み合わせカードです。4つのことばの中から、仲間はずれの語を指摘し、次の段階では、その理由が説明できることが目標です。
説明では、そのほか3つのことばの共通概念のキーワードが言えることです。

ちょっと難しいので、中学年以降向けです。

答えは、複数ある場合もあります。
観点によって、とらえ方が異なる場合も説明できれば、ウルトラ級です。

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構音器官の土台作りに 舌筋機能療法(MFT)

今日は、いつも研修や指導で連携するなどしてお世話になっている、矯正歯科の歯科衛生士さんにお越し頂いて、舌筋機能療法(MFT)の講習をしていただきました。
研修会仲間なので、謝礼を特に用意していなかったのですが、申し訳ないぐらいにいろいろなものを用意してくださり、他の先生方にも是非聞かせたかったと後悔するぐらい、すばらしいお話でした。

いつも口がポカンと開いていたり、飲み込むときに舌先が前に突出したりしていて、かつ構音障害もあるお子さんの場合、MFTが構音の土台作りのために有効なことがあるかもしれません。

口は本来、話すための器官ではなく、食べ物を食べたり飲んだりするためにある器官ですから、食べたり飲んだりすることが十分でないと、構音もうまくいかないということはあり得ます。

MFTは舌や口唇に力を入れることが練習の中心になりますが、構音指導においては、逆に「脱力」が指導の中心になります。
したがって、ベクトルが反対ではないかと、歯科衛生士さんは心配されていましたが、力を入れることと、抜くこととは表裏一体の関係なのでしょう。
つまり、力を随意的に入れられるようになることで、脱力も習得しやすくなるのでしょう。

側音化構音は、基本的には、舌の緊張により、呼気が側方から漏れ出るわけですから、舌の脱力が指導の中心になります。
ただ、舌縁部分の筋力の低下が、側音化の背景にある場合もあり、この点でも舌筋の力をつけるというのは、有効と言えるでしょう。
ただし、MFTをやっていれば、側音化構音が改善する、ということはまずありません。直接的な指導と併行することが必要でしょう。直接的な指導をまず行ってみて、舌筋の弱さが背景にあると感じた場合は併行する、というやり方を私はしています。



IMG_0072.jpg
食べたり飲んだりするために使用する食べ物例です。
水分のある「リンゴ」が初めは最適で、クッキー、ヨーグルト、と難易度を上げていきます。

通常、食べ物はまず歯でかみ砕き、それを舌の真ん中あたりに寄せ集めます(「食塊形成」ですね)。
そして、舌先を上顎前歯裏の歯茎部分(スポット)につけたまま、食塊を奥に送り込んで飲み込みます。
舌先は、前に突出するのではなく、スポットについたまま、が正しい飲み込み方です。突出するのは赤ちゃんの飲み方ですが、そのまま舌先の位置が変わらないと、舌先で上顎前歯を押し出す状態になり、「出っ歯」につながるかもしれません。一日に人は、600回から2000回飲み込むそうですから、前歯を押す回数はたいへん多いと言えます。

出っ歯や、開咬(かいこう=歯をかみ合わせても、上下の前歯の間に隙間があいてしまう)のため、舌先がすきまから突出し、たとえば、サ行やタ行などの「舌尖音」が、「歯間音化」する可能性が出てきます。

口唇の筋力が弱くても、「出っ歯」になる可能性があります。
歯は、中から外に押しだそうとする力と、口唇の筋力によっ歯を中側に押す力との均衡によってまっすぐになります。
しかし中に押しとどめようとする力が弱いと、結果として歯が突出してしまう可能性があります。

そこで、「ボタンプル」という指導例があります。
2.2cm以上の大きさのボタンにひもを通し、ボタンを歯と口唇との間にはさみます。
そしてボタンに通した糸を外側に引っ張ってもらい、口唇に力を入れて、ボタンが引っ張り出されるのを防ぐ練習です。
ただ、ボタンでは小さすぎて、滑りやすいため、歯科衛生士さんは特別なアイテムを持参してくださいました。



IMG_0074.jpgこれはお湯につけると柔らかくなり、冷めると形状が固定される特殊な材料です。
これで口の形にぴったりあった「ボタン」の代替物になります。
穴に糸を通し、外側に引っ張ります。
目標は2kgまで耐えられることだそうです。
1kgだと弱すぎだそうです。
私は、歯科衛生士さんに引っ張ってもらいました。
なんと「1kg」しか耐えられませんでした。
これだもの、出っ歯になって当然かもしれません。




MFTのコツとして、私も勉強になったことがいくつかありました。

1 ヨーグルトを飲ませた後に、舌を見て、ヨーグルトの塊が残っていれば、舌の動きがまだ改善していない。

2 スポットの位置を知覚させるため、スティック(アイスキャンディーの棒のようなもの)で、スポットを5秒間圧迫するように刺激すると、スポットの位置を子どもは知覚しやすい。数度繰り返す。

3 MFTの全ての練習内容では、基本的にスポットに舌がついていること。

4 MFTは地味な練習なので、シールやグラフなどを用いて動機付けを図る。また、無理にやらせようとするよりも、必要性を詳しく説明して、「どうしますか?」と自己決定を促すようにすると、結果的に続けてくれる患者が多い。

5 「タングドラッグ」では、硬口蓋と軟口蓋との間ぐらいまでスライドさせる。

他にもたくさんありましたが、詳しくは以下の文献を。


IMG_0077.jpg

『舌のトレーニング』大野粛英・岡田順子・橋本律子・入江牧子 著、1998、525円(税込) 、わかば出版(写真右)
http://www.shien.co.jp/act/d.do?id=2264


 
『MFT入門‐初歩から学ぶ口腔筋機能療法』、山口 秀晴 他監修 大野 粛英 他監修、2007、わかば出版、5,985円(写真左)
http://www.7netshopping.jp/books/detail/-/accd/1102580294/subno/1


真ん中のは非売品?
実は矯正歯科の先生から頂いた文献です。たぶん頒価は高いと思います。


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【新人通級担当研修】実務の中で仕事を覚える OJT

OJTという研修システムが、企業にあります。

普段、あまりwikiは紹介しませんが。
http://ja.wikipedia.org/wiki/OJT

つまり、実務の中で仕事を覚えるという研修スタイルです。

これが通級担当教員に必要な研修スタイルだと感じていましたし、実は新人の先生ご自身もそう感じておられるようでした。
今日は、はるばる遠くから、私の指導を見に来て下さった新人の先生がおられました。
午前中は、構音指導の一般的な講義をさせていただき、午後の指導参観、そして振り返りの時間としました。

とても新人とは思えないセンスと、基礎知識の習得の高さを感じました。

レポートをつきあわせて研修するスタイル、基礎知識の講義スタイルと合わせて、こうした実技の中での研修を組み合わせることが、この専門性の高い職種には必要と感じています。おそらく他職種から見れば当たり前なことでしょう。むしろ、これまでそうした研修ができないシステムだったということ自体、他職種から見れば非常識であると言えるでしょう。

あとで伺ったら、実はもう一人、指導を見たいと言っていた先生がおられたとのこと。
都合がつかなかったようです。

今回来ていただいた先生も、有給欠勤扱いで、事故があれば勤務中の事故と見なされず、すべて自己責任なのです。旅費も当然自腹です。

こんなにがんばっている先生に対して、バックアップする教育行政であって欲しいものです。
勤務時間が10分短かった、長かったなんて、みみっちい調査をやっているお金と時間があるなら。


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新しい水族館のお写真


水族館がリニューアルオープンしたので行ってきました。
温泉で育った魚なので、通常よりサイズが大きいです。
日本一の巨大肺魚プロトプテルス・エチオピクス。
普段はこの姿勢のままおとなしくしていますが、30分に一回、
呼吸するために水面に上がってくるのだとか。
おもしろい。
でもその場では動きが全くありませんでした。
しかし、館内を一周して偶然目に入ると・・・、
水面に上がり、竜のようにダイナミックに踊っていました。




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イトウです。養殖したイトウは全国で見られますが、1m以上もある巨大さが見られる貴重な水族館です。しかも天然もの。
以前は、イトウはバラバラの方向に泳いでいたのに、新しくなって、みな水流に向かって同じ方向を向いて泳いでいます。そして、アクリル板も曲がっていて、より立体感を持たせています。
この方がはるかにダイナミックでおもしろいです。携帯カメラなのでそれなりの画質ですが、本当はもっと美しいです。


P1000458.JPG
光の当て方一つで、こんなに美しく見えるのですね。











sP1000472.jpg
擬岩もライトの当て方もすばらしい。美しい。

実はこの水族館の初代は、元うちの校長と、今の某園長が教諭時代に作り上げたプロジェクトなのだとか。
学校の先生をやりながら、地域にこんなすごいものを作るプロジェクトに参画するというのは、何て素敵なことでしょう。
それだけ、昔の教員は今よりは時間に余裕と、夢があったのでしょう。
今では難しいですが・・・。

そして完全リニューアルしたこの水族館は、全国的に有名な水族館プロデューサーがプロデュースしてくださったそうで。低予算でいいものができました。


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すぐ隣の子どもの木の遊び場も、すべり台がついてリニューアルしましたよ。
自閉的傾向のある私は、本当は魚の動きを何時間でもじーっと見ていたかったのですが。


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通級指導教室のことカミングアウト

この地域のことばの教室は歴史があるため、ことばの教室に通うことに対しての偏見、差別的なイメージはありません。
差別的なイメージを持っているとすれば、それはむしろ教員の側でしょうか。
「安易な分離・別学だ」などと。
でも、学校の先生や親御さんでも、「実は子どもの時、通っていました」と話して下さることも少なくありません。
発音を聞いていると、指導はかなり上手な先生に受けていたな、と感じることもあります。

通級することがわかるといじめられるのではないか、という声を親御さんから聞くことがあります。
でも、実際に通ってみたら、それは全く心配なかった、と必ずなります。
むしろ、こちらの側が、もう通わなくても良いのではと思っても、続けて欲しいとリクエストされるぐらいです。

いじめられるかどうかは、通っていることがわかるかどうかではなくて、日常の友達とのコミュニケーションがどうかによる部分の方がはるかに大きいです。


通級は行きっぱなしではなく、「行って帰ってくる」わけです。帰りには自作の工作を持って帰ることもあるなど、むしろ周りからうらやましがられます。
そばにいた子に、「先生、私はいつになったらことばの教室に通えるの?」と尋ねられることもあります。
他校通級なら、「習い事の一つが増える」という感覚です。
「ことばの勉強に行ってくるよ~」と、授業中や帰りの会。掃除の時間に抜けてきて頂いています。

隠す必要はありません。
大人が変に隠したり、言いよどめば、逆にマイナスのイメージを子どもに持たせることになります。
つまり大人の意識の問題、というのが結論です。

歴史の浅い地域では、その点は難しいかもしれませんが。
でも、


「近眼の子にはめがねを与える」
「座高に合わせて、椅子、机の高さを合わせる」

ということと同じなのですがね。
特別支援教育とは、そういうことなのですから。



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技術の伝承の危機

一昨日テレビで、大手鉄道会社の相次ぐトラブルの背景に、「技術の伝承」の問題がある、というドキュメンタリーが放送されました。
40代の職員がとても少なく、技術と経験が豊富な50代の職員はほとんどが管理職になったため、経験の浅い職員を教えるベテランがとても少ない。そのことによって技術が若い職員に伝承されにくく、事故の多発を招いている、というのです。

これから日本の教員の年齢構成比もそのようになっていくでしょうし、技術職の多くも、この「技術と経験の伝承」が課題になっています。技術で食べてきた国なのにですね。

ことばの教室の担当も同じ状況になっています。
経験の浅い先生でも熱心な方はたくさんいますし、個々に見ていくと違うところも多いので、マクロで見たときの話しですが。


当地域の小学校のことばの教室経験年数  

0~4年  約60%

15年以上 約9%


 
また、「経験が浅くて指導に不安がある」と答えた教室は、

80%!

これは緊急事態と言えます。


私を含めて経験の長い先生方の責任を感じています。

一番の責任は、そうした人事を行っている学校、行政なのですが、私たちはあっけにとられている暇もなく、具体的な手立てを打つ必要を感じています。

「技術と経験の伝承」
今始めないと、取り返しの付かない事態に陥るでしょう。

確かに、通級担当の楽しさを話し合うことも大事ですが、それだけでは単なる精神論に過ぎません。
具体的には何も変わらないのです。

具体的な提案です。

1 「自主研修会」を既存の組織の一部として公的に位置づけること。そのための会則改正を行うこと。

2 各地域でのケース会議に、ベテランの先生を派遣したり、逆にベテランの先生の指導を見学しに行くなどの際に予算措置を行い、出張扱いでできるようにすること。

3 既存の組織の年3回の研修の中に、経験の浅い先生のための基礎講座をシリーズで編成して行う。
そのために、これまで全道大会レポート検討に割いてきた多大な時間を縮減し、その分、新しい先生への支援のための時間とすること。

4 新しい先生には、道言協の「言難ABC」の参加旅費を一部補助すること。
 
 

5 親の会と、研究協議団体の連名で、教育局に対し、人事ついての特段の配慮を行うよう、要望書を提出すること。


予算があるわけですから、こうしたアイデアを次々と出して、問題解決に具体的に動くリーダーが必要なのです。



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K-ABC 解釈 継次処理尺度=習得度尺度

検索ワードからです。

物事を順序立てて処理する力の相応分に、習得している力(結晶性知能)があるということです。

ただし、継次処理の下位検査の中で、sとwとがある場合は、継次処理尺度自体に信頼性が低くなるので、慎重な解釈が必要になってくるでしょう。

同時処理と習得度尺度間に有意差があるのか、同時処理と継次処理との間はどうかなど、検討しなければならないことはたくさんあるのでタイトルの情報だけで判断してはいけませんが。

ちなみに、

継次処理尺度>習得度 

なら、物事を順序立てて処理する力はあるのに、習得する力が弱い→順序立てた教え方の工夫が必要ということになるでしょうし、


継次処理尺度<習得度 

なら、順序立てて処理する以上に、身についている力があるということでしょう。

私個人は、最近あまり使わない検査ではありますが。


気をつけたいのは、認知処理過程と習得度などの個人内差にばかり注目して、生活とかコミュニケーションとかの子どものトータルな理解がおろそかにならないようにすること。

読み書きなどの学力と、生活、コミュニケーション、家庭状況とは相関していることも多く、「この情報は学力とは関係ないからカットする」なんていうやり方をしていると、「子ども理解」から遠く離れてしまうのです。また、トータルな情報がないと、指導の優先順位を間違えることにもなりかねません。



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ことばの教室が作られた理由

好評により、また検索ワードから記事にしました。

こちらの地域では、口蓋裂による構音障害のお子さんがいらして、当時片道6時間ぐらいの国鉄に乗り、医療と併行して、養護学校で構音訓練を受けていたようです。
または、数時間先の養護学校へ。
学校を一日休みにして、国鉄とバスを乗り継いで、毎週一時間のために通うというのは、並大抵のことではなかったでしょう。
そこで保護者らが立ち上がり、地域の普通学校にもことばの教室をと設立運動を展開しました。
地域にもよりますが、議会に働きかけたり、署名を集めたり、その一方で、言語障害教育課程の大学を卒業した先生を人事でスカウトするということもしていたようです。

今地域には10の小学校にことばの教室が設置されていますが、その歴史を知る職員は、私も含めてもういません。
私は「○言協20年の歴史」という冊子や、昔からの親の会の役員の方にお話を伺って知りました。

よく、「学校は医療機関じゃないのだから、ことばの教室で医療的なことをしたり議論したりするのはおかしい」という主張を耳にします。
でも、そもそも始まりは、学校教育の範疇だったわけです。

むしろ、学校教育には医療や福祉などの様々な異質な観点をもっと取り入れていくべきです。
「開かれた学校」とは、そういうことも含めてなのではないでしょうか。

というわけで、ことばの教室は国が先に動いたのではなく、親子の願いから始まったということであります。
国はむしろ、制度上は存在しなかった「通級」の実態を認めざるを得なくなった、というのが本当です。


これから通級指導教室を設置したい地域では、

1 親の会が推進する
2 実態を作る。(具体的に計画、イメージして要望する)
3 親と教師、行政がスクラムを組んで動く

ということが重要です。

親が一人、二人で苦情を言っても行政は動きません。
公的団体として動くことが重要です。
関係者同士が言い争いをしているより、スクラムを組んで動くことが大事です。


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構音指導「ナ行」「ツ」の指導

今日も検索エンジンからの情報を基に、記事を書きます。


ナ行は、「通鼻音」と言います。
発音記号では、/n/
です。「歯茎通鼻音」です。
舌先が、上の歯茎の裏についたまま、「んーーー」と音を出したときに鼻から息が出ています。
それに母音を後続させると、ナ行音ができます。
日本語で、鼻から息が出る「通鼻音」は、ナ行とマ行です。
鼻から通らなければ、ナ行はダ行のように、マ行はバ行のようになってしまいます。
そうなる場合は、鼻の通りがどうなのかを評価する必要があります。
生育歴や、相談歴、受診歴も眺めながら、口腔内も見ながら、
蓄膿症やアデノイドがないかどうかを確かめます。
それらに異常が見あたらない場合は、音の弁別(聞き分け)や音韻意識、知的な部分を見ていきます。


「ツ」は、発音記号では、/tsu/ です。
/w/ だったのが、最近は、/u/ にしている向きもあるようなので。
それは良いとして、/ts/ が重要です。
つまり、/t/ タ行と、/s/ サ行の両方が既に産生できるかどうかを確かめる必要があります。
それぞれの音が完成していなければ、「ツ」の指導の前に、まずそちらを行うというのが定石です。
定石が全てではありませんが、構音指導のためには発音記号の読み書きができるようになることが大事です。

実習生でも時々間違えるのですが。
間違えるということは、構音の産生過程をちゃんと理解していない証拠です。
逆に言えば、ちゃんと理解していれば、指導の誤りは生じにくいものです。


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読み書き検査と科学的態度

「ヒッグス粒子」がついに発見された?というニュースは、科学の好きな私にとって身震いする思いです。
子どもにこの話をしたら、紙をハサミで限りなく小さく切り刻んで「できた」と言っていました。
かわいいですね。

IPS細胞で病気が治るという話しも、夢が広がります。


さて、今日は「読み書き障害」で検索していらした方が多いので、「科学的態度」と合わせてこの話題を。


私が、読み書き検査でよく使うのは、


『小学生の読み書きスクリーニング検査─発達性読み書き障害(発達性dyslexia)検出のために─ 』(STRAW)

と、
『森田-愛媛式読み書き検査(改訂版)』です。


前者は、レーブン色彩マトリクス検査(RCPM)と組み合わせて、
知的障害を伴わない発達性ディスレキシアをスクリーニング検査で検出するのが目的です。

私の場合は、知的な遅れがあるかどうかということとの関連で検討するために、
RCPMを使うことはほとんどなく、WISCなどとの組み合わせで検討しています。
そういう統計表にはなっていないのですが、私の使用目的は別のところにあります。


この検査自体は、統計学的な処理がされているので、「マイナスいくつSD」などと値は出ますが、
私はどのように間違えるのか、どのようにできないのかという点を重視して使います。
つまりスクリーニングというよりは、通級を担当している子どもの読み書きの状況を
評価するために使っています。使用目的が本来的ではないかもしれませんが。

しかしこの検査は単語までしかできませんので、文レベルでは評価できません。

そこで、後者の『森田-愛媛式読み書き検査(改訂版)』を使うことがあります。

ただ、検査も大事ですが、日常の国語のノートや作文を見たり、授業の様子の情報収集だけでもかなりのことがわかります。
しかし科学的なエビデンスに基づいた指導を行うには、やはり標準化された検査を組み合わせ、正確な解釈を行うのが科学的態度とも言えます。


統制されていない条件なのに、一回のお試しだけで傾向を判断するというのは、科学的ではないし、エセ科学そのものと言えます。

同じ条件で何度繰り返しても同じ結果が出ることが検証可能でなければ、科学ではないのです。



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メニエール病

北海道の七夕は、1ヶ月遅れの8月なのですが、100円ショップでは既に七夕セットなるものが売られていました。
今日、娘に「短冊にどんなお願い事を書くの?」と尋ねたら、「お父さんの耳が早く治りますように」ですって。
涙、涙です。
子どもにも心配かけちゃったなあ。
親が病気というのは、子どもにとってけっこうたいへんなことです。
私自身がそれを経験してきましたから。

病気を隠さず、でも明るく生きていけるよ、という姿を見せたいものです。

一方で、私の病気のデータがどうぞ、同じことで悩む方々のために、何かのお役に立てばと、カミングアウトします。これまで病名は公表してきませんでしたが。

o.jpg
会話領域は、500、1000,2000Hzです。聴力が30dBを下回ると結構聞き取りにくいです。黒い線は、調子の良いとき、赤い線は調子の悪いときです。ただ、もう3ヶ月経ちましたが、大きな変動もなく、だいたいこのオージオグラムのまま推移しています。どうやら「不変」というようですね。
2つの周波数で10dB以上の上昇を見たときは「改善」というらしいです。
私の場合は、もうこれ以上良くなることよりも、悪くならないようにすることを重視しましょうと言われています。
聴力検査では、50dBを下回ると骨導聴力検査もかけられます。だから、骨導を取ったときは、今日は悪かったのかなあと思います。それ以外の理由で骨導きをとることもあるようですが。

それと、片方が聞こえていれば大丈夫という方がよくいますが、情報量が二分の一になるわけで、私の場合会話明瞭度はすごく落ちています。

話しかけられたことに後で気づくことがあります。特に右側、右側後方から話しかけられるとアウトです。
そして話しかけられたことはわかっても、何て言われたかわからないことがあります。聞き返していいものか、いつも迷います。

本当にわかりにくい障害、生活困難です。発達障害と同じですね。見た目で判断しないでください、ということ。


私の今の治療は、イソソビルド(内耳のむくみをとる)一日120ml(最大量)、ビタミンB12(末梢神経の活性化)、アデホスコーワ(血流改善)、そして耳鳴りがうるさくて眠れないときは睡眠薬もです。
点滴は、グリセリンとビタミンB12です。

運動は、週3時間以上、脈拍が一定上になる運動ということで、少しきつめのウォーキングを毎日1時間、朝はテレビ体操、就寝前はストレッチ体操をしています。

おかげさまでめまいはほとんどありません。蝸牛の部分だけが内リンパ水腫になっていると思われます。
めまいがないので、脳の腫瘍とかではないでしょう。写真も撮って、その可能性は除外されています。

感音性難聴ですし、オージオグラムからも、補聴器は適用ではないですね。
人工内耳もありますよ、何て素人の方に言われましたが、もちろん適用にならないです。
難聴だけなので、手術もありません。


悪くすると、聴力はさらに低下し、両耳とも低下する場合もあるので、注意が必要です。

専門職の人、ストレスをためやすい人、睡眠が不足して疲れている人がなりやすいようです。
どんぴしゃりです。
ようし、明日から、仕事をがんばらないぞ!

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【自作教材】オリジナル組み合わせ絵カード



4つのうちから、ひとつだけ仲間でないものを選ぶ。その理由を言う。
それは裏返すと、4つのうち3つが、同じ属性(種類)にカテゴライズ(分類)される、ことを発見するということです。

改めて考えてみると、事物の「属性」にも色々あって、
・野菜、果物など一般的な種類分け
・用途、目的による分類
・初めからあるものか、後で追加される物か、
・メインか、サブか
・形、大きさ、色、かたさ、高さ
・材質

などなど、色々ありますね。

観点を変えれば、答えが違ってくる組み合わせもあります。

同じ物なのに、観点が変わると違う種類分けになる、という分類概念は、思考の柔軟性とも関わっているのだろうと思うのです。
ただし、どういう分け方が「一般的か」がわかっていくことも大切なのでしょう。
テンプル・グランディンは、「自閉症の才能開発」で、そのことでとても苦労したことを述べています。

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よく病院かえたら?といわれますが

どこに行っても同じなんですよね。急性期過ぎているし。良いと言われている病院の処方を聞いたら、今の病院と全く同じだし。今思うと、悪くしたのは初診のかなり前だったのでは。だからすでに手遅れだったかも。点滴もこれ以上悪くしないためであって、良くするためでないというのはどの医師も一致した見解ですが、頻度については、医師によって見解が異なる。でも統計学的に有意差がないようなので、当然と言えば当然です。気休め程度の意味ですかね。

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通級担当がころころ替わる最大の原因は、相談相手がいないこと

どこの地域もその傾向がありますが、教室の規模が大きく、
通級担当が複数配置されていて、ベテランのいる教室では、
比較的、担当年数が長い傾向があります。
逆に一人教室など、相談相手がそばにいない教室や、
規模が大きくてもベテランがいない教室では、担当の入れ替わりが
激しい傾向にあります。

今日は、言語の研究協議団体の理事研修会がありました。

そこでは、各担当の「やりがいに感じていることを」を交流しました。
各担当のやりがいを交流することで、通級担当の意欲を高め、
もって担当年数の長期化につなげる、という仮説に基づいていました。

また基礎的な知識を講義するというやり方では、担当がやる気をなくしてしまう、
という仮説にも基づいていました。

それは入り口としては正解と思われました。
しかしながら、そこから先は・・・。???

もう亡くなりましたが、ことばの教室の先輩が私に教えてくれたこと。
「理事会は、議案を審議することではなくて、それが終わった後に
弁当を食べながら、参加者同士が悩みを相談し合うことが本当の目的ですよ」

この団体の出席率が一番高いのが、この理事研修会であるのは、
相談ができる、というところも一役買っているように思われます。

議題の審議が終わった後は、必ず何人もの先生方が、私に相談をしてくださいます。

それだけ、経験の長い先生への相談の機会が少ない、ということの裏返しでもあります。

逆にベテランのそろった大規模教室に初めて担当になった先生は、
周りにいつでも相談できて、楽しくて幸せだ、とおっしゃっていました。

今、新しい先生へ必要な支援は、相談できる場と人を用意すること。
そして、基礎知識とOJT(現場での研修)です。

新しい先生方の多くは、今の指導が良いのか、
子どもをどう見立てたらいいのか、日々悩んでおられます。
それが出発点です。

今、会の研修のあり方は、大きな曲がり角に来ているように思えます。
新しい先生のニーズを正確に捉えた対応が求められます。
正確に捉えないと、会の存続の意義自体が問われるという危機感を持っています。


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児童福祉法等の改正による教育と福祉の連携の一層の推進について

児童福祉法等の改正による教育と福祉の連携の一層の推進について
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/1322204.htm

文部科学省と厚生労働省とが共同で出したのですね。



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