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某公立学校ことばの教室教員。公認心理師、言語聴覚士、特別支援教育士。 『クイズで学ぶことばの教室基本の「キ」』の著者。  SINCE 2000.1.1 
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『WISCー4の臨床的解釈と応用』何度も読み直しています 2 「絵画配列」の廃止

WISC-3にあった「絵画配列」が、4では廃止されました。
(「3」「4」は本当は「Ⅲ」「Ⅳ」ですが、文字化けするので)

「絵画配列は、社会的推理や系列化能力を測定するという研究結果がない」ことが理由としてあげられるようです。

検査倫理から言えば、本来は、3から大幅にバージョンアップした4を使うべきですが、器材がそろわない等の理由で3をやむを得ず使う場合もあるでしょう。
その時は、3の解釈の限界を踏まえた上での活用が望まれるのでしょう。

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構音の指導研修DVD、もうすぐ締め切りです。


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『WISCー4の臨床的解釈と応用』何度も読み直しています

「ディスレキシアは、デコーディング(文字記号の音声化)、単語の読み、文章の読み、綴りの正確さや速度における予想外の困難によって特徴づけられる特異的LDであると定義される。」(国際ディスレキシア協会、2003)

という定義があります。
アメリカでは、読みの遅れが生物学的基盤(つまり、生まれつき)なのか、環境要因(つまりそだった環境)の問題かを問わなくなってきました。
つまり「落ちこぼれ防止法」で、遅れている子には同様な支援をと。

でも、IQ120で、読みが80の子と、IQ80で読みが80の子とでは、指導の手立ては変わってきますね。

IQと学力との差異(ディスクレパンシー)をモデルとしたLDのとらえ方への批判があります。
でも、まだまだ、いろいろな観点で見ていく必要があると思います。

検査から支援につながるのに、時間も労力もかかるけど、正確に評価するという視点を抜きにはできないかと。
特に通級による指導、特別支援学級の場ではなおさら。


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既成の価値観を壊し、新しく創造・・・でも、研究と努力の裏付けがある




日本一の低予算、3億円で建てられた水族館。
水族館プロデューサーの中村元さんは、「日本一のビンボー水族館」、「3億円で水族館を建てるなんて本来は間違い」とまで。


しかし、中村さんはこの水族館を監修し、予想数を遙かに上回る人気水族館に仕立て上げました。
彼ははじめ、業界から「異端」扱いされていたそうですが、今では全国的に有名な水族館プロデューサーに。
既存の価値観をうちやぶり、大胆に工夫していく仕事ぶりにあこがれます。
単に壊すということでなく、徹底した研究と努力の裏付けを感じます。
持って生まれたセンスもあるのでしょう。


***


生きたままの餌を与える「いただきますライブ」は、平日の特定の曜日、特定の時間です。
通常は勤務日なので、見られない時間帯です。
でも今年はお正月の開館日に見られるとのことで行ってきました。


通常、餌は死んだ状態で与えますが、ここの水族館では生きたまま与えます。


ニジマスを生きたまま与え、巨大淡水魚のイトウが追いかけてくわえるシーンはインパクトがあります。
子どもたちに見せるのは、残酷だとの意見もあるようです。
でも、死んだままの状態の餌を食べるシーンより、生命のはかなさ、尊さを感じ取れます。


この企画の名称は「いただきますライブ」。
けっして、某有名動物園の「もぐもぐタイム」ではない。


そういえば、日本の文化は「いただきます」の文化。
生命を、そして料理を作ってくれた人々に感謝して手を合わせる。
自然を「征服」するのでなく、自然に「生かされている」という文化。


この企画の思想の深さを思います。

大人の観客は、もう少しで餌を採り逃がしたイトウを見て「おしい!」と言いました。
しかしある子は、イトウにかまれて、動けなくなったニジマスを見て「食べちゃった(食べられちゃった)」と言いました。
子どもの方が、企画の主旨を心からとらえているなあと。


***


イトウはいつもは、水流にそってみんな右側を向いて静かに泳いでいるのですが、ライブの時間は激変。
餌が投下される前から、いつもとは違う慌ただしい泳ぎ方をしていました。
餌の投入の予兆に気づいているのは明らかでした。
飼育員の足音などで、わかるのですね、きっと。

↓動画

http://youtu.be/_k3IZ2XY7b4


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当事者の立場に立った特別支援教育を

昨年のお正月に、私は以下のように書きました。


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「障害とは、理解と支援を必要とする個性」
「楽しさ、安心感があってこそ、能力は伸びる」
「遠くの専門家より、近くの子ども理解者」

自らが難病と障害を背負った今、当事者の気持ちに寄りそう特別支援教育の臨床を一層めざしたいと思います。

 ***

前回の妹の記事について、反響がありました。

記事の主旨は上記の通りです。

「障害はお互い様」
であり、
「私が彼、彼女を何とかする」
ではない。
「ともに歩む」
ということ。

今年もこのことを大切にしていきたいです。

本年もよろしくお願いします。


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年末に・・・生まれてすぐ死別した妹へ



私の出生時体重は2500g、妹は1500g。
双子でした。
出生まで、医師も双子だとは気づかないぐらい小さく生まれました。

私の泣き声は力なく、妹も、だったそうです。

そして1時間も経たぬうちに、妹は天へと召されました。
何という短い人生。

でもお腹の中で、メグミちゃんと私は何ヶ月も一緒だったのですね。

そして、2人分の人生を託された私は、
首の据わりが12ヶ月、1語文は2:6~3歳・・・。

色々苦労してきました。

もしあなたが今でも生きていたら、私の人生はどうなっただったろうと、たまに考えます。
特に年末には。

ベートーベン作曲 交響曲第九番「合唱付」の詩に出てくるシラー。
「時流がむごくも引き裂いたものを あなたの魔力は再び結び合わせる」
とうたわれています。

あなたと私とが「再び結び合わせる」のはいつのことでしょうか。
私は、あなたの分まで、人生を大切に生きているでしょうか。

私が身代わりになった方がよかったのでは?
なぜ私が生きることになったのでしょうか。

しかし、遅れて育ってきた私だからこそ、しなければならないことがある。
同じ苦しみのある人々のために。

メグミちゃん、私はその仕事を果たしてから、あなたの元に赴きますね。

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臨床研修会 ケース会議1日目


音声言語の表出は難しいが、医療機関のSTと連携しながら、拡大・代替コミュニケーション手段を活用した事例発表。すばらしい。「ことば」は音声言語だけでなく、多様な方法があります。音声言語を出させることにこだわるのでなく、むしろ他の方法により、「要求」を育てること。コミュニケーションの出発点は「要求」ですね。



多様な支援のニーズのあるケースで、週1回の通級による支援が妥当なのかという事例もいくつかありました。
限られた条件の中で、通級担当が苦戦している様子がうかがわれました。
限られた時間、条件では、「発達の偏りを埋める」というような「ボトムアップの指導」ではなく、生活自立に必要なことをピンポイントで指導する「トップダウンの指導」が重要になってきます。


NCプログラムなどの簡易な方法だけでの判断は危険であり、標準化された検査を活用して、より適切な支援の枠組みを検討していくことが望まれます。福祉などの多方面にわたる支援が必要と思われるケースもあり、他職種に通用する検査法、アセスメントの枠組みが求められます。小学校の時のアセスメントが、成人以降の生活自立のあり方に結びつくこともあるわけで、それだけ責任は大きいです。


アセスメントの基本は、


・行動観察
・標準化された検査
・生育歴


この3つがそろわなければなりません。



側音化構音の指導のあり方。音の指導順序、舌の脱力の重要性などが議論されました。基本に忠実に、です。


4 
最新の、複数の検査のバッテリーを組んだ事例発表。矛盾する数値をどう解釈するかが、支援のヒントにつながります。
障害についてや、薬、行動などの基礎知識を持ち合わせて、初めて子どもに対面できます。
行動観察や支援の進め方がすばらしい。検査時の行動観察がすばらしい。



クリスマスの翌日にもかかわらず、集まってくださった先生方に拍手です。


ちなみに今回の臨床研修会では、当地域の研究協議団体の取り組み、「新しい先生のための旅費措置事業」に該当しました。
レポート提出を条件に出張扱いで旅費が措置されます。


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構音指導で気をつけること 16 側音化構音



側音化の指導の際、「口角」が話題になります。

つまり、左右のうち片方の口角を引く場合がある、

これをどうするか、ということです。





『側音化構音の指導研究』(涌井 豊著、1996年、学苑社)には

こう書いてあります。

「口唇の偏位を改善した後で舌の脱力・安定を図る」(p61)

一方、『構音障害の臨床』(阿部 雅子著、2003年、金原出版)には

こう書いてあります。

「口唇や下顎の横への動きを抑制したり、引かれている口角や頬部を押さえたりしても根本的な改善にはならない。」

「まず舌の不自然な力を抜くこと、つまり舌の脱力が重要である。」(p70)


この2つの文献を読み比べると、研修が深まるように思います。





「左側の口角を引くので、右側も引けば、舌の偏位も改善する」

という話も聞きます。

しかし、口角を緊張させれば舌も緊張しやすいです。



側音化構音は、

舌の左右の偏位の問題より、盛り上がりが問題の焦点です。

左右の口角を引いても、盛り上がりは改善しません。






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構音指導で気をつけること 15 母音と構音練習との関係

東京語の「ウ」は唇をとがらせません。(丸くしません)
よく、「ウ」の練習をする際、「唇をとがらせなければならない」という指導を見受けますが、
干支で「ネ、ウシ、トラ、ウ」と言った場合、唇がほとんどとがらないことがわかります。

唇を円唇化させる「ウ」は、/u/と書きます。
発音記号では、日本語の「ウ」は・・・。
(ネットの文字では正確に表記できないので、正確には、こちらを参照)
「国際音声字母」の「母音」を参照
http://coelang.tufs.ac.jp/ipa/


唇は自然にしておいて、むしろ、舌と口蓋との距離が問題です。

よく、イ段の音を練習するときに、左右両方の口角を引く事例を見ますが、発語器官のどこかに緊張を残す指導は危険です。基本的に、発音のために必要な部位以外の緊張は、取らなければなりません。


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通級による指導での教科の補充指導は、成績の向上が目的ではない



部首の組み合わせで漢字を作るゲーム「かんじー」




部首の名前を聞いてすばやくカードを取る「部首カルタ」


いずれも、漢字のパーツの視覚的認識を高める遊びです。

通級での教科の補充指導は、テストの成績を上げるとか、ましてや、ある点数を目標とするためではなく、学びやすさ、楽しさを保障するために行います。

勉強そのものが目的でなく、自分に合った方法を学ぶのが目的です。


いずれにせよ、教科の補充指導をするには、週1~3時間の従来の自立活動の時間だけでは足りない、ということは、10年以上前の学会でも指摘されています。

だから、法令上、週1~3時間→週8時間と拡張されたわけです。

従来の短い通級指導時間の中に、自立活動も教科の補充指導も、と欲張って詰め込む事例が見られます。
一度にたくさんの目標をねらいすぎて、結局何の効果も見られないばかりか、有害な指導であったり、子どもに加重な負担を与えてしまいがちです。

また、通常学級でのテストやドリルをそのまま通級指導教室に持ち込んで、指導を受けるケースも見られますが、子どもの特性や課題量に合わせた指導を前提としないなら、これは「通級による指導」の目的外使用に当たります。
それならば、わざわざ通級しなくても、通常学級で指導を受ければ良いことです。

通常学級と同じ内容、方法、到達目標、課題量を別室で行う意味があるのでしょうか?
通級は「分離別学(差別教育)」だ、と主張する向きがありますが、その主張に正当性を与えてしまう事例と言えます。通常学級で学び合うという機会を子どもから奪うことになるからです。

通級による指導は、塾ではありません。


「LDの通級については、月1回(年10回)の下限でも効果的な場合がある」と法令上は定められていますが、それは、周囲の学習環境が調整されていて、通級指導そのものよりも、コーディネートだけで効果的な場合、ということです。


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構音指導で気をつけること 14 聴覚的ワーキングメモリと構音

単音節では正音が出せるのに、単語や会話になるとどうしても・・・という場合があります。
背景として、音韻意識、聴覚的ワーキングメモリの弱さがあることがあります。
一般に、音韻意識の発達は以下の通りです。

4歳後半:音韻分解、語頭音、語尾音の抽出
5歳前後:語中音の抽出  「あたま」 ○△□なら、△は何?
5歳後半:しりとり、2モーラ語の逆唱  例)うし → しう
6歳前半:逆唱 3モーラの語を語尾から逆に言う  例)あたま → またあ
       モーラ削除 2〜3モーラの語からある音を抜いて言う 例)あたま→あま

上記の表をめやすにしたり、WISC-4のワーキングメモリ(数唱、語音整列)などで、聴覚的ワーキングメモリを測ることも参考になるでしょう。

ただし、「○歳だから、これができなければならない」ということでなく、この子にとって、今どんな教育的ニーズがあるのか、構音との関係はどうなのかを知るため観点としてとらえる必要があります。

単語レベルで構音がつまずくときは、語内位置弁別(練習音が、単語の語頭、語尾、語中のどこにつくかの判断)が苦手な場合が少なくないように思います。

舌出しで構音の練習する場合、たとえば、「シ」を舌出しで練習することがあります。
たとえば、「あした」ということばの構音練習をする際は、「し」だけを舌出しし、「あ」と「た」は舌を出しません。単語のどの部分で舌出しをするか、というタイミングを判断しながらの練習になります。
音韻的な位置を判断しながら、舌の運動をコントロールするわけですから、その際に必要なワーキングメモリは「聴覚的」だけでなく、「運動的」でもあるわけです。
(運動的ワーキングメモリということばはないと思いますが)


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構音指導で気をつけること13 発語器官のイメージを

構音の検査や指導の際、舌の動きや位置、顎の開閉、舌と口蓋との距離、そしてそれによる呼気の通り方を物理的にイメージできていることが大切です。
そのためには、指導者が自分で自分の口の中を見て、様々な音の産生時の舌等の動きを把握する練習を積むことです。
たとえばタタタと発音するとき、舌のどのあたりが、どこに当たっているのか、破裂させているのか、弾いているのか、摩擦させているのか、破擦させているのか、鼻からも息がでているのか・・・。
暗ければペンライトで照らしながら。動きが見えにくければ、アタアタアタと、アをつけて。

イメージできるようになると、検査や指導は正確になり、効率的で早期の効果につながります。


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構音指導で気をつけること12 構音指導の引き出しを多く持つ

構音指導には、たとえば以下の方法があります。

1 聴覚刺激法
→正しい音を聞かせて、正しい音を模倣させる方法。

2 キーワード法
→ある単語では正しい音が出せる場合に、その単語を使って正音を導く方法。
たとえば、普段「し」は正音が出せないが、「もやし」という単語の時だけは正しい「し」が出せる場合、「もや」をささやき声で、「し」を通常の声で言い、次に「もや」は言ったつもりで「し」だけを言う、最終的には「し」だけを取り出すという方法。

3 漸次接近法
→誤った音を少しずつ正しい音に近づける方法。
たとえば、「シ」が一貫して「チ」に置き換わっている場合、「チー」と囁き声で言い、徐々に「t」 を弱く、摩擦音を強くすることで、最終的に「シ」に近づけ安定させる方法。

4 他の音を変える方法
たとえば、「キ」が「チ」置換しているが、「ケ」は正音の場合、内緒の声でそっとケを言った後に、イーを長めに後続させ、キに変えていく方法。

5 構音点位置づけ法
→たとえば「カ」は、奥舌を挙げてお口の天井部分につけ、破裂させる、などと模型などを使って説明して獲得させる方法。


これらの方法を実際には子どもの実態に応じて選択したり併用したりします。
ただ一般には、5は子どもにとって難しく、かえって変な癖をつけてしまったり、1,2,3では、聴覚的な弁別力が背景にないと難しいかもしれません。

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構音指導で気をつけること11 科学的根拠に基づく指導

ある構音の誤りのある子に、大きな声ではっきりと「あいうえお表」を読みましょう、というような指導は、構音指導ではありません。指導の効率性を考え、子どもの構音の実態に合わせ、指導のねらい、方法を十分検討した上で、指導する音を絞り込むことが大切です。
正しい音を聞かせても正音がすぐには出せない子に、真似をして言わせる練習を繰り返すだけというのも、構音指導ではありません。
被刺激性(正音を聞かせると、正しい音が出る)がないのに、真似させるというのは、子どもの負担を増やすだけです。また、誤った音を繰り返させるのは、誤音をかえって固定化させることにもなります。

また、舌筋のトレーニングをひたすら行うだけだったり、歯の噛み合わせのせいにして、安易に矯正歯科などの医療に丸投げしようとする事例も見られますが、本当に器質的、外科的問題が疑われるのか、教育的な判断をきちんとした上で、他機関につなげるのでなければなりません。

医療機関には、お金や時間の負担がかかります。
担当者個人で判断するのでなく、複数の教員配置のある教室では、同僚と相談しつつ進めなければなりません。

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構音指導で気をつけること10 アセスメントと指導

構音指導を開始する前には、アセスメント、特に情報収集をしっかり行うことが大切です。
必要な情報の収集については、たとえば以下の内容が考えられます。

・主訴(いつから。気づいた人。どの音。支障の程度。相手や条件によって変わるか等)
・家族構成、家族状況(生活年齢、学校・学年など)
・生育歴(母子手帳、1歳半健診、3歳児健診、5歳時健診、就学時健診等の健診、検査、医学的情報等)
・教育歴
・行動、社会性、言語、コミュニケーション
・運動面(粗大運動、巧緻運動、口腔機能(食事、よだれなど))
・学習面
・基本的生活習慣
・得意なこと、興味
・在籍校(園)の校内体制

上記は、構音指導のためだけでなく、他の様々な主訴に対しても必要です。
大切なのは、「必要な情報を聞き漏らさない」ことです。

構音障害は、聴覚障害や知的障害、発達障害、脳性麻痺、事故、場合によっては言語環境等によっても起こるため、情報収集の仕方次第で、指導のあり方が変わる可能性があります。

指導を進めるうちに新しい情報が入ることも少なくありませんが、初めに知っておけばよかった、と思うこともあります。



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構音指導で気をつけること 9 ほめられる、楽しいことが何より

狭い指導室で一対一なのですから、子どもには誉めることを中心に接したいものです。
子どもを怒鳴りつけながら発音の「トレーニング」をしているとすれば、子どもの心を著しく傷つけるだけでなく、通ってくる動機も失うことになるでしょう。
そして誉めるのにも、ねらいと技術が必要です。
単に子どものご機嫌をとるために誉めるのではありません。

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『狛江市 育ちの森』(子育て支援ネットワークマップ)

『狛江市 育ちの森』(子育て支援ネットワークマップ)
http://www.city.komae.tokyo.jp/index.cfm/27,31912,128,html


特に裏面。頂いたパフレットの図の意味を中川 信子先生から直接うかがいました。


生まれてから中学校卒業まで、「育ちの森」の中で、あのとき、あの場所でこんな支援を受けてきたね、楽しかったね、とふり返られる森、というイメージだとのこと。


胸にジーンと来てしまいました。


明日は、子どもの発達支援を考えるSTの会主宰で、言語聴覚士の中川 信子先生のご講演です。
平成18年9月15日以来です。
当時は、全道大会ということもあり、400名近くの方が見えました。


今回も、チラシもまかれましたが、口コミでも広がっています。

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構音指導で気をつけること 8 構音類似運動検査

「構音類似運動検査」(日本聴能言語士協会・日本音声言語医学会)という検査を行う場合があります。
たとえば「フ」が発音できない場合に、両唇で摩擦させる動作、つまり検査者の手に向かって息を吹きかけるとか、カ行、ガ行が発音できない場合に、奥舌を挙上させる動作、たとえば口を大きく開けながら「んんん」と言ってみるなどです。

よく、舌を口角の左右につけられるかとか、舌打ちができるか、という検査をして、「だからサ行が発音しにくい」などと結論する話を聞くことがあります。それはそれで、舌運動の巧緻性を把握するには意義のある情報でしょう。ただ、出せない音に類似した動作がどうなのかが、指導の手だてを考える上でもっとも有効な情報ではないでしょうか。

舌打ちが何秒以内に何回できたかを重視する例も見ますが、それよりも類似動作ができるかが、まず大切な情報であるように思います。

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就学支援の法律面 平成14年以来の大改定

学校教育法施行令の一部改正について
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/1339311.htm

障害のある児童生徒等に対する早期からの一貫した支援について(通知)
<平成25年10月4日付け 文部科学省初等中等教育局長通知>
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/1340331.htm


教育支援資料
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/1340250.htm


今回の改正は平成14年以来のものです。
「就学指導資料」(H14)、「就学指導資料(補遺)」(H18)が、「就学支援資料」になりました。
措置のための障害の基準はほとんど変わっていませんが、「認定就学」ではなく、総合的に判断して、となるなど、就学支援の考え方が変わりました。
また、「資料」の内容はさらにわかりやすく、最新の科学的知見を踏まえているように思います。
初めてことばの教室や特別支援学級、特別支援学校を担当した先生のテキストにもなるのではというぐらい詳しく、わかりやすくなっています。


http://kotobaroom.blog.shinobi.jp/Entry/252/
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構音指導で気をつけること 7 日常会話への般化

正音が単音で出せるようになっても、単語や文、会話にはなかなか般化しないことがあります。
その背景としては、

1 音の分析能力が定着していない
2 「注意の配分」がうまくいかない(発音に気をつけながら会話することが難しい)
3 舌の緊張が取り切れていない
4 認知や運動の柔軟性の弱さ

などが考えられます。

1では、
「語内位置弁別」

たとえば、「た」について練習する際、「たまご」の「た」は語頭(単語の初め)、「かたき」の「た」は語中(真ん中)、「サンタ」の「タ」は、語尾(単語の最後)というように、単語のどの位置につくかを特定することがスムーズにできるかが大事です。

音の分析の練習は他に、
・音削除(「たまご」から「た」をとったら何?)
・音付加(「まご」の最初に「た」をつけたら何?)
・抽出(「た」が聞こえたらボタンを押してね。)
・正誤弁別(「たまご」→「かまご」合っているかな?)

などが考えられます。

一番楽しめるのは、しりとり遊びかもしれません。
応用的な例として、練習音の「検索」の弱さが原因で般化が難しい子がいます。
たとえば、「り」の練習時は正音が出せるが、会話時には、いつ「り」の音が出てきたかを瞬時にとらえることが難しく、歪んでしまう場合です。
そのような場合に、「新聞の中から、「り」の文字を10個見つけよう」
という課題を出したことがあります。
これを何週間か続けると、急に般化が進んだことがありました。

聴覚的探索を刺激するために、視覚的探索から入る、という荒技?です。

2では、
発音に注意を向けなくても、自然に発音できていることが目指されます。
自然にできないということは、3の舌の緊張や、4の柔軟性との関連もあるかもしれません。

般化がむずかしいのであれば、その原因をよく検討して指導を続けることが考えられます。


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構音指導で気をつけること 6 構音指導の開始のタイミング、必要度の判断

その子に、今構音指導を行うことが妥当かどうかの判断は重要です。

・話すことや人と関わることに不安や恐怖心を感じている。
・指導担当者と信頼関係ができていない。
・ラ行がダ行に置き換わっているが、正音の場合もある。会話の明瞭度に問題はなく、本人も周囲も困っておらず、加齢とともに、自然に構音の獲得が見込まれる場合。

たとえばこれらの状況では、構音指導を今すぐ始めるのは妥当ではない可能性があります。

その子の生活全体をトータルにとらえた中で、指導内容を決めることが大切です。


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構音指導で気をつけること 5 側音化構音では、正誤弁別に時間をかけすぎない

側音化構音や口蓋化構音の練習の際、「この音は正しいか間違っているか」を判断する「正誤弁別」にはあまり時間をかけすぎないことが重要です。
かつて、「自分の音の違いがわからないと通級をやめたがるから、弁別に力を入れるべきだ」という考え方がありました。
しかし、歪み音は特に低学年には聞き分けが難しく、弁別に時間をかけすぎるあまり、気づいたら子どもが卒業、ということにもなりかねません。
正誤弁別は、単音で正音が出せるようになってからが望ましく、また時間をかけすぎないことです。舌を出して、側音化なら呼気を正中から出す練習を積み上げた方が良いです。
通級の動機付けは、別のことでやった方が良いでしょう。

もちろん、語内位置弁別(単語のどの位置にその音があるかを特定する)などは、歪みであろうが、置き換えであろうが、音韻意識の弱い子にはやっておいた方がよいでしょう。

このことについては、
『構音障害の臨床 基礎知識と実践マニュアル (改訂第2版)』(阿部雅子著,2008)
http://www.kanehara-shuppan.co.jp/catalog/detail.html?isbn=9784307370899
でも述べられています。 

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構音指導で気をつけること 4 障害音だけでなく、構音全体を俯瞰して

たとえば、「キ」の音が歪んでいるがどう指導したらよいかを考える時、「ギ」などの他のイ列音(イ、ギ、シ、チ、ジ、ヒ、リ等)はどうなのかも見る必要があります。

「ケ」「ク」などは正しい音なのかを知っておく必要もあります。それらを利用できないかを検討するためです。(たとえば、内緒の「ク」の音+「イ-」=「キ」への誘導)

たとえば、「サ行」が置き換わる時、他の舌先を使う音(ザ行、タ行、ダ行、ナ行、ラ行)がどうなのか。カ行の指導の際、ガ行はどうかなどの情報もたとえば必要です。

このように、ある音の指導方針を立てるためには、他の全ての音がどうなのかも調べて、整理しておくことが大切です。

それぞれの音が単音節レベル、非語(無意味)音節レベル、単語レベル、文レベル、自由会話レベルでどうなのか、一覧表にしておくと良いでしょう。

まとめた結果、初めに指導すべき音の判断は、全く別になる可能性もあります。


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構音指導で気をつけること 3 舌の脱力

舌の緊張をとるには、「ホットケーキのようにふわっと」とか、「舌をお皿のように」などと、口頭で指示する例が教科書的にはあります。しかしそれだけではうまくいかないことが多いです。
ゆるめたり、細くしたりなど、緊張と弛緩を繰り返す運動をさせてみるのも一法です。何度か繰り返して、ゆるんだ瞬間をとらえて「それ! そのまま3秒」などと指示するのもよいでしょう。
鏡で舌の形を自分で確認させる方法もありますが、視覚的な認知が弱い子には向きません。

顔面の筋肉や、肩などが緊張していても、うまくいきません。
お口の中だけでなく、常に身体全体の状態を評価しながら練習することが大切です。

息を吸って数秒間止めて、吐く瞬間に舌をそっと出してゆるめていくのもいいでしょう。
とてもいいビデオがあります。

「ネットで学ぶ発音教室」
http://forum.nise.go.jp/kotoba/htdocs/

のなかの、
「舌の脱力のための指導」
http://forum.nise.go.jp/kotoba/htdocs/?page_id=71


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構音指導で気をつけること3 舌の脱力

舌の緊張をとるには、「ホットケーキのようにふわっと」とか、「舌をお皿のように」などと、口頭で指示する例が教科書的にはあります。しかしそれだけではうまくいかないことが多いです。
ゆるめたり、細くしたりなど、緊張と弛緩を繰り返す運動をさせてみるのも一法です。何度か繰り返して、ゆるんだ瞬間をとらえて「それ! そのまま3秒」などと指示するのもよいでしょう。
鏡で舌の形を自分で確認させる方法もありますが、視覚的な認知が弱い子には向きません。

顔面の筋肉や、肩などが緊張していても、うまくいきません。
お口の中だけでなく、常に身体全体の状態を評価しながら練習することが大切です。

息を吸って数秒間止めて、吐く瞬間に舌をそっと出してゆるめていくのもいいでしょう。
とてもいいビデオがあります。

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構音指導で気をつけること その2

側音化構音、口蓋化構音の指導でもっとも大切なのは、舌の緊張をとることです。
 舌の筋肉を鍛えるべく、一生懸命筋力トレーニングを行っている例を見ますが、実は逆です。破裂音が全体的に力が弱いなど、力が弱くて歪む場合は別として、側音化構音、口蓋化構音の場合は、舌の過緊張によるものです。よって、歪みの種類の鑑別は、指導方針の決定のために重要です。

 下の顎が左右にずれるのを手で直そうとする例も見ますが、顎のずれは、舌の緊張の結果であって、原因ではありません。顎よりも舌の緊張をとることがまず初めに大切です。

 舌小帯が短いからだとか、顎が偏位しているからだとか、歯のかみ合わせが悪いからだとか、器質性に原因を求めてしまいがちです。
 しかし、実は関係ない場合の方が多く、原因がはっきりしない機能性構音障害の割合の方が多いです。
 


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