ハンドルネーム ya
某公立学校通級指導教室担当教員
言語聴覚士
特別支援教育士(S.E.N.S)
性別 男
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『発達障害とことばの相談 子どもの育ちを支える言語聴覚士のアプローチ』
中川信子/著、2009、小学館
***(以下、紹介文より)***
子どもの「ことば」の不安が解消される本。ことばの専門家による定期的な相談・指導を受けるようになった親ごさんの多くは「ほっとした」「この子なりの成長を見守っていきたい」とおっしゃるようになり、望ましい親子関係が作られてゆくことが多いのです。(本文より)
第1級の言語聴覚士が、発達障害や何かの心配がある子どもの「ことば」を育てる暮らしをていねいに紹介。子どもの「特性」を生かしてよく育てるために大切なこと、が明らかになります。
***(引用終わり)
「なんとか法」を用いて子どもを「治す」といった治療モデル的アプローチが流行している中で、中川先生の本は、子どもをもっと長い目で見ていく大切さを具体的ないくつかの事例をもとに語っています。
必要な支援や配慮は、何のために必要なのかという本質的な問いかけをしてくださっています。
言語聴覚士向けのようなタイトルですが、ことばの教室の先生のほか、親御さんもぜひ。
中川先生の本は、読みやすく、わかりやすいです。
『エビデンスに基づいた吃音支援 入門』 菊池 良和著、2012、学苑社
吃音の当事者でもある菊池先生の最新刊です。
これまで言われてきた吃音についての考え方、指導方法などを
科学的エビデンスに基づいて一刀両断にしています。
最新の研究で言われていることを科学的にきちんと示しているという印象を受けました。
菊池先生は、直接的な指導に対して否定的なのかと勝手に思っていましたが、
「過去からの吃音体験(感情、情動)の共感+自己肯定感を育てる+言語療法を
するのが良い」と述べていました。
つまり直接的な指導を否定しているわけではないと思われました。
逆に小手先の指導だけでは、良い支援ができていない可能性がある、とも述べておられますが、
それもその通りだろうと思いました。
一方、昔は、本人に対して吃音に触れないようにするという考え方もあったようですが、
私がことばの教室を担当してまもなく、
『学齢期の吃音指導 専門家のための手引き』
Carl W.Dell,Jr./著 長沢泰子/訳、大揚社 1995年
が出てから、ことばの教室での吃音に対する考え方が大きく変わったのを覚えています。
ただ、自然に改善するかもしれない、しかも発症まもない幼児に、
聞き手が話し方を指摘するのはやり過ぎですし、
話しに夢中になって流ちょうに話せているときに、「上手に話せているね」などと
声をかけられれば腹が立つわけですから、子どもの状態、年齢等々に合わせた
対応はしなければならないのでしょう。
著書も指摘しているように、吃音は多因子モデルであり、症状だけではなくて、
トータルな子どもの理解が大事なのでしょう。それは吃音に限らないですね。
そうすれば、子ども一人一人の違いが明らかになるし、明らかになれば
アプローチ法も違ってくるわけです。
トータルな子ども理解の上で、いくつかの考え方、方法を組み合わせるのが良い
と私は思っています。吃音に限らず。
実際それで、効果を上げてきています。
『感覚統合を生かしてたのしく学習』
-読む力・書く力を育てる
佐藤 和美 著、2010、かもがわ出版
紹介ページ
http://www.kamogawa.co.jp/moku/syoseki/0323/0323.html
できたてほやほやの本です。
前著『たのしくあそんで感覚統合』でもそうでしたが、
これほどまでのアイデアをよく思いつくなあ、と感銘を受けました。
身近なものでの手作りがすばらしく、
しかも一つ一つにしっかりした理論的裏付けがある、
すばらしい著書と思いました。
一ページ一ページ、なるほど、こんなやり方もあったのかと
目から鱗です。
教材紹介の本というのは、概して、子どもの実態を無視して
その通りやってしまう危険性があると常々思っていますが、
この本には、子ども一人一人の実態に合わせて、
という表現が随所に盛り込まれており、
著者の意図が読み手によく伝わってくる、と感じました。
また、「学力の木」は、新人や保護者への説明にも使えるわかりやすい図と思いました。
日々、読み書きの土台となる能力ということをどのように伝えたらよいか
考えていた中でした。