ハンドルネーム ya
某公立学校通級指導教室担当教員
言語聴覚士
特別支援教育士(S.E.N.S)
性別 男
■メールはこちら
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
6歳の男児。主訴は「サカナがシャカナになる」。まず行うべき検査はどれか。
a.構音検査
b.純音聴力検査
c.言語発達の検査
d.視知覚認知検査
e.読解力の検査
1. a、b、c
2. a、b、e
3. a、d、e
4. b、c、d
5. c、d、e
***
視知覚とは、単純に言うと、形を見分ける力のことです。(実際にはもっと複雑で深いですが)
構音が主訴なので、「まず行う検査」にはなりません。
読解力の検査で、言語発達の様子などの一部を見ることはできるかもしれませんが、読解力=言語発達ではありません。
言語発達の遅れに伴って、構音の発達が遅滞しているのかもしれません。
サ行は、構音の発達で、最後に獲得する音です。小学校低学年までもちこすことがあります。
言語発達に比例した構音発達ならば、まず指導すべきは構音なのだろうか、という支援の方向性を判断するためにも、必要な検査です。
純音聴力検査の「純音」とは、聴力検査の「ピー」音のことです。
構音障害の背景に、聴覚障害があるかもしれません。除外するためには必要な検査です。
「サ行」の置き換えの疑いであれば、周波数の高い音の聞き分けが注目されます。
構音が主訴ですから、構音の検査は必須です。
また、検査には専門的な知識、技術が必要です。
会話時にたまたま置き換わっているだけのものを拾っても、評価できません。
単音節、無意味音節、単語、短文、会話の各レベルでの評価が必要です。
また、構音類似運動検査により、発語器官の音産生の基本的な運動能力があるかどうかを評価することも重要です。
時間のあるうちにたくさん投稿します。
先日、幼稚園の巡回相談に行ってきました。
幼稚園の先生に対してはいつも尊敬の念を持っています。
細かいところまで目が届き、手が届きます。
「だいたいでいいんでないの?」
という私とは大違いなのです。
一般に、幼稚園の年長組の担任の先生は、進学に対してプレッシャーを感じることでしょう。
小学校であれば、6年生の担任は中学校に対して、中学校は高校に対して同様に。
先日の幼稚園、保育園の先生向け研修会でも、「小学校の先生ごめんなさい、と思って引き継いでいます」、という先生のご意見を頂きました。「ごめんなさい、という必要はなくて、ありのままを引き継いで下さい。子どもも親も先生も、育ちの過程にあるのですから。学校ではそこから始めますから」とお答えさせて頂きました。
お互いが見えないための不安を軽減するために、幼稚園と小学校とが相互に、授業、保育の様子を見学し合うのは有意義なことでしょう。
年に5回もやっているところもあるぐらいですから。
うちの学校はというと・・・、10の幼稚園、保育園から上がってくるので、全部を見るのは無理ですが・・・。
「特別支援教育」とは、やはり、どう考えても、どうひっくりかえしても、「本人の立場に立つ愛情」が原点なのでしょう。別に「特別支援教育」と呼ばなくても。障害の有無を度外視したとしても。
でも、障害についての基礎知識を得ることも、「本人の立場に立つ」ために大切なのでしょう。
そして相談員は、親子の立場に立つのは当然として、「先生の立場にも立ってみる」ことも必要なのです。
色々と原点の部分で学ばせて頂いた思いです。
今年も40ケース以上の就学相談に関わらせて頂きました。(このあとも来るので、今年度は50ケース弱になるかと思います)
ゴールは、親子が安心して学校に通えるようになることだと思います。どのような意味においても。
そのためには関係者間で望ましい関係がつくれるように、いつもゴールを心の中に置いておく必要があります。
親子にとって、関係者間のぎくしゃくというのは、不安を強めこそすれ、緩和することはありません。
・長い時間をかけて積み上げたものが、関係者の何気ない一言で、信頼関係も崩れる。
・理想と現実とのかみ合わせを検討することなく、片方の論理だけで突き進む。
・公衆の面前で、近くの関係者を名指しで批判する。
こうしたことは、厳に慎まなければならないこと。
ゴールを見据えたとき、それらはコースをはずれているということを感じます。
関係者こそが、「他者視点」に立つ範を示したいものです。
特別支援教育士倫理綱領には以下のことが書かれています。
<他の専門職との関係>
第8条 S.E.N.S、S.E.N.S-SVは、他の専門職の使命、権利、技術を尊重し、相互の連携に配慮するとともに、その業務の遂行 に支障を及ぼさないように心がけなければならない。
私自身も、この綱領を改めて肝に銘じたいと思います。
特別支援教育 ブログランキングへ
今年の就学相談は、昨年よりもさらに30ケース増え、180ケースとなりました。スタッフの人数は、全部で50ケースの時代と変わらないので、3倍のケース数となります。土日もなく業務を行っており、日常の通級指導もできるだけ休まないで行っているため、私は心臓の鼓動がおかしくなっています。それでも、親子のために、出来る限りのことをしたいと思っています。
「誰も理解してくれなかったけど、今日は理解してくれた」と涙ながらに話された親御さんがかつていらっしゃいました。携わらせて頂いてよかったと思える瞬間です。
就学相談に関わらせて頂いて、大切と思うことを書いてみます。
1 検査結果を伝える場ではなく、検査結果があっても、それらを含め、子どものトータルな理解を共有する場であること。「○○ができないから」ではなく、「○○できるようになるために、必要な環境は」という観点で考える。
2 親御さん、子どもさんの思いに寄り添うこと。親御さんの悩み、主訴を字義通りに解釈するのでなく、その背景を様々な情報をもとに、深く理解しようと努めること。単に「場の決定」をするだけでなく、その後の親子や関係者がポジティブな流れになるように関わること。
3 面接場面だけでなく、保育園や幼稚園、学校、家庭、地域等での様子をできるだけ詳細に把握し、子ども理解に努めること。思いつきや思い過ごしではなく、きちんと事実を積み上げること。正確な情報に基づいて論考すること。
4 親御さんや関係者を責めるような関わりをしてはならないこと。関係者、関係施設もまた、「育ちの過程」にあることを受け止め、その実態の背景の理解に努めること。
そして何よりも、
5 相談員が当事者意識を持つこと。(もし自分がこの親だったら、子どもだったら、学級担任だったら)
これらは就学相談だけでなく、日常の通級指導でも大切なことと思います。何も特別な変わったことではなく、通級指導教室が親や行政と一緒に積み上げてきた財産そのものであると言えます。つまり、親御さんからむしろ教えて頂いたことです。
全部が理想通りにいくわけではないけれど、方向性は大切にしたいです。
「相談してよかった」「話し合って良かった」で終わることが大切なのは、相談だけでなく、日常の研修や会議でも言えることです。そうでなければ、やった意味がありません。否、心の傷を残すだけなら、かえってやらない方がよいでしょう。
思えば、私はこの番組をウン十年前から聴いています。
十代の時から。
心の安らぎを得るためだったのでしょう。
自分自身の生育歴、境遇,、心身の状態とを重ね合わせていたのです。
昔から、吃音など言語に関する相談はありましたが、
昔と今の違いの一つは、
「発達障害と診断を受けています」
という相談がとても増えたことだと思います。
今もこの番組を聴いている理由は、
1 専門的知識や考え方学び、どんな相談が来ても対応できるように。
2 相談のあり方そのものの勉強になる
3 私自身が元気になるために。
先生方にはいろいろな方がいます。
児童精神医学に詳しい先生。
不登校やその周辺に詳しい先生
子どもの人間関係や心理に詳しい先生
など。
ただ、どの先生にも共通していることがあります。それは、
1 相談者の言うことに耳を傾けるのが主。カウンセラーは交通整理が主。
(もちろん、番組の時間制約があるので後半は少し急いでまとめる)
2 アセスメントがとても的確→主訴の整理、周辺情報、生育歴、家族状況など、必要と思われる情報をピンポイントで選び、端的に質問している。
3 特定の主義にとらわれない。
4 他の子のことを持ち出して話しがずれていくということがない。
5 小手先の方法、技法ではなく、人間としての親身な姿勢
6 やりとりの向こう側に専門的知識、豊富な経験の裏付けがある。
7 自分の実績を鼻に掛けたりしない。
8 常に子どもの側から見た世界を感じ取ろうとしている。
9 相談者のことば遣い、プロソディー、息づかいなどから様々な情報を感じ取ろうとしている。そして共感しようとしている。
たまには「子ども本人」からの相談があることもあります。
素人には、
「元気で明るい話し方なのに、なぜ」
と一瞬思えるのですが、
よく耳を澄ませれば、その息づかい、微妙な抑揚の変化、そして内容の深刻度、苦しみを先生がよくとらえていらっしゃるのでした。
もちろん、私は録音を何度か聴いて初めてそれに気づくことも少なくありません。
私のような不勉強な人間にはなかなかできませんが、彼らの声の調子を聴いただけで、励ましを得るような気がします。そして本人からの電話の声を聴いていると、悩んでいたのは私だけではなかったんだ、とこの歳になっても思えるのです。
今日の事例検討会では、保護者の生の声を聞きくことができました。
保護者がお子さんの生育歴情報を詳細に報告してくださり、
その内容について参加者がグループで、感想や意見を交流しました。
0~3歳、4~7歳と時期を分けての発表と、グループ交流を
何度か織り交ぜました。
生育歴情報は、支援者の発表を聞くのと、
保護者の直接の発表を聞くのとでは、
これほど違う印象があるのかと思いました。
就学指導についての保護者の気持ちは、
胸に強く残りました。
学校関係者の一人として、
今後のあり方を強く反省させられたのでした。
グループの話し合いのルールは、
・知り得た情報を漏らさない守秘義務
・自分の意見も他人の意見も大切にする自他尊重
でした。
キーワードは、
・出会い
・傾聴
・交流
・気づき
でした。
内容も進め方も、とても勉強になりました。