1 まず誤り音は全て明らかにすることが大切です。
タ行がカ行に置き換わっているとすれば、
ダ行はどうなのか、サ行はどうなのかなど、
他の舌尖音(舌先を使う音)がどうなのかは、必ず評価すべきです。
また、タ行は破裂音ですから、他の破裂音(パ行など)はどうかとか、
パタカ、パタカと言ってみて、構音位置が後方に連続して変わる場合は
どうかなども必要です。
評価する音の漏れを無くすことが、その後の指導のあり方に
大きく影響します。
2 発音の誤りの型は、大きく3つあります。
○「置き換え」;他の文字で表記できるような音に変わっていることです。
たとえば、パンダ→パンガ では、ダがガに置き換わっています。
○「歪み」;文字では表記できない、独特の歪んだ音になってます。
たとえば、「側音化(そくおんか)構音」では、
「チ」が「キ」のように、「ジ」が「ギ」のように、
「シ」が「ヒ」のように聞こえることがあります。
でも、それぞれはっきりとした「キ、ギ、ヒ」とも違う感じがします。
本当の「キ」なのか、歪んだために「キ」に聞こえるだけのかを
確かめるには、 「チキチキ」と言わせてみると分かります。
歪みには他に、代表的なものでは「口蓋化構音」があります。
ほかにも、鼻から息が漏れているような「開鼻声」など、
いろいろあります。
側音化構音や口蓋化構音などの歪み音は、
自然に改善することはほとんどありません。
指導も長期化する傾向にあるため、
言語発達年齢が4歳半に達したら指導を開始し、
就学後も改善していなければ、指導を継続することが必要です。
中学校にはことばの教室がない地域がほとんどなので、
小学生のうちに指導を受けた方が良いです。
高学年になってから相談に訪れても、手遅れなことが少なくありません。
卒業後も指導が必要な場合は医療機関等のご紹介をしますが、義務教育ではないので
受診料がかかります。
中学校に上がると部活動などで忙しくなり、通院も難しくなります。
早期の指導開始が望まれます。
○「省略」;「ハッパ」→「アッパ」など、音が省略されることです。
/happa/ →/appa/ ですから、/h/ が省略されています。
3 どんな条件でも、音がいつも誤っている状態を
「一貫性がある」と言います。
「パンダ」を「パンガ」と発音したときに、
「そうだね、パンダだね」と、正しい音を聞かせたときに、
もう一度言うと「パンダ」と正しく発音できる場合は、
「被刺激性がある」と言います。
正しく言えたり、言えなかったりする状態を
「浮動性がある」と言います。
それぞれの音について、「一貫性」、「浮動性」、
「被刺激性」をきちんと評価することで、
その後の指導で、音の指導順序を決定する際に
重要な情報になります。
また、その音が単語につく位置によって、
誤り方に違いがでることがあります。
たとえば、
「サカナ→チャカナ」だが、
「エサ、アサッテ」
は正音の場合、
単語の頭(語頭)だけ、「チャ」に置き換わって
いるのかもしれません。
他のいくつかの単語でも試してみて、
単語の位置による違いが共通しているか
調べます。
4 音の渡りによって、言いにくい場合もあるかもしれません。
たとえば、「キリギリス」のようなイ段の音がたくさんあると、
「チリジリス」になるけど、 「キモノ」、「オオキイ」では
正音が出せるなど、前後の音との関係で
影響はないかということ。
だから、単に「カがタに置き換わっている」という情報だけでは、
アセスメントとは言えません。
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